イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【シリア】クルド・人民防衛隊(YPG)戦闘服から見る内戦(2)写真14枚 (全3回) 

◆YPGほか対テロ部隊(YAT)
クルド・人民防衛隊(YPG)指揮下の対テロ特殊部隊(YAT)は、ISとの最前線でもっとも果敢に戦ってきた部隊だ。IS掃討作戦で派遣された米軍特殊部隊から軍事訓練を受けてきた精鋭である。その戦闘服は黒ベースの迷彩。シリア・クルド勢力の戦闘服から見る内戦、第2回。
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クルド・YPGの精鋭組織には対テロ特殊部隊(YAT=イェクニエン・アンティ・テロル)があってIS掃討や敵対勢力の摘発・制圧が任務。対IS戦の一環として一部部隊は米軍特殊部隊の軍事訓練受けてきた。戦闘服は黒一色と思っていたが、じつは黒ベース迷彩。(YAT映像)

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対テロ特殊部隊(YAT)戦闘服の黒ベース迷彩を見せてもらう。生地はイラン製で縫製はシリア内とのことだった。生地がイラン製なだけでイラン政府が支援してるわけではない。(撮影:坂本)

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2014年にコバニに侵攻したISとの攻防戦を総指揮したYPG司令官マハムード・ベルホェダンと4年ぶりに再会。昨年、トルコ軍・シリア反体制派連合がアフリン侵攻した際にはYPGアフリン管区総司令官。現在は対テロ特殊部隊(YAT)の指揮官。YATの黒ベースの迷彩。(撮影:坂本) 2014年のインタビューはこちら>>

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YPG指揮下のYATのほかに、最近はシリア民主軍(SDF)指揮下でも特殊部隊編成が進められている。これは先月、ユーフラテス地域管区「コマンド部隊」(ヘゼン・コマンドズ)120名が4か月の軍事教練後に宣誓式と演武をしたときの映像から。同様の黒ベース迷彩服。(SDF映像)

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 YPG/YPJ以外には、警察部門(アサイシ)の対テロ特殊部隊(HAT)がある。これはアフリンの女性隊員の写真と思われる。(SNS写真より)

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YPGの女性部門、女性防衛隊(YPJ)の徽章(パッチ)撮らしてもらった。徽章(記章)はクルド語でニシャン。アラビア語は何というか知らないが、たぶんタスヒーフル・アスケリーユ(軍章)。(撮影:坂本)

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クルド労働者党(PKK)オジャラン指導者。文字は「指導者なくして我らの人生なく」。オジャラン指導者はトルコで死刑判決受け収監中。欧米諸国も「PKK=テロ組織」指定するも、米国主導の有志連合はPKKが実質的母体のYPGにIS掃討戦で軍事支援という国際政治の実際。今後は「オジャラン肖像記章」は自制していくということだった。アメリカとの関係も考慮していると思われる。(撮影:坂本)

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これはYPG・YPJ忠誠式(ソンド)。軍事教練修了しての服務宣誓。銃とオジャラン指導者の書籍の前に手を置いて命を懸けて故郷と人民のために戦うことを誓う。(YPG映像)

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YPG・YPJはいわゆる一般正規軍のような細分化された階級呼称はないものの、司令官(クルド語=フェルマンダール)と総司令(フェルマンダーレ・ギシティ)とか部隊長や班長はある。将来的には階級が整備されるかもしれないという話も聞いた。画像は整列・点呼イチティマのようす。PKK式を踏襲した、同じ整列・点呼の号令だった。(YPG映像)

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2015年6月、ISはいったん退却していたコバニを再び攻撃。このとき、YPG戦闘服や、当時IS掃討戦で共闘していた自由シリア軍の戦闘服で偽装したIS戦闘員、約80人がひそかに町や村に侵入。3連続自爆攻撃や襲撃で住民200人以上が犠牲となった。これらの事件が背景となり、YPGは一般商店での戦闘服の流通を制限。(2015年:ANHA通信映像)

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YPGは戦闘服がISに偽装されるのを防ぐため一般市場にはむやみに流通させないようになった。徽章(パッチ)は売ってるところあるものの「お土産・資料」などの目的でも所持してると対立地域でスパイとみなされる危険も。外国人だと、シリア周辺国でも容疑かけられ逮捕、拘束の可能性もある。(撮影:坂本)

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以前作った図ですが参考になると思います(図をクリックすると拡大)。シリア民主軍(SDF)に参加・共闘する武装諸派。合計の兵力規模は5万~6万人前後。多様な組織の連合体であるが、実質的にはYPG主導。赤い枠で囲んだ部分は、主観ながら、PKKの影響度が強い組織。シリアのキリスト教系組織はシリア正教やアッシリア人組織。このほかSDFには各国の左翼義勇兵らが参加する国際自由大隊(IFB)なども参加。

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店の棚の上にあったステンレス水筒「フッ素コート」の日本語文字がYPGと並んでてかなりシュール。検索したら象印っぽいけが、じつは酷似ラベル使ってるアジアの別メーカーらしい。(撮影:坂本)

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ところで、シリア内戦各派コスプレ写真とかは、やめたといたほうがいい。トルコはYPGを「テロ組織」規定。さらにISは日本人を含む市民を多数殺害するなど、各国情報機関は「最重要警戒の国際テロ組織」として監視対象になっている。ISコスプレをSNSで世界に発信すると誤認されたり、支持者とみなされて「ネタ」で済まなくなることも。日本の公安当局もテロ対策で警戒してるので、ISコスプレマニアは潜在的支持層とみなされて、身元特定とかぐらいはされる可能性あるかも。なのでキュートンぐらいが無難。  第3回へ >>

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