イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画】イスラム(IS)掃討作戦~空爆の標的情報伝えるスパイ処刑

【この記事には残酷な写真が含まれます】
◆ISはスパイを見せしめで殺害
イスラム国(IS)掃討作戦ではイラク軍や有志連合、さらにシリア政府軍やロシア軍が空爆を遂行している。戦闘機、爆撃機のほか、各国の兵器メーカーが製造した攻撃型・偵察型ドローンも投入されている。ISの軍事拠点、幹部の所在に関する情報は、潜入して活動する情報要員や地元協力者によってもたらされる。ISはこれらの情報要員を「十字軍のスパイ」として摘発し、残虐な方法で処刑してきた。

イラク軍・動画】イラク軍 中国製無人攻撃機 CH-4B

イラク軍は各国メーカー製から無人航空機(ドローン)をIS掃討作戦で運用している。偵察用のイランのアバビル3などのほか、攻撃型軍用ドローンとしては中国から調達したCH-4B(虹彩4B)も投入。映像はイラク・オバイディ国防大臣(当時)が中国製ドローンCH-4Bを視察した際のもの。レーザー誘導ミサイルも搭載する。上空から地上のIS標的を破壊する。ドローン攻撃や空爆では、標的選定は航空からの映像のほか、IS地域に潜入する情報要員からの情報などから選定される。(2015年10月・イラク国防省映像)

※視聴注意

【IS動画】空爆情報伝えたスパイの処刑 (一部意訳・一部にボカシ処理をしています)

2015年6月にISが公開した映像。IS地域内に潜入してイラク軍に標的情報を伝える情報要員を拘束し、スパイとして「罪状」を告白させたのち、次々と処刑する。ボカシ処理をして一部編集でカットしたが、元の動画では、うめき声や死体のアップも挿入されるなど残虐さが際立っている。冒頭映像に空爆での住民犠牲を挿入して「ムスリム殺戮」と結び付け、スパイ処刑を正当化する構成に仕立てている。残酷な手法で見せしめ的に殺害するのは、裏切り者や工作員を阻止する意図もある。(2015年6月・ニナワ・モスル・IS動画)

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【IS系アマーク通信】IS系アマーク通信が公表したシリア・ラッカでの米軍による橋への爆撃とする映像から。ISは小型撮影ドローンまで飛ばしてユーフラテス河畔にかかる橋の被害状況を伝えている。橋梁や幹線道の破壊は、ISの部隊移動や補給網を断つのには非常に有効である一方、地元住民の生活にも影響が及ぶ。(2017年3月・ラッカ・IS系アマーク通信)

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【IS系アマーク通信】同じくラッカの橋への空爆映像から。IS地域でひそかに活動する情報要員は様々で、信念に基づいて活動する者や報酬目的で協力する者がいる。軍事拠点の場所やIS幹部の所在を電話や伝達者を使ってイラク軍やクルド部隊などに伝え、有志連合も含めて空爆の標的選定がなされる。幹部の車両や自宅が的確に狙われるのはこれらの情報によるところが大きいが、情報が誤っていたり、古かったり、あるいはISに拠点を偽装されると誤爆被害も起きる。(2017年3月・IS系アマーク通信)

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【IS写真】IS支配地域内で活動する情報要員がもたらす情報は、空爆の標的選定で重要な役割を果たす。ISはスパイ摘発を強化し、処刑を繰り返している。このIS写真は2016年、ラッカで「十字軍同盟のスパイ」として、公開の場で磔けにしてナイフで心臓を突き刺す様子。一部をぼかしています。(2016年6月・シリア・ラッカ・IS写真)

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【IS写真群衆のなかには、子どもの姿も見える。首には「スパイ」として罪状を書いた紙がぶら下げられている。広場などで公開で処刑された死体は、数日間、その場に放置されたり、車にロープをつけて引きずり回される。スパイ活動を阻止し、外部に情報提供する者を出さないための見せしめでもある。一部をぼかしています。(2016年6月・シリア・ラッカ・IS写真)

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【ラッカ】対IS戦の現場では、航空機は爆弾だけでなくビラ(伝単)も投下する。これは今月、シリア・ラッカで有志連合機が上空から投下したビラ。IS戦闘員に向けた内容で「諸君の無線機はウソをついていない。諸君の司令官がウソをついているのだ」とある。おそらく、シリア民主軍(SDF)側の無線通信から聞こえるISの劣勢な戦闘状況のなか、君たちのISの司令官は「勝利」を鼓舞して戦闘員を戦わせて死なせ続けているので、それを信じてはいけない、と戦意喪失や戦闘放棄をさせることを狙ったものと思われる。(2017年8月・SDF公表写真)

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【ラッカ】これも同じ日に有志連合機がラッカで投下したビラ。ラッカで密かにメディア活動を続ける「ラッカは静かに虐殺される」がSNSに投稿したもの。こちらは住民向けのビラで、「シリア民主軍(SDF)は、避難民を手厚く保護し、早期に帰還できるよう尽力している」という内容。(2017年8月・「ラッカは静かに虐殺される」公表写真@Raqqa_SL)

ISは、空爆被害を「十字軍によるムスリム殺戮」などとし、欧米などのムスリムに、キリスト教世界への敵愾心を植え付け、各地で一般市民を狙った報復テロを呼びかける。
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