イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画・日本語訳】空爆による住民被害をイスラム国(IS)はプロパガンダでどう伝えているのか

「十字軍同盟VSイスラム」の構図で描く
イスラム国(IS)拠点に対して続く空爆。車両や軍事施設を狙った爆撃では、住民も巻き添えとなっている。住民被害が出るとISは宣伝映像で公開し、「十字軍同盟がムスリムを殺戮している」という構図で伝えてきた。これがのちに、世界各地での報復テロの決起扇動につながっていく。

【IS動画1】有志連合の空爆による住民犠牲(一部意訳)

2015年6月に公開されたIS映像。シリア・アレッポ県コバニ近郊の村での60人以上が犠牲となった空爆での家族を殺された住民の怒りの声を伝えている。この事件はコバニとマンビジ間の村で起きた。映像には「十字軍によるムスリムへの空爆」とタイトルがつけられ、死傷した子どもたちを映し出している。(2015年・IS映像)

【IS動画2】有志連合の空爆による住民犠牲(一部意訳)

2015年11月公開のイラク・モスルでの空爆被害映像。タイトルは「十字軍・サファウィによるムスリム住民に対する空爆」となっている。イラクでは無人攻撃機を含む政府軍機と有志連合機がIS拠点を爆撃してきた。「サファウィ」とはサファヴィ朝ペルシアのことで、ISは「現代のペルシア帝国たるイランの後押しを受けたイラクシーア派政府」という位置づけで使っている。「イラク政府は西側キリスト教世界の十字軍と結託してムスリムを殺戮している」とISは描く。日本やイスラム諸国であっても、対ISテロで一致協力する国々は「十字軍の同盟国」とISは規定。挿入された歌は、「この屈辱、なぜゆえに」というナシード。住民犠牲が出たり、過酷な試練に直面する動画でよく使われる。空爆被害に「苦難と屈辱にさらされるウンマイスラム共同体とその民)」とする歌詞を重ね、心情に訴えかけるつくりになっている。(2015年11月・IS映像)

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【IS系アマーク通信】IS系メディアが伝えるイラク・モスルでの空爆被害者の映像。ISプロパガンダの一部であることに踏まえた上で見るべきだが、もしIS側のメディアがこうした映像を出さなければ、有志連合やイラク政府、シリア政府は住民被害の状況を伝えただろうか。テロ扇動を防ぐためにIS映像はすぐにネット上から消される。若者が感化されたり戦闘員のリクルート活動に使われないよう一定の規制はしかたない部分もある。だが住民犠牲の事実までなかったことにされるべきではないだろう。(IS系アマーク通信・2017年2月・イラク・モスル)

 

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