イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「そして信徒が部族連合軍を目にしたとき」(全文)【2】全2回 (2017/06/12声明)

◆敵勢は「結託同盟」と強調【声明 2/2】(全2回)
イスラム国(IS)アブル・ハサン・アル・ムハジール広報官による声明の第2部。最後までイスラム創成期における部族連合軍との歴史的戦いと、今日のISのシリア・イラクでの戦いが重ねられている。アサド政権軍、ロシア軍、イラン民兵、シリア民主軍(SDF)・人民防衛隊(YPG)、イラク政府軍、クルド・ペシュメルガ部隊、シーア派民兵、米軍主導の有志連合軍というように、ISが対峙する敵は多い。支配地域が急速に縮小するなか、一部の戦線では玉砕戦のような戦いが展開されている。今回の声明は、外部世界に向けたISメッセージというより、戦闘での士気を高めるために戦闘員に対して発した部分がほとんどを占めている。以下全文の第2回。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】 

f:id:ronahi:20170924201453j:plain

ムハジール声明は各言語に翻訳され、IS機関誌ルミーヤ(第11号)が掲載。歴史的な戦いに自分たちの戦いをなぞらえ、戦闘員を英雄的に称え、詩まで挿入して格調を持たせている。この声明を掲載したルミーヤの表紙は、宝石店を襲撃している写真。別の特集記事で「不信仰者の国の商店を襲って財物、商品を奪っても、それは戦利品であり、信仰上は許されるので、ためらわずにやれ、奪った物をジハードに投じよ、誘拐もかまわない」といった主張を展開。かつて赤軍派がM作戦で銀行を襲撃して闘争資金にした思考にも似ているが、ISの場合はこの延長に「戦利品」としてのヤズディ教徒女性や子どもの奴隷化があったことも押さえておくべきだろう。

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
】「そして信徒が部族連合軍を目にしたとき」(2/2)

いかなるジハード戦士も部族連合には立ち向かうことなどできず、ムスリムは一掃されるなどとと考えを抱くのはこうした者なのだ。ジハード戦士が挑みかかろうものなら、部族連合が完膚なきまでにこれを壊滅させ、腕輪飾りのごとくにぐるりと取り囲むだろうなどと考えるのはこうした者なのだ。

イラクとシャム(大シリア)の地は、イスラム国のムスリムの安住地ではもはやなくなったゆえに不信仰者の地に逃れようなどと考えるのはこうした者なのだ。預言者の方途とハディース(伝承)が伝えてきた吉報は、誤った願いであり愚かな迷信にすぎといった考えを抱くのはこうした者なのだ。

f:id:ronahi:20170924192641j:plain

IS機関紙アン・ナバア(第85号)に掲載されたムハジール声明。昨年8月に空爆で死亡したアドナニ広報官のあとを継いだアブル・ハサン・ムハジール広報官の声明としては、これが3回目となる。

 

【過去のIS主要声明】

2014/07/04 バグダディ・カリフ宣言

2016/05/21 アドナニ声明

2016/11/02 バグダディ声明

2016/12/05 ムハジール声明

2017/04/05 ムハジール声明 

 

アハザブの戦いで、ムスリムの宿営地にいた偽信者たちの一団の声言について、崇高なるアッラーはかく触れられている。
【それから、また「これ、ヤスリブ(メディアのもとの名前)の衆、これは到底頑張りとおせるものではない。逃げ帰ったほうがいいぞ」と言い出す者もあった】(部族連合章:13節)

セーラ山で、ムスリムと宿営をともにしていた預言者(祝福と平安あれ)は、自勢と敵とのあいだに塹壕を掘るようお命じになった。ゆえに軍勢の一部から声が上がった。「多勢なる敵ゆえに、ここに布陣などできぬ。メディナへと引き返そう」。

これが意味したものとは、「お前たちはムハンマドの宗教などに頼ることなどできぬのだから、多神偶像崇拝者の宗教に戻れ」であり、また「お前たちには戦う資質などないのだから、敵勢の権力の下に護られることを検討せよ」と言ったごときのものである。

崇高なるアッラーは、偽信者たちの声言も含め、あの戦いでの彼らのありようについて幾度となく仰せになってきた。

彼ら(=偽信者)は、ときにこう言うだろう。
「ここに布陣し、この前線でいままで耐えろと言ってきたのはお前たちだ。だが、我らが前にここを去っていたなら苦しめられることなどなかったというのに」。そしてこうも言うだろう。「お前たちは数で劣り、また弱勢にもかかわらず、敵を打ち倒そうなどと望んでいる。お前たちの宗教は、お前たちを欺いているのだ」。

こうしたことについては、崇高なるアッラーはかくのごとく仰せになっている。
【偽善者どもや、心に病気を宿した者どもが、「彼ら(ムスリム)もとうとう宗教のために血迷ってしまったか」(自分より遥かに優勢な敵に戦いを挑んだのは、信仰の生んだ狂気の沙汰)などと言ったときのこと。しかし本当は、誰でもアッラーにすべてをお委せする者は・・・なんと言ってもアッラーは偉大な明敏な御神におわします】(戦利品章:49節)

また彼らは、こうも言うだろう。「お前たちは気がふれたか、無知蒙昧なる者どもだ。己れを破滅させ、ともにいる民まで破滅させようとしている」
また彼らは、計り知れぬ損失的影響をもたらす声言をいくつも発するだろう。

また、崇高なるアッラーが、偽信者たちのありようと不撓不屈でとどまった信徒(=ムスリム)たちのありようについて(コーランの)部族連合章でお述べになったのち、一連の状況に際して、アッラーは、その信徒たる下僕たちが、使徒ムハンマド(祝福と平安あれ)の実例に倣うべく、お力添えを下されたのだ。

崇高なるアッラーはこう仰せになった。
【まことに神の使徒(=ムハンマド)だけは、(今度の戦闘でも)、ひたむきにアッラー最後いやはての日を望み、絶えずアッラーを心に念ずる人間(つまり神の道のために、至誠をもって異教徒と戦う人)の見事な実例であった】(部族連合章:21節)

かくして崇高なるアッラーは、敵による試練を課せられた者こそ、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)に学ぶべき良き先例の者たちであったことを我らにお伝えになった。それは、使徒が苦悩されたごとくに、彼ら(=ムスリム勢)も同様に苦悩したのだということをもってしてである。

そのようにして、アッラーにお委ねすること、そして自身が耐えることの良き例として彼らは彼(=ムハンマド)を受けとめるべきであり、これら一連の出来事が怒りや屈辱を生来させるものと考えてはなぬし、もしそうであるならば、アッラーの最良の創造物たる使徒ムハンマド(祝福と平安あれ)は、このように試されることなどなかったのである。

むしろ、これらは高い位階に至るための方途であり、「最後いやはての日」を望み、アッラーを繰り返し思い起こす者にとっては、アッラーはこれらの試練によってその者の罪をお取り除きになるのだ。

この節の解釈では、イブン・カシール師はこう述べている。「この高貴な節は誰かの声言や行ない、ありように際して、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)がそれらとどう向き合うかの良き例としての基本である。

このゆえに、アハザブの戦いの日に実例として、預言者(祝福と平安あれ)が堅忍を保ち、忍耐力で敵にまさり、防衛警戒の任を果たし、ジハードを戦い、崇高なる御主のお力添えを待ち望んだ良き例を預言者に見るようアッラーは民にお命じになったのだ。

審判の日まで、アッラーの祝福と平安が預言者にあらんことを。このゆえに、崇高なるアッラーは、アハザブの日にあって、戦意の失せた者、揺さぶられ震撼した者、己れの雑事に問題を起こした者に対して、こう仰せになったのである。「絶えず(アッラーを)心に念ずる人間の見事な実例であった」。この意味せしところは、「彼(=ムハンマド)を実例と受け止めず、またその実績に倣わぬというのか」である。

このゆえに、御方(=アッラー)は、「まことに神の使徒(=ムハンマド)だけは、(今度の戦闘でも)、ひたむきにアッラー最後いやはての日を待ち、絶えずアッラーを心に念ずる人間」と仰せになったのである。この言葉で師は結んでいる。

そしてまことアッラーは、塹壕の(戦いの)年に、あの者たちの力が雲散霧消するまで、あの者たちがいかなる良き結果も手にすることができぬよう、東の大風を送り、あの者たちの心を断ち割って、部族連合を蹴散らしになったのだ。これは御方(=アッラー)のお言葉にかくある。

【こんなわけでアッラーに追われた罰あたりども(連合軍を指す)、むしゃくしゃしながら、なんの得もとれずに引き下がって行った。アッラーが御自身でお前たちの戦闘を引き受けて下さったのだ。まことにアッラーは強いお偉いお方】(部族連合章:25節)

ゆえに、御方が預言者(祝福と平安あれ)とその高貴なるご教友たち(慈悲あれ)の前に立ちはだかった部族連合を蹴散らしなったごとく、カリフ国に立ちはだかる連合軍の軍勢を蹴散らしになるよう、我らは請い願うのだ。

------------------------------
おお、聖殿の御主よ、(我らは請う)赦しと改悟を。
そのお力で、我らを正しきへとお導きを。
その恩寵で、勝利の栄冠を授け給え。
不信仰者の大群に難苦を降りかからせ給え。
いかなる者の翼も畏れ多きに閉じ伏せ
貴方の御前で我らぬかずくばかり。
------------------------------

おお、カリフ国の兵士よ、諸君のまわりで起きていることをしっかり思案し、そして心に留めおけ。
考え、そして見よ。アッラーに依るならば、ひとり死すことは、ひとり殺すこと。ゆえに自身の宗教の名誉をここに授かり、信仰心を確固と抱くのだ。さすれば、諸君が退却せずに前進を続けるその姿にアッラーはご満悦なさり、諸君は庇護者たるアッラーにまみえることができるだろう。

そして心せよ、カリフ国の兵士よ。フィトナ(=迫害・内争)の集塊に警戒せよ。そしてそれらを避けるのだ。かくお述べになった預言者(祝福と平安あれ)のご助言に従うのだ。
「誰あろうと私に従った者はアッラーに従った者。誰あろうと私に背いた者はアッラーに背いた者。誰あろうと、指揮長に背く者は、私に背く者である」ハディース:ブハーリとムスリムの伝承)

わがジハード戦士同胞を思い起こすこの好機と、ムスリムがこの有徳の月に残された時を、我らが逃すことはないだろう。この月についてアッラーはこう仰せになっている。

コーランが、人びとのため(神からの)お導きとして、またお導きの明らかな徴として、また善悪の識別として啓示された(神聖な)ラマダン月(こそ断食の月)】(牝牛章:185節)

まこと崇高なるアッラーから下僕に与えられた祝福の中にありしは、その下僕がこの良き機会に至ることを御方(=アッラー)がお認めになったということ。さすれば彼らの心の執着から魂は清められ、それによって純心となり、競って善行に励み、限られた日々を生かすことができるのだ。

預言者はお述べになった。
ラマダン月を迎えたとき、天国への門が開かれ、地獄への門は閉ざされ、悪魔は封じられよう」ハディース:ブハーリとムスリムの伝承)

ゆえに、(天国に)至った者に賛辞を。これぞ、アッラーに己れの一切を委ね、善行を積んだ者。ひたすら真実に向かって、イブラヒム(=アブラハム)の道に従いし者。イスラムのすべての法に従って行ないを果たす者に賛辞を。

真実のもとに不撓不屈であり続け、啓典(=コーラン)をしっかりと携える者に賛辞を。アッラーの招者に応え、アッラーの使徒を信じ、アッラーの敵にジハードをもって挑み、アッラーの約束の真実をうべなう者に賛辞を。

かくして、諸君。おお、赤々と燃ゆる石炭をその手に握り、(アッラーとの)契約を守って耐え抜き、不屈であり続けているいているカリフ国の兵士たちよ。この、いま置かれた境遇が、試練と苦難に他ならないことを諸君はわかっている。

アッラーがかく仰せになったように。
【我ら(アッラー)としてはお前たちを徹底的に試みて、本当に(神の道に)闘う者、本当にしっかりした(信仰を)もった者が誰だか知りたいと思う。お前たちに関するいろいろな情報を実地に検査して見たい】ムハンマド章:31節)

諸君-アッラーの慈悲のあらんことを-こそは、今日、不信仰者の結託同盟に立ち向かうイスラムの戦隊であり、その先陣である。不屈と忍耐を通してこそイスラムは栄誉を得られるのであり、ムスリムとその国家(=イスラム国)が勝利を獲得することができるのだ。ゆえに己れの良きありようをアッラーの御前に示すのだ。

おお、モスル、ラッカ、タラファルの獅子たちよ。おお、名誉と栄光のしるべたる者たちよ。背徳者に対する怒りの濫觴らんしょうたる者たちよ。これら清めの沐浴の守り手たち、皓皓たる顔で立つ者たちにアッラーの祝福のあらんことを。

ラフィダ(=シーア派の蔑称)と背教徒どもを打ちのめし、連携確固に攻撃せよ。創造者、庇護者たるアッラーに依って立つ者は屈辱を受けることはなく、他方、アッラーの他に庇護をへつらい求める者は一切の名誉を授かることはないのだ。

アッラーを信じぬ者どもに対し、諸君はアッラーの大道で戦い、アッラーの御元へと至る方途として尽力奮戦している。

我々は諸君をかくのごとく見ているし、アッラーはその審判者である。心を新たにし、戦傷に耐え抜くのだ。悪魔の結託連合の前に忍苦をもって踏みとどまり、あやつらの鼻先を泥にまみれさせよ。そしてアッラーを畏れ奉れ。戦争で己れのなせる最良の装備こそ、そして最良の計略こそ真なるものであり、さすれば成功を成就させることができよう。

まこと忍耐の時を経ずして勝利はもたらされぬ。アッラーの御意のもと、最後の成果を手にするのは諸君なのである。

おお、ディジラ、バディヤ、サラハディン、ディヤラ、キルクーク、北バグダッド、ジャヌーブの各県のカリフ国の兵士たちよ。おお、ファルージャ、アンバル、フラートの各県にいるイスラムの兵士たちよ。この有徳のラマダン月の夜々にこそ、ラフィダ(=シーア派)と背教徒どもの輩に、あらゆる殺戮と破壊をたっぷりと味合わせるのだ。

訳注:地名はいずれもイラク国内でISが設定した「県」。バディヤはISがニナワやタラファルなどの「県」をイラク軍に制圧されたのち、新たに改編して登場)

かくて今日ここにあるは、諸君の場に足を踏み入れたあの者どもの姿。その現世に善行を果たしたければ、アッラーシャリーア(=イスラム法)のもとに諸君が統治してきたこの地を、ゾロアスターの末裔どもがうろつきまわることを許してはならぬ。

訳注:ISはイランを「ゾロアスター国家」とみなし、ここではイランとその支援を受けるイラクシーア派を指している)

ゆえに、待ち伏せにし、爆発物を仕掛け、狙撃の銃弾であの者どもの頭を粉々にし、爆弾の嵐であやつらの一群を殲滅一掃するのだ。

おお、アレッポ、ハイル(=デリゾール)、バラカ(=ハサカ)、ホムス、ハマ、ダマスカスの各県のカリフ国の兵士たちよ。
訳注:地名はいずれもシリア国内でISが設定した「県」)

おお、ハリドとアブ・ウバイダの末裔たちよ。おお、イスラムの英雄たちよ。おお、勇猛の獅子たちよ。シャム(大シリア)の地にあっては、諸君らの前に立ちはだかるは、ヌサイリども(=アサド政権軍)、クルドの無神論者ども、背教徒サハワども(=スンニ派武装諸派)である。

訳注:ハリドは、ハリド・イブン・アル・ワリードのことで正統カリフ時代の武将。アブ・ウバイダは、ムハンマドの最初期からの教友で、のちの正統カリフ時代のシリア総督。ここではいずれもシリアに縁のある人物の名を挙げている)

怒れる獅子のごとくあやつらに襲いかかり、各々に取りかかれ。このラマダン月を逃してはならぬ。恭謙、服従、改悟をもって御主に立ち返れ。殉教を願い求めよ。

【みな争って神様のお赦しを手に入れるように努めよ。それから、敬虔な信者のためにしつらえられた、あの天地ほどの広さのある楽園をも】(イムラーン家章:133節)

おお、シナイ、ムスル(=いずれもエジプトとその周辺地域)、ホラサン(=アフガニスタン周辺地域)、イエメン、西アフリカ、ソマリアリビアチュニジア、ジャザイル(=アルジェリア)、その他のすべて地域のイスラムの兵士たちよ。諸君らのジハードを続けよ。そして警戒に任務にあたり、諸君の前線を守り抜き、アッラーの敵どもに一刻の休息も与えてはならぬ。

この地でのシャリーア(=イスラム法)とアッラーの統治を打ち立てるために力戦奮闘せよ。諸君のジハードの到達点とは、この宗教が、まったきアッラーのものとなることであり、全世界がアッラーシャリーアのもとに統治されるようにすることである。

おお、東アジアにいるカリフ国の息子たちよ。我々は諸君がマラウィ市を制圧したことに賛辞を贈る。アッラーを畏れ、不屈を保て。アッラーが諸君にお授けになった祝福に感謝を。

敵に対峙するにあたりアッラーのご助力を請い求めよ。御方(=アッラー)は諸君に十分に応じになり、満たして下さろう。

ペルシアの地のスンナの民(=スンニ派)の息子たちたるカリフ国の勇敢なる戦士たち、兵士たちよ! この宗教の敵どもに対する諸君の作戦行動決起にアッラーの祝福のあらんことを。

諸君らは民の心を癒し、ムスリムたちに喜悦をもたらした。彼ら(=ムスリム)が対峙してきた多神偶像崇拝者どもに対し、諸君は見事にやってのけた。
さあ、その攻撃を続けよ。まこと、ゾロアスター国家の家は、蜘蛛の家よりももろきものなのだ。

訳注:これはテヘランで6月7日に起きた国会議事堂・ホメイニ廟襲撃事件を指している。ゾロアスター国家はイランを指す。「蜘蛛の家」はコーラン・蜘蛛章の「アッラーをさしおいて、他人の主人を持つものは、蜘蛛の家のごときもの」からと思われる)

ヨーロッパ、アメリカ、ロシア、オーストラリア、その他の地の信仰六信と信仰心に依って立つ我らの兄弟同胞たちよ。諸君の地にある兄弟同胞たちは、浴びせられる非難から身をもって自身を解放したのだ。彼ら同胞たちのあとに続き、彼らの行動決起の例に学ぶのだ。天国は、あまたの剣の影のもとにあることを心に刻め。

各地の獄舎にある我らの兄弟同胞たちよ。アッラーにかけて、我らは諸君を一時たりとも忘れはしなかったし、忘れることはない。これは諸君らが我らに託して然るべきものである。

ゆえに、耐え忍び、不屈であれ。善なることのみを唱えよ。
「まこと、報奨の偉大さは、苦難の重さに等しく、崇高なるアッラーが民を愛す時に、真にその試練を差し向けになる。嘉せられしものは誰あろうと(アッラーの)よみしを戴き、怒りを受けた者は(アッラーの)怒りが下されるだろう」ハディース:アッ・ティルミディの伝承)

深奥を知り、すべてに通暁なされたアッラーが諸君をお救いになるべく、この祝福されしラマダン月に祈りを増やし、諸君のジハード戦士同胞たちに勝利、不屈、堅忍をお授けになるよう請い願うのだ。

アッラーの御意のもと、我らは諸君を救うためにはいかなる努力も惜しまない。
御主よ、我らの罪と、我らの諸事の至らなさをお許しください。そして、我らの足を確固と立たせ、不信仰者に対する勝利を我らにお授けください。

かくて、我らが結びに唱えしは、万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

◆声明【1】に戻る >>   【1】【2】

f:id:ronahi:20170924194615j:plain

イラク・モスルでイラク軍との戦闘を前に士気を高めるIS戦闘員。1本指は、「神はアッラーのみ」を示している。(2017年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170924195458j:plain

写真はイラク・モスルの攻防戦の映像に移ったアジア系とみられる戦闘員。今回の声明では欧米ほか各地のISシンパや支持者による決起を呼び掛けているものの、かつてのように「とにかく欧米で市民を殺せ」とテロ襲撃を積極的、具体的に声明で呼びかけていたのに比べるとトーンが少し下がっている。コーラン・部族連合章に関する内容に重点を置きすぎたためなのか、支配地域を維持するために部分的な停戦を意識しているのか、別の戦術を狙っているのか、その意図は不明。今後の声明が注目される。(2017年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170924210221j:plain

モスルはイラク政府軍が奪還を果たし、3年に及んだIS支配は終焉した。写真は7月10日、モスルで「勝利宣言」をするイラク・アバディ首相。(2017年7月・イラクTV映像)

f:id:ronahi:20170924195812j:plain

声明はフィリピン・マラウィを制圧したIS関連組織の戦いについても言及。今後、フィリピンがアジアからのIS志願戦闘員の受け皿となったり訓練拠点のひとつとなることも懸念される。写真はIS系アマーク通信が伝えたマラウィでの戦闘のようす。(2017年6月・IS系アマーク通信)

f:id:ronahi:20170924195733j:plain

声明の最後では、イラン・テヘランで6月に起きた襲撃事件に触れている。事件では国会議事堂とホメイニ廟がISによって同時に襲撃され、犯人を含む23名が死亡。事件が起きたのは6月7日で、今回のムハジール声明は6月12日に出ているので、声明音声は事件直後に収録されたものと推測される。写真は、襲撃を実行した5人。(IS機関紙・アン・ナバア第84号)

◆声明【1】に戻る >>  

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>