イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【IS声明全文・日本語訳】イスラム国(IS)英マンチェスター爆弾事件「十字軍国民を殺傷」と関与認める

◆さらなる攻撃を予告
イギリス・マンチェスターで5月22日に起きたコンサート会場での爆発事件は、死者22人を出す惨事となった。武装組織イスラム国(IS)は23日、「十字軍国民を爆発物で殺傷」などとする公式声明を出し、事件への関与を認めた。ヨーロッパ各地であいついでいるISシンパによるとみられる市民襲撃事件では、まずIS系アマーク通信が「消息筋情報としてIS戦闘員による攻撃」とする例が多いなか、事件直後の段階でISが英語・アラビア語で公式声明を出して攻撃を認めたことは、準備段階から関与していた可能性も推測される。以下は声明全文。(英語版をもとに翻訳・一部意訳)

イスラム【速報】イギリス
マンチェスターでの爆発物による爆発で
約100名の十字軍国民を殺傷

ヒジュラ暦 1438年シャアバーン月27日

アッラーのご加護とご助力のもと、カリフ国の兵士は、アッラーの宗教のためになす報復として、多神偶像崇拝者を恐怖に陥れるべく、また、ムスリムの地に対する幾多の犯罪への回答として、英国の都市マンチェスターの十字軍国民が集まる只中に爆発物を設置した。
爆発物は恥知らずのコンサート会場で爆発し、十字軍国民30名を殺害し、70名を負傷に至らしめた。アッラーの御意のもと、十字架の崇拝者とその結託者どもに対し、さらなる過酷なことが次に続くこととなろう。万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

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マンチェスター爆弾攻撃事件の犯行を認めるISの英語版の声明。声明では十字軍となっているが、十字軍を構成する国の市民、国民を指している。ISの規定では、ISに敵対する欧米のキリスト教国以外にも、これらと同盟する国々も十字軍同盟とし、日本もこれに含まれる。

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アラビア語の声明。英メディアは男が自爆と報じているが、声明では、英語版とも、「爆発物による爆破」とある。ISが自爆攻撃の声明を出す際は、「殉教志願作戦」(アマリヤット・イスティシャハディーヤ)や、計画性をもって襲撃を敢行して、銃撃戦の上、自爆した場合でも「突撃決死作戦」(アマリヤット・イングマスィーヤ)とすることが多い。
メディア報道が錯綜しているのか、ISが準備していた声明と犯行の実態が異なる結果となったのか、男が爆発物を設置した際に誤って爆発させ自身も死亡したかなど、詳細は不明だ。今回の声明では爆発物についてアブワ・ナスィファという用語を使っている。これは即製爆発物や自家製爆弾を指す場合によく使われる。自爆ベルトを用いたときはヒザム・ナスィファと表現される。

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マンチェスターで公演をしていたアリアナ・グランデのコンサート会場が標的となった。英当局は、「コンサート会場出口付近で爆発」と発表。多数の死傷者を出す爆発だったことは、周到な準備のもとに計画された可能性を示唆している。(画像はCNNより)

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5月24日付のイギリスの新聞。事件で犠牲となった8歳の女児について大きく伝えている。右の男が実行犯と報じられたリビア系英国人サルマン・アベディ容疑者(22)とされる写真。

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サルマン・アベディ容疑者の自宅への家宅捜索として英メディアが報じた映像。

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IS機関誌では、欧米をはじめとした「十字軍諸国」での市民殺戮を呼びかける記事が目立つようになっている。市民が多数集まる場所は政府機関や軍事施設よりも狙いやすく、主要な標的となるとしている。トラックの調達手順や、人が集まるイベントを狙え、といった、など具体的な手法を紹介しており、これに呼応した共鳴者が事件を引き起こす危険性が高まっている。(画像の一部をぼかしています)

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昨年、ISはシリア・イラクの外に住むISシンパに見せることを意識した内容の映像を公開。シリア・ラッカ発のIS映像で、「人間をナイフで殺害する際の急所」や「爆弾製造」などについて紹介している。実際の人間を殺害しながら解説したり、製造した爆弾をスパイとされた男に背負わせて走らせ、遠隔操作で爆死させるなど残虐を極めたものとなっている。写真は身近な日用品から小型爆弾を作る方法を解説している。(2016年・IS映像)

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3月にロンドン・ウェストミンスターで起きた暴走車両とナイフによる殺傷事件(死者5名・犯人含む)では、IS系アマーク通信が「イスラム国兵士」によるものと伝えたが、ISから公式声明は出なかった。のちにIS機関誌(左)では「カリフ国兵士・ハリド・マスードが作戦を敢行」とした。フランスやドイツでの単独決起型襲撃をISが事後承認する形と、直接ISが計画段階から作戦に関与するものなど、攻撃実行と声明発表の形態も分かれている。

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