イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【イギリス】メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明全文 (2017/05/23)

◆「卑劣なテロ」と非難
イギリス・マンチェスターで起きた爆弾事件を受けて、メイ首相は声明を発表、事件を「卑劣なテロ攻撃」と非難した。この時点での犠牲者数は、死者22人、負傷者59人とし、実行犯の氏名は公表されなかったものの、のちにリビア系英国人のサル、アン・アベディ容疑者(22)と発表された。以下は、メイ首相の声明全文。(一部意訳)

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マンチェスターでの爆弾事件後、ロンドンの首相官邸前で経過を説明するメイ首相。(2017年5月23日・英首相官邸公表映像)

メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明

ダウニング街10番地(首相官邸)2017/05/23

先ほど、私は、昨夜のマンチェスターでの惨事に関する詳細と対応を議論するため、政府緊急事態委員会(COBR)の会合を招集しました。

私たちの思いと祈りは、犠牲となった方々、そして事件に巻き込まれたすべての方々のご家族、友人の皆さんとともにあります。マンチェスターの住民、そして国民が卑劣なテロ攻撃の犠牲となったことに疑いの余地はなく、またこの攻撃は冷徹な計画のもと私たちの社会の若い世代が標的にされました。

これは英国史上、最悪のテロ事件のひとつとなりました。マンチェスターがこうした事態に直面したのは初めてではありませんが、これはマンチェスターが経験した最悪の攻撃であり、またイングランド北部における過去最悪の攻撃でした。

警察と治安機関は、現在、事件の全容解明に全力をあげていますが、現時点で分かっていることについて説明いたします。

昨夜午後10時33分、マンチェスター市中心部、ヴィクトリア駅近くにあるマンチェスター・アリーナで爆発があったと警察に通報が入りました。 

会場の出口付近で、テロリスト1名が、時刻を選んだうえで大量殺戮を企図し、無差別に殺害、負傷させる目的で即製爆弾を爆発させたことが判明しました。爆発は、多くの若い家族や子供たちのグループが来場していたポップ・コンサートの終了に合わせて起きました。あらゆるテロ行為は、罪のない市民に対する卑劣な攻撃にほかなりません。しかし今回の攻撃は、人生の思い出に残るはずの素晴らしい夜を楽しんでいた何の罪もない無防備な子供や若者を狙った点において、その凄惨さと、おぞましい卑劣さを極めたものであります。

これまでのところ実行犯について判明していることのほかに確認している情報としては、22名が死亡し、59名が負傷したということです。負傷者はグレーター・マンチェスター(州)の8か所の病院で治療を受けています。その多くが命に関わる状態にあります。死者、負傷者のなかには多数の子ども、若者がいたことがわかっています。幼い子供たちでいっぱいの空間をそれぞれの思い出の場と見るのではなく、大量殺戮の機会ととらえるような、歪んで屈折した心に立ち向かわなければなりません。

私たちは、こうした暴力を煽り立てる思想に打ち勝ち、このような攻撃が今後また起きることを阻止する姿勢を取り続けます。まや、今回の攻撃に、他にも関与した者がいると判明したならば、徹底的に捜し出して裁きにかけます。今回の攻撃はひとりの男によってなされたものと、警察ならびに治安機関はみていますが、実行犯が単独で行動していたのか、広範なグループの全容解明には時間を要しますが、捜査は継続されます。

警察と治安機関には任務を遂行するにあたり必要なあらゆる応援が与えられます。警察と治安機関は、実行犯の身元を割り出しつつありますが、現段階では、その氏名を確定するには至ってはいません。

警察と緊急対応機関は、つねにそうであるように、大いなる勇敢さをもって行動しました。国を代表して、彼らに感謝の意を表明します。彼らは適切な所定に手順に則って訓練どおりに対応し、プロ意識を発揮して行動してくれました。400名の警官が夜を徹して任務にあたりました。心理的な負担を負うほどの悲惨な現場にあって、負傷者の救命措置や救護のために救急医療チーム、医師、看護師らが立派に役目を果たしてくれました。警察の捜査活動については特別の応援措置が取られ、武装した警官の増派も含めた、目に見える形のパトロールマンチェスター一帯で継続されます。

マンチェスターで生活、または働く皆さんにおかれましては、マンチェスター・アリーナ、ヴィクトリア駅付近で広範囲の封鎖警戒措置が続くことをお伝えします。ヴィクトリア駅は現在閉鎖されており、綿密な捜索活動が続くあいだ、しばらく閉鎖が続くことになる見通しです。

事件に巻き込まれた方々のご友人、ご親族がご自身の子どもや、きょうだい、両親や愛する人が無事かどうかわからず、把握しようと努めていると思います。

想像を絶するほど心配されている方々に思いを寄せていただき、この攻撃に関係する情報をお持ちの方はマンチェスター警察に連絡してください。

脅威レベルは現在も最高度です。これはさらなテロ攻撃が引き続いて起こりうるということを意味します。

入手した情報に基づいて脅威レベルを判定する、独立した機関である統合テロ分析センターは、今日とこの数日にわたってその状況を精査する活動を続けます。

本日これから私はマンチェスターに向かい、マンチェスター警察イアン・ホプキンス署長、グレーター・マンチェスターのアンディ・バ-ンハム市長ならににマンチェスターの支援に加わった緊急対応機関のメンバーの方々と合う予定です。

昨夜、表明いたしましたとおり、総選挙に関する活動については一時休止することといたしました。本日、のちほど別の政府緊急事態委員会の会合を開きます。

こうした過酷な時にあっては、指導者、政治家、その他の方々にとって、実行犯を非難し、テロリストは敗北すると毅然と表明することが求められます。私たちが以前もここで同様の事態に臨み、再び同様の言葉を発するとしても、その真実の重みは変わりません。

昨夜、マンチェスターで経験した最悪の反人間的行為のなかにあって、私たちは善き人間としての姿が発揮されることも目にしました。実行犯に卑劣さに対して、緊急対応機関、そしてマンチェスターの人びとが立ち向かいました。私たちを分断しようとする目論見に対して、人びとを結束させた、数えきれないほどの善意の行動が立ち向かいました。

これから幾日にわたる間、私たちはこのことを忘れてはなりません。私たちの心に刻むべきものは、非道な殺人犯のそれではなく、危険を顧みず人びとを救うべく駆け付けた一般の男女の方々の姿なのです。

人びとを助け、命を救うために、緊急対応機関の男女職員ともが絶え間なく活動を続けてくれました。被害者のために自宅を提供してくださった方々の連帯と希望のメッセージ。これは彼らのマンチェスター精神であり、また英国精神を示すものであるのです。この精神こそ、紛争とテロのなかにあって決して挫けることのなかったものであり、これからも決して挫けることはないのです。

過酷な日々が続くことになりますが、被害に遭われた方々のご家族や友人に私たちの思いと祈りを捧げます。事態に円滑に取り組めるよう、行政機関、緊急対応機関、治安機関にあらゆるサポートを提供します。この過酷な時にあって、私たちのすべて、そのひとりひとりが、マンチェスターの人びととともにあります。

きょう、私たちは亡くなった方々を心に刻み、一方で助けの手を差し伸べた方々を称えたく思います。テロリストは敗北し、私たちの国、私たちの生き方こそがつねに勝利するのだという思いを心に強く抱くものであります。

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マンチェスター・アリーナで爆発物を爆発させ、死亡した、リビア系英国人、サルマン・アベディ容疑者(22)。イスラム国(IS)との関与は不明だが、コンサート会場を狙い、多数の犠牲者が出たことから計画的に場所を選定し、殺傷力の高い爆弾が使われたことは、個人でなく、組織的な関与をうかがわせる。(英メディアが報じた写真)

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