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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画・シリア民主軍SDF声明・全文】イスラム国(IS)「首都」ラッカ攻略の第3段階・第2ステップへ~東部戦線からの包囲進撃めざす

◆デリゾール軍事評議会も展開~東部戦線ラッカ10キロ圏内へ
イスラム国(IS)の拠点都市、ラッカの攻略へ向けた「ユーフラテスの憤怒作戦」を進めるシリア民主軍(SDF)は、2月17日、作戦の「第3段階・第2ステップ開始」を宣言する声明を発表した。ラッカ東部近郊への進撃にはデリゾール軍事評議会が合同して展開し、ラッカとデリゾールを結ぶ要衝を分断しラッカ包囲を目指す作戦目標を掲げている。将来的なデリゾールからのIS排除も視野に入りはじめた。ラッカ東部戦線の進撃速度は速く、一部の東方の前線ではラッカ中心部まで10キロ圏内に迫ったとも伝えられている。以下、声明全文。(一部意訳)

【動画1】ユーフラテスの憤怒作戦・作戦室声明(2017/02/17) 一部意訳
IS「首都」ラッカ攻略作戦「第3段階・第2ステップ開始」声明を読み上げるジハン・シェイク・エヘメド作戦室広報官(中央)。左はデリゾール軍事評議会ハメド・アブ・ハウラ議長。右はSDF作戦部隊ディジワル・ヘバット・セレカニエ司令官。

シリア民主軍(SDF)声明・ラッカ解放作戦
第3段階・第2ステップ
(2017/02/17)

【ユーフラテスの憤怒作戦・作戦司令室声明】

ユーフラテスの憤怒作戦・作戦室は、ユーフラテスの憤怒作戦の第3段階における第2ステップ開始をここに宣言する。我々はラッカ東部近郊地域を解放する第1ステップの進展をうけ、このたび新たなステップを開始する。

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左はシリア民主軍(SDF)、右はデリゾール軍事評議会の旗。デリゾールの名所、ユーフラテス川にかかる吊り橋(ジスル・アル・ムアラク)が描かれている。

 

 

この第2ステップでは、ラッカ近郊の東部地域に展開し、また(ラッカを)デリゾールから隔離包囲することを目指す。この進撃は、わが軍の地上における勝利的展開と、テロに対抗する国際有志連合軍の上空からの支援のもとになされる。ラッカの隔離と周辺のテロリストの包囲は重要なステップとなろう。

この地域一帯はデリゾールと近接しているため、デリゾール軍事評議会が東部方面から有志連合軍の支援を受けながら効果的に進攻する。我々はラッカだけでなく、デリゾールの民衆に向けても、勝利は間近に到来し、テロ集団が敗北するという吉報を届けることとなろう。

地域の住民からのわが軍への支援に、あらためて感謝を表明する。また、作戦を有効に遂行するために、ダアシュ(IS)・テロリストの集合拠点から離れるよう、住民に呼びかける。

テロ集団とその支持者に恥辱を!
シリア民主軍とシリア全人民に勝利を!

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室

2017年2月17日

【動画2】有志連合軍によるラッカ近郊のIS自動車爆弾工場空爆
(2017/01/30・音声なし・24秒)
ラッカ近郊のISの自動車爆弾製造工場を有志連合軍機が空爆で破壊。上空から標的を選定して爆弾を投下しているということは、IS地域内に情報要員がいることを意味する。密かに通信手段を用いてSDFに標的を教え、有志連合軍の司令部に伝えている。SDF声明で毎回、「ISの集合地点からできるだけ離れよ」と住民に呼びかけがなされるのは、ISの軍事施設や車輌基地、武器庫などへの空爆による近隣住民の被害リスクを下げるためである。とはいえ住民がいても軍事的に破壊すべき標的と判断されれば、住民犠牲が予想されても爆撃が遂行されることもある。(CJTF-OIR公表映像)

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2月中旬頃の状況。現地情報と照合しながら地図を作っているのだが、進撃は速く、前線位置は刻々と移動している。SDFの東部戦線では、一部地域でラッカ近郊まで10キロ圏内に迫ったと報じられている。SDFは今回、ラッカの東部戦域でデリゾールをつなぐ要衝を攻略し、ラッカを包囲することを目標にするとしている。ただ、一気に攻め込むと、ISは住民を巻き添えに「総玉砕戦」に転じる可能性もある。ラッカとデリゾールの中間にあるマアダン近郊にはISに反発してきた地方部族もあり、これらの部族がSDF側につけば戦局はさらに動くだろう。

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SDFを主導するのはクルド組織・人民防衛隊(YPG)。それにアラブ人やトルクメン人らの合同部隊が参加している。写真はラッカ近郊の前線に展開するYPGの装甲車輌。(SDF映像)

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今回、SDF声明の映像に登場したデリゾール軍事評議会ハメド・アブ・ハウラ議長。昨年8月にISを排除したマンビジでは、軍事評議会が暫定統治機関となった。SDFはこの軍事評議会をラッカやデリゾールでも、攻略勢力の一部とし、ISを駆逐したのちには、軍事評議会が暫定統治機構に関与することになるとみられる。ただ、デリゾールはシリア政府軍が町の一部を死守しているため、ラッカ解放後にデリゾールに進撃するなら、なんらかの調整がなされることもと予想される。カミシュリやアレッポではYPG-SDF主体の勢力とアサド政権が分割統治しており、状況次第ではこうした形になるのではないか。(SDF映像)

【動画3】 ISと交戦するSDF部隊(2017/02/10)
前線でISと交戦するSDF部隊。デリゾールもラッカもアラブ人が趨勢の町で、住民の多くはIS支配に苦しみ壊滅を願う一方、IS以後にクルド勢力の意向を受けた評議会が実質統治をすることに不安を抱く者も一部にいる。またトルコは、YPGがラッカ解放の主体となることを懸念し、YPGを支援するアメリカに対して繰り返し懸念を表明している。(SDF映像)

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