イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【シリア民主軍SDF声明・全文】イスラム国(IS)拠点、ラッカ攻略・第3段階を宣言~ユーフラテスの憤怒作戦

◆ラッカ西部・北部に続き東部戦線から進撃
シリア民主軍(SDF)が進めるラッカ攻略のための「ユーフラテスの憤怒作戦」の進展状況について、同司令部・作戦室は、2月4日、作戦が第3段階に入ったと宣言した。ラッカはイスラム国(IS)の「首都」とされる最大拠点のひとつ。イラク・モスルではイラク政府軍が奪還戦を進めるなか、シリア・ラッカのIS「本陣」にはSDFが迫りつつある。昨年11月にラッカ攻略作戦が開始されて以降、1ヵ月ごとに段階が進み、今回は3段階となった。これまでのラッカ西部・北部に加え、今回は東部方面からの進攻を作戦の目標に掲げている。以下、声明全文。(一部意訳)

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戦闘状況は2月上旬のもの。あらたに始まった東部戦線からの進撃は速度を早めている。ほぼ1か月ごとに作戦の段階が進み、ラッカ包囲網が狭まっている。ラッカ住民の懸念のひとつが、ISを追い込みすぎるとタブカ・ダムをISが爆破し、地域一帯に洪水を起こして住民ごと殺戮するのではないかということだった。SDFの攻略部隊もISの要衝を分析ながら前線に展開している。

シリア民主軍(SDF)声明・ラッカ解放作戦第3段階開始(2017/02/04)

【ユーフラテスの憤怒作戦・作戦司令室声明】

ダアシュ(IS)がいまもって支配する地域を解放するためのラッカ西方の地方部で軍事作戦が継続されるなか、ラッカ近郊部ならびに都市部を解放する作戦の第3段階を開始したことを我々はここに宣言する。

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ラッカ攻略作戦・第3段階を宣言するジハン・シェイク・エヘメド作戦室報道官。(SDF映像)


第3段階においては、ラッカ東部方面の地方部ならびに都市部の解放や、ダアシュ・テロリストが自らの終焉の近づくなかで激化させている蛮行から、民衆を救うことを目的とする。とりわけ我々は、各層からなる誇りある民衆の支持に加え、国際有志連合軍のさらなる支援を大いに受けながら作戦を進めている。有志連合はわが軍の進撃を上空空域から援護をはかり、地上においては(有志連合軍の)特殊部隊の支援も受けている。

これらはいずれも地元の部族長諸氏や有力人士によって歓迎されている。軍事作戦の完遂は我々の主要事項であり、ここにいま、この(第3)段階を迎えるに至った。

ユーフラテスの憤怒作戦の今回の段階は、これまで作戦に参加したすべての軍事組織諸勢力とともに継続される。さらにこれには本作戦室が主導する戦闘の過程で最近解放された地域の多数の青年たちや、このたび編成された地元民からなる軍事組織諸勢力がダアシュと戦う国際有志連合軍の訓練・武器の支援を経て加わることとなる。

ラッカでの決戦とその近郊地域の解放において、テロリストが集まる拠点等から距離をおいて離れるよう住民に呼びかける。またわが軍が各自の地域に到達した際の支援を求めるものである。

これに加え、わが部隊の進攻に際して、住民はわが方が統制する安全地域に一時退避することを求め、さらにはラッカの意志ある男女諸氏がそれぞれの地域の解放を果たせるよう、わが軍に参加することをここに呼びかける。

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室

2017年2月4日

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2月4日、ユーフラテスの憤怒作戦・第3段階の開始を宣言するSDFの合同部隊。クルド組織・人民防衛隊(YPG)とその女性部門(YPJ)が主導的役割を果たしている。(SDF映像)
ユーフラテスの憤怒作戦のこれまでのおもな声明
第1段階・開始声明 (2016/11/06)
第2段階・開始声明 (2016/12/10)
第2段階・戦果報告 (2017/01/16)

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前線ではSDF部隊とISの激しい戦闘が続く。ラッカ攻略作戦・第3段階では、新たに東部から展開し3方向でラッカに迫ることが宣言された。(SDF映像)

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ISとの戦闘を進めるのは容易ではない。展開する地域にはたくさんの農村があり、住民がいる。まず住民の避難先を確保して安全路を開いて防衛しながら誘導し、被害を最小限にしなければならない。ISは住民を「人間の楯」とするため移動を阻んでいる。写真は戦闘から逃げてくる住民。(SDF映像)

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避難誘導保護については、子どもや高齢者もいるうえ、戦闘が続くあいだ住民の食料や避難場所の確保も必要だ。農家には生計のためのヒツジ・牛などたくさんの家畜もいるので置いたまま村を去ることもできない。地元部族との調整も不可欠である。ISに協力させられていた部族をどう取り込むかが作戦に大きく影響する。ラッカ攻略作戦の声明で毎回、部族について感謝を表明しているのはこうした背景がある。また、ISを地域から駆逐しても、いたるとことに設置された仕掛け爆弾を処理しなければならない。写真は戦闘地域から脱出してきた住民に食料を配るSDF部隊。(SDF映像)

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IS地域から逃れ、着用を強いられていたヒジャブを脱ぎ捨てる少女も。(SDF映像)

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戦闘を避け、IS地域から脱出してきた子ども。(SDF映像)

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ラッカ攻略へ向けては、上空から有志連合軍の空爆と、地上のSDF部隊が連携しながら進撃している。写真左は米軍のA-10攻撃機と思われる。(SDF映像)

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IS系メディア・アマーク通信が、「ラッカでの米軍による空爆被害」として公開した、破壊された橋の映像。空爆で住民を殺戮し、インフラも破壊していると伝えている。空爆ではIS部隊の移動を阻むため橋梁なども標的にされる。空爆被害に一般住民が巻き込まれているのは事実で、「ラッカ解放作戦」には、こうした戦争の現実がある。(アマーク通信映像)

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