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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【シリア民主軍SDF声明全文】イスラム国(IS)拠点に迫る~ラッカ解放作戦・第2段階の成果を強調

◆各国・各組織声明文 ◆クルド関連 ◆IS関連 ◆IS以外の武装組織

◆「ユーフラテスの憤怒作戦」ラッカに28キロ地点まで展開
イスラム国(IS)と戦闘を続けるシリア民主軍(SDF)は1月16日、IS「首都」ラッカ攻略のための「ユーフラテスの憤怒作戦」の第2段階の進展状況に関する声明を発表した。SDFはクルド組織・人民防衛隊(YPG)とその女性部門YPJや、アラブ人、トルクメン人、キリスト教徒の武装組織諸派から編成され、合同部隊としてISと対峙してきた。昨年11月に始まった作戦以降、ラッカ西部・北部からISの要衝を制圧。国際有志連合軍の空爆支援などを受けながらISの本拠ラッカに迫りつつある。以下は声明全文。(一部意訳)

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1月16日、前線地帯で声明を発表するSDF、「ユーフラテスの憤怒作戦」司令室指揮官ら。中央の背の高い男性はSDFタラル・セロ司令官。左の女性はジハン・シェイク・エヘメド作戦司令室広報官。その左がロジュダ・フラットYPJ作戦部隊司令。SDF・YPG合同部隊は、昨年11月6日に開始したユーフラテスの憤怒作戦以降、ラッカ西部、北部の要衝を攻め落としながら進撃を続けてきた。(SDF写真)

シリア民主軍(SDF)声明(2017/01/16)

【ユーフラテスの憤怒作戦・作戦司令室声明】

ラッカ県の住民の要請に応え、ラッカ解放作戦の第2段階が2016年12月10日開始された。作戦は現在も継続されている。シリア民主軍(SDF)のための軍事評議会による共同合意のもと、本作戦は、この地域一帯におけるダアシュ(IS)の脅威を排除する目的で主導されてきた。

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SDFは1月上旬には、西部の最前線からラッカまで28キロの地点に進軍したと発表。ISも自爆攻撃などで激しく応戦し攻防戦が続く。(SDF写真)

ユーフラテスの憤怒作戦・第2段階においては以下のことが達成された。

197の村落を含む2480平方キロの地域、多数の農地、戦略的丘陵部、ジャアバル城が解放された。これにより、ラッカ解放作戦の開始からあわせてのべ3200平方キロの地域が解放されたこととなる。この地域内には236の村落、農地、丘陵が含まれる。ラッカ市は西部・北部から包囲されたこととなる。

ダアシュ(IS)のテロリスト、260名以上を殺害し、戦闘現場において115遺体を回収し、18名を拘束した。また多数にのぼる武器、弾薬、軍用車輌、砲撃関連部品を鹵獲。爆弾車輌40台を無力化し、うち多くが標的到達前に撃破された。

わが軍によってラッカ西部の近郊地域の数千の民間人が解放され、村落からダアシュ(IS)の脅威が排除され、安全が確保されたのち、住民の多くが家々に戻ることとなった。SDFはこれら住民に対し、支援物資の配布を継続している。

ラッカ解放作戦の開始以来、地元の(ラッカの)西部地域の有志が2500人以上がSDFに参加した。これら地元戦闘員は、国際有志連合の支援のもと訓練を受け、武装を進めてきた。アラブ人、クルド人同胞とともに肩を並べて戦ったイギリス、カナダ、アメリカからの有志3名を含む、わが方の戦闘員42名が戦死した。

ユーフラテスの憤怒作戦司令部として、最前線地域でわが軍を支えたラッカの地方部の大いなる住民に感謝を表明する。いかなる代償を払おうとも、わが住民を防衛することを約束するとあらためてここに明示する。

我々はラッカ市民に対し、この好機を捉え、各自の地域での評議会の結成、各勢力からなるシリア民主軍に参加する地元行政機構の設立など、ラッカ全体の解放のため、それぞれが組織すべく動くよう呼びかける。また、前線でわが軍を支援する国際有志連合とその軍事専門家たちに感謝を表明する。

解放されたラッカ近郊部の住民のための治安、医療、住民支援機関の分野で支援をしてくれたコバニ自治行政委員会にも深く感謝する。わが軍は、ラッカ解放作戦の開始以降、多大なる成果を達成した。

我々はラッカを解放し、シリアのすべての地からテロの脅威を取り除くため、テロリスト・ダアシュ(IS)に対する戦いを継続する。

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室
2017年1月16日

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SDF部隊の進攻を受け、IS側は1月6日、ジャアバル城から退却。城は12世紀頃に建てられたとされ、アサド湖に面している。2014年、この地域に勢力を広げたISが制圧していた。ここからラッカ中心部へは直線距離で約45キロ。西部のSDF最前線からはラッカまで28キロに近づいた。(SDF写真)

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SDFはラッカ出身者などからなる進撃部隊の組織化を進めている。写真は軍事教練を経て、あらたに部隊に加わった新規戦闘員。(SDF写真)

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ISとの前線に展開するSDFの部隊。(SDF写真)

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SDFに協力を表明した地元部族。地方では部族の力は大きく、ISも部族を統制することを通じて広大な地域で支配を固めることができた。部族長たちにとっては、家族や部族領民を守るために、力のある者に従うしかない現実がある。ただSDF側は、非協力的な部族長に締め付けを強くすることはあっても、ISのように処刑したりはしない。情勢が動けば地元部族が一気に転向する可能性があり、戦況を左右することになる。(SDF写真)

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YPGには外国人義勇兵も参加し、ISとの戦闘やマンビジでのトルコ軍の空爆などで死亡している。今回の声明で触れられた戦闘員はカナダ人ナザレノ・アントニオ・タッソネディ(左)、イギリス人ライアン・ロック(右)。それぞれラッカ北部と西部での前線で死亡。YPGは左翼的性格が強いこともあり、西側諸国からの外国人義勇兵には左翼系運動の元活動家も多い。YPGは中央統制や規律が厳格で、思想性も求められるため、ISと戦いたいだけの安易な考えで志願しても排除されるといわれる。写真はYPGが公開した「戦死公報」。(YPG写真)

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先月23日、ISは戦報として、イギリス人ライアン戦闘員の死体写真を公開。「ジハード戦士に踏みしだかれる十字軍の死体」と説明がつけられている。写真の一部をぼかしています。(IS写真)

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