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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

〔トルコ〕イズミール裁判所爆弾事件、クルディスタン自由の鷹(TAK)が声明(全文)

◆各国・各組織声明文 ◆クルド関連

◆オジャランPKK指導者の写真・スローガン、TAK声明から消える 
1月5日、トルコ・イズミールの裁判所付近で自動車爆弾が爆発、容疑者と警官とが銃撃戦となり、容疑者2名を含む4名が死亡した。この事件について、11日、クルド武装組織「クルディスタン自由のタカ」(TAK)が攻撃を認める声明を出した。以下、声明全文(一部意訳)。

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事件は1月5日、トルコ西部イズミールで起きた。裁判所の入口付近に不審車が近づこうとし、警察が阻止。容疑者は車から出て警官と銃撃戦となり、車体を爆破。容疑者2名は現場で射殺されたが、別の1名は逃走したと地元メディアは伝えている。警官1名、裁判所関係者1名と容疑者2名の計4人が死亡、7名が負傷した。容疑者の遺留品からはAK-47自動小銃やRPG-7ロケット砲が見つかっており、周到に準備した攻撃だったことが伺える。(地元メディア写真)

クルディスタン自由の鷹(TAK)声明文

報道機関ならびに社会世論へ

2017年1月5日、イズミール裁判所前において、我々、クルディスタン自由の鷹(TAK)は、英雄的行動を遂行した。この行動は、烈士チェクダル報復隊によって勝ち取られたものである。

「最も平和で安全な観光と商業の地」であったイズミール都市部が攻撃され、トルコ共和国植民地主義が、我々の作戦行動によって破壊と敗北をたたきつけられるなか、ファシストAKP政権は心理的特殊戦争をもって、そのダメージを徹底して覆い隠さんとしている。

わが作戦行動によって生じた多数の死者とその結果を、ファシスト機構とそのメディア機関が必死になってが隠蔽しようとしていることは、大衆とわが人民にとっては周知のことである。わが同志、ゼルデシュトとピルドアンの両戦士は、クルディスタンにおいてなされているわが人民への虐殺攻撃に対する満身の憤激のもと、いかなる容赦も見せず、敵-ファシスト植民地主義者-への車輌爆破攻撃戦闘を英雄的に敢行し、烈士となった。

戦車、砲弾、ヘリや戦闘機で我々の町々を爆撃し、家々を戦車でひき潰し、クルド人民を家から追い立て冬空の下に引きずり出し、子どもや老人たちを問わず、抵抗する者を問答無用で処刑し、数週間にもわたって遺体を路上に放置し、装甲車で引きずり、負傷者にガソリンをかけて焼殺するような者たちにとって、クルディスタンの勇敢なる息子の同志たる我々はどこであろうと悪夢となり続けるだろう。

我々の前には、植民地主義者のいかなる機関も正当性などない。わが人民を拷問し、権利を剥奪し、屈辱を強いるトルコ共和国のすべてのファシスト機関・組織は、必ずやその代償として、我々の攻撃にさらされるだろう。

イズミールの街頭に散ったゼルデシュト、ピルドアン両同志の武器は、TAKの自己犠牲決起戦士が引き継ぎ、さらなる報復戦闘として炸裂することを知るがいい!

TAK万歳!
ゼルデシュト、ピルドアン両同志万歳!
烈士が死することはない!(訳注:戦闘で死んだ同志の魂はいつまでも消えることはない)
クルディスタン自由の鷹(TAK)
2017年1月11日

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写真は裁判所付近でTAK容疑者の銃撃戦で殉職したフェトヒ・セキン警察官。「自ら犠牲となってテロを阻止しようとした英雄」としてトルコ・メディアは大きく伝えた。右はイズミール警察による葬儀。幼い娘が棺の前で泣き崩れる姿も報じられた。

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トルコ政府は、TAKをクルディスタン労働者党(PKK)の別同部隊と見なしている。TAKはPKKについて、「クルド人民に対してなされるファシストの戦争に対してPKKは穏健すぎる」としている。PKK側は、TAKの過激路線について明確に批判しない。またTAKの自爆事件などで死亡したメンバーの多くが過去にPKKに関与するなどしている。写真はイズミールでの事件を伝えるトルコ紙。

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TAKは、1月11日、ウェブ上で声明を公表し、攻撃を認めた。声明文にある「烈士チェクダル報復隊」とは、昨年12月17日、カイセリでトルコ軍兵士13名が犠牲となった自爆攻撃で死亡した戦闘員チェクダル・ヘバットから付けられている。今回の声明ではイズミール裁判所襲撃で死亡した2名のメンバーについて詳細を記述。写真左、ゼルデシュト・リュステム・エルダル(30歳)・本名ムスタファ・チョバン(カフラマンマラシュ県出身)と写真右、ピルドアン・アララト(26歳)・本名エネス・ユルドゥルム(アール県出身)だとしている。トルコ政府・エルドアン政権を「ファシスト植民地主義者」と規定する捉え方は、PKKと共通している。イズミールでの事件後、エルドアン大統領は、「卑劣な攻撃は治安部隊の決意、国民の団結をさらに強めるだけであり、テロに屈することはない」とする声明を出した。

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これまでTAKは声明の最後にはPKKのオジャラン指導者を称えるスローガン「ビジ・セロク・アポ」=トルコ語ではヤシャスン・バシュカン・アポ(オジャラン指導者万歳)を入れてきた。TAKは、PKKとの組織的関係はない、としながらも、「クルド人民全体の領導者」という位置づけがあると見られ、オジャラン釈放を掲げてきた。ところが、昨年12月17日のカイセリでのトルコ軍兵士を乗せたバスへの自爆攻撃(兵士ら14名死亡)での声明以降、この言葉が使われなくなっているほか、12月10日のイスタンブール・スタジアム攻撃の声明で、公表時にあったオジャラン指導者万歳の文言のみが消えている。またサイト上にあったオジャランの写真もなくなっている。推測だが、オジャランを支持しなくなったのではなく、PKKと一体とみなされないようにする意図が働いているではないか。一連の自爆事件では多数の民間人が死傷し、無差別攻撃を批判するクルド人も多い。またTAK関連容疑で摘発もあいついでいて、こうした状況が影響したのではないかと思われる。ただ、武装闘争は今後も継続すると宣言するなど、各地で攻撃が続くことが懸念される。

[動画] YouTube上では、銃激戦の映像が投稿されている。中央の青いバンの後ろから容疑者が発砲していると見られる。警官が倒れ込むようすが写っている。(YouTubeより)

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