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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画・日本語】トルコ・エルドアン大統領 新年メッセージ2017「統一、結束、同胞愛を確固として保とう」

◆各国・各組織声明文 ◆IS関連 ◆クルド関連

◆クーデター未遂、IS、クルド問題に直面した1年
過去に何度もクーデターが起き、つねに軍部と政府内部の権力闘争が続いてきたトルコだが、いまの時代に兵士が国の主要機関を制圧し、国民を殺戮して政権を掌握してもどこの国が反乱政権を承認するだろう、と思う人も多かったのではないだろうか。クーデター決起は現実に起こり、国会が砲撃され、空港や街頭に戦車が展開し、国営テレビ局を兵士が制圧した。

【動画・日本語訳】エルドアン大統領新年メッセージ2017(8分39秒)一部意訳・転載禁止
メッセージ内の【自分たちのために善いことを、あなたがたは嫌うかもしれぬ。また自分のために悪いことを好むかもしれぬ】の引用は、コーランの一節(牝牛章:216節)と思われる。アッラーという言葉も何度か出てくる。世俗主義が国是だったトルコだが、エルドアンの登場でイスラムと政治の距離も変わりつつある。エルドアンイスタンブール市長時代に、イスラム詩を朗読して罪に問われ、収監されている。

反乱派将校は、決起すれば軍全体が自分たちの側についてくれると読んでいただろうし、アメリカやヨーロッパなど大国が承認してくれる手はずになっていると確信させる根拠のようなものがあったのではないか、またはそう吹き込んだ者がいるのではないかとも感じる。「クーデターの兆しはすでにあった」というような、いまとなってみれば「あと出し分析」はいくらでもできるだろうが、7・15事件前なら、大きな政変ぐらいはあっても、国会と大統領府が軍に爆撃される事態が起きる可能性は低い、とされただろう。

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アンカラでは国会や警察署、大統領府などが砲撃や爆撃を受け、イスタンブールではボスポラス大橋、ファティフ・スルタン・メフメ大橋やアタチュルク空港に反乱派の戦車が展開。(「大統領府発行:7・15クーデター策謀と国民の勝利」より)

クーデター失敗後、実際の決起に加わっていなかった地方の将校らが軒並み逮捕されたのは、まるで事前に拘束内定リストでもあったかのごとくだ。そして、エルドアンが強権を振るって政府批判勢力を封じ込めていった動きを見ると、「自作自演」というような陰謀論まで飛び出すのもうなずける。反乱失敗の分析もいくつか出ているが、もしエルドアンが7月15日に殺害されていたら、クーデターのゆくえも違ったかもしれない。

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アンカラの国会建物は爆撃を受け、一部が破壊された。(「大統領府発行:7・15クーデター策謀と国民の勝利」より)

シリア情勢だっていまの状況を予見できた専門家はいるだろうか。「アラブの春」のなかで広がった民主化要求運動がシリアでは内戦に発展し、国家分裂をもたらした。第2次世界大戦以降、最大の難民を生み出し、過激組織イスラム国(IS)が登場し、そこで訓練を受けた戦闘員がヨーロッパ各地で無差別殺戮を引き起した。そんな21世紀の時代を世界は目の当たりにしている。

もうどんなことも起きるという前提で物事を見たほうがいいかもしれないし、「常識的」な分析や予測とかもあてにならないとも感じる。そう、トランプだって、ほんとうに大統領になってしまうと半年前にどれだけの人が言い当てただろう。

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エルドアン大統領は、「国民は街頭に出て抗議の意志を示してほしい」と電話越しのメッセージで国民に呼びかけ、反乱派が制圧していないテレビ各局がこれを放送した。(「大統領府発行:7・15クーデター策謀と国民の勝利」より)

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アンカライスタンブールでは反乱派を阻止しようと市民が街頭に繰り出した。反乱派部隊の発砲や衝突などで300名近い犠牲者がでた。(「大統領府発行:7・15クーデター策謀と国民の勝利」より)

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クーデター計画が失敗に終わり、次々と拘束された反乱派。中央は首謀者のひとりとされるアクン・オズトゥルク元空軍総司令官。エルドアン政権が世俗派やギュレン派を徹底排除してきたなかで、どのように軍の一部がクーデター計画を秘密裏に準備し、反乱決起へといたったのか、未解明な部分は多い。トルコ政府は「ギュレン派によるテロ」とするが、米国在住のフェトフッラー・ギュレン師側は関与を否定している。反乱に加わった末端の兵士は、ギュレン派という意識をどこまで抱いていたのだろうか。

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クーデター失敗後、エルドアン大統領はこれまで以上に大統領権限を強化する動きを見せている。政府・軍内部を「清浄化」も開始。世俗派、ギュレン派、クルド問題、イスラム国(IS)、そして隣国シリアへの軍事越境など、トルコは複雑な状況にある。(「大統領府発行:7・15クーデター策謀と国民の勝利」より)

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トルコは、シリアのスンニ派武装組織を後押しし、「ユーフラテスの盾作戦」としてシリア北部に越境。ジャラブロスからアル・バブに展開している。写真はトルコ軍と交戦するIS部隊。アジア系戦闘員もいるようだ。(IS写真)

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トルコ軍・シリア・スンニ派武装組織の合同部隊はアル・バブ攻略を目指す。ISは自爆突撃などで応戦し、激しい戦闘が続く。写真は部隊陣地にIS自爆車両が突撃したようす。ISドローンで空撮している。(IS映像)

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トルコがシリアに地上軍を送り越境介入したのは、IS壊滅よりも、クルド組織、人民防衛隊(YPG)がトルコ国境線一帯を制圧するのを阻止する狙いが大きい。トルコはクルドの動きを封じるためにISと交戦する状況となったといえる。写真は、昨年12月末にISが公開したトルコ兵2名の焼殺映像。鎖につないで、焼殺する凄惨なものだ。ISのトルコ人戦闘員がトルコ語で、エルドアン政権を「十字軍に荷担する背教者」などと非難している。(IS映像)

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他方、クルド問題では、クルディスタン労働者党(PKK)がエルドアン政権に対し「全面戦争」を宣言、南東部を中心に軍事攻撃を展開し、また、PKKの別同部隊と当局が見なすクルディスタン自由の鷹(TAK)がトルコ都市部で爆弾闘争を激化させ、市民の犠牲もあいついでいる。トルコ政府は、「分離主義テロ組織」と規定し、掃討作戦を続けている。(PKK公表写真より)

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