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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「いまにきっとわが言葉を思い出すときが来よう」(全文)【2】後編

◆「トルコ攻撃」呼びかけ【声明後編】
イスラム国(IS)が公開したアブル・ハサン・アル・ムハジール広報官の音声声明の後編。今回の声明では、シリア北部アル・バブでIS地域に攻勢をかけるトルコ軍について触れ、エルドアン政権を背教政府と激しく非難。「あらゆる方法で攻撃せよ」などと呼びかけている。トルコ国内・国外で関連施設、要人などを標的とする襲撃事件が起きる可能性が今後、さらに高まることが予想される。以下、声明後編。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳)声明前編(1)はこちら

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イスラム国 アブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
<< 前編 「いまにきっとわが言葉を思い出すときが来よう」(後編)

おお、アル・バブとその近郊で戦う殉教の騎士たちよ、ジハードの獅子たちよ!

アッラーが諸君の顔を照らし、そのよき奮闘とそして、トルコ人の背教徒やサハワども(=スンニ派武装諸組織)、クルド人ども、ヌサイリ(=アサド政権アラウィ派)の一味に与えた屈辱に、アッラーからの報奨があらんことを。これらは諸君の勇猛と、宗教のために名誉と不屈の意志をもって己れの身を捧げる責務からなされたもの。

かくして、忍耐強くあれ、敵を釘付けにせよ。そしてアッラーを畏れよ。さすれば奏功することとなろう。まこと、トルコの背教徒は、唯一神信仰者を殺戮した者たちの今代の末裔であり、その先人どもがなしてきたことを繰り返しているのである。あの者どもはムスリムの国家と、ムスリムの民の地に攻撃を加えた。

ゆえに、諸君の宗教と一神教の報復を成し遂げよ。諸君が戦う相手は、力ある者たちではない。むしろ、その相手は、壁の隅に逃げ隠れする黒影。かくして、諸君はあやつらに対する反撃戦に一途となれ。あの者どもを包囲せよ。見つけ次第、殺せ。どの空の下にあろうと、あらゆる方途をもって追いたて立ち向かえ。

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IS週刊機関誌アン・ナバアに掲載されたトルコ批判の画像。トルコ軍がシリアに越境し、ISと交戦するようになって以降、とくにトルコ攻撃を呼びかける記事や画像が増えた。

 

まこと、トルコの背教徒の兄弟(訳注:エルドアン大統領への暗喩)とその政府は、己れの安全を得んがために、十字軍ヨーロッパの門前で跪いているのだ。

おお、各地の熱情満ちたるムスリムよ!おお、誠実なる唯一神信仰者たちよ!ワラーゥ・バラァの民よ!(訳註:ワラーゥ・バラァ=信仰忠誠と、その敵に対する姿勢を持つこと) 

アッラーの宗教に対する戦争を仕掛け、その御光を消し去るために、この憎むべき者はこの地に分け入り、シリアにおいて恥ずべきサハワの屑どもの一群をかき集めた。 

彼(=エルドアン)は、住民のいる家々の頭上に容赦なく爆弾を落とし、破壊し、その手をムスリムの血で染めて、あの者どもの宗教(キリスト教)と神聖性に光を灯したのである。

よって、我々は真摯なるすべての唯一神信仰者たちに、背教世俗主義のトルコ国家を支える機関をあらゆる場所で標的にせよと呼びかける。そこにはなにより世界各地でトルコを代表する大使館、領事館に加え、治安、軍、経済、メディア機関が含まれる。 

唯一神を信ずるジハード戦士よ、さて、知れ。あの者どもがなす悪事、不信仰、罪業の最たるものが、逸脱に朽ちたイスラム学者、不信仰者の召請者、下劣と堕落に満ちたおさどもが吠え犬のごときに喚き散らす言葉の数々。これらの者は、その「法学」評議会、宗教令会合、メディアの番組、さらには個人アカウントや討論フォーラムの場で、あらゆる方途をもって多神崇拝の政党と背教国家を支持したる者たちである。あやつらの名は汚れ、その居場所は暴かれ、綱領は悪名に満ちている。専制不信仰の統治に、承認を与えた輩である。 

逸脱に堕ちておきながら、彼(=エルドアン)の大統領の地位を宣伝し、歓喜した。あの者どもは、各地から彼のもとに参集し、満天下にさらした背教と不信仰を公然と宣した彼を祝福したのである。あの者どもは、彼の地(=トルコ)を軍事作戦の出撃地とし、不名誉と無知の庇護地にした。お導きのしるしをその手で汚し、栄光のうちに残った者を不信仰者の面前で殺したのである。その手と同胞観は、いかに悪にまみれていることか。あの者どもは、不信仰者を引き入れ、矮小雑事へと転化した。偉大なる宗教を棄損し、その姿かたちを変えた。

かようにして虚偽は増大し、新たな深謀が拡散し、欲望が崇拝されることとなった。いかに悪が崇拝の対象となりしことか!称賛されるべきが非難されるべきものと区別できず、非難されるべきが称賛されるべきものと区別できぬごとくとなっていた。最悪の災厄と下劣の極みは、これらの者どもが指導者となり、民衆を闇へといざなったことであった。 

あの者どもは、ただ臆病であり、アッラーよりも民衆に怯え、傲慢で、名声、功名心や威信を追い求め、虚栄心に焦がれ、現世に執着めぐらす存在なのだ。あの者どもは、腐敗と虐待を深化させ、まったきの真理を埋め隠し、邪悪を拡散させた。計り知れぬほどにあまた言い及ぶべきことがある。アッラーよ、あの者どもの空疎なる魂、雇われの髭、惑わす舌に害をなしたまえ。

水兵のいない船は風に流され、カエルたちが乗っ取る;
それを封じ、あるいはその鼻を切り落とし、阻む方途はあるか? 

その者の民の最たるものがバラアム・イブン・バウラであり、ムサイリマの者どもの最たるものがラッジャル・ブン・ウンフワである。
訳註:バアラム・イブン・バウラは「イスラエルの子孫の者」とされる男。ムサイリマは偽預言者で、ラッジャル・ブン・ウンフワはその軍勢を率いた指揮官のうちのひとり)

 今日、不徳の学者ども、これらがイスラムとその民にとって害悪をなしている。はるかに諸君らが思う以上にである。アッラーの御意のもと、この者どもの頭が叩き割られる時が来た。その魂を絞め殺し、舌を切り落とす時が到来したのだ!

イヤド・アル・ヤスビは著作、タルティブ・アル・マダーリク・ワ・タクリーブ・アル・マサーリクでこう述べている。「アブ・バクル・イスマイル・イブン・イスハクが、偽ファーティマ朝、バニ・ウバイドの説教師について問われた。彼はこう言われた。『彼らはスンニの者たち』。彼は言った。『アッラーよ、あなたの下僕、アル・ハキムを祝福し、この地上の継承者としてお受け入れになりませぬか、と彼らは言わぬのか』。彼らは言った。『そうだ』。彼は言った。『説教者がアッラーと彼の使徒を讃える言葉をもって説教を始め、称讃をとくとなし、そして、アブ・ジャハルは天国にいる、彼は不信仰者となるのか、などと述べるさまを想像してみよ。(訳註:アブ・ジャハル=アミール・イブン・ヒシャムはムハンマドの時代、彼に敵対した人物)』

彼らは言った。『そうだ』。彼は言った。『アル・ハキムは不信仰においてアブ・ジャハルよりも悪い』。アッ・ダウーディもこの問題について問われ、かく述べている。『あの者たちのために説教壇に立ち、あの者たちのために金曜礼拝で礼拝を捧げる説教師たちは、殺されるべき不信仰の者。いかなる悔悟も彼には求められぬこと。彼のは妻は認められぬ。ムスリムから受け継ぐものは彼になく、また彼からムスリムが受け継ぐものは何もない。彼の富は、ムスリムが差し押さえるべきもの』。こうして彼の言葉は結ばれている。 

かくして、各地で熱情たぎらせる唯一神信仰の兵士たちよ。アッラーの御教えとその盟伴者に仇なすこれら邪悪なる学者どもを、そしてフィトナ(=迫害・内争)の召請者どもをあらゆる場所で殺し仕留めることに献身せよ。

諸君のひとりが、あの者どものひとりを見つけたなら、あの者を殺してその影を邪悪から断ち切れ。あの者を攻撃せよ、邪悪なる学者がたとえ家族とともに家にいようとも。 

我らへの敵対を宣し、ジハード戦士の殺戮を呼びかけ、無神論と棄教に堕ち、その責めを負う輩からまず手をつけよ。邪悪なる学者どもを諸君らが殺すことをもって、ジャハム、ジャアド、アル・ハッラージ、マアバドを殺したスンナの再興をなせ。悪魔が国家を建てるとき、周到に準備された兵士、協力的な支援者を悪魔はまず見つけようとする。全能のアッラーに、その権能も威力も並ぶものはなし。

アブル・ハサン・アリー・イブン・アブ・タリブ(=第4代正統カリフ)はこう述べた。イスラムの名、コーランの文言のみしか残らないような時がまもなく人びとに到来やも知れぬ。廃墟と導きなき空無のままに、彼らの豪華なモスクが建立されるであろう。この空下の最悪の存在が彼らの学者である。彼らのうちからフィトナ(=迫害・内争)が起こり、それは彼らのみに起因せしもの」ハディース:シュアブ・アル・イマンでのアル・バイハッキの伝承)  

まこと、フィトナは、あの者どもの口から始まり、説教壇から放たれたのである。のちに、あの者どもはアッラーの大道の為のジハードを禁じ、罪と見なし、虚構と不信仰を呼びかけ、圧政者どもの旗のもとに(我らと)戦うことを扇動した。それらをなすことで、支配者の満悦を買い、己れの富と高名を保持することに腐心したのだ。

まこと、自身の欲望に身をゆだね、現世での保身に執着することでその信仰を棄てたるが敗北者。真理にかかずらわぬ者、悪魔が虚偽に囚われのままにさせる。そして、今日、アッラーの大道で戦わぬ者あれば、圧政はその者をいつか圧政の道のために戦うべく仕向ける。 

ムスリム全体、そしてとりわけイラク、シリアのスンナの者たちへ。マギ国家・イラン(=ここでのマギはゾロアスター崇拝を指す)の邪悪はその極みに至った。その火花は、すべての地に至り、すべての下僕たちに害をなした。あやつらは、その子飼い、民兵、専門家、補佐どもを通じて、イラク、シリアでスンナの民を殺戮した。

かくして、スンニ派は桎梏の捕囚となるか、服従を強いられた。アッラーをおいて、ムスリムからあやつらを封じる御方はなく、イスラム国を救ったのであった。そう。真理は明るきにあり、虚偽は暗きにある。虚栄に満ちた逸脱の輩徒がカリフの軍勢に比して戦えようものか。宗教、名誉、土地を守る者たちと、そうでない者が異なっていないなどと言えようものか。イランとその従者たちに恐ろしき残酷さを味あわせることの出来る者は誰たるか。

アッラーよ、あの邪悪な(イスラム)学者のヒゲ面に害なしたまえ。いかにあやつらの邪悪と虚偽は甚大なることか。マギ国家・イランの眼前で真理の剣を抜き、バグダッドからベイルートまで、アレッポからダマスカスまで、ホラサンからシナイに至るまで、破壊を心底味あわせてやることのできる者は誰たるか。さあ、誰たるか、分るか、悪と腐敗の召請者どもよ。 

ここにイランは、十字軍や裏切りの背教政府による空爆と支援のもと、東から西へ、北から南へと、スンナの民の土地をことごとく踏みしだき、アッラーの下僕、すなわち唯一神を信仰するジハード戦士に対する戦争を仕掛けている。あやつらが掲げるのは愛や希望なる美辞麗句。アッラーよ、その権能と威力をもって、ジハード戦士の手であの者どもの玉座をすぐさま打ち崩し、その王国を終焉させたまえ。 

おお、スンナの民よ、いざ、その時が到来したのではないか。諸君らは、軽佻浮薄を棄て、女との問答や伝説の神話なるもののいっさいを棄てたる者たち。なぜ諸君らは尊大に、そして誇りをもって振舞えているか。土地を攻撃し、メッカとメディナの投げ石に至った、あの冷酷無慙な敵の侵攻を跳ねのたゆえか。

それとも、己れを保護し、守ってくれるとあの者たちが信じる支配者のうちに、特段の堅忍と厳格さがあるゆえか。いや、アッラーにかけて、そうではない。まことこれらの考えはまったくもって間違っている。諸君に述べたことを思い起こしてみよ。いつまで夜空の星々を追いかけるのか。星は諸君の靴先も足も追いかけてはこない。 

諸君の敵は、 - アッラーよ、その背骨を砕き折りたまえ - 諸君の宗教を棄損し、名誉を汚すために、- アッラーよ、あやつらに屈辱を与えたまえ - 諸君の土地と幾多の希望を攻撃した。導きの道はいま明瞭となった。ゆえにそれを見よ。イスラムは吼える。ゆえにそれを支えよ。名誉が求めている。ゆえにそれを救え。戦いに奮い立つアッラーの御為のジハード戦士よ、ゆえに棄て去るなかれ。イスラムの地は、すべてのムスリムのものである。アッラーシャリーア(=イスラム法)は、その者たちの双肩にかかっている。 

イスラムの地とシャリーアの防衛は、ジハード戦士だけの責務ではない。かくして、サルやブタに居並ぶ兄弟の類い、あるいは石や木や人間を崇める偶像信仰者どもが立ち出でるならば、アッラームスリムの下僕は、いっさいの容赦を見せなくともよい。

ゆえに、馳せ参じよ。ジハードの戦列に加わり、アッラーの大道をゆく戦士たちをあらゆる可能な形、その戦闘、財産、鼓舞、礼拝をもって支えよ。 

カリフ国の兵士たちと世界各地の支持者たちよ! あの者どもに平安を許さず、あやつらの情報機関の顔に泥を塗り、あやつらの安全をただの夢物語にさせた諸君ら、すなわち、不信仰者の居地に挑みかかる飢えたる獅子たちよ! 

ここに知りおくべきは諸君-アッラーがそのご助力をもって諸君を支えたまえ- の祝福されし幾多の作戦は、戦局を好転させ、不信仰者の砲火をムスリムに近づけぬものとなる。かくして、あやつらを家々で、市場で、街頭で、(繁華街の)クラブで、あらゆる可能な場所で攻撃せよ。あの者どもにいかなる隙も与えぬほどに、その地を足元から焼き尽くし、その空を闇で覆うのだ。 

諸君の努力をさらに何倍にも増大させ、作戦行動を激化させよ。諸君にアッラーの祝福のあらんことを。カリフ国の各機関、教宣、保健、メディア部門の騎士たち、その他の兵士たちをここに称えることを忘れず、それぞれの戦線にある彼らのジハードと、リバット(=防衛警戒任務)にアッラーからの祝福があらんことを請うものである。彼らの戦いは、今日、軍事戦闘と並ぶほどに重きもの。

おお、アッラーよ、ご満悦するまで、貴方にすべての称讃を。ご満悦されし時にもすべての称讃を。そして、ご満悦されたのちにも、すべての称讃があらんことを。

おお、アッラー、貴方の大道から民を逸らし惑わせ、貴方の盟伴の軍勢に戦いを仕掛け、貴方の使徒(=ムハンマド)を否定し、地上の堕落に欲念めぐらすこの罪深き不信仰者を阻みたまえ。おお、アッラーよ。貴方の宗教を、貴方の兵士たちをお支えください。貴方の御言葉を至高のものに、そして貴方の真実の旗を高々と。おお、真理の神。アッラーの権能と威力に並ぶものなし。万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

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シリア北部・アル・バブではISとトルコ軍との戦闘が続いている。トルコは「ユーフラテスの楯」作戦としてスンニ派武装諸派を支援する形でシリアに越境したが、ISと地上で交戦する状況となっている。写真はISがトルコ軍から奪ったのはレオパルト戦車。「戦利品」としているが、実際に運用できるかどうかは不明。12月22日にIS系メディア、アマーク通信が公開。

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アル・バブをめぐっては、トルコ軍が爆撃を加え、子どもを含む一般住民も犠牲となっている。ISは「エルドアン政権の犯罪」として映像をあいついで公開し、報復を呼びかけている。写真はアマーク通信が12月23日公開したもの。

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少し前の状況になるが、11月上旬の勢力図。トルコにとってアル・バブ攻略はIS壊滅よりも、クルディスタン労働者党(PKK)と関係の深いクルド・人民防衛隊(YPG)が押さえる黄色い地域、左・アフリンと右・マンビジがつながる「回廊」を作らせないというのが主要な目的だった。結果的にトルコはシリア越境介入でISとの地上戦に引きずりこまれる形となった。現在はトルコ軍・スンニ派武装組織の合同部隊はアル・バブ近郊にまで到達。ISも自爆車両突撃を繰り返すなど激戦が続く。

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ISは、自分たちに反対するスンニ派イスラム学者や高位の宗教指導者らも激しく批判。「殺されるべき存在」などのキャプションがつけられている。IS機関誌ルミーヤ誌(第4号)が今回の声明で掲載した記事から。

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