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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS動画・日本語訳】ドイツ・ベルリンでのトラックによる市民殺傷事件・実行犯「遺言」映像

◆IS関連 ◆各国・各組織声明文

◆バグダディへの「忠誠」唱え、市民を殺戮
12月19日、ドイツ・ベルリンでトラックが群集に突っ込み多数の市民を殺傷する事件が起きた。犯人はドイツで難民庇護申請を却下されたチュニジア出身のアニス・アムリ(24歳)。逃亡中、イタリア・ミラノで警官に射殺された。事件後、襲撃前に撮影された映像をイスラム国(IS)系メディア、アマーク通信が「遺言」として公表、「作戦はイスラム国兵士によるもの」などとした。以下はその映像。(一部意訳)

【アマーク通信映像】「ベルリン襲撃犯・ISへの忠誠」一部意訳・転載禁止

冒頭の「慈悲として剣をもって遣わされし御方」とはムハンマドを指し、IS広報官アドナニもよく使った言葉。それに続けてバグダディ師への忠誠を唱和している。7月のフランスでの教会襲撃犯はメモを見ながらこの忠誠をたどたどしく読み上げていたが、今回のアニス・アムリはかなり流暢だ。それなりにISの過激思想に感化される期間があったと推測される。 「ISの忠誠」については過去記事参照>>

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アニス・アムリが運転するトラックは、クリスマス前の買い物客でにぎわっていたブレイトシャイト広場の大通りに突入し、11人が死亡、50人以上が負傷する惨事となった。またトラックの所有者のポーランド人運転手も殺害されている。(地元メディア写真)

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事件直後にアマーク通信が「速報」として出したニュース。「イスラム国兵士がベルリンで国際有志連合の市民を標的に作戦を遂行」などとある。12月19日夜に発生した事件を、まず「速報」で報じ、4日後には今回のアニス・アムリの「遺書」とする動画をネット上に公開している。襲撃計画の策定から実行、声明の公表まで組織的な関与があったことをうかがわせる。IS広報部門は、パリ襲撃(2015年11月)、ブリュッセル襲撃(今年3月)では直後にISとして明確な声明を出したが、それと比べると扱いは大きくない。直接・間接的な関与の度合いなどで、事件に一定の「ランクづけ」がなされているのではないだろうか。

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ドイツの連邦刑事局は、現場証拠などからアニス・アムリが襲撃に関与したとして指名手配。「容疑者は武装している可能性あり」とある。報奨金(10万ユーロ=約1200万円)をかけて情報提供を呼びかけた。メディアは、アニス・アムリは昨年7月にドイツに入国、難民庇護申請をし、却下されたものの送還の書類等が整わなかったことなどから滞在していたと報じている。また、イタリアで放火の罪で4年間服役していたとされる。アムリの場合は、難民が突然、事件を起こしたのと違い、事件前からドイツ治安当局に危険人物としてリストアップされていたと地元メディアは伝えている。

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ベルリンでの事件を伝えるISの週刊機関誌アン・ナバア(第60号)。事件から2日後に公表されたもの。「ドイツでカリフ国兵士が十字軍50人をトラックで轢く」との見出しで、これまでのドイツでのIS関連の襲撃事件を列挙。「イスラム国に対する十字軍の戦争に参加したドイツへの攻撃」などとしている。

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アニス・アムリは、19日夜にベルリンで事件を起こしたあと、フランスなどを経由し、イラリア・ミラノに入ったと報じられている。地元警官が職務質問した際、リュックサックから銃を取り出し発砲したため、警官が射殺。警官1名が負傷している。(地元テレビ映像)

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写真は、事件後、困惑してメディアに話すアニス・アムリのチュニジアの家族。CNNは、アニス・アムリに関係するグループや人物として、イラク出身でドイツ在住のアブ・ワラアやボスニア系ドイツ人ボバン・シメオノヴィチらがいたと報じている。ISとつながるドイツの組織はいくつかあるが、彼ががどう過激思想に感化され、具体的な実行指示を受けていたかは捜査中だ。(地元メディア写真)

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トラックによる無差別殺傷事件は、7月、フランス・ニースでも起きている。このときは80人以上が犠牲となった。11月に出されたIS機関誌ルミーヤ(第3号)では、大型トラックでの殺戮を解説。「人が集まるマーケットやパレードを狙え」と具体的に説明し、コーランを都合よく解釈して「宗教的意義」を持たせている。さらに、「我らは御主のもとに帰る」などと念唱しながら運転して敵をひき殺せ、などと扇動までしている。

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ベルリンの事件現場で献花するメルケル首相。ドイツの難民保護政策はいま揺れている。昨年、ドイツに難民庇護申請を受け入れられたシリア人一家の話によると、同じ収容施設にいた「シリアからの難民」と主張する男がモロッコ方言を話したり、言動がおかしくIS関係者と疑われる人物が複数いたという。担当者は申請処理の多さに、時間をかけて審査することもできなかったようで、難民有志で、ひそかにIS関係者らしい人物を通報するネットワークを作ろうか、とも話していた。庇護申請を認められ命を繋ぎとめた難民が多数いる一方、それにまぎれて過激主義や犯罪者が流入する問題に直面している。(写真はAFP)

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