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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)アブ・バクル・バグダディ声明(全文)【2】後編(2016/11/02声明)

◆IS関連 ◆各国・各組織声明文

◆IS組織内の不和にも言及し、一致団結せよと強調【声明後編】
11月2日のイスラム国(IS)が公表したバグダディ音声メッセージの特徴は、トルコを名指しして攻撃を呼び掛けている点。これに加えIS戦闘員どうしの不和について戒めたり、敵前逃亡や戦線離脱を警告している部分だろう。これは内部に動揺があることを示唆したとも受け取れる。以下、バグダディ指導者の音声メッセージ全文の後編。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波文庫版から声明前編(1)はこちら>>

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バグダディ音声メッセージのテキストを掲載したIS機関紙アン・ナバア第53号紙面。今回の声明の要旨は (1)ニナワ・モスル死守の戦いを!死しても殉教の名誉  (2) 十字軍一味、トルコやムスリム同胞団も攻撃せよ (3) 組織内部での不和に警戒し、敵前逃亡するな (4)イラク・シリアに入れなくてもアフガン、リビアなどのIS地域に合流を など。

<< 前編  イスラム国「信徒の指揮官」アブ・バクル・バグダディ声明
「これぞアッラーと彼の使徒が、我らに約束なされたもの」
後編 
(音声スピーチ・テキスト)

まこと、十字軍によるカリフ国に対する戦争で、あの者どもの毒された尖兵と化して立ち現れたのが、背教集団「同胞団」だった。訳註:エジプトを活動の発祥とする「ムスリム同胞団」を指す)

逸脱一派の不信仰者どもは、憲法布告や法律制定などをもってアッラーに対置し、その多神偶像崇拝行為をやめず、アッラーの統治に歯向かい、不信仰者の国々に同調するに至っている。宗教すら喪失する輩徒になり下がるまで、その不信仰行為は続いたのだ。それはザンディーカとバティニーヤのごとくである。
訳註:ここでのザンディーカはイスラム教義に背く反信行為、バティニーヤはシーア派やアラウィ派などに対する呼称として使われている)

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一部のイラクメディアは「バグダディはモスルに潜伏か」とも報じているが、所在は不明。写真は、2014年7月、モスルの大モスクでのバグダディ指導者。このとき「カリフ」に就任することを自身で宣言した。

いやさて、これは確固たる十字軍同盟の軍事的実体として立ち現れた。それはイスラムとその民に向けられている。十字軍どもの武力が地上に投入されるのを許してはならぬ。

【自分の兄弟でも、ますます迷いの中に連れ込んで行くこともあるから。そうなったらもうどこまで行くかわからない】(高壁章:202節)

イラク、シリア、リビアチュニジア、その他の国々を見るがいい。これらの地の「同胞団」は何をしているか。いずれも人工の法律と不信仰者の立法制度を導入して多神偶像崇拝行為に手を染め、また、この地上にアッラーの統治を打ち立てるためにアッラーの大道で奮闘するジハード戦士に対し、苛烈なる暴力をもって戦いを仕掛ける十字軍やラフィダ、無神論者、あるいは世俗派の軍隊の戦列に加わっているではないか。あの者こそまさに、悪魔の同胞であり、十字軍どもに加勢し、献身する手先。アッラーよ、あの者どもを殺し給え。何と瞞着に満ちた者どもたるか!

アッラーの大道をゆくジハード戦士よ! 諸君は、今日、イスラムよろいであり、強固な砦となったと自覚せよ。心せよ、くりかえして心せよ。諸君にアッラーの慈悲のあらんことを - イスラムムスリムが無傷かどうかは、諸君の進むべき道次第、アッラーの擁護者たちは一体にして不可分なるもの。崇高にして高貴なるアッラーは、諸君を招募し、地上の継承者としてお選びになった。すなわち、その行ないを見るためである。ゆえにアッラーへの畏怖と、アッラーのご助力と約束を得んがため従うことを実践せよ。

高貴なる御方(=アッラーは仰せになった。
【汝ら、信徒の者よ、もし汝らがアッラーおそれまつるなら、(アッラー)は汝らに救済をしつらえ、汝らの一切の悪事を水に流してお赦し下さるであろうぞ。まことにアッラーは限りないお恵みの主におわします】(戦利品章:29節)

(=アッラーに従わず、そのお命じになったものに背くことは、すべての者に困難極まる過酷な状況を突きつけるであろう。さて、ここで諸君に一節、読んでおこう。信徒の長、ウマル・イブン・ハッターブがサアド・ブン・アビ・ワッカースアッラーのご満悦あれ)とその軍勢に送った助言である。

訳註:ウマル・ブン・ハッターブは第2代正統カリフ。サアド・ブン・アビ・ワッカースは「カディシーアの戦い」(636年)の指揮官で、預言者ムハンマドの教友のひとり)

彼はこうお述べになっている。
「いかなる状況下でもアッラーを畏れることを貴候とその軍勢に命ず。まことアッラーを畏れることこそ、敵に立ち向かう最良の武器であり、戦争の最も強き計略。敵に対し立ち向かう以上に、罪なすことに警戒用心の念を強くすべしと命ず。己れの軍になす罪は、その敵に対するより、真により恐ろしきもの。まこと、ムスリムが護持されるただひとつの根拠は、その敵がアッラーに服従せぬということ。

かくのごとくなければ、我らには敵に対する力は持ちえぬであろう。我らの数は、あの者どものごとくではなかろう。我らの装備はあの者どものごとくではなかろう。もし罪をなすことにおいて我らがあの者どもと同等であるなら、あの者どもはその力において我らに勝り、彼らが我らの徳ゆえにあの者どもを打ち倒さぬのなら、我らが、我らの力であの者どもに打ち勝つことはできぬ。

諸君が出動するとき、諸君が何を成しているかを知るアッラーが遣わす天使たちがいることを知れ。天使の前に恥じ入り、そしてアッラーの大義のために戦うとき、彼に従わぬ行ないをなしてはならぬ。かく言うなかれ。「敵は我らより悪い。ゆえに彼らは我らを越える力を与えられることはない。たとえ、我らが罪をなそうとも」。これらよりも悪い者によって、民が征服された。アッラーの不服を招く行ないをなしたイスラエルの子孫をマギたる不信仰者どもが圧倒したごとく。かくして、マギどもは彼らの地を踏みしだき、その約束を果たしたのであった。

諸君の敵に対しアッラーのお力添えを請うごとく、自身に対しても彼のご助力を請い求めよ。我らと諸君のために、ここにアッラーに請い願う」
こうしてお言葉は結ばれている。

おお、ジハード戦士たちよ! 諸君の預言者(彼に祝福と平安あれ)はこう仰せになった。

「真に、あなたたちは(敵に対し)勝利するだろう。あなたたちは、(戦利品を)獲得できるだろう。あなたたちは(多くの土地を)征服するだろう。ゆえに、告白する者は誰あろうとアッラーを畏れよ。善を命じ、悪を封じよ」ハディース:ブン・マスードからのアハマド、アッ・ティルミディほかによる伝承)

いざ、今日、諸君はここにあり、アッラーはこの祝福されし土地を諸君に継承された。また、その地を守り、防衛し、そのなかにアッラーの統治を打ち立てよとの使命を負わせになった。かくて、その土地から身を引く思いに駆られたり、前線から退却するような魔心が入り込んで来ることに、とくと警戒せよ。

翻って、ここに心強くあれ。忍苦の心を持ち、防衛警戒の任に臨み、鞏固不屈であり続けよ。アッラーが栄光をお与えになったのであり、屈辱へと向かってはならぬ。

良き物と悪き物を据え替えるだけであってはならぬ。諸君が立ち上がるとき、低位と貧劣の縁に陥ってはならぬ。諸君が栄誉のうちにその土地に留まり続ける代価は、屈辱のうちに撤退する代価の千倍もたやすきことと知れ。

高貴なるアッラーは仰せになった。
【言ってやるがよい、「逃げ出したとてなんの役に立つものか。お前たち、死ぬのがいや、殺されるのがいやで逃げおおせたとしても、どうせほんの僅かのあいだ楽しめるだけのこと」と】(部族同盟章:16節)

アッラーの使徒(彼に祝福と平安あれ)は、かく仰せになっている。
【昼夜を問わずて防衛警戒に就く者は、ひと月の断食、礼拝よりも善きこと。その(任務の)なかで死したならば、その者が成していた行ないには報酬があり、彼には永遠の糧が与えられ続ける。そして彼の元は墳墓の責め苦にあうことはない】ハディース:サヒーフ・ムスリム:サルマン・アル・ファルシ

諸君が罪のうちに土地を去ったなら、ただそれに適う方途として悔悟し、御主を畏れることをもって改心をもって臨め。諸君がアッラーのために戦っているのに対し、敵は圧政のために戦いを成していると、心して思い起こせ。あの者どもは、不信仰者の言葉のために戦っている。だが、諸君が戦いなすのはアッラーのため。あの者どもはこの現世のわずかな一遍のために戦っている。だが、諸君は大いなる報奨と、過酷な痛苦からの自身を救済するがために戦っている。

あの者どもは、その心のうちにある淫蕩下劣さと背信のもとに戦っているが、諸君が戦うのは信仰心とコーランのため。あの者どもは戦ったのち、地獄の劫火で焼かれる末路を迎えるだろう。だが諸君は戦ったのち、諸天と地上のごとく広き御園において、アッラーの思し召しのもと、その慈悲を頂く御所の近みに至るのである。

【安心できるという点ではどちらの側に(一神教多神教のいずれに)があるものか、(お前たちにもわかるはず)いやしくも少しは物を心得た人間である限りは】(家畜章:81-82節)

これぞ、アッラーと彼の使徒が我らにお約束になったこと。諸君が御主のための一神教を宣し、敵に対するジハードを戦い、この地でアッラーのお言葉を最も高きものとするために奮闘すべく、ともに同じ側に立ちながらも、諸君どうしにある知行の不和や不一致について、ここで戒めを発しよう。

【汝ら、信徒の者よ、汝ら(敵)軍に出遭ったら、しっかりと腰を据えて、アッラーの御名を何遍も唱えよ。さすれば、必ず幸福を得よう。そしてアッラーと使徒(ムハンマド)の言いつけをよく守れ。決して喧嘩口論などして志をぐらつかせ、ついには順風に見放されるようなことがあってはならぬぞ。どこまでも頑張りととおせ。まこと、アッラーは辛抱強き者の側につき給う】(戦利品章:45-46節)

ゆえに、いさかいは動揺をもたらすものであり、敵の勝利の招因となる。そして不一致は悪と反目を諸君の間にもたらす樵路である。諸君が目にしてきたこれらの国々の民のごとくになってはならぬ。それは一部だけを得て、他を残すような者どもであり、アッラーはその者どものうちに敵意と憎悪をお与えになった。

高貴なるアッラーはこう仰せになった。
【彼らは(神から)教えていただいたものの一部をすっかり忘れてしまったので、我らは彼らの間に敵意と憎悪をかき立てた。復活のその日までも続く憎しみを。(その日になったら)アッラー御自ら、彼らがどんな(悪事を)はたらいて来たかを一々彼らに説明してきかせ給うであろう】(食卓章:14節)

諸君の指導上官たちとの不和に至ることを戒めよ。アッラーの御元近くに至る方途として、彼らの言葉を聞き、アッラーを崇める営為として彼らに従え。彼らが罪ある命令をなさぬ限り。諸君が彼ら(上官)に反することは、ジャヒリーヤとなるのだ。
訳註:ジャヒリーヤ=一般に「イスラム以前の無明時代」を言うが、ここでは「反イスラム的行為」の意)

これはイスラム、それをなす民たち、アッラーが諸君にほまれを授けたごとく、聞き従うことによってのみなされる。
訳註:「聞き従う」はISが忠誠の誓い(バヤア)を立てる際に用いる言葉)

【汝らに対するアッラーの恩寵をよく心に銘じておくのだぞ。アッラーは、始め汝らが互いに敵だったころ、汝らの心を結び合わせて下さり、汝らそのお情けのおかげで兄弟になれたのではないか。汝らは劫火の穴のふちにいたのを、アッラーがそこから救い出して下さった。これほどにしてアッラーは汝らに神兆を示し給う】(イムラーン家章:103節)

アッラーのお言葉をここに思い起こし、振り返れ。
アッラーは、人間の方で自分の状態を変えないかぎり、決して、ある民の有様を変えたりなさらない】(雷鳴章:11節)

ホラサン、ベンガルインドネシアカフカス、フィリピン、イエメン、アラビア半島、シナイ、エジプト、アルジェリアチュニジアリビアソマリア、西アフリカのカリフ国の兵士たちよ。今日、諸君はイスラムの擁護者であり、この地上のカリフ国のくさびであることを知れ。

諸君のジハード、忍耐、不屈さは、不信仰者の国々を根底から震撼せしめた。勝利の道程が団結と遵従に対する不合と迷妄によるの分断といった無明無知の世界の只中において、広範なるムスリムの民の拡大のなかになされることを、諸君が民に教えたのである。諸君は一致結集とジハード決起をもって、不信仰の民を激憤の淵に追いやった。そう、カリフ国の興隆によって、あの者どもが激憤に陥ったのと同じごとく。かくして、あの者どもは、諸君のあいだに分断と不和の種を蒔き、アッラーの御光を消し去ろうとあらゆる手を尽くしているのである。ゆえに忍苦と不撓不屈をもって堪え、恐れをなしてはならぬ。

不撓不屈を維持し、敵とまみえるときは逃げてはならぬ。もし忍耐強くあるならば、アッラーは力をお授けになり、お支えくださり、強固な拠り所をお与えになるだろう。天国は、いくつもの剣のもとにあることを知れ。諸君の指導上官が殺されたならば、アッラーは、その上官と同等か、またはそれ以上の者をその地位に任じられるだろう。アッラーは諸君を見捨てぬ。決して意気消沈してはならない。

まこと、アッラーはわれらとともにおられる。おお、シルトのジハード戦士たちよ、過酷と忍苦のなかで耐え抜いてきた者たちよ。
訳註・シルト:リビア沿岸部の都市・ISが一部を支配していたが、統一政府勢力側が奪還作戦を展開し、ISは拠点を失いつつある)

諸君はその忍耐を通して、敵に教訓を知らしめた。誉れと不屈の高き位階が何たるかを、諸君は自らの清き血をもってページを書き刻んだのだ。十字軍ヨーロッパは、カリフ国の揺籃の地たるイラク・シリアのイスラムの城砦を攻撃する野望を止めはしなかった。だが、諸君は決起をもってあの者どもの治安警備を震撼させ、諸君のジハードに対するヨーロッパの政策を根底から転換させた。

諸君は不落の防塁、不動の岩となった。それはあの者のどもの意志を打ち砕き、その計略を破滅させるものである。まこと、敵が痛むごとくに諸君も痛むかもしれぬ。だが、諸君はアッラーのご加護を期待することができるのであり、敵どもにはそのような望みすら持つことはできない。ゆえに戦闘現場や前線警戒任務からの離脱に用心せよ。敵は疲労困憊のうちに脱落撤退するか、己れの破滅に向かってひた走るのかの瀬戸際に追い込まれている。

そして、各地のムスリムの兄弟同胞たちに呼びかけるこの機会を忘れないでおきたい。イラク・シリアの地に移住をなす道が閉ざされ、封じられたとしても、アッラーは他の祝福されし県への移住の道を別にお開きになられたのだ。そこでイスラムの強固なる別の基盤を打ち固め、アッラーの宗教を護持し、アッラーのお言葉を高貴至極のものにすることをもって優勢を獲得しえるのである。

高貴なるアッラーはこう仰せになった。
【お前たち、信仰深い下僕よ、大地はこんなに広いではないか。さあ、(どこへでも行って)わしを崇めるがよい】(蜘蛛章:56節)

炎を灯し続ける兄弟同胞たちよ。アッラーが虜囚として試練をお試しになった者よ。我らは、アッラーの敵とまみえるこの大いなる戦いの使命の只中にあるのであり、我らは諸君を忘れなかったし、今後も決して忘れはせぬだろう。そのようなことなどできようものか。諸君が寝る間もなく我らを護持し、諸君と不可分一体の存在というのに! 我らの手のなかで諸君が解放され、我らの武器で諸君の獄舎が打ち砕かれるべく、我らはアッラーに請い願う。

アッラーがかようなること、なさりはせぬ。ゆえに試練の方途としてアッラーに懇願を求めねばならぬ。そしてアッラーは、宗教と御国を護持する諸君のための日を準備しておられるのだと心にとどめ置け。イスラム国に地にある諸君の兄弟同胞たちに、大いなる懇請をすべく諸君に呼びかける。アッラーはその諸々の事象において、正しきお導きをお与えになり、そこで最も良きのお約束を明示になり、アッラーただご自身のうちに望まれし彼らをお抱えになったのである。

諸君のおかれた虜囚の状態をアッラーがお解きなり、諸君の難苦を取り除き、傷を癒し、諸君の決意にお力をお与えになり、痛苦をお感じになり、諸君のための道をお開きになることを請い願う。

おお、各地のムスリムよ! ジハード戦士たちが、敵の手にかかって倒れた導師や指導上官らの殺害を追悼するごとく、ここにわが哀悼の意を示す。なかでも、その領袖の地位にあったのがアブ・ムハンマド・アドナニ師、ならびにアブ・ムハンマド・フルカン師アッラーよ、彼らに慈悲と、天の御園に高き位階をお与えにならんことを)であった。彼らはわが閣僚、指導層の傑者であり、良き先例と、積年の美徳、カリフ国の骨格筐体建設に専心奮闘し、またアッラーの御法を地上に打ち立てることをもって、アッラーが誉れをお授けになった者たちである。彼らは、その尽力を最後のときまでやりぬき、課された使命を達成し、見事に満たしたのであった。

訳註:アブ・ムハンマド・アドナニはIS広報官。今年8月、シリア・アルバブ近郊での空爆で死亡。アブ・ムハンマド・フルカンはISメディア部門幹部で、今年9月、シリア・ラッカ近郊での空爆で死亡)

我らはかくのごとくみなされ、アッラーがその判官である。だが、諸君に朗報を届けるとするなら、アッラーの恩寵とご高配のもと、カリフ国は彼らの死を理由として揺れることはなく、ジハードの車輪は彼らの死のみによって止まりはしないのだ。

むしろ、彼らの清き亡骸は、アッラーへの奉献犠牲以外のなにものでもない。それはアッラーの御許のもと、彼のご満悦を請い、明瞭なる勝利と近しき征服を求めるものである。指導者や正しき者たちの殉教は、この地上で固き地盤に導くもっとも近しき扉であり、現世と来世での報奨となるのだと、我らはアッラーの啓典(=コーランによって学んだ。

高貴なるアッラーは、預言者たちとその従者たちの状況について、こう仰せになった。
【同志として共に戦う人びとを有った預言者がその幾人あったことか。彼らは神の道での戦いのためならばどのような目に遭っても意気阻喪せず、弱気にならず、決して志を屈しなかった。アッラーは忍耐強い人びとを好み給う。彼らの口にする言葉といえば、「主よ、数々の我らの罪を赦し給え。我らの行き過ぎた行いを赦し給え。願わくば我々の脚(あし)をしっかと立たせ、信なき者どもに対して我らを助け、勝利に導き給え」と言うだけであった。さればこそアッラーは彼らに現世での報酬も、来世の素晴らしい報酬をも与え給うた。アッラーは善なす人びとを好み給う】(イムラーン家章:146-148節)

おお、アッラー、啓典コーランをお下しになった御方、雲を自在に操り動かしたまう御方、部族同盟軍を敗走せしめる御方よ! あの者どもを打ち負かし、あの者どもと対決する我らに勝利のご助力を与え給え!

アッラーよ、そのご意志に背き、その使徒を裏切り、その擁護者に対し戦いを挑みかける罪深き不信仰者どもを断罪し給え。アッラーよ、ユースフの歳月のごとくに、あの者どもに対峙する我らを助け給え。

アッラーよ、あの者どもを根絶やしにし、消散殲滅のうちに抹殺し、ひとり残らず生かしておかぬよう成し給え! アッラーよ、あの者どもの群勢を蹴散らし、その結託を分断し給え!

アッラーよ、我らに、そして我らの宗教に、我らのジハードに害なさんとする者は誰あろうと、害虐がその者に向かって打ち振りかかるよう、お取り計らいくださらんことを。その者が自身の手で滅び去るその時まで! アッラーよ、我らに対してでなく、我らの為の計略を! 我らにお導きを与え、その嚮導を授け給え、そして罪なす者どもに対峙する我らを支え給え!

諸君は、我らの衛兵である! 衛兵たること、そして擁護者たること、いかに格別至極なることか!

かくて我らが結びに唱えしは、万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

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バグダディ音声メッセージが公開された際、日本のメディアもあいついで報じたが、総じて同じ個所が引用されているので、おそらくAPやロイターなど英語配信記事等をもとにしたのではないだろうか。日本のメディア各社がこの難解な宗教的用語だらけのメッセージを公表直後に全訳した上で重要箇所を選んで報道したとは思えない。メディアが大きく伝えた「徹底抗戦」呼びかけはすでに想定されていたものであるが、トルコ攻撃と、組織内部不和への警告がメッセージで出てきたのは注目すべきだろう。写真はモスルのIS戦闘員。(IS系アマーク通信映像)

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ISは決死戦を呼びかける一方、モスル市内が平静で治安が保たれた市民生活があることを強調している。写真はモスル奪還戦開始後に公表された市内のようす。(IS系アマーク通信映像)

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