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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【PKK声明・日本語訳】クルディスタン労働者党・カラユラン司令官、青年にゲリラ参加を呼びかけ

◆クルド関連 ◆各国・各組織声明文

◆トルコ南東部で衝突拡大の懸念
10月30日、クルディスタン労働者党(PKK)のカラユラン司令官は、クルド青年に向けたビデオ声明を発表し、ゲリラ部隊への参加を呼びかけた。声明に呼応して志願する若者が増えると予想され、今後、トルコ南東部で軍や治安部隊との衝突が拡大することも懸念される。(以下は全文。一部意訳。クルドの地名は、わかりやすいようトルコ名を併記してカッコで補っています。)

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PKKのムラット・カラユラン司令官はビデオ声明で、若者に語りかけるようにトルコでの戦闘の「意義」を語り、「使命感をもって参加せよ」と呼びかけている。ゲリラとは、PKK軍事部門・人民防衛軍(HPG)の戦闘員を指す。またトルコ南東部で治安部隊と衝突する市民防衛隊(YPS)への志願も求めている。戦闘は激化する一方になりつつある。(PKKメディア公表映像)

クルディスタン労働者党(PKK)カラユラン司令官
「クルド青年へのメッセージ」
(2016年10月30日)

親愛なる青年諸君、輝かしき青年諸君、クルディスタンの青年諸君。挨拶と敬愛の念をこめて、諸君の奮闘勝利を願うものである。

同志諸君、青年諸君。現在、クルディスタン自由闘争は重要な段階を迎えている。植民地主義エルドアンは、トルコにおいて、わが人民を抑圧する政策を進めてきた。この局面において、クルディスタン自由闘争は勝利の条件を達成した、と敵は認識している。我々の敵は、これまでにないほど弱体化している。ゆえに敵は、AKP(公正発展党)とエルゲネコンが結託して、我々の闘争に対し攻撃を仕掛けてきたのだ。AKPとエルゲネコンがわが人民に加える攻撃は、彼らの強さを意味するものではなく、むしろ弱さを示すものだ。恐れをなしているのだ。大クルディスタンが建設されるのが怖いのだ。「大クルディスタンの到来は、小さなトルコを意味することになる」と彼らは言っている。だからこそ彼らは怯え、攻撃と脅迫をしようとしているのである。

彼らが理解したことは、トルコの国境内だけで我々と戦っていては勝てないということである。このため、西クルディスタン(シリア・クルド地域)に攻撃を加えてきたのだ。同時に、南クルディスタンイラク・クルド地域)に展開し、モスルの統制を狙っているのである。この視野のもとすべての地域を統制下におき、侵攻を拡大せんと目論んでいる。そしてクルディスタン自由闘争を後退させ、排除しようと画策しているのである。

他方で、この新たな段階において、彼らは最も汚い手段を通じて、特殊戦争を遂行してきた、トルコ国家には、ほかに残された力はもうない。いま彼らが有している力とは、情報工作、技術的かつ特殊な戦争のみである。この特殊戦争とは、彼らの心理戦であり、虚偽に満ちたプロパガンダ戦である。例えば、「我々(PKK)が、チェレ(チュクルジャ)、ハッカリ、エルトゥーシュで400人を殺した」などと彼らが喧伝するのは、すべて虚偽である。彼らは弱体化しているゆえに、自身で強大なプロパガンダをなそうとしているのだ。エルドアンの強盗行為が示したように、いくつかの記録が明らかとなった。だが、エルドアンは、こうした記録は存在しなかったとプロパガンダを通じて人びとに受け入れさせようとしている。そして、トルコ国家は、クルディスタンでの敗北を勝利に見せかけようとしている。

わが人民や青年のなかにも、こうしたプロパガンダに影響された者がいる。ゆえに、わが愛国的青年たち、労働者たち、真実を知る者たちよ。この黒きプロパガンダに沈黙していてはいけない。取り組みを組織すべきだ。大学、学校、地域で、自分の関わる組織を強化する積極的な取り組みをすべきなのだ。トルコ国家のウソに感化されてはならない。彼らが仕掛ける心理戦争の犠牲になってはならない。敵の黒きプロパガンダ戦略、情報工作に対抗して取り組むことが求められているのだ。

とりわけ、この局面において、北クルディスタン(トルコ・クルド地域)の青年たちが、その奮闘をなすことが重要であり、求められている。ところが、我々が聞くのはゲヴェル(ユクセコヴァ)でコーヒーショップができ、若者たちがこうした場でゲーム遊びに興じようとしているというような話である。トルコ警察は、彼らによりそって一緒にゲームをしているという。敵はこうした手段を通じて、自分たちに対立する者から、事実を覆い隠そうとしている。わが人民を流血に追い込んできた警察官が、わが青年たちと並んでゲームをしている。これが受け入れられるだろうか?

青年たちは、こうしたことに警戒心を抱かなくてはならない。ゲヴェル(ユクセコヴァ)、ジズレ、アメッド(ディヤルバクル)、ヌサイビンなど、クルディスタンの町々から都市部にいたいるまで、トルコ国家に警戒し、こうしたことに対峙する姿勢をとらねばならない。青年たちが組織されねばならない。心理戦争に影響される青年を出してはならない。組織化と目覚めの努力がなされるべきだ。

すでに誰もが知るごとく、クルディスタン自由闘争は、重要な局面を迎えている。勝利への過程には基盤がある。勝利への道はどこから来るのだろうか、青年たちよ。勝利は君たちがもたらすのだ。君たちが義務を守り、敵の影響下に落ちる者たちを阻止するなら、あるいは自身で組織に加わったり、ゲリラの戦列に加わるならば、勝利は間違いなく諸君らとともにある。この過程を通じて、勝利はもたらされるのだ。オジャラン指導者の自由のための行進を通して、クルディスタンの自由のための行進の勝利が獲得されるのだ。すべてはこれにかかっている。

クルディスタンの青年として、この真実を受け止めなければならない。大いなる責任感をもって、来たれ、そして参加せよ。勝利は100%成し遂げられる。今日、ゲリラ闘争は拡大している。だが、我々の戦線も拡大している。あらゆるところから人が求められている。我々の地域が拡大し、必要性が生じているからだ。我々は敵に対し、思考的な戦い、戦術的な戦争、組織的な戦争、専門的な戦争を遂行している。我々は、これらの先に勝利があるのだ。ゆえに、青年たちは(ゲリラに)参加することが必要であり、我々は訓練を与える。そこで、すべてのクルド青年たちを、高度に訓練する。政治、戦争、自衛について、彼らは高度な専門知識を獲得する。わが地域で、この条件は整っている。

アカデミー(軍事教育キャンプ)はたくさんある。さあ、来たれ。自己を、専門的な兵士、勝利の戦士とするのだ。これが今日のクルディスタン人民と青年に求められていることである。

時が到来すれば、クルド青年は、自身の意志を貫いたチヤゲルやヌダら烈士に続くごとく、重要な役割を果たすと信じている。我々は常に青年を信じてきたし、今も変わりない。
訳註:チヤゲルとヌダ=PKKが「烈士」と称える戦闘員の名前。ともに死亡

過去にも言ったように、若くして開始し、若くして勝利を獲得する。ゆえに、使命感のもとにこの過程に向き合い、自身の役割を守り、参加してほしい。組織の取り組みに参加し、YPS(市民防衛隊)に参加し、ゲリラの戦列に参加するのだ。我々はこれに希望と信念を抱いている。

諸君らに勝利がもたらされることを願っている。
クルド青年万歳!オジャラン指導者万歳! 

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トルコ南東部ハッカリ県で出撃するPKK部隊。トルコ軍、治安部隊との衝突だけでなく、都市部での爆弾事件も起こしてきた。また自爆攻撃も繰り返し、民間人も巻き込まれている。2013年、オジャラン指導者の停戦の呼びかけをうけ、トルコからイラク北部に部隊を撤退させたPKKだが、シリア情勢、IS問題、エルドアン政権の対クルド政策などさまざまな要因がからみあうなか、PKKは戦闘を再開し、拡大させてきた。数年前、解決の兆しすら見えたトルコのクルド問題は、さらに混迷する方向に向かっている。(PKK公表映像)

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トルコ南東部地域では、PKKが民兵組織、市民防衛隊(YPS)を編成。都市部で治安部隊との戦闘を続け、双方に多数の死者が出ている。PKKはYPSについて「エルドアンの強権弾圧と攻撃から市民を防衛する」としている。一方で、トルコ南東部をシリアのようにしているといった批判も出ている。(YPS公表映像)

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