イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【イスラム国(IS)機関誌・日本語訳】「我々はなぜお前たちを憎悪し、なぜお前たちと戦うのか」(1)ダービク15号

◆ISがキリスト教世界に向ける憎悪
7月末に出たイスラム国(IS)の英語機関誌ダービク15号のメインタイトルは「十字架を打ち壊せ」で、多くの記事が、キリスト教とそれを基盤とする、いわゆる西洋世界に対して向けられたものとなっている。そのなかから、「我々はなぜお前たちを憎悪し、なぜお前たちと戦うのか」を訳出。(一部意訳しています)

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IS英語機関誌ダービク15号「我々はなぜお前たちを憎悪し、なぜお前たちと戦うのか」。文中に西側世界と繰り返し出てくる用語は、かつての東西冷戦の政治用語としての「西側・東側」ではなく、キリスト教西洋世界とその同盟者という意味で使われている。「お前たち」と同じ単語が続いたり、表現が難解なのは、元の文章がそうなっているため。(写真はDabiq 15号より)

「我々はなぜお前たちを憎悪し、なぜお前たちと戦うのか」(1)

ジハード戦士、オマル・マティーン(アッラーよ、彼を受け入れ給え)による、同性愛者、十字軍のナイトクラブに対してなされた、あの祝福されし攻撃戦の直後、アメリカの政治家どもは脚光浴びる場に勇んで躍り出て、この銃撃を非難し、これはヘイトクライムだ、テロ行為だ、無差別の暴力だ、などと喧伝した。
ヘイトクライム? そう、その通りだ。イスラム教徒は、もちろん紛れもなくリベラル主義者の同性愛者を憎悪しているし、また人間に生まれ持って備わる摂理(フィトラ)を失ってはいない。
テロ行為だと?もちろんまったくその通りだ。イスラム教徒は、アッラーを信じぬ敵どもにはテロルの鉄槌を下すことを(アッラーから)命じられているのだ。

だが、無差別の暴力についてはどうだ? そろそろこう考えてる者が出始めているかもしれない。ジハード戦士たちが繰り返しその目標、意図、理由を明示してきた行動の一切が何ら意味なきものとするうんざりするほどの言葉を、平均的な西側世界の人間が、すでに諦めて投げ出してしまったのではないかと。

預言者ムハンマドを侮辱し、コーランを燃やし、カリフ国に戦争を仕掛けることが、イスラムイスラム教徒に対する西側世界の犯罪なのだとお前たちが心に刻みつけて認識できぬ限り、ジハード戦士からの激烈なる報復が引き起こされるのだ。

オマル・マティーン、ラロッシ・アバッラらのごとく、その他の幾多の者たちが、イスラムイスラム教徒のための報復戦に決起したのには、きちんとした理由があったことだとお前たち自身がよくわかっていることだろう。
訳註:オマル・マティーンは今年6月に起きたアメリカ・フロリダでの同性愛者ナイトクラブ銃乱射事件を起こし、ラロッシ・アバッラは同月にフランス・パリ近郊で警官夫婦を殺害している)

唯一、理にかなわないことと言えば、お前たちに対して、まず最初の段階から暴力をもった激烈なる報復がなされなかったことである!

しかしながら、多くの西側世界の人間は、ジハード戦士たちの一連の攻撃が意味なきものだとする言辞や、なぜ我々が西側を憎悪し、なぜ我々が彼らと戦うことのかといった堂々巡りの問いが、自身の政治行動やプロパガンダ装置にしかすぎないということにすでに気付き始めている。政治家どもは、事実や共通認識にどれほど反しようとも、次の選挙の己れの票集めのためだけに、その言辞を放ち続けるだろう。アナリストやジャーナリストどもは、大衆から「政治的公平さに欠ける」と思われて標的とならないために、その言辞を放ち続けるだろう。

西側世界で、背教の徒に成り下がった「イマム」(イスラム教の教導者)たちは、自身が住む場として選んだ不信仰者の社会から反感を持たれないために、同様のお決まりの言辞を放つことに専心するのだ。民衆はこうしたことを馬鹿げたことだと知っているのに、いつまでも同じ言辞を繰り返すのは、自身の筋書きから逸れる結果となることを恐れるがゆえであり、これこそが核心なのである。

確かに不信仰者にもいくつかの例外はあるだろう。「イスラムは平和の宗教」とする大衆どもが禁じた諸々の事柄、あるいはジハードとシャリーアイスラム法)の法規は、実のところまったくもって本来のイスラムにかなったものであると公けの場できちんと主張する者たちが存在するのも事実である。だがそうした者たちは、社会的異端の烙印を押され、信用を失墜させられてきた。ゆえにこうした声はことごとく無視され、無知蒙昧なる大衆の大部分は今もって虚構のストーリーを信じ続けているのだ。
訳註:イスラムは平和の宗教」というのは、一般のイスラム教徒や、穏健派として他宗教との共存を希求するイスラム聖職者たちが使う表現。一方、ISなどの極端な過激主義者は、「イスラムは剣で勝ち取る宗教」とし、穏健派を批判する)

だからこそ、西側に対して、今一度はっきりとさせておくことが重要だ。我々はなぜお前たちを憎悪し、なぜお前たちと戦うのか。
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1:まずもって、我々がお前たちを憎悪するのは、不信仰の輩ゆえである。 それを自身で認識しているかどうかは別として、アッラーの唯一性をお前たちは拒否している。アッラーに対し、崇拝上の同伴者たちを作り出し、アッラーを冒涜している。そしてアッラーには息子がいたなどのと主張し、アッラーの預言者とその使徒たちに対する幾多の虚構をでっち上げ、あらゆる方途をもって悪魔的な実践を重ねている。
訳註:ここでの「アッラー(神)には息子がいた」という部分は、キリスト教における神の子、イエスのことを指す)

かくして、この理由ゆえに、我々はお前たちに対し、公然とわれらの憎悪と敵意を宣告することを(アッラーから)命じられているのだ。

【お前たちにイブラヒームとその一党というよい手本がある。彼らが同族にこう言ったときのこと、「わしらは貴方がたと縁切りです、それからアッラーをよそにして貴方がたが崇めていらっしゃる(邪神ども)とも。わしらはもう貴方がたなぞ信じられません。わしらと貴方がたの間にはもはや敵意と憎悪あるのみ、貴方がたがアッラーだけを信仰するようになるその日まで」と。】(調べられる女章:4節)

お前たちを憎悪する一義的な理由はお前たちが不信仰者であり、また、お前たちと戦う一義的な理由はお前たちが不信仰者であるからゆえだ。さらには、お前たちがイスラムの権威に従い、イスラム教徒となるか、あるいはジズヤ(人頭税)を支払うかを選択し、イスラム教徒の統治のもとで屈辱を味わいながら暮らすことになるまで、我々は不信仰者と戦うことを(アッラーから)命じられているのである。

かくして、お前たちが我々と戦うことをやめようとも、戦争状態に置かれたお前たちが選べる最良の選択肢は、我々がお前たちへの攻撃を停止してやるかしかないのだ。だがそれは、お前たちに対する戦いを実際に再開させる前に、より差し迫った脅威に我々が対応するために我々が必要と判断したときである。一時停戦的な選択を別にしても、これがお前たちが我々の攻撃から回避できる唯一のシナリオであるだろう。

結局のところ、お前たちに対する我々の戦争から無期限に逃れられることはできないのであり、お前たちがかろうじてできることは、その戦争を一時的に遅らせることにすぎない。

【騒擾がすっかりなくなる時まで、宗教が全くアッラーの(宗教)ただ一条になるときまで、彼らを相手に戦い抜け】(牝牛章:193節)
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2:我々がお前たちを憎悪するのは、お前たちの世俗的なるリベラル社会が、アッラーがお認めになった幾多の事柄を禁じる一方、アッラーが禁じた事柄を認めているからである。これらの事柄は、そもそも宗教と国家を分けるお前たちが関与すべからざるものである。そうしたものは、お前たちが選挙で選んだ政治家どもを通じた、気まぐれや欲心を受け入れる最高権威機関の制度にすぎない。

これらを成すことで、お前たちはアッラーの大権を奪い取り、己れのものとして従わせんと願っているのである。

【本当に(有効な)判定は、アッラーだけが下し給うもの】(ユースフ章:40節)

お前たちの世俗的リベラル社会は、「ゲイの権利」なるものを容認するばかりか、それに支持を与え、また、酒、ドラッグ、姦淫、ギャンブルを認め、高利貸しの輩どもを蔓延させ、これらの薄汚れた罪と悪徳に糾弾の声を上げる者たちを嘲り笑う大衆を作り出してきた。

そのゆえ、我々は、お前たちが不信仰と放蕩 - 世俗主義民族主義、倒錯したリベラル主義的価値、キリスト教信仰や無神論 - それら一切の根源たる堕落と腐敗を蔓延させるのを阻止するために戦争を仕掛けるのだ。

お前たちは、イスラム教徒の社会を「解放」する使命まで作り出した。そう、ゆえに我々は、お前たちのその影響を徹底排撃することを使命とし、お前たちの誤った思考と、理性的人間生活の逸脱行為から、人類を守るために、お前たちと戦うことを使命としたのである。
(2・後編)に続く>>

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写真左がオマル・マティーン。今年6月に起きたアメリカ・フロリダでの同性愛者ナイトクラブ銃乱射事件を起こした。写真右のラロッシ・アバッラは同月にフランス・パリ近郊で警官夫婦を殺害している。(写真はDabiq 15号より)

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