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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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動画【ヌスラ戦線・日本語訳】自爆出撃の戦闘員の両親「ジハードに殉じる息子は誇り」

◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織 ◆IS関連

◆出撃を見送る父と母
先日、ヌスラ戦線は、これからはシャム・ファタハ戦線(またはシリア征服戦線)として活動することを宣言した。イスラム国(IS)ほどとはいかないまでも、ヌスラ戦線もこれまで自爆突撃を作戦に取り入れてきた。公開されたもののなかに、シリア軍陣地に自爆出撃する息子を両親が見送る映像がある。「息子の殉教は誇らしい」とカメラの前で語る両親。複雑で悲しい気持ちにさせられる。

【ヌスラ戦線・動画・日本語訳】自爆出撃する息子を見送る両親(一部意訳・転載禁止)

映像が公開されたのは2014年3月。ISが自爆戦士を称えるのと同様、ヌスラ戦線も殉教志願者(イスティシャハディ)と表現する。出撃を前に息子を抱きしめる母親の姿が悲しい。

映像ではシリア・ダマスカス北東アドラでのヌスラ戦線とシリア政府軍との戦闘が記録されている。町を制圧したヌスラ戦線が政府軍に包囲されるなか、2回にわたる連続自爆攻撃を政府軍拠点にかける様子だ。

f:id:ronahi:20160812200234j:plain連続自爆攻撃には、シャミル・アンサリと名乗るシリア人戦闘員と、ヨルダン人戦闘員が出撃。突撃前に、戦闘車両BMP-1の操縦訓練を受ける。砲身部分は取り外され、これに爆薬7トンを積んで政府軍拠点の砂糖工場に突撃していく。第2波攻撃のヨルダン人戦闘員は爆弾自動車で突入。

f:id:ronahi:20160812200312j:plain息子である自爆戦闘員の黒いベレー帽にはISの旗が縫い付けられているが、シリア内戦当初は、ヌスラ戦線は当時のイラクイスラム国(ISI)との共闘関係もあり、また現在のISの旗をシンボル的に使う武装組織も一部にあるなどアイデンティティが交錯していた。その後、ヌスラ戦線とISの対立は先鋭化するが、旗のシンボル自体はジハード運動の象徴的意味もあるので否定されていない。戦闘車の内部には砲弾を改造した爆薬が積み込まれているのがわかる。

f:id:ronahi:20160812200329j:plain両親が登場することから、自爆戦闘員は地元の出身者だと思われる。父親には息子が10人にいて、うち何人かが殉教した、と話すシャミル。父親は後妻を迎えたか、複数の妻がいて、異母兄弟とも推測できる。

f:id:ronahi:20160812200349j:plain映像に映る家族が実際にどういう気持ちは、わからない。だが息子が信じたもの、決めた運命を理解してやることが、親が最後にできることと自身を納得させようとしているようにも感じられる。

f:id:ronahi:20160812200407j:plainシャミル・アンサリの戦闘車に続いて、ヨルダン人戦闘員が自動車で突撃する作戦らしい。シャミルが地図を使って、作戦を説明する。出撃は両親に別れを告げ、一夜明けてから行なわれたようだ。

f:id:ronahi:20160812200427j:plainシャミルが乗った自爆装甲車は、シリア政府軍拠点のあるアドラ砂糖工場に向けて出撃。シリア国旗を掲げているのは、突撃時に反撃されるのを少しでも遅らせる意図があったからだろう。

f:id:ronahi:20160812200511j:plain政府軍拠点に到達し、自爆を成し遂げたシャミル。爆発とともに大きな煙が立ちのぼる。親までも温かく息子を自爆に送り出す、と宣伝する意図があって公開したものだろう。映像にはジョラニ司令官の声も挿入され、自爆攻撃を称賛している。

自爆攻撃をしているのは、イスラム過激組織だけではない。クルディスタン労働者党(PKK)でも、若い女性戦闘員が自爆攻撃を仕掛け、PKKは組織をあげて烈士として称賛してきた。21世紀のいま、我々が暮らす同じ時代、同じ世界でこうしたことが起きている現実がある。

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