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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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アルカイダ副官声明【音声動画・日本語訳】「ヌスラ戦線との関係について」

◆ヌスラ戦線とセットで出されたアルカイダ副官声明
アルカイダと関係を解消すると発表したヌスラ戦線のジョラニ司令官。7月28日のジョラニ声明とセットで出されたのが、このアルカイダアイマン・ザワヒリ師の副官アハマド・ハサン・アブ・アル・ハイル師の音声声明。この声明は、アルカイダのメディアではなく、ヌスラ戦線系のメディア機関アル・マナーラ・アル・ベイダから出されている。

【動画・日本語訳】アルカイダ副官声明「ヌスラ戦線との関係について」(一部意訳)
シャムはシリア、レバノンなどを含む広義の意味でのレバント地域だが、この声明では、実質的にはシリアを指す。声明には、「住民が爆撃や殺戮にさらされるなか、イスラムの利益を堅持し、民衆のジハードを防護すべく、ヌスラ戦線指導部は前進せよ」とある。これはヌスラがアルカイダと関係しているゆえに、その地の住民が困難に直面するなら分岐することも有効、とも読める。ヌスラ戦線関連アル・マカラートによると、アルカイダのアハマド・ハサン・アブ・アル・ハイルはエジプト人で、ビンラディンの義理の息子にあたり、2003年にイラン当局に逮捕されたが、アルカイダ関連組織によるイラン外交官人質事件で人質交換として主要幹部らとともに釈放されたとされる。2015年頃にシリア入り、ヌスラ戦線に合流としている。

ふたつの声明がセットで出たことによって、アルカイダとヌスラ戦線の「関係解消」が、双方の合意に基づくものであることを印象付けている。その意図はまだ不明だが、個人経営のコンビニオーナーが、ローソンやファミリーマートのような大手とフランチャイズ契約して看板とノウハウをもらい、その後、オーナーが契約解消して、個人経営に戻ったというようなものとは違うだろう。暴力団傘下の事業体が、上部組織への警察の取り締まりが末端に波及しないように、登記の名義を変えたりして、対外的には関係ないフロント企業にしたような感じしか、いまのところしない。

f:id:ronahi:20160816013940j:plainヌスラ戦線系の英語機関誌アル・リサーラ(=メッセージ)。イスラム国(IS)英語機関誌ダービクがよく知られるが、ヌスラ戦線系はアル・リサーラをウェブ上で発行している。アル・リサーラは、ビンラディンアルカイダ指導者ザワヒリ師(写真)を多く取り上げ、アルカイダの影響を受けていることがわかる。

アルカイダと縁を切ったことを、「体裁だけで実態は同じ」とアメリカは扱うだろうが、アメリカが直接・間接的に支援するシリア反体制各派にとっては、アサド政権軍に対して、ヌスラ戦線と共同作戦をする局面も増えるだろう。将来、内戦が停戦に至り、あらたな政治的枠組みができたとき、暫定統治機構にヌスラ戦線(あるいはその後継組織)が参加出来る道筋を開くことも射程に入れているのではないか。
以下は音声動画のテキスト。(一部意訳)

アイマン・ザワヒリ師の副官
アハマド・ハサン・アブ・アル・ハイル師の音声スピーチ

慈悲あまねく 慈愛深きアッラーの御名において。万物の御主、アッラーに称讃あれ高貴至高にして遣わされし御方(ムハンマド)と、そのご家族、ご教友に祝福と平安あれ。以下、かくのごとく:

各地のわがムスリムの兄弟同胞たちよ、わがジハード戦士の兄弟同胞たちよ。アッラーの慈悲と祝福のあらんことを。時と歳月は移りゆくもの、事象と状況は変わるもの、心と思考は変応するもの。日々は過ぎ往き、アッラーの定めはその創造物を満たす。正と邪、善と悪の間の戦いと闘争の定めは、帰一や合致に至るものではなく、ジハードは、復活の日の到来まで、そして信仰がただアッラーのためのものとなるときまで継続される。

真理を支え、偽りを滅消するこの宗教は、慈悲頂くシャリーアイスラム法)のもと、栄誉のなかでムスリムが授かりしものである。 まこと今日、我らはわがイスラム共同体の再興と叛起の時代の輝かしき、祝福に抱かれる時を生きている。これぞ、覚醒とジハードの時代、民衆を虐げる者に立ち向かう時代。まこと彼らは、その手に(啓典の)言葉と、武器をもって戦った。 民衆の命とアッラーへの信仰を取引にかけた 不正義にまみれた一群を、アッラーは踏みしだいた。ムスリムが威力満たされぬなか、アッラーは彼らの心に御力をお送りになり、その者どもを玉座から引き倒す御許をお下しになった。

ジハードにより、大地は守られ、権利は回復される。ジハードこそアッラーの大道であり、アッラーがその下僕たちにお認めになったもの。
【汝らに戦いを挑む者があれば、アッラーの道において堂々とこれを迎え撃て。だがこちらから不義をしかけてはならぬ。アッラーは不義なす者を好まれぬ】(雌牛章:190節)

【相乗がすっかりなくなる時まで、宗教が全くアッラーの(宗教)ただ一条になるまで、彼らを相手に戦い抜け。しかし向こうが止めたなら、(汝らも)害悪を捨てよ。悪心抜きがたき者どもだけは別として】(雌牛章:193節)

シャムの地が置かれた状況を、軍事的側面と政治的側面の2つの角度から、そこに含まれる課題や諸困難も含めて考察した。いずれもシャムの地で起きている殺戮、爆撃、住民が住処を追われることなど、人びとが直面する辛苦や苦境が伴うものとなっている。

シャムにおけるジハードを公正かつ強力な方途をもって堅持し、スンニの擁護者たるジハード戦士たちを分断せんとする敵が、卑劣な口実をもってこの状況に付け入る余地を排除するため、あらゆる可能な手段を行使する努力を強化することを我々は決定した。

シャムにおけるわがジハード戦士の兄弟同胞たちは、並々ならぬ軍勢と、シャリーアイスラム法)に拠る司法制度にのっとった統治運営能力を解放地域で獲得してきた。これはまた、民衆の日常生活を護り、奉仕する諸機関であり、それと並行して、かれらの宗教とその共同体にとって畏敬されるべきものを堅持する方途として、名誉の法とジハードによって育てられた新たなる世代であった。

ジハードの拡大と、ウンマ(共同体)における秀でたジハードへの理解を通じて ムスリム社会がこれを受容する場において、ウンマが到達した段階に鑑みれば、このジハードはグループや諸組織の思惑によって振り回されることは適切ではない。むしろ諸組織やグループは、(ジハード戦士の)結集軸であり、かつ動員要素でなければならず、分岐や論争の招くものであってはならない。 これらの努力は、スンニ派たちの発展的段階を確立するための開始点たるべきであり、彼らの要求とを代表し、かつ彼らの権利を求める存在でなければならない。

これらを受けて、私の責任において発する。イスラムの利益を堅持し、シャムにおける民衆のジハードを防護すべく、ヌスラ戦線指導部に前進することをここに呼びかけるものである。 これは我々からのステップであり、アッラーの御許にかなうものとして、シャムの地で交戦中にあるすべての諸派へのアピールである。これは諸君らが信仰者の民に忠誠を尽くし、不正義と不信仰者の民とは分岐を宣するものである。一義的には我々の民衆と、その地を防衛することである。領導されたイスラム政府の招集、ムスリムの権利の回復と正義の確立をもって満悦させよ。

まこと、アッラーの御許のもと、我々はその政府を最初に助け、支持するものである。そして、これは首長アイマン・ザワヒリ師(アッラーよ、彼を守りたまえ)の言葉として承認されたものである。その言葉はかくのごとくである。

「我々の前に存在するのはイスラム同胞である。一時的かつ、すぐに変転する組織関係のいかなるものよりも重要である。諸君らの部隊、団結、合意は、いかなる組織関係よりも、より重要で、価値があり、高価なものある。諸君らの部隊、団結、無比なる隊伍は、組織の提携や団結心の上にそびえるものであり、よりよきものである。サファウィー・ラフィダ(シーア派イラン)や、ロシア、中国、そして十字軍同盟国に支援された勢力に支えられた敵、世俗主義者が、諸君の合意や団結や協力に対決姿勢を強めたときは、組織間の関係は躊躇なく犠牲にして構わない。

最後に、各地にいるわがジハード戦士同胞たちに、全能なるアッラーの言葉を捧げる。
【汝ら、信徒の者、忍耐強くあれ。互いに忍耐を競い合え。己が護りを固めよ。アッラーを畏れよ。さすれば汝らやがて栄達の道に行くであろう】(イムラーン家章:200節)

万物の御主、アッラーに称讃あれ。
諸君らの兄弟同胞 アハマド・ハサン・アブ・ハイル

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