イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS動画・日本語訳】フランス・カトリック教会襲撃事件~ISに「忠誠」

◆あいつぐ襲撃事件とISへの「忠誠」
7月26日、フランス北部ノルマンディー地方サンテティエンヌ・デュルブレで、武装した2人組の男がカトリック教会を襲撃。神父、信者ら5人を人質に立てこもり、86歳の神父は殺害された。現場に駆け付けた特殊部隊は容疑者2人を射殺。事件後、武装組織イスラム国(IS)系のアマーク通信は2人の映像を公開した。映像では、男らがバグダディ師への忠誠を表明している。

動画が表示されない場合はadblockをOFFにしてみてください
【動画(1)日本語訳】フランス・教会襲撃犯、ISへの忠誠(一部意訳)
教会襲撃前に撮影されたと見られる映像。IS指導者バグダディ師への「忠誠の言葉」(ベイア)を読み上げている。手元に書いたものを読んでいるのがわかる。左はアルジェリア生まれのアデル・ケルミシェ(19)で、アブ・ジャリルと名乗っている。右はアブ・オマルを名乗るアブデル・マリク・プティジャン(19)。

映像で2人が読み上げる「忠誠の言葉」は、ベイアと呼ばれる。きちんと言えないためか、手元を見ながらたどたどしく読み上げている。アマーク通信はそれでも「宣伝効果がある」と意図して公開したのだろう。こんな「忠誠」で、組織に自分の命を差し出すことを宣言し、高齢の神父をひざまずかせてナイフで喉を切って殺害している。ふたりとも未成年だ。このかんのフランス、ベルギー、ドイツでの一連の事件でも、ISに忠誠を表明した者が市民を狙った襲撃を起こしている。

動画が表示されない場合はadblockをOFFにしてみてください
【動画・日本語訳】ISによるバグダディへの忠誠式(一部意訳)
イラク・ニナワ県のIS狙撃部隊がベイアを唱和する様子。全員がきちんと暗唱している。IS戦闘員が入隊する際や、戦闘で士気を高めるときに円陣を組んで唱和する。

先日のドイツでの襲撃事件は形態としてはいずれも単独型決起だが、実行前に録画した映像が、事件後、直ちにIS機関に公開されている。襲撃前に映像を入手しているということは何らかの「流れ」が存在すると思われる。あらかじめネットに投稿したものだったとしても、その映像を本人との確証をもってIS機関が報じていることの意味は大きい。過激主義に感化される人間は実際にはわずかかであっても、一度大きな事件が起きれば宣伝効果は高い。ネットを通したプロパガンダを信じ込み、各地で「忠誠」を示し事件を起こす。こうしたシステムこそ、ISが狙っていたことでもある。

f:id:ronahi:20160802132207j:plain写真上がアデル・ケルミシェ(19)。昨年、シリアに入国しようとしてトルコ当局に拘束され、フランスで収監されていた。今年3月に釈放されたが、足にはGPS監視装置が付けられていた。

写真下は、アブデル・マリク・プティジャン(19)もシリア入りを計画し、失敗している。BBCは、外国情報機関がフランス当局に、数日以内に事件を起こす可能性がある人物として写真を提供し、当局が行方を追っていた、と報じている。アマーク通信は、忠誠映像とは別に、襲撃前に撮影されたとみられるプティジャンの映像も続けて公開している。

f:id:ronahi:20160802132237j:plain事件が起きたサンテティエンヌ・デュルブレのカトリック教会と、殺害されたジャック・アメル神父(86)。(地元メディア映像)

ISの忠誠式については以前、書きました(記事へ >>>)