イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS動画】歌から読み解くシリア・イラクでの戦争(17) イスラム国(IS) トルコ語「ジハードの道」

◆「天国の近道はジハード」とトルコ人を誘う
前回トルコ人自爆戦士の映像で挿入されていたのがこのナシード(宗教歌)。武装組織イスラム国(IS)が昨年公開したもので、この当時はまだIS支配地域への移住を積極的に呼びかけていた。トルコ語のこの歌は、いわゆる戦闘鼓舞や処刑歌とは異なる。哀愁さえ感じさせる映像に仕立て、トルコ人の心に響くことを意識している。

動画が表示されない場合はadblockをOFFにしてみてください
〔動画〕「ジハードの道」  (一部意訳・転載禁止)
クリップはストーリーになっていて、モスクに通って信仰を学び、同胞から天国への道はジハードにあると聞かされ、ジハードに向かうことを決意。IS地域に入り、銃をとって前線に立つ。撃った弾の数ほど天国で乙女とまみえることができ、ジハードの栄誉を授かるのだと歌う。
〔動画〕元になったと思われる詩には楽器の伴奏がついたものが過去に歌にされているが、IS版とは曲が全然違う上、過激主義とは別物。IS版での「ジハード」という部分は、元はサジダ(平伏礼拝)になっている。「イスラム国」という言葉もでてこない。ISは元の詩を意図的にリメイクしたのではないか。


このナシードの歌詞をたどっていくと元々はトルコ人の詩人ジェンギズ・ヌマノオールが90年代に書いた詩の一部が元になっているようだ。彼はイスラムに関する詩が多く、信仰への思いを詠んでいるが、ISの過激主義を賞賛してはいない。

トルコ人もそしてクルド人も結婚式でも、ピクニックでも宴があればよく歌う。日本のカラオケとは異なり、誰もがともに歌える伝統の歌というのがある。ゆえに日本の歌を歌ってと言われるたびに、戸惑うこともしばしばだ。戦闘員が戦場でともに歌えば、志気も高まり、結束も固くなる。

ISといえば不気味な歌詞が並ぶ処刑歌のようなナシードが知れられるが、「殺せ」と連呼するよりも、胸に響く歌詞を織り込んだナシードのほうが、何度もリフレインされ、心に残る。ジハードへの思いを掻き立て、「天国の近道」と殉教を説く。ナシードの果たす役割は大きい。 

<< 前へ IS・歌から読み解く(16)「わが復讐」(フランス語)

>> 次へ 歌から読み解く(18) ヌスラ戦線 >>

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>