イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS動画・日本語訳】イスラム国(IS) 自爆突撃したトルコ人戦闘員の言葉

◆IS映像をどう見るべきか

この映像は武装組織イスラム国(IS)に参加したトルコ人戦闘員が、自爆攻撃の前に最後のメッセージを遺したもの。今年3月、イラクでの自爆作戦である。物静かに「アッラーから与えられた使命」のために出撃するのだと両親や友人たちに語る姿を見る限り、彼はきっと「いい人」だったように見える。確かに、信仰心やムスリム共同体建設の理想からISに参加した者もいる。彼らが語る言葉は「ウソ」ではないだろう。だがISの実態はそれだけではわからない。

動画が表示されない場合はadblockをOFFにしてみてください
【動画・日本語訳】トルコ人戦闘員の自爆攻撃(一部意訳・転載禁止)
イラク・サラハディンでイラク軍陣地に対する自爆攻撃を敢行したのは、トルコ人戦闘員で組織名アブ・アル・アミール・アル・トルキ。起爆スイッチはダッシュボード部分につながれているようだ。腰には自爆ベルトをつけているのがわかる。車両での自爆に失敗した場合などに、拘束される前に自決するためだ。挿入されている歌はトルコ語で「ジハードの道」というナシード。

ISに拉致され、のちに脱出したヤズディ女性の証言は悲痛に満ちている。小学生の女児が戦闘員にレイプされ、仲間内で何度も「転売」されたことや、逃げようとして車でひき殺された女性もいる。施設に監禁され、殺人訓練を受けたヤズディの子どもたち。内部住民の話からは、司令官が金を持ち逃げしたり、賄賂を住民に要求する例が横行していることも明らかとなっている。アッラーの代理人のごとくふるまいジハードを掲げる彼らの別の姿である。

f:id:ronahi:20160719182902j:plainトルコ人戦闘員アブ・アル・アミール・アル・トルキの自爆攻撃映像は「サラハディン県広報局」として一連の作戦でのものとあわせて今年4月下旬に公開されたが、彼の自爆攻撃は3月14日に敢行されている。指一本を掲げるのは「神はアッラーのみ」を意味する。(IS映像)

ネットに流れる情報は確かに「有用」だが、それはやはり二次情報である場合が多く、根拠の曖昧なものが含まれている。現場からの一次情報に直接接し、当事者、被害者の肉声や証言に触れ、記録することの重要性はここにあると思う。

これまでずっとIS映像に解説を加えてアップしてきたが、こうした映像はプロパガンダであることも書き添えている。ISを検証するとはいえ、いまのように宣伝映像を公開するやり方がいいかどうかは今でも思い悩む。興味本位に動画を転載する者までいる。一方で、シリアやイラクで人びとに何が起きているのかを知る手がかりとしたり、日本人も殺されるようになったいま、その対策や議論のためには、彼らの思考回路を知るのは大切だと思う。日本が今後、望むと望まざるに関わらず、IS問題に軍事的な関わりをすることになるなら、なおさらだろう。

f:id:ronahi:20160719182924j:plain写真はアブ・アル・アミールが乗った自爆車両。イラク中西部のアンバル県バイジとサラハディン県ハディーサを結ぶ幹線道付近のイラク軍駐屯地に自爆をかけている。この作戦では、複数の車両が突撃する連続自爆攻撃がなされたようだ。車体全体に鉄板装甲が施されている。タイヤを撃ち抜かれないように車輪部分も覆っているのがわかる。(IS映像)

f:id:ronahi:20160719182937j:plainアブ・アル・アミールの自爆の瞬間としてISが公開したもの。戦争という行為において、戦いに殉じるというのはやはり重い。それが軍隊どうしの戦闘であれば、仕方なくもない。ISがイラク、シリアの政府軍と戦うだけだったなら、他の武装組織のひとつと変わらなかったかもしれない。だが住民殺戮、ヤズディ女性の拉致、奴隷化、子どもに処刑強要させるなど、ISの組織的性格や凶暴性は他のどの組織とも異なっている。そしていま、世界各地で市民を標的とした差別殺戮を開始する段階に至った。(IS映像)

f:id:ronahi:20160719183153j:plainトラック1台でもかなりの爆発だ。相当の爆薬を積んで突入したと見られる。(IS映像)

新着記事はツイッターで案内しています>>