イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)バングラデシュ・ダッカ襲撃事件 声明全文

◆「十字軍諸国の市民を殺害~今後も攻撃は続く」と声明

1日夜、バングラデシュ・ダッカのレストランを狙った襲撃事件で、武装組織イスラム国(IS)は事件への関与を認める声明をネット上に発表した。襲撃に加わったと見られる5人の写真もあわせて公表。以下は声明の全文(一部意訳)

イスラム国・声明 <バングラデシュ> 【速報】
バングラデシュ・ダッカでの突撃戦で 十字軍国民22名、警官2名を殺害
ヒジュラ暦: 1437年 ラマダン月 27日)

アッラーの恩寵のもと、綿密な監視と追尾行動ののち、5人の殉教の騎士たちアッラーよ 彼らを受け入れたまえ)は、バングラデシュ・ダッカ市において十字軍諸国の市民の集まる場所への攻撃戦を敢行し、イタリア人7名を含む22名の十字軍国民と、バングラデシュ警察官2名を殺し、50名以上を負傷させることを成し遂げた。航空機が空爆ムスリムを殺害する限り、十字軍諸国の国民がジハード戦士の攻撃から安全な場所などないことを思い知らしめよ。次を待っておけ、それはアッラーの御意のもと、さらに過酷で、より恐ろしいものとなるであろう。
【およそアッラーは、御自分のお思いになられたことを十分に成就なされる。だが、人びとの多くはこれを知らない】

声明の最後の文章【およそアッラーは、御自分のお思いになられたことを十分に成就なされる。だが、人びとの多くはこれを知らない】は、コーランの引用で、ユースフ章:21節の言葉と思われる。

声明では「突撃戦」についてイングマスィという用語が使われている。イングマスィ戦術については以前、記事で動画とともに取り上げているので参考になるかと思う。
イングマスィ戦術・解説記事へ>> 

ISは今年3月のベルギー・ブリュッセル襲撃事件の際にも、機関誌上で「イングマスィ突撃」という用語を使っている。

f:id:ronahi:20160703044942j:plainISがバングラデシュ・ダッカ襲撃について認めた声明(7月3日付)。声明では「イタリア人7人を含む十字軍諸国の市民22名を殺害」としており、日本人については言及していない。またイタリア人の犠牲者など、実際の人数とは異なっている。

事件が起きた早い段階でIS系のアマーク通信は、攻撃はIS戦闘員によるものと報じた。トルコ・イスタンブール空港の襲撃事件での声明は現時点でも出されていないものの、5月末にIS広報官、アブ・ムハンマド・アドナニが発した声明以降、フロリダ銃乱射、パリ警官殺害事件があいついで起きている。この声明では断食月ラマダンにあわせて各地での武装襲撃を呼びかけており、ダッカでの襲撃もこれに呼応したとも考えられる。

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ISがネット上に公表した写真。ダッカ襲撃事件に加わったとされる戦闘員で、「アッラーよ、彼を受け入れたまえ」とあるのは、すでに死亡したことを示している。組織名のアル・ベンガリは「バングラデシュ人」という意味。(IS写真)

公表された戦闘員の写真には、ISの黒い旗の前に立つ戦闘員とともに、ISが通常、「県」を示すときに使われる表記が挿入されている。これまで「県」として認定していなかったバングラデシュを、今後、「県」に昇格させることを視野に入れているとも考えられる。最近、ISは、フィリピンやインドネシア出身の戦闘員がバグダディ師に忠誠を表明する映像をあいついで公開するなど、シリア・イラク以外の地でも、外国人を狙った攻撃の激化を示唆している。

f:id:ronahi:20160703045721j:plainアブ・ムスリム・アル・ベンガリ、アブ・ラヒーク・アル・ベンガリ、アブ・サラマ・アル・ベンガリ、アブ・ウマイル・アル・ベンガリとあるが、いずれも組織名と思われる。(IS写真)

f:id:ronahi:20160703050859j:plainIS系アマーク通信は「速報」として早い段階から事件を繰り返し伝えた。フロリダ銃乱射事件のような「事後承認型」ではなく、作戦前からISが深く関与していたと見られる。

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アマーク通信が「事件現場」として伝えた映像。多数の遺体が映った現場の惨状が映っている。襲撃実行ととともに写真を投稿し、即座に声明を公表する流れが作られていたと考えられる。一部をぼかしています。(アマーク通信映像)

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