イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【IS動画・日本語訳】歌から読み解くシリア・イラクでの戦争(15) イスラム国(IS) 孤児を戦闘員に

空爆被害を子どもに歌わせ「復讐」呼びかけ
武装組織イスラム国(IS)は新たに子どもが歌うナシード(宗教歌)「血には血を」をウェブ上で公開した。子どもがシリアの空爆現場と思われる場所を歩き、その悲しみと怒りを「復讐心に変え、武器をとって報復するのだ」と歌う。

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【IS動画・日本語訳】「血には血を」(一部意訳・転載禁止)
ISは戦闘員を「カリフ国の獅子」と総称する。少年戦闘員についてはカリフ国の「アシュバル」(若き獅子)とし、将来の戦士として軍事訓練や殺人術を学ばせている。こうした子どもたちがすでに「スパイ処刑」をさせられている上に、自爆車両でシリア軍基地に突入させられている。将来はヨーロッパでも子どもを利用した自爆攻撃が起こりうる可能性もある。子どもたちこそ、この戦争の最大の犠牲者である。

ISのプロパガンダで歌わされる子どもを見るのは本当に重苦しい。空爆で巻き込まれた子どもを映像に登場させ、その恨みを怒りに変えさせ、ISは戦争へと駆り立ててゆく。破壊された町を歩かせ、銃を持たせる「演出」をしているのは大人だ。この映像はフランス語で歌われ、英語とアラビア語版の字幕がつけられている。

f:id:ronahi:20160502184220j:plainコーランには「孤児は手厚く処遇すべし」と、多くの記述がある。ISも宣伝映像では孤児施設を紹介し、いかに自分たちが孤児に福祉や教育を施しているかを繰り返し見せる。写真はイラク・モスルの孤児施設を紹介した映像。(2016年・イラク・IS映像)

戦時中の日本やドイツにも軍国少年雑誌や映画館での戦意高揚映像はあふれていた。それから70年たったいま、21世紀をすぎたというのに、こうしたことが今もって続く「人間の業」の悲しさにどう向き合えばいいのか。その思いを感じながら、この映像に出てくる子どもたちを見ていただきたい。

f:id:ronahi:20160502184338j:plain「孤児はコーランのお導きのもと手厚い支援を受ける」とISは宣伝するが、子どもたちを戦闘員として養成している現実がある。写真はイラク・モスルの孤児施設で格闘訓練をする子どもたち。(2016年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20160502184918j:plainISは子どもたちを少年戦闘員として養成し、実弾訓練まで強いている。子どもたちこそこの戦争の最大の犠牲者であり、どう救出し、保護するかも今後の課題となるだろう。(2015年・シリア・IS映像)

f:id:ronahi:20160502193200j:plainIS支配地域内にはメディア広報ポイントが各所に設置され、子どもたちを集めては常時、殺戮映像が上映されている。村をまわるための大型テレビを据付けた宣伝巡回ワゴンまである。昨年、ISは衛星放送の視聴を禁止する通達を出した。そうしたなかで、子どもたちは戦闘や斬首映像ばかりを見せられている。(2016年・イラク・IS映像)

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