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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS動画・日本語訳】イスラム国(IS)少年戦闘員を養成し、「褒美」としてスパイ処刑を強要

 ◆「自分探し」で人殺しにやってこられたら住民はたまったものではない
先日、イスラム国(IS)支配地域に入ろうとしたとされる日本人青年がトルコで拘束され、送還される事件があった。本人がどういうつもりでIS地域に近づこうとしたのかは不明だが、一昨年の北大生の事件も含めて、もし彼らの動機が「自分探し」「根性だめし」「死に場所探し」だとするなら残念である。日本では「バカだねえ」程度ですむかもしれない。自分のシリア人の友人たちの多くが、この内戦で、そしてISの侵攻で家も住む場所も失い、国外に難民として逃れ、一部は国内避難民となった。日本人が「自分探し」するために、シリアに人殺しにやってこられたら住民はたまったものではない。

〔動画〕少年戦闘員要請と処刑強要 14分24秒 (シリア・デリゾール近郊・転載禁止)
(残酷映像にはボカシを入れていますが一部過激なシーンも含まれます)
タイトルに「ユダヤの息子(子孫)どもへ」とあるのは、この残虐映像はユダヤへの警告だ、という意味。出てくるのは、まだ幼い少年たち5人で、シリア政府軍協力者された男たちを次々と処刑していく残酷な映像だ。この過激組織がどれほど残虐なことをしているかを知っておいてほしい。

f:id:ronahi:20160404152948j:plain「スパイ処刑」をさせられる子どもたちは、各国からIS地域に親とともに「移住」してきたと見られる。モロッコ、エジプト、タジキスタントルキスタンウイグル)などだ。メッセージの言語もそれぞれ母国語だ。こうした子どもたちもISの被害者であり、ISを壊滅に追い込んだとしても、子どもの救出・保護や母国への帰還も課題となるだろう。(IS映像)

f:id:ronahi:20160404152958j:plain映像が撮影されたのはシリア東部デリゾール近郊で、迷路ゲームのように殺人をさせられる場所は、13世紀のマムルーク朝時代に建てられたラハバ城と思われる。宣伝映像のために複数のカメラを城内に設置し、さらにドローンで空撮までして子どもによる「処刑シーン」を最大限に演出している。(写真はwikipediaより)

f:id:ronahi:20160404153007j:plain最後に登場するサルマン・シンジャーリと名乗る少年はイラク・シンジャルで拉致されたヤズディ教徒である。彼だけわざわざ「解放奴隷」とつけられているのは、「異教徒奴隷だったがISが改宗させて救ってあげた」という意味で強調したと見られる。おそらく母親やきょうだいも連行されていると思われる。これまでIS地域から脱出できたヤズディ少年の話を総合すると、女性は奴隷・強制結婚させられ、少年は戦闘員訓練施設に入れられている。施設では命令を聞かなければ家族・兄弟を殺すと脅され、殺人訓練を強いられている。この映像では彼は最も凄惨なナイフによる斬首をさせられている。生きるために人間の首を切り落さなければならなかったヤズディ少年はどれだけ辛かったことか。(IS映像)

今回、ISの残虐行為のひとつを伝えるために、昨年11月に公開された映像を取り上げる。コーランの読誦大会や格闘競技をさせて、優秀な成績を収めた子どもたちを選び、その「ご褒美」としてスパイを殺させるというものだ。

映像を見て「こんな野蛮な集団は空爆で殺してしまえ」とする主張も出るだろう。だが、爆弾を落とす先にはこうして捕らわれている子どもたちもいる。彼らもISの被害者である。さらにISは空爆されないよう民家の近くに分散して拠点を置いたりする。そして空爆で住民に犠牲が出ると、「アメリカがやった」と宣伝する。IS壊滅の難しさはここにある。

さて、IS志願の日本人の話に戻そう。もしあなたが「何か世の役に立ちたい」と思いながらも進路や生活に悩みを抱えた日本人青年ならば、いろんなボランティアや海外青年協力隊という道もある。いつも「自分探し」をしている人間が自分を見つけるのは容易ではないだろうが、それでも体力に自信があるなら消防士や自衛隊の窓口もある。

ISはこれまで取材してきたどんな組織とも違う。興味本位でツイッターフェイスブックでメッセージを送ったりすることも含めて、彼らには近づこうとしないでほしい。

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