イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【IS声明 全文・日本語訳】イスラム国(IS)ベルギー・ブリュッセル連続爆弾攻撃・声明文

武装組織イスラム国(IS)は3月22日、ベルギー・ブリュッセルで起きた地下鉄駅と空港での同時多発襲撃事件で犯行を認める声明を発表した。事件から数時間後にウェブ上で公表され、また機関誌でも事件を伝える記事を掲載するなど事前に準備していたことさえうかがわせる。声明はアラビア語、フランス語のほか英語、ロシア語、ドイツ語、トルコ語などでも出されている。昨年11月のパリ襲撃事件での声明のようなコーランの言葉を引用する手法は見られないものの、事件が発生してすぐに各言語で声明を出すなどすばやい動きである。以下は声明全文。(一部意訳しています) 
十字軍・ベルギーに対するブリュッセルでの祝福されし攻撃戦に関する声明
ヒジュラ暦 1437年ジュマダ・アル・アーヒラ月12日
 
アッラーの恩寵のもと、カリフ国アッラーからの栄誉と勝利が授けられんことを)の治安戦隊は、イスラム教とその民に対する戦争を止めぬ十字軍国・ベルギーを標的とした。アッラーのお力添えをもって、わが兄弟同胞は十字軍どもの牙城にて、彼らの心に恐怖を投げ込んだ。

自爆ベルトを装着し、爆発物と自動小銃で武装したカリフ国の複数の兵士たちがベルギーの首都ブリュッセルにおいて、綿密に選定された地点に向けて進攻した。

彼らはブリュッセルの空港、地下鉄の駅を急襲し、多数の十字軍の一員どもを抹殺し、不信仰者の群れの只中で自爆ベルトを爆発させた。一連の攻撃で、十字軍国民、40人以上を殺し、210人以上を負傷させた。アッラーにこそすべての称讃あれ。

イスラム国に対する戦争に荷担するすべての十字軍国民に暗黒の日々をもたらすことを我々は約束する。そして攻撃に対しては、アッラーの御認めのもとにさらなる破滅と辛苦がもたらされることになるであろう。アッラーによる御清算と成就に称讃あれ。わが兄弟同胞たちを殉教者としてアッラーがお受け入れになり給うことを請い願うものである。
【訳注1】十字軍: この声明で使われる十字軍とは、「ISに敵対するキリスト教諸国やその同盟国」を意味する。ISの規定では、日本もこの十字軍の同盟国ということになる。
【訳注2】 カリフ国: カリフとはもともと預言者ムハンマド亡きあとのイスラム共同体(ウンマ)、またはイスラム国家における最高権威、指導者の称号。ISは、指導者バグダディ師を「カリフ」などとし、シャリーアイスラム法)に統治されるスンニ派イスラム国家の建設を掲げている。とくにバグダディ師が公然と姿を現した2014 年以降は、「カリフ制の下の国家」という意味で「カリフ国」(カリーファまたはヒラーファ)の表現が目立って使われるようになっている。

f:id:ronahi:20160328093905j:plainISによる2回目の地下鉄マールベーク駅での爆弾攻撃はブリュッセル中心部、EU本部、欧州議会などが集中する地区で発生。1回目の空港での攻撃とあわせてこれまで30人以上が死亡、負傷者は200人を超える犠牲が出ている。18日にはモレンベーク地区での一斉捜索でパリ襲撃事件で逃亡中だったサラ・アブデスラム容疑者が逮捕されたが、その警戒網を破っての連続爆弾攻撃となった。

f:id:ronahi:20160323133657j:plain3月22日、事件から数時間後にISが犯行を認める声明をウェブ上に公表。アラビア語のほかフランス語、英語などでも出され、ISのラジオ放送アル・バヤンでも声明が読み上げられた。

f:id:ronahi:20160323133819j:plainISの週刊機関誌アン・ナバアは事件当日のうちにブリュッセルでの攻撃についての記事を掲載し発行。モレンベークでアブデルサラム容疑者が拘束された際に行なわれたベルギー治安当局の一斉捜索から数日後の攻撃だったことなどについて記述している。アン・ナバアはIS支配地域内で印刷され戦闘員や住民に配布されている。

f:id:ronahi:20160323134601j:plain3月22日、事件直後、IS支配下のハイル(シリア東部・デリゾール近郊)でブリュッセルの攻撃を祝福して、ISメンバーが住民と子どもにお菓子を配る写真まで公開された。(IS公表写真より)

f:id:ronahi:20160323134836j:plainお菓子をもらう子どもたち。事件を宣伝して最大限に利用しようとしているのが伺える。(IS公表写真より)

f:id:ronahi:20160323135007j:plainベルギー当局が公表した、空港での爆弾攻撃の容疑者とされる3名。左の2人は自爆で死亡し、右の男は逃亡中とされる。

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