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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

〔パリ襲撃事件〕アバウド容疑者が登場していたイスラム国(IS)誌のインタビュー全文(日本語訳)Dabiq7

フランスのメディアは、パリ連続襲撃事件の中心人物としてモロッコ系ベルギー人のアビデルハミド・アバウド疑者(27)が事件に深く関与したと伝えている。今年1月、ベルギー警察は東部ベルビエで過激組織拠点を摘発し、容疑者2人を射殺、1人を逮捕した。組織は警察官らの殺害を計画し、その作戦を指揮していたのがアバウド容疑者とされる。ベルギー国籍のアバウド容疑者は2013年、内戦後のシリアに渡り、武装組織イスラム国(IS)の指示を受けて再びベルギーに戻りいくつかの襲撃作戦を準備、今年1月の警察による拠点摘発で捜索の手が及ぶなか、再度シリア入りしたのち作戦のためにあらたにヨーロッパに向い、パリ襲撃事件を企てたと見られている。 アバウド容疑者は今年2月に公開されたISの英語機関誌ダービク 第7号に、アブ・ウマル・アル・ベルジキという組織名で登場している。(ベルジキは「ベルギー出身」を意味する)以下はそのインタビューの全文(一部意訳)

アブ・ウマル・アル・ベルジキ(アブデルハミド・アバウド):インタビュー
(ダービク第7号)

ダービクは、ベルギーにおけるジハード(聖戦)ゆえに西側諸国の情報機関が血眼になって追うアブ・ウマル・アル・ベルジキ(アブデルハミド・アバウド)とのインタビューをおこなった。シリアに到着した同胞を我々は挨拶で迎え、以下の質問をした。

ダービク:なぜベルギーに行ったのですか?

アブ・ウマル:アッラーのご加護のもと、この自分、そしてアブズ・ズベイル(ハリッド)、アブ・ハリッド(スフィアン)をアッラーがお選びになった。イスラム教徒に対する戦争を仕掛ける十字軍どもを恐怖に陥れることを目的にヨーロッパに渡るためだ。知ってのとおり、ベルギーはイラクとシリアのイスラム教徒を攻撃する十字軍同盟の一員だ。

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アバウド容疑者が登場するダービク第7号は1月にパリで起きたシャルリー・エブド誌襲撃事件を大きく取り上げた号で、「十字軍とその同盟者」を攻撃する主張を展開、また後藤健二さんら日本人人質殺害事件についてはその巻頭言で、安倍首相を名指しで非難し、「日本も標的となった」とする文書を掲載している。(写真はIS機関誌ダービクより)

ダービク:ほかに同胞兄弟たちは一緒にいたのでしょうか?

アブ・ウマル:いや、我々3人だけだ。いま、我々の名前は、あらゆるニュースで報じられている。

ダービク:ベルギーに行くのは困難を要したでしょうか?

アブ・ウマル:その期間、我々はいくつもの裁判に直面していた。ヨーロッパに入る方策を探すのに数か月かけた。アッラーのお力により、ついにベルギーに潜入する道筋を見つけた。十字軍どもに対する攻撃作戦を準備する一方、武器を入手することに成功し、潜伏拠点を確保した。

ダービク:不信仰者のメディア機関はジハード兵士たるあなたがたの写真をどのように手に入れたのでしょうか。

アブ・ウマル:戦闘の前に、ある兄弟同胞が我々が写るビデオを撮影した。だがそのカメラを紛失し、のちにそれを背教徒が西側ジャーナリストに売ったのだ。突然、自分の写真をたくさんのメディアで見ることになったが、アッラーはそのお力で、この不信仰者どもの目を塞いだ。警官に呼び止められて自分の顔写真と照合されたこともあるが、類似点を見つけられることもなく、その場を立ち去ることができた。まさにアッラーの恩寵以外の何であろうか。

ダービク:ベルギー当局との戦闘があった日は、何が起きたのでしょうか?

アブ・ウマル:アブズ・ズベイルとアブ・ハリド(アッラーが彼らを受け入れ給わんことを)は、武器と爆発物を準備して一緒に潜伏拠点にいた。不信仰者どもがベルギーとフランスの特殊部隊からなる150人以上の兵士をもって、その拠点を急襲した。約10分に及ぶ銃撃戦で、ふたりの兄弟同胞は殉教した。それは彼らがずっと望んできたことである。2人をお受け入れになるようアッラーに請う。

ダービク:この急襲があったとき、その場にいなかったのであれば、なぜあなたが容疑者とされたのでしょうか?

アブ・ウマル:以前、投獄されたことがあるため、情報機関は自分のことを知っている。やつらは潜伏拠点への急襲のあと、自分もあの場所に兄弟同胞とともにいて、作戦を計画していた、とした。自分を拘束するために、欧米各国の情報機関がかき集められ、ギリシャ、スペイン、フランス、ベルギーでイスラム教徒が逮捕された。この一連の逮捕者のなかには、我々の計画には関与しない者までいた。これらイスラム教徒が十字軍の刑務所から釈放されることをアッラーに願う。

ダービク:シリアへの渡航について、お話いただけますか?

アブ・ウマル:アッラーが、やつらの目を塞いだ。いくつもの情報機関の手が迫りつつも、シリアに来ることができたのだ。イスラム教徒は、十字軍の情報機関が誇張したイメージに恐れをなすべきではないことを示している。自分の名前と顔写真がニュースで大きく報じられていたさなか、その本土に留まり、やつらに対する作戦を立案し、必要であると判断したとき安全にそこを去ることができた。アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、ベルギーの十字軍どもを恐怖に叩き込んだ。殉教者たちがなした意義あるこの行為をアッラーがお受け入れになることを請い願う。

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1月のベルギー事件ののちに実際にこのインタビューがなされたのか不明だが、IS支配地域内で撮影された写真が掲載されていることから、アバウド容疑者が過去にシリアにいたことは間違いないと見られる。パリ襲撃事件でアバウド容疑者がどこまで関与したか、現在どこにいるかどうかは不明。(写真はIS機関誌ダービクより)

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左の2人が1月のベルギー警察との銃撃戦で死亡したハッド・ブン・ラルビ(組織名アブズ・ズベイル)、スフィアン・アムガル(組織名アブ・ハリド)と思われる。右端がアブ・ウマル・アル・ベルジキ(アブデルハミド・アバウド)。インタビューでは、自分の顔写真が出回っていることについて話しているが、これは笑いながらトラックを運転し、たくさんの死体にロープをつけて引きずる映像のことを指していると思われる。「映像は紛失したのを売られた」と、いいわけをしている印象を受ける。(写真はIS機関誌ダービクより)

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