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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画+写真22枚】イスラム国(IS)戦術分析(7)◆爆破戦術と爆弾製造工場

◆IS関連 ◆IS戦術分析

◆爆弾を地下工場で大量生産 【動画+写真22枚】
米軍やイラク軍は路肩爆弾には苦しめられ、防爆装甲車や爆弾処理ロボットを大量に現場に投入した。処理班の兵士が命がけで道路で除去作業をしても、その夜にはまた爆弾が埋められる。これが繰り返され、戦死者の数だけが増えてきた。今回は、IS爆弾戦術やイラク軍爆弾処理班などについて取り上げる。

【動画】シリア・タドムル刑務所の爆破 (転載禁止)
今年5月、ISはシリア・パルミラ遺跡のある町、ホムス県タドムルの刑務所を爆破。内戦前から反体制活動家にとってこの刑務所はアサド政権による抑圧の象徴でもあった。クルド組織も含め、多くの活動家がここで拷問を受けた。ISは刑務所を接収して自分達が使えばよさそうなものだが、あえて爆破し映像を公開したのは、組織宣伝に加え他のイスラム武装組織への勢力誇示や影響力拡大という効果も狙ったものだろう。爆弾を戦闘で使う以外に、プロパガンダとして有効に使った例といえる。映像の「ヌサイリ」とはISがアラウィ派のアサド政権を侮蔑的に呼ぶ用語。刑務所から連れ出したシリア政府軍兵士はパルミラ遺跡のローマ劇場に集団で並ばせ、少年兵に殺害させている。

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ISが公開したイラクファルージャの爆弾製造工場。鋼管を切って、即製爆発物(IED)の容器を作っている。背後に積まれた鉄板の蓋の多さから、大量生産されていることがうかがえる。(IS映像)

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こうした即製爆発物は路肩爆弾などに使われる。アラビア語では「アブワ・ナスィファ」と呼ばれる。(IS映像)

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これもファルージャだが、別の場所とみられる。爆薬も大量製造している。(IS映像)

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爆薬を容器に詰め込む作業。運びやすいように取っ手がついている。(IS映像)

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平型の容器は道路に埋められる路肩爆弾などによく使われる。(IS映像)

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この工場ではさまざまなタイプの爆弾が製造されているようだ。円錐型、平型のほか、青いポリ容器も爆弾とみられる。(IS映像)

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製造作業にあたるのはほとんど戦闘員。爆弾製造工場は米軍やイラク軍の空爆の標的となるうえ、作業中の爆発事故なども起きるため危険度は高い。足元に並ぶポリ容器も爆薬が詰められ、起爆ケーブルが取り付けられている。(IS映像)

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これはイラク・ディアラの別の工場。ここではファルージャのように鋼管を切るのではなく、溶かした鉄を型枠に流し込んで容器を製造しているようだ。(IS映像)

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たくさんの型枠に、溶かした鉄を流し込んで量産している。これまでは都市や農村の隠れ家でひそかに爆弾を作り、道路に仕掛けて攻撃するゲリラ的な戦術だったが、ISが広大な地域を支配するようになると、シリア・イラクの各地にいくつもの爆弾工場ができ、大量製造されるようになった。(IS映像)

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シリア・ダマスカスで敵対組織との戦闘で使われた即製爆弾。これだけでも小さなコンクリート建てのアパートぐらいなら吹き飛ばせる威力だ。(IS映像)

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クルド組織・人民防衛隊(YPG)が鹵獲したISの自爆車両。大量の円筒缶型爆弾が積まれている。缶1つで50~60kgと言われる。トラックのフロント部分は撃たれないよう鉄板を取り付けている。自爆を阻止しても、これだけの爆弾を無力化して処理するのは容易ではない。(YPG映像)

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これはISの前身組織、「イラクイスラム国(ISI)」の頃に公開された映像。殺傷力を高めるためにベアリング鉄球を仕込ませている。こうした対人殺傷力の強い即製爆弾は、イラク政府機関を狙うだけでなく、人が集まる市場などでも使われ、数多くの一般市民を殺害してきた。(ISI映像)

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シリアで使われた自爆車両の荷台に積まれた爆弾。破壊力を増すため、ソフトボールほどの大きさの鉄球まで詰め込まれている。(IS映像)

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ポリ容器の爆弾は道路に埋めて路肩爆弾に使われるほか、基地の防護壁爆破や橋の破壊などに使われる。防弾装甲の車両でも、これひとつで吹き飛ぶ。(IS映像)

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ポリ容器爆弾は近接戦でも使われる。ラマディでの戦闘で、すぐ先のイラク軍拠点に爆弾を投げ込むIS戦闘員。ライターで点火し、数秒で爆発する。遠くに投げるのも容易ではないと思われるので、投げるほうもかなり危険だ。(IS映像)

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制圧したイラク軍施設を爆破するのに大量に使われたポリ容器爆弾。起爆ケーブルをつなぐ絶縁テープに「ビニテープ」と日本語の文字があるのが悲しい。右はポリ容器爆弾の上に、平型爆弾もつなげている。(IS映像)

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ISは爆弾を戦闘だけでなく、象徴的建物を爆破してプロパガンダにも使う。シリア・パルミラ遺跡の建物は「多神教偶像崇拝の象徴」などとしてあいついで爆破された。柱部分に爆弾が置かれ起爆ケーブルでつながれているのがわかる。派手な爆破にするほど、宣伝効果が高まる。(IS映像)

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米軍やイラク軍は、即製爆発物や路肩爆弾に苦しめられてきた。写真は米軍から供与された爆弾処理ロボットを扱うイラク軍の爆弾処理部隊。遠隔操作でアームを操作する。だが最後は人間の手作業によるところが大きく、即製爆発物に対する決定的な対策があるわけではない。(2010年・イラク・モスル・撮影:玉本)

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処理ロボットをモニター画面で遠隔操作して爆弾を取り扱う。(2010年・イラク・モスル・撮影:玉本)

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イラク軍爆弾処理作業部隊の殉職者の写真。アメリカの作り出した混乱が武装組織の台頭を招き、イラク軍がアメリカの武器を買って、イラク人どうしが殺しあった。戦争は終わるどころか、シリア内戦でさらに拡大し、未曾有の過激組織ISが広大な地域を支配する結果となった。(2010年・イラク・モスル・撮影:玉本)

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写真はシリア・コバニの前線を取材したときのもの。クルド組織YPGがIS拠点を襲撃して戦闘員を殺害し制圧。多数の武器・弾薬と爆発物を押収した。左上の銀色の容器は牛乳を入れるときなどに使われるが、爆薬が詰まっている。様々な手製小型爆弾が使われているのがわかる。いちばん下にあるのが、IS戦闘員が腰に装着する自爆ベルトで、アラビア語で「ヒザム・ナスィファ」と呼ばれる。(2014年12月・シリア・コバニ・撮影:坂本)

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写真左が自爆ベルトの内部。A4用紙を縦に半分に折ったほどの長さで、これをポーチ状の袋に入れ、腰に装着する。黒いケーブルの先には手榴弾で使われる起爆ピンがつけられている。これを抜くと爆発する。弾薬が尽きたときに自爆肉弾攻撃をしたり、負傷して捕虜になる前に敵を巻き添えに爆発する。写真右は自爆ベルトのケーブルを切断する作業のときのもの。米軍やイラク軍は処理ロボットを使うか、緊急時でも静電気を防ぐためゴム手袋をしてニッパーでケーブルを切断するが、コバニの前線にそうしたものもなく、素手でカッターで切っていた。これはさすがに怖かった。(2014年12月・シリア・コバニ)

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