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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【動画+写真22枚】イスラム国(IS)戦術分析(5)◆砲弾製造と迫撃弾攻撃

◆IS戦術分析 ◆IS関連

◆敵陣砲撃と地下工場での砲弾製造【動画+写真22枚】
自衛隊サマワ派遣されていた約2年間のあいだに計20発前後の迫撃弾が宿営地に撃ち込まれている。今回は、自衛隊サマワで直面した「迫撃砲弾」に焦点をあててみたい。

【動画・日本語訳】 ISの砲弾製造工場(イラク(転載禁止)
武装組織イスラム国(IS)が公開した「砲弾製造工場」の映像。支配地域の地下工場で迫撃砲とロケット砲などの製造・調整をおこなっている。③に出てくる「ファルージャ県」とはISが支配地域を勝手に作った「県」で、アンバル県ファルージャ一帯にあたる。ファタハ砲弾の「ファタハ」は「開く」という意味だが、他の砲弾名もよくコーランから引用されているので、おそらく勝利章(アル・ファトフ)か開闢章(アル・ファティハ)からと推測される。字幕では「勝利砲」とした。勝利のほかに征服という意味もある。

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これは榴弾砲。昨年6月、イラク・モスルを制圧したISは、敗走したイラク軍基地から大量の武器・砲弾を強奪した。アメリカ製の装甲車、戦闘車や大砲も含まれていた。写真はISがイラク軍から奪ったアメリカ製の M198 155mm榴弾砲で、「戦利品」としてイラクからシリア・ラッカに移送してきたもの。約50門がISの手に渡ったといわれている。射程は18キロ前後とされるので、東京駅から三鷹の直線距離に相当する。(IS映像)

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ISがシリア政府軍から奪った野戦砲。旧ソ連の M-46 130mm砲 に見える。だとすると射程は27キロ。東京から横浜近くまで届く距離だ。こうした大型砲は米軍の空爆の標的にされたり、砲弾調達の問題もあり、近接した前線では迫撃砲やロケット砲が使われる。(IS映像)

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シリア政府軍駐屯地を襲撃し、大量の武器・弾薬を奪うIS戦闘員。「アッラーがジハード戦士に授けた戦利品」とされている。武器庫を襲撃し砲弾を入手するが、各戦線の野戦砲に安定供給できるほど大量にあるわけではない。野戦砲は遠方から撃ちこむが、最前線ではやはり迫撃砲とロケット砲が有効だ。迫撃砲弾調達のため、ISは支配地域にいくつもの地下製造工場を作っている。(IS映像)

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イラク・ディアラ県下の砲弾製造工場とされる写真。迫撃砲用の砲弾の弾体を旋盤で加工している。砲弾はイラク軍やシリア軍から奪ったものが多いが、種類も異なる上に、数は限られている。このため砲弾部品を組み合わせ、規格を揃えて爆薬を詰め直す自作弾も使用される。(IS映像)

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尾翼部分は、廃棄砲弾や損傷品を分解して付け換えるものや、金属を加工して自作するなど様々だ。(IS映像)

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砲弾の弾頭に取り付ける信管の部品を製造していると思われる。(IS映像)

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イラク・ディアラの工場で砲弾を塗装する様子。(IS映像)

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迫撃砲の砲身も地下工場で修理したり、自作している。こうした工場は空爆の標的にされるので、情報漏れを防ぐため作業にあたるのも戦闘員の場合が多い。写真はイラク・サラハディンの工場で155ミリ砲を製造する様子とされる。(IS映像)

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左が迫撃砲で、右はロケット砲。迫撃砲弾は「打ち上げ花火」のようにボンと発射し、ロケット砲は「ロケット花火」のように推進させながらシューンと飛んでいく。迫撃砲アラビア語で「ハウン」、ロケット砲は「サルーフ」だが、ISはロケット砲をカチューシャやグラードと呼ぶこともある。カチューシャは一般に多連装砲を指すが、ISは写真のような単体ロケットもカチューシャと呼んだりする。迫撃弾、ロケット弾とも着弾時の爆発に加え、炸裂した砲弾の金属片で人を殺傷する。戦場では、銃撃よりも砲弾による被害が大半を占める。(IS映像)

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発射角度の設定。「銃をふりまわすだけの野蛮な集団」とイメージしがちだが、ISにはイラク軍やシリア軍の元兵士だけでなく、外国の元特殊部隊員も加わっているので砲術能力は有している。(IS映像)

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こうした照準機(コリメーター)やコンパスのほかに、ドローンやGoogle earth衛星写真なども駆使して目標を選定し、距離を割り出すのであなどれない。プロパガンダ映像ではすべて命中しているような写真が並ぶが、どこの軍隊でもあるように、発射しても何割かは標的を外れるし、敵軍だけでなく前線の自軍部隊に落ちることもある。(IS映像)

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照準機と計算機を使って砲弾の着弾位置測定や弾道計算をしてシリア軍陣地に砲撃を加える。(IS映像)

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ガスボンベの容器を改造したのか、爆薬を詰めて砲弾にしていると見られる。(IS映像)

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こちらはロケット弾。シリア・アレッポ県内で政府軍拠点への攻撃のものとされる。尾翼の羽が溶接で取り付けられ、自作されているのがわかる。支配地域内の製造工場ごとでも開発モデルが異なるようだ。(IS映像)

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シリア政府軍に向けて発射されるロケット弾。なかにはまっすぐに飛んでいないものも。(IS映像)

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これはイラク・サラハディンの戦闘でよく使われるダンプの荷台を改造した自家製ロケット発射台。ISの「カチューシャ砲」である。機関砲はよくトヨタ小型トラックに取り付けられるが、カチューシャ砲は韓国ヒュンダイのダンプが多い。この「ヒュンダイ砲」の車体はHyundai HD78 のようだ。3連発射になっている。(IS映像)

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イラク軍基地を狙う「ヒュンダイ砲」の発射で照準機を使い、射出角度を調整する様子。(IS映像)

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自家製カチューシャ砲の発射角度設定(左)と、発射ボタン(右)。(IS映像)

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シリア・コバニで使われた多連装ロケット砲。ISは「カチューシャ砲」や「グラード砲」と呼ぶ。シリア政府軍から奪ったものと思われる。コバニはトルコ国境に接するが、トルコ領内に着弾しないように弾道計算した上で、コバニの住民居住区に砲撃を加えていた。トルコに着弾すると、トルコ軍がIS陣地に報復射撃をおこなうからだ。(IS映像)

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コバニに撃ち込まれたISのロケット砲弾。取材の3日前、この砲弾が3人の住民の命を奪った。(2014年12月・撮影:坂本)

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砲弾の筐体の金属は爆発で切り裂かれ、鋭いカッターのようになっていた。爆発に加え、炸裂時に飛び散る砲片で人を殺傷する。砲弾の先にいるのは戦闘員だけではない。逃げ場のない市民がいちばんの犠牲となっている。(2014年12月・撮影:坂本)

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ISの激しい砲撃で破壊されたコバニの街角で路地を歩くと、壁がなくなっている家が目立った。数百メートル先のIS拠点から撃たれた大量の砲弾で、民家の壁は吹き飛ばされていた。(2014年12月・撮影:坂本)

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