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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

〔イラク・シリア〕イスラム国(IS)が機関誌でノルウェー人、中国人の人質公開~「十字軍同盟の日本外交団は標的」との記載も

◆人質2人を機関誌上で公表~接触先の電話まで記載
武装組織イスラム国(IS)は9月9日、機関誌ダービク第11号(英語版)をウェブ上で公開した。誌面では「捕虜売り出し」と見出しをつけ、人質とするノルウェー人と中国人の写真を掲載、身代金を要求している。「期間限定の接触先」として交渉用と見られる電話番号まで示されている。番号はイラクの国番号で始まる携帯電話番号となっている。

f:id:ronahi:20160202150746j:plainISがノルウェー人人質として公開した男性。オレ・ヨハン・グリムスガールド・オフスタッド(48歳)とあり、「期間限定の接触先」として交渉用と見られる電話番号まで掲載されている。どこでどのように拘束されたかについては記述されていないが、昨日、ノルウェー政府はこの男性が人質となっていることを認めたとAP通信は伝えている。(IS機関誌ダービク第11号より)

2人の人質は黄色い作業服を着せられており、イラク政府がISなど武装組織の受刑者に着せる囚人服を真似ている思われる。AP通信は、昨日、ノルウェーソルベルグ首相が1月末からこの男性がシリアで行方不明となっていたこと認めたうえで、「身代金を払うことはない」と会見したと伝えている。この男性のフェイスブックには、1月下旬にシリア東部のイドリブ県に入ったことが書き込まれており、それ以降、消息を絶ったと見られる。
中国人についての詳細はまだ判明していないが、ダービク誌上では「北京出身のコンサルタント」と記されている。これまでの外国人誘拐と異なるのは、いきなりビデオを公開するのではなく、まず機関誌で写真を公表し、交渉用の電話番号まで記載した点だ。これがあらたな戦術か、宣伝効果を狙ったものかはわからない。

f:id:ronahi:20160202150754j:plain中国人人質とされる男性。ファン・ジンフイ(50歳)、職業はコンサルタントとある。(IS機関誌ダービク第11号より)

先月にはエジプトで活動する「ISシナイ県支部」を名乗る組織が、カイロで拉致したクロアチア人の映像を公開しエジプト政府に囚人釈放を求めたが、期限までに要求が聞き入れられなかったとして人質を処刑している。ノルウェーや中国の対応次第では、人質が生命の危険にさらされる可能性がある。ISは最近、残虐な手法で敵対するシリアやイラク政府軍の捕虜やスパイの殺害映像を相次いで公開しており、子どもに処刑を強要するなどしている。中国人が実際に人質となっていて、もし解放されない場合、プロパガンダ効果を狙ってウイグル人戦闘員に処刑させるなどの事態も予想される。
◆「十字軍同盟の日本外交団は標的」との記載も
このほか、ダービクはISと敵対するアメリカ主導の軍事同盟についても記述。アメリカに協力する国々や組織を「十字軍同盟」と規定し、その国の市民や関係機関を標的にすることを呼びかけている。なかには「ボスニア、マレーシア、インドネシアで活動する日本の外交団を狙ってはどうか」との記載もあり、日本がISの攻撃対象となったことをあらためて示唆するものとなっている。今年2月に公表されたダービク第7号では、後藤健二さんらの日本人人質殺害に関する声明を「巻頭言」として掲載し、「すべての日本国民とその権益が、わがカリフ国の兵士たち、そしてその協力者たちの標的となる」と宣言している。

f:id:ronahi:20160202150838j:plainIS機関誌ダービク第11号では、アメリカに協力する国々や組織を「十字軍同盟」と規定し、十字軍に参加する国の市民を標的にすることに加え、具体的な攻撃対象として挙げられたいくつかの例が挙げられている。そのなかには「ボスニア、マレーシア、インドネシアで活動する日本の外交団などを狙ってみてはどうか」との記載も見られる。(赤く示した部分)IS本体がこうした対象を直接、攻撃することはなくとも、6月のチュニジアでの観光客襲撃事件のように、ISに感化されたり同調する地元組織が行動を起こすことも十分ありうる。

f:id:ronahi:20160202150843j:plainダービク誌は、シリア・パルミラのバール・シャミン神殿とベル神殿を「多神教施設」としてあいついで爆破する様子も公開した。(IS機関誌ダービク第11号より)

【DABIQ(ダービク)】 ダービクとはシリア北部アレッポ近郊の小さな町の名前。アルマゲドンに関するハディース(預言者の言行録)で、「イスラム教徒とローマ(いわゆるキリスト教徒の十字軍)の最終決戦の地」として言及されているとして、ISの機関誌にその名がつけられたとされる。ダービク誌の冒頭には毎号必ず、「イラクから火の手は上がり、十字軍どもをダービクで焼き尽くすまで炎は燃え続ける」と、イラクの聖戦アルイカイダ指導者であったアブ・ムサアブ・ザルカウィの言葉が記されている。

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