イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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【動画】歌から読み解くシリア・イラクでの戦争(5) イスラム国(IS)幹部も歌う・イラクTVはパロディで対抗

武装組織イスラム国(IS)は、ほぼ毎日、戦闘動画を公開している。こうした公式映像と異なり、戦闘員個人がスマホで撮影しYouTubeにアップされたものもいくつか存在する。最近は情報統制でこうした個人投稿は減ったがいまもその一部をネット上で見ることができる。そのなかから戦闘員が歌う様子と、それをパロディにしてしまったイラクTVについて取り上げたい。

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〔動画〕こちらは実際のIS戦闘員の幹部が歌う映像  (02分18秒)
幹部らが声をあわせて歌う曲、「ターバンを巻いたあいつはどこにいる」はサウジの伝統曲の替え歌といわれる。ISらしくシーア派を揶揄したり、指導者バグダディを「正統カリフ」などと強調する歌詞になっていて、「ターバンのあいつ」は、おそらくバグダディ師を指すと思われる。「『あの男』がやって現れて、ついにイスラム国をつくっちまったんだぜ」という感じのようだ。集会や食後のひとときなどでみんなでこれを歌い、仲間との結束を固める。もとはサウジで知られる歌の歌詞を替えたものではないかといわれる。

このIS映像、まず映っている面々がすごい。中央で歌うのはアブ・ターマル・アル・ムハジールと思われる幹部。その右の迷彩服の男は、数々の殺戮を指揮してきた司令官アブ・ワヒブだ。左にはサウジの歌手から戦闘員となり、先日空爆で死亡と伝えられたマヘル・ミシャール、さらにナシード歌手アブドル・カリム の姿も確認できる。 映像の後半には別の動画を追加してみた。同じ歌だが、皆で踊っている様子だ。仲間と歌い、ともに踊る彼ら。喜びや悲しみを共有できる人間の感覚を持っているというのに、どうしてあれほど残酷な殺戮ができるのか。心が重くなる。

イラクTV、歌うISをパロディ番組に

イラクTVは昨年、ISを題材にしたコメディ連続ドラマを放送、番組は大きな反響を呼んだ。バグダディと戦闘員らが好き放題に暴れるドタバタと、国民が手を取り合ってイラクを守るというストーリーだ。バグダディを最高指導者カリフとする「カリフの国」=ヒラーファと、「迷信・妄想」を意味するクラーファをかけて笑い飛ばす。

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〔動画〕【イラクTVドラマ「迷信の国」】
イラクTVのコメディドラマで「ターバンを巻いたあいつはどこにいる」で歌うIS幹部をパロディにするシーン。悪魔や魔物に魅入られたバグダディが、操られるままに宗派対立を煽ってイラクの破壊を企てる。黒ベレーの司令官アブ・ワヒブそっくりの男も登場し、「首切りマニアはどこにいる」とバグダディの前で合唱する。コーラスをするのは旧フセイン政権のバース党の服を着た幹部たちで、ISの背後に彼らがいることを印象づけようとしている。「俺たちはイラクをぶち壊しにやってきた」とISが外国人の加わる無法集団だということをアピールし、最後はバグダディ自身も自己破綻して仲間を殺して自爆してしまう。(イラクTVより)

◆「イスラム国を作ったやつはどこにいる」
イスラム国」という怪物は、いまや日本の半分ほどの広大な地域を手中に収めるまでになった。恐怖で住民を支配し、異教徒は処刑、さらに過激主義を世界中に輸出しようとしている。 大量破壊兵器があると戦争をしかけ、統治に失敗して自軍の犠牲が増えると撤退させて石油だけはちゃっかりいただいたアメリカ。周辺国は過激派を支援して宗派抗争を煽り、大国はチャンスとばかりに各派に武器を売りつけた。怪物を生み出したのはいったい誰なのか。「イスラム国を作ったやつはどこにいる」。イラク戦争を支持した日本も無縁ではない。
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