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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【写真解説】イスラム国(IS)の映像に映るアジア人戦闘員たち(3)~東南アジアにも広がるISネットワーク

◆IS関連

日本人が外国での戦闘に加わる例は過去にたくさんあった。スペイン内戦のジャック白井、中国の八路軍で戦った日本人もいた。パレスチナ闘争の日本赤軍コマンドや、カレン民族解放軍義勇兵となった日本人の民族派右翼の例もある。フランス外人部隊のような「正規軍」を入れるともっと数は多いだろう。これまでのところ武装組織イスラム国(IS)に日本人戦闘員がいることは確認されていないが、いつかジハード(聖戦)を呼びかける映像を見ることになるかもしれない。

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フランスからのアラブ系移民の戦闘員が多いと思われる部隊の映像に映った左右の東洋人。シリア北東部の戦線のようだ。黒覆面の戦闘員が次の写真の中央の男。(2015年 IS映像)

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1枚目の写真と同じ中央の黒覆面の男が、ムハンマドの風刺画を掲載したフランスのシャルリー・エブド紙に対する襲撃を支持するメッセージをフランス語で発し、写真手前にある日本刀を振りかざす。右の小柄な戦闘員は、シャルリー・エブド事件で死亡したクリバリ容疑者の妻でシリアに逃亡したブーメディエンヌ容疑者ではないかとされたが映像では触れられておらず、真偽は不明。少なくとも女性のように見えるが、IS部隊が女性と行動を共にする映像が出ることはないため、女性だとしたら特段の意味のある存在だろう。他の戦闘員が直立不動なのに対して、この小柄な戦闘員は頻繁に体を動かし落ち着きがない様子で、明らかに部隊戦闘員とは異なっている。1枚目の写真の2人の東洋人は同じ部隊にいると思われる。(2015年 IS映像)

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軍事訓練キャンプで、狙撃について講習を受ける様子。左は東南アジア系、右の戦闘員はカザフ人と見られる。撮影場所はシリアと言われている。スコープのついた軍用狙撃銃はオーストリア製のSSG69のようだ。(2014年 IS映像)

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中央アジア系なのか、日本人にいてもおかしくない顔だけに複雑な心境になる。装甲車に乗り込みラッカ近郊のクルド部隊YPG拠点に向けて出撃する。(2015年 IS映像)

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各国から志願者が集まってくるが、実際には誰もが簡単に戦闘員になれるわけではない。まずイスラム教徒でなければならないし、シリア入りしてもスパイでないかの厳しいチェックを受ける。信頼を得るため住民処刑を自ら進んでおこなう状況もあるという。このほか、アラビア語もできなければ他の仲間を戦闘で危険にさらすことにつながる。その上で、過酷な軍事訓練が課される。戦士として使い物にならなければ、民生部門にまわされるか、逃亡を防ぐために処刑される場合さえある。(2014年 IS映像)

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カフカスから仲間とともにISに参加したと語る戦闘員。西欧諸国に加え、旧ソ連圏からの義勇兵は多く、ほとんどの外国人戦闘員志願者はトルコ国境を密かに越えて入り込んで来る。また内戦初期にヌスラ戦線など別組織にいたが、のちにISに加わった者も少なくない。2015年 IS映像)

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今月公開された映像。カンボジア系オーストラリア人のメッセージ映像。仏教徒からイスラム教に改宗しISに参加した、と英語で語っている。映像では仏教を「偶像崇拝」と表現。全身を黒く覆った女性が公園を同伴して歩くシーンが挿入されていることから、シリア現地でISに女性を分け与えられるなどして「結婚」したと思われる。(2015年 IS映像)

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日本人にも見えるし、東南アジア系のようでもある。ISにとっては、自分たちの共同体(ウンマ)に参集してきたイスラム教徒はわけ隔てない同胞となる。建前としては人種的な差別は存在しないことになっているが、実際には文化摩擦で戦闘員どうしでギクシャクすることもあるといわれる。(2014年 IS映像)

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インドネシアからの部隊。インドネシア語でISに参加した意義を語り、指導者バグダディ師への忠誠を表明し、ジハード(聖戦)を呼びかけている。ISに参加した戦闘員はすでに100人を超えているとされ、インドネシア政府は国内での支援活動禁止も含む強力な対策に乗り出している。(2014年 IS映像)

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イラク・サラハディン県で自爆要員となったインドネシア人戦闘員。下の写真は突入用トラックに乗り込むところ。 (2014年 IS映像)

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インドネシア人はイラク軍駐屯地に爆弾5トンを積んだトラックで自爆突撃戦を敢行したとされる。分厚い鉄板を溶接して装甲を施したトラックだ。自爆戦士は「殉教者」として称えられる。 (2014年 IS映像)

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キルクーク近郊でクルド・ペシュメルガ部隊の陣地に自爆攻撃を仕掛けるインドネシア人戦闘員。「殉教戦士のメッセージ」を読み上げ、自爆に向かう。イラク軍から奪ったと見られる戦闘車両ハンヴィーの車内には爆弾が満載されている。背後の赤いキャップのポリタンクはすべて爆弾。(2015年 IS映像)

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ISが昨年11月に公開した米国人人質、ピーター・カッシグ氏と、シリア軍パイロット十数人を処刑する映像では、フランスなど多数の外国籍の戦闘員が登場しており、「国際的な連携」をISが意図的に演出したと見られる。左の男はフィリピン人でアブ・サヤフの元メンバーの可能性、とメディアは報じている。(2014年 IS映像)

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先月末に公開された映像。フィリピンのイスラム武装組織が「カリフ国の支持者」を名乗り、ISへの支持を表明している。オバマ米大統領とアキノ比大統領へのメッセージとする映像では、「アキノ政権はアメリカの傀儡」と非難している。組織の規模は不明なものの、急速に台頭した「イスラム国」という一種のブランドに吸い寄せられる組織は、東南アジアにも広がっていると見られる。(2015年 IS関連組織映像)

IS戦闘員は、軍隊どうしの交戦だけでなく、異教徒などの住民殺戮や処刑に手を下すことになる。「地元と何の縁もない外国人こそが、もっとも過激で残虐なことを平気でやる」と、IS支配地域から脱出した住民は口を揃えて言った。外国からの義勇兵は格好の宣伝材料でもある。くりかえし映像に登場させ、それぞれの国の言葉で勧誘のメッセージを呼びかける。実際の支配地域でISが何をおこなっているかを知らないまま、各国の若者たちがネットで拡散した宣伝映像に感化されシリア入りを目指す。(つづく)

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