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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【写真解説】イスラム国(IS)の映像に映るアジア人戦闘員たち(2)~目立つカザフ人、子どもも支配地域入り

◆IS関連

昨年9月、田母神元航空自衛隊幕僚長がイスラエル政府高官からの話として、日本人9人が武装組織イスラム国(IS)に参加しているとする情報を明らかにした。結局、これはうやむやになったが、その1か月後にイラク軍が「ディヤラとサラハディンでの戦闘でISの日本人戦闘員を拘束」と発表した際は、拘束場所まで言及されただけに、このニュースはいくつかのアラブ系メディアでも伝えられた。その後、追加情報がさっぱり出てこずにニュースは立ち消えとなった。

東洋系の顔立ちなら韓国人も中国人もみんな日本人と総称してしまったり、混同されることはよくある。このときイラク当局は「日本から40人以上がISに参加」とした。いわゆる日本人だけでなく、帰化した者も含まれていたり、外国人が他人のパスポートを入手してイラク入りした可能性もある。軍事部門のほかに、民生部門も含めるとISに日本人がいてもおかしくはない。

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5月上旬、シリア東部のISがハイル県(またはカイル)と呼ぶ地域(デリゾール周辺)の前線。右端の東洋系戦闘員は、片言のアラビア語を話す姿が確認されている。同じ部隊にウイグル人が数名映っていることからウイグル系戦闘員とも推測される。作戦ではシリア政府軍拠点を攻撃し制圧している。(2015年 IS映像)

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カザフスタンから参加したと話す青年。「アッラーに忠実なる者たち」と題された映像のなかで、カザフ語で「ジハード(聖戦)に参加した意義」を語っている。この部隊はシリア北東の前線に配属されたと見られ、左の戦闘員はドラグノフ狙撃銃を手にしている。右の戦闘員は「このあと殉教戦士となった」と説明がつけられており、戦死した写真も挿入されている。(2014年 IS映像)

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同じカザフ人部隊の戦闘員。アラビア語が不得意な戦闘員は、同じ国の部隊ごとで行動する場合が多いといわれる。(2014年 IS映像)

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イラク北部のニナワ県で、クルド部隊ペシュメルガを襲撃し、陣地を陥落させる映像に映っていた戦闘員。クルディスタン地域政府の首府アルビルに近い、モスル地域の前線で撮影されたもの。「アルビル、中国、アメリカ、ロシアまで進撃する。オバマ待っていろ」とアラビア語で叫んでいる。(2015年 IS映像)

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昨年公開された「ジハード戦士を養成」とする映像。シリア国内と思われる。小学生ほどと見られる子どもに自動小銃を持たせ、軍事訓練をさせている。(2014年 IS映像)

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上の茶色い迷彩服のカザフ少年の映像が公表されたあとに出された「ロシア人スパイの処刑」と題されたビデオ。映像は尋問シーンから始まり、ロシア情報機関、連邦保安庁(FSB)に送り込まれたスパイだと2人の男性がロシア語で話す。カザフ人少年はこのロシア人男性の頭をピストルで撃ち抜く。少年に処刑をおこなわせ、映像を公開したISの残虐性を各国のメディアは大きく伝えた。(2014年 IS映像)

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ロシア人スパイの処刑をさせられた少年は別の映像でアブドラと名乗り、カザフスタンからやってきて軍事訓練を受けたと話す。左右は同一の少年と思われる。左は2013年秋のシリア入りした直後と見られる映像。右は約1年が経過した2014年、軍事訓練を受ける少年戦士たちとして公開された時のもの。(左2013年・右2014年 IS映像)

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カザフ人と見られる子どもたちにアラビア語コーランの授業をしている。「このキャンプではコーランの暗記やイスラム法を学んでいる」と子どもが話す姿が映っている。大人だけでなく子どももカザフスタンから支配地域入りしていると推測される。(2014年 IS映像)

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2013年秋に公開された映像。当時は「イスラム国」(IS)ではなく、「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)だった。ISISがシリア・ラッカを掌握したのは2013年中頃なので、かなり早い段階でアジアからの戦闘員だけでなく、その家族まで受け入れるルートができていたことが伺える。子どもたちの一部は戦闘員として養成されている。(2013年 ISIS映像)

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映像には乳幼児も映っており、女性も多数いると思われる。米軍主導の有志連合は空爆を続けているが、ISが子どもたちを「人間の盾」として利用し、巻き添えになる可能性もある。(2013年 ISIS映像)

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左は2013年秋、右は2014年秋のもの。おそらく同じ男児でカザフ人と思われる。左から1年が経過した右の映像では軍事訓練で実銃を持ち、「アッラーを信じぬ者を殺すんだ」と話す。子どもたちも戦争とISの残虐さの犠牲者であり、今後、どう救出、保護するかも大きな課題となる。

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同じく2013年に公開された映像。まだISが支配地域をそれほど獲得していなかった2年前の段階で、カザフスタンタジキスタンなど中央アジアから、相当数が家族でシリアに入っていたようだ。(2013年 ISIL映像)

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ISの軍事訓練とされる映像。カザフ人が多数登場する。訓練の方法はISの典型的な訓練形式を踏襲している。(2014年 IS映像)

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これはIS戦闘員ではなくて、シリアの別のイスラム武装組織「ムハジリーン・アンサール軍」に参加したカザフ人青年、アブ・フライラ。のちに戦死したが、アイドル歌手かと思えるような容姿の「イケメン戦闘員」として知られ、インドネシアではファンサイトまでできたほどだ.(Akhbar Shamより)

大義や義侠心から、外国の戦闘に馳せ参じるのは「カッコよく」映るかもしれない。だが自分探し、自分試し」や「死に場所を求めて」という理由でシリアでの戦闘にやってこられた地元住民はたまったものではない。ISは「アッラーの意志」という名目で一般市民であっても容赦なく処刑することを求め、戦死すれば天国に行けると戦闘員は消耗品扱いされる。一般の住民殺戮も強いられるうえ、主導権や資金繰りをめぐって部隊どうしで衝突も起き、仲間殺しまで起きている。ISの残虐ぶりに失望し、逃亡を試みて処刑された外国人戦闘員も多数いて、これまでに100人以上が殺害されたといわれる。(つづく)

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