イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【写真解説】イスラム国(IS)の映像に映るアジア人戦闘員たち(1)~中国や中央アジアからも

シリア内戦には世界各地から戦闘員が「義勇兵」として参加している。自由シリア軍などのシリア反体制派、そしてイスラム組織やクルド組織にも外国人戦闘員がいる。とりわけ数が多いのが武装組織イスラム国(IS)で、1万人以上が外国人とされる。

そのなかにはアジアからの戦闘員も多数いる。インドネシアやマレーシアなどの東南アジア、カザフスタンなどの中央アジア、そしてウイグルを含む中国だ。 これら外国人のなかに日本人もいるのではないか、と何度か報じられたものの、今のところ公然と姿をあらわしてはいない。ISと戦う組織の司令官などに取材してみたが、これまで日本人戦闘員についての証言は得られていない。だが、IS宣伝映像に映ったアジア人戦闘員には東洋系が少なからずいるのがわかる。東洋系戦闘員の多くが中国人やカザフ人と見られるが、日本人そっくりの容姿の者もいて複雑な思いになる。

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今月公開されたイラク西部アンバルでの戦闘でイラク軍拠点を攻撃する映像に映っていた東洋系の戦闘員。作戦に成功し、イラク軍の武器庫から大量の武器・弾薬を奪っている。(2015年 IS映像)

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上記映像の冒頭では作戦前に部隊全員が円陣を組んで指導者バグダディ師への忠誠の言葉バヤアを唱和している。この日本人のように見える青年も、アラビア語でバヤアを復唱する姿が映っている。(2015年 IS映像)

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ISの中国人戦闘員とされる写真。イラク国防省は昨年9月、イラク軍が戦闘中に拘束した中国人とする写真を公表。腕に見えるのは腕章のようだ。「シェイク・ウサマのアブドルアジズ軍事キャンプ部隊」という文字が読み取れる。シェイク・ウサマはビンラディンを指すと思われる。(2014年 イラク国防省公表写真)

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上と同じISの中国人戦闘員とされる写真。戦闘によるものか、イラク兵に暴行されたかは不明だがひどく負傷している。昨年、この戦闘員の拘束が公表された際、中国外交当局者はメディアに対し、この情報を確認できていないとした。だが、これまでにも中国の中東担当者が100人超の中国人がISに参加していることは認めている。(2014年 イラク国防省公表写真)

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写真は2013年秋公開されたもの。シリア内戦でISが勢力を拡大する前に、旧ソ連圏の中央アジア諸国、さらにチェチェンコーカサスなどの部隊としてシリア入りし、その後、ISに合流したアジア人戦闘員も多数いる。(2013年)

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シリア北東部で、クルド組織・人民防衛隊(YPG)との前線での映像に映ったIS戦闘員。片言のアラビア語で「クッファル(アッラーを信じぬ者)よ、思い知れ」と話す。この地域ではISはクルド組織のほかにシリア政府軍とも戦っている。(2015年)

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戦闘員個人が撮影した映像とみられる。左右はウズベク人で、中央にいるのは今年アメリカから「テロリスト指定」を受けたドイツ国籍のアブ・タルハ。

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このウズベク人戦闘員は、「作戦で殉教」とある。イラク東部のディアラでイラク治安部隊に対し、車両による自爆突撃で死亡。IS以外の武装組織にもウズベク人が目立つ。ひとさし指1本を立てているのは、「神はアッラーのみ」を意味する。(IS映像)
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タジク人とされる映像。イラク・サラハディン県で戦死したと見られる。イラクの混乱とシリア内戦で生み出されたISという過激組織。そこにアジア各地の若者たちが引き寄せられ、次々と命を落としている。そして彼らはイラク・シリア両政府軍と戦うだけでなく、住民の命を奪っているのも重い現実だ。(IS映像)

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バグダッド戦線の戦闘員。中国人のようでもあるし、日本人にもいそうな顔である。マスクをして顔を見せていない者も入れるとかなりの数の東洋系がいると思われる。シリア取材中、戦闘で死んだ東洋系戦闘員の顔写真をたくさん見せてもらったので、アジアからシリア入りしている戦闘員はかなりの数にのぼるだろう。(IS映像)

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今年3月、シリア北東部地域でクルド組織YPGとの戦闘の映像に映っていた戦闘員。アラビア語コーランを読誦している。このあとに車両がYPG陣地に突入しているので、自爆要員となったと思われる。(2015年 IS映像)

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シリア北部のクルド組織・人民防衛隊(YPG)との戦闘で、拠点を制圧し、YPGの旗を引きちぎる東洋系戦闘員。中央アジア系と思われる。(2015年 IS映像)

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昨年ごろ出回った映像で、一部メディアは「中国人戦闘員がISに参加した初めての映像」と報じたが、この映像については不明な点が多い。「シリアの移住者大隊」の名で出されているので、ISがシリアで支配を固める前のIS共鳴組織の頃のものではないかと思われる。ボ・ワン(ユスフ)と名乗り、「イスラムに入信し、リビアアラビア語を学んだ。リビア政変が起き、その後、シリア入りしてジハード戦士となった」と中国語で話す。実際に銃を撃つ姿も披露している。【①旗がなびいていない。②テロップが通常のものと異なる上、ISが使う用語が含まれていない。③ISが銃に銃槍を装着することはほとんどない】などIS公式映像とは異なっている。ISの公式映像リストにもこの動画が存在しない。その後、シリアに支配を広げたISに合流した可能性はあるが、もし本物でなければ、例えば中国の情報機関が国内のイスラム組織やウイグル運動を取り締まる口実にするために作ったとも考えられる。

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