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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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クルド衛星放送ROJ-TV(ロジテレビ)裁判から見えてくるもの(1)クルド語放送の意味 【全4回】

◆クルド関連

 ◆ROJ-TV裁判とクルド語衛星放送
8月15日、デンマークコペンハーゲンでクルド衛星放送ROJーTV(ロジテレビ)に対する裁判が始まった。デンマーク司法当局は 同国で会社登記しているクルド衛星放送局ロジテレビがクルディスタン労働者党(PKK)と関係しているとして、「反テロ組織関連法」に基づき、放送事業免許取り消しを求めた。ロジテレビ側は、表現・言論の自由の侵害とし、弁護団を結成して公判で当局の介入の不当性を主張し、争う構えだ。

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ROJ(ロジ)はクルド語で「太陽」や「日=Day」を意味する。

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クルド衛星放送ROJ-TV(ロジテレビ)のメインニュース

f:id:ronahi:20160225114313j:plainロジテレビの前身、MED-TV(メッドテレビ)が95年に始まると、トルコ南東部ではテレビを観ようと高価だったパラボラアンテナを誰もが買い求めた。警察は受信機器を売るなと電器店に迫ったが、アンテナは爆発的に普及していった。(撮影:坂本・ディヤルバクル・1996年)

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トルコ南東部のディヤルバクルでロジテレビを見るクルド人たち。長らくクルド語が認められなかったトルコでは、自分たちの言葉による放送は子供番組でさえ驚きで、大人が子供と一緒になって見ていた。(撮影:坂本 2004年)

トルコ政府は「ロジテレビはPKKの宣伝機関」だとし、デンマークに対し同局の事業免許剥奪と閉鎖措置を繰り返し求めてきた。2009年、ラスムセン元首相がNATO事務総長に選出される際も、デンマークがロジテレビの放送免許を認めていることからトルコは強硬に反対し、アメリカがトルコ説得に動くなど各国の外交・防衛問題にまで発展した。また、エルドアン首相が同国を訪問した際も、報道陣のなかにロジテレビがいることを理由に公式記者会見を拒否する事態も起きている。

だが、デンマークでは放送局は政治システムからは独立した存在と位置づけられているため、これまで当局が直接介入する措置はとられることはなかった。 ロジテレビの前身は、1995年に開局した世界初のクルド語衛星放送MED-TV(メッドテレビ)である。トルコでは長きにわたって厳しいクルド抑圧政策が行なわれていた。クルド語出版物は、「分離主義テロ組織との関与」などを理由にことごとく発禁処分を受けてきた。クルドの権利を訴えれば長期投獄や拷問が待ち受けていた。目も耳も口もふさがれたクルド人たちにとって、自身のおかれた境遇を自身の言葉で考えたり、伝えたりする場はまったくなかった。

こうした状況を突き崩すことを可能にしたのが、衛星放送だった。ヨーロッパのクルド移民たちが資金を集め、メッドテレビを開局させた。衛星の電波は国境を越え、トルコ国内のクルド人のもとに届いた。メッドテレビ開局当時から、この問題を取材してきた。

都市部や農村でクルド語衛星放送を視聴する人たちの姿を記録した。当時、多くの人たちがお金を出しあって高価なアンテナセットを買い、隠れるようにテレビを見続けていた。クルド人たちには、なにもかもが驚きだった。

大人たちがクルド語で初めて見る子供番組を必死になって見る光景は、いまでも忘れられない。故郷を離れたクルド移民や住む場所を追われた難民たちが、クルディスタンに暮らす同胞が衛星放送によってつながったのだった。(つづく>>
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