イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

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アフガニスタンを駆けるニッポンの中古車

◆「日本車はスバラシイ」アルカイダも好んで買った
アフガニスタンでは、日本の中古車が大活躍だ。車のボディには「山田鉄鋼」「 福山通運」と、日本語の文字が躍る。幼稚園の通園バスを、いかついヒゲづらの男がカッコよく運転する。カブール市内の中心地にほど近いチャヒクロラプシュタ地区には、30を超える中古車販売店が軒をつらねていた。売られる車の8割は日本製中古車だ。

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スイミングクラブのバスはカブールの病院の送迎用として使われていた。(2002年・撮影:坂本)

ハミット・ニキジイさん(24歳)の一家は、6年前からここで販売業を営む。彼の店では4ドア車が、日本円で約4~50万円、ランドクルーザーが約300万円で売られていた。取引はほとんど米国ドルでおこなわれる。なかには新品のような車や、発売から数年しか経っていない車種まである。

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「戦後復興バブル」の中古車需要にのって、大もうけをしたニキジィさん。「タリバンでも米軍でも、車を買ってくれるならお客さん」と話す。自身は真っ赤なランドクルーザーを乗り回す。(2002年・撮影:坂本)

中古車といっても、一般の人びとにとってはまだまだ高値の花だ。それでも1週間に1、2台が売れるという。車体に残る日本語は消さないほうが売れ行きがいいらしい。「日本製はスバラシイ」というイメージが定着しているからだ。一番の人気はトヨタランドクルーザー。道が整備されていないアフガニスタンの岩だらけの山道の移動には、四輪駆動車は欠かせないのだ。

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「今日も一日安全に」の意味をドライバーに教えると、「それはアッラーへの祈りの言葉だな」と深々とうなずいた。(2002年・撮影:坂本)

こうした日本の中古車は直接アフガンに輸入されるわけではない。日本からドバイに輸出された中古車を現地で買い付けた後、イラン・バンダルアッバース港に輸送し、陸路で国境を越えてアフガニスタンの西部の都市ヘラートに運ぶ。そしてアフガニスタン各地に向かうのだ。アフガニスタンの国境からは、トレーラー輸送ではなく、専門の運転手が各車に乗り込み 、街道をひた走る。

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これは大東旅館と読むのか。その上にはハングルっぽい文字も。日本車に比べるとまだ数は少ないが韓国中古車もたまに流通しているので、こんなハイブリッド文字になるようだ。右写真は側面。半田のビジネスホテルらしい。日本製であることが大事なので、あえて日本語は消さないらしい。無理やり日本語っぽい文字を書こうとすることもある。(2002年・撮影:坂本)

タリバン時代からすでにニッポン中古車がドバイ経由で輸入されていた。タリバン兵やアルカイダ義勇兵のアラブ人たちが上客だったそうだ。タリバン政権が崩壊すると、こんどは、外国のNGO団体やISAF国際治安支援部隊)の関係者が買いに来るようになったという。

ニキジィさんはニヤリと笑って言った。
アルカイダも日本車を好んだよ。誰が天下を取ろうと私には関係ない。私が支持するのは車を買ってくれる人だけさ」

たくましいアフガン商人の一面を見た。 

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これは中華系・繁体字。(2002年・撮影:坂本)

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カネボウ鈴鹿工場で使われていたバスは、カブールで国連世界食糧計画(WFP)の職員バスに。(2002年・撮影:坂本)

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市場で見かけた「こまくさ保育園」は、カブールと郊外を結ぶミニバスに。タイヤがガッチリ強化されているようだ。(2002年・撮影:坂本)

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幼稚園の通園バスは、ドイツのNGO団体専用車として活躍。(2002年・撮影:坂本)

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カブールで売られていた日本の駄菓子。「コーラだソーダ」のうしろの肖像は、2001年に爆殺された北部同盟マスード司令官。(2002年・撮影:坂本)

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アフガニスタンの麻薬が闇ルートで国際市場に流れる一方、日本の駄菓子が謎のルートでアフガンに流入。「ふしぎな粉」(コーラ味)が子供の心を魅了していた。(2002年・撮影:坂本)

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