読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【YPG動画・日本語訳】シリア・クルド組織YPGに日本人戦闘員が参加か? 

◆クルド関連 ◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織 ◆IS関連

◆YPG動画に登場~イスラム国(IS)との前線地域
4月22日、シリアのクルド組織・人民防衛隊(YPG)は日本人戦闘員と思われる青年が登場する動画を公開した。映像で青年はラシードを名乗り、タイトルにはラシード・ジャポンヤとある。(動画字幕では別表記レシット・ジャパンヤ)。名前は組織名と思われる。ジャポンヤとは日本人を指し、青年が日本人かまたは日系であることを伺わせる。YPGが「日本人」として戦闘員を紹介したのはこれが初めて。

【動画・日本語訳】YPG・日本人戦闘員とされ映像(2017/04/22)一部意訳

YPGの広報動画に登場したラシードを名乗る青年。「YPGに加わって3カ月」と話しており、シリアでの軍事訓練期間を含めると最近、YPGに参加し、前線に配置されたのではないかと推測される。(YPG広報部映像)

f:id:ronahi:20170423091954j:plain

腕にYPG章がついているのがわかる。映像ではアメリカ英語に近い発音で話しており、日本国籍なのか、日系で欧米など外国籍保持者なのかは不明。

f:id:ronahi:20170423092015j:plain

「現在、タブカ作戦に参加」としているため、ISとの前線地域であるラッカ西部のタブカ・ダム近郊のエリアにいることが推測される。

f:id:ronahi:20170423092029j:plain

YPGはシリア民主軍(SDF)とともに、IS「首都」ラッカ攻略へ向けた「ユーフラテスの憤怒作戦」と進めている。米軍主導の有志連合の空爆支援も受けながら、東西北の3方向からラッカ近郊に迫っている。日本人とされる戦闘員がいると思われる前線が、ラッカ西方タブカ。

f:id:ronahi:20170423092043j:plain

映像冒頭で左に映っているのは、中国系英国籍の戦闘員で、2年前からYPGで戦っていることが確認されている。日本人とされるラシード戦闘員(右)も映っていることから、同じ部隊で戦っているようだ。

f:id:ronahi:20170423092122j:plain

この中国系英国籍の戦闘員は本名ホァン・レイ(黄磊)でYPG組織内部のクルド名はシパン。英マンチェスター大学出身で、国際義勇兵としてYPGに参加したとメディアは報じている。先日、SNS動画ではカタコトのクルド語で話していた。

f:id:ronahi:20170423093023j:plain

中国系英国籍のホァン・レイ戦闘員は、東洋系顔立ちゆえに、一部のトルコ・メディアで「YPGに日本人戦闘員」と誤って報じられたことがある。写真はトルコ・メディアの見出し。その後、中国系英国人と報道されるようになった。トルコ政府はYPGを「クルディスタン労働者党(PKK)傘下のテロ組織」とみなしている。このため、トルコを経由してYPG地域入りする外国人義勇兵志願者に対しては、トルコ国境警備隊や情報機関が目を光らせている。

f:id:ronahi:20170423093117j:plain

YPGの外国人戦闘員には戦死者もあいついでいる。写真はこれまでに戦死した外国人戦闘員。ドイツ、カナダ、イギリス、アメリカなど各国から義勇戦闘員が参加している。YPGは社会主義的性格が強いこともあり、外交人戦闘員にも元左翼活動家などが多い。またYPG独特の強力な組織内部の規律や統制、オジャラン指導者への忠誠などもあり、ISと戦いたいというだけで義勇兵を希望しても容易には受け入れてもらえない。今回公表された、日本人とされる戦闘員がどのような経緯、経路でシリア入りし、YPGに参加したかは不明。

f:id:ronahi:20170423093141j:plain

ISとの戦闘のほか、トルコ軍の空爆で戦死した外国人戦闘員もいる。昨年12月末に死亡した英国人戦闘員ライアン・ロックは、ラッカ西方の前線でISとの戦闘で死亡。ISは「十字軍を踏みしだく」としして死体をIS戦闘員が踏みつける写真を公表。ライアン戦闘員の頭部の銃創が顎から上に向けて撃ち抜いたものであったことから、ISに包囲されて捕虜となるのを避けるため自決したのではないかとイギリス・メデイアは報じている。写真はライアン戦闘員を追悼するYPG。

f:id:ronahi:20170423093218j:plain

ISとの戦いに大義を抱き、多数の外国人義勇兵が加わっているが、外国人も地元戦闘員と同様に前線で戦うため戦死者があいついでおり、戦争の現実は重い。写真はイギリスでのライアン戦闘員の葬送に集まったクルド人支援者たち。

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【声明+動画・日本語訳】自由シリア軍(FSA)米国のシリア政府軍基地へのミサイル攻撃支持(全文)

◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織

◆「国際社会が正しき方向へ向かう第一歩」と米国による攻撃を歓迎
シリアの反体制勢力自由シリア軍(FSA)は、4月6日のアメリカによるシリア政府軍シャイラート航空基地へのミサイル攻撃を歓迎するとの声明を出した。(4月7日付)。声明では、「今回の(アメリカの)攻撃は、国際社会が正しき方向へ向かう第一歩」と評価し、さらなる作戦継続を求めている。以下、声明全文。一部意訳。

f:id:ronahi:20170414161749j:plain

自由シリア軍が4月7日付で発表した、アメリカのシリア政府軍基地攻撃を歓迎するとする声明。化学兵器攻撃はアサド政権によるもでありシャイラート軍事空港から出撃した戦闘機が化学兵器攻撃を行なったとしている。一方、アサド政権側は化学兵器の使用を否定している。

シリア・アラブ共和国 自由シリア軍(FSA)
米国のシリア軍航空基地への攻撃に関する声明

慈悲あまねく 慈愛深きアッラーの御名において 

自由シリア軍ならびにシリア革命勢力各派は、アメリカがシャイラート軍事空港に対して行なった軍事作戦を歓迎する。この空港はアサド政権の戦闘機が、その結託勢力の支援と援護を受け、出撃した場所である。それはハーンシェイフンで忌まわしき化学兵器虐殺を遂行するためであり、数百の無辜の市民を死傷させたのである。 

体制側の首謀者ならびに戦争犯罪人バシャール・アサドが2011年以来、シリア国民に対し遂行している虐殺戦争において、その行為が罪に問われることなく、アメリカの前政権の非積極性と国際社会の失敗を利用してきたなか、今回の(アメリカの)攻撃は、国際社会が道義的、法的責任のもとシリア市民を守り、救うための正しき方向へ向かう第一歩となるとも我々はとらえている。 

シリア革命勢力各派は、この(アメリカの)攻撃は、(アサド政権の犯罪行為の)免罪からの転換点であり、テロに対する国際的な戦争の一部となると認識している。バシャール・アサドとそれに結託する宗派民兵のテロに対抗することは、テロとの戦争の勝利のためのカギとなる一歩である。 

今回の攻撃は、テロと暴力、犯罪性に立ち向かう正しき出発点となるものであり、またシリア人にとって正義に基づく、納得のいく政治的解決を見出すものと我々はとらえる。我々はまた、アメリカが担う責任は大きく、この作戦が止むことなく継続されると信ずるものである。

自由シリア軍は、犯罪者アサド政権とその結託者が市民に対して向ける報復の脅威を強く訴える。ゆえに我々はシリア人の友人たるアメリカならびにすべての国々に、シリア政府の戦争犯罪に明確に立ち向かい、その犯罪行為を終結させ、シリア人とすべての人道に対して向けられた彼らの犯罪を裁きを受けさせるよう呼びかける。これは、シリア人の苦悩を終わらせる目的のもとに、政治的圧力とともに軍事的圧力を通じてのみ達成されうるのである。 

かくして、空港や国際的に禁止された兵器をシリア人に対して使用するのを阻止する形で、政府軍に対する軍事作戦は継続されるべきであると我々は考える。また、シリアの反体制勢力が、政権とテロリスト民兵勢力による抑圧と犯罪性に対決し、その犯罪行為と攻撃に終止符を打てるよう、政治的かつ軍事的に支援することが必要と考える。

自由シリア軍たる我々は、バシャール・アサドこそがシリア国家、国民、社会を壊滅させ、(シリアを)犯罪政権が引き連れてきた民兵集団や外国雇い兵だらけの場にしてしまった張本人だと断じるものである。 

自由とシリア国家の主権の回復、そしてシリア国民の一体性、尊厳、自由の回復が求めるものは、あらゆる戦争犯罪と人道への罪を実行してきた、この犯罪政権の打倒と訴追である。

シリア、自由、名誉万歳 

2017年4月7日
自由シリア軍

【動画・日本語訳】自由シリア軍・南部戦線「米国のミサイル攻撃支持」(2017/04/07)

自由シリア軍・南部戦線・報道官イーサム・レイス少佐は、「米国がシリア政府軍基地をミサイル攻撃したことを支持し、歓迎する」とのビデオ声明を発表。(4月7日付)

f:id:ronahi:20170414162355j:plain

自由シリア軍系メディアが公表したホムス県シャイラート軍事空港のファクトシート。シリア政府軍・第675飛行隊(ミグ23)、第677飛行隊(スホーイ20+22)、第685飛行隊(スホーイ22)などが配置され、ホムス近郊部、ハマ県北部、イドリブ県南部近郊が管轄空域としている。(FSAプラットホームより)

f:id:ronahi:20170414162401j:plain

同じく自由シリア軍系メディアが「流出情報」として公表した、アメリカの巡航ミサイル攻撃によるシャイラート軍事空港での犠牲者リスト。7名死亡、18名負傷としている。(FSAプラットホームより)

f:id:ronahi:20170414162411j:plain

ハーンシェイフンでの化学兵器使用を受けて、自由シリア軍系の各部隊はイドリブやアレッポなどで「報復」として政府軍陣地に砲撃を行なった。写真はアレッポ北部での砲撃を伝えている。今回、自由シリア軍はアサド政権に対してのアメリカの攻撃支持としたが、一方で、アメリカはISとの戦いでクルド勢力・人民防衛隊(YPG)を支援している。アレッポ北西部では自由シリア軍諸派がトルコの軍事支援を受け、YPGと対峙するといった複雑な構図もある。

f:id:ronahi:20170414165851j:plain

化学兵器攻撃をめぐっては様々な情報が飛び交っている。アサド政権派の議員のツイッター投稿では、アメリカのミサイル攻撃翌日に現場を視察した参謀司令部のアユーブ司令官(右)と会う基地のハスーリ准将(左)と名前を明記して写真を紹介し、彼がハーンシェイフンでのアルカイダ兵器施設を破壊した、としている。(議員はのちにこの投稿を削除)アサド政権が化学兵器を使用したなら彼も現場責任を負っていたことになる。ところが、この直後、彼は「路肩爆弾または車輌に仕掛けられた爆弾で死亡」と一部外国メディアが報じた。死亡自体もまだ不明ななか、怪しい情報も入り混じって、「アサド政権による口封じ・隠蔽工作説」や陰謀論まで出るなどしている。

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【動画・日本語訳】シリア政府軍 参謀司令部「アメリカによるミサイル攻撃について」声明(全文)

◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織

◆シリア政府軍~アメリカのミサイル攻撃非難
4月7日、シリア政府軍参謀司令部は、アメリカによるシリアへのミサイル攻撃についての声明を発表、「アメリカの誤った戦略」として6日の武力攻撃を非難した。また「シリア軍が化学兵器を使用したとする名目のもとにアメリカがこの武力攻撃を正当化しようとしていることは、テロ集団に誤ったメッセージを送る」と述べた。以下は声明全文。(動画+テキスト) 一部意訳

【動画】シリア政府軍参謀司令部「アメリカによるミサイル攻撃について」(2017/04/07)一部意訳

4月7日、シリア政府軍参謀司令部は6日のアメリカによるミサイル攻撃に関して声明を発表。(シリア国防省公表映像)

シリア政府軍 参謀司令部
「シリアへのミサイル攻撃に関して」

本日、午前3時42分、アメリカは、中央地域のわが航空基地のひとつに対し、複数のミサイルによる計画的な攻撃を遂行した。この攻撃で6名が死亡し、負傷者を出し、また多大な物質的損害がもたらされた。

この非難されるべき武力攻撃は、アメリカの誤った戦略を明らかにするものである。またこれはシリア・アラブ軍が遂行している対テロ作戦を阻むものであり、アメリカをダアシュ(イスラム国)とヌスラならびに他のテロ組織のパートナーとするものである。これらテロ組織はシリアに対する不正な戦争が始まって以来、シリア軍軍事拠点や軍事基地を攻撃し続けている存在である。

真実を知らぬままに、またその実行者が不明ななかで、ハーンシェイフンでシリア・アラブ軍が化学兵器を使用したなどとする名目のもとにアメリカがこの武力攻撃を正当化しようとしていることは、テロ集団に誤ったメッセージを送るものとなる。これらテロ集団は、戦闘現場で困難な局面に陥った時、将来においてもまた化学兵器を使用するだろう。

軍・武装部隊 参謀司令部は、今回の武力攻撃は、あらゆる国際法と規範に違反したものであり、またテロに対する戦いにおけるシリア・アラブ軍への影響力を行使せんとするものであるととらえ、シリア国民を防衛し、テロを壊滅し、シリア・アラブ共和国のすべての領土の治安と安全を回復するための国家義務を継続するさらなる決意をもって応じるものである。

ダマスカス 2017年4月7日
シリア・アラブ軍・武装部隊 参謀司令部

【動画】米駆逐艦ポーター・シリアへのミサイル発射(2017/04/06)

4月6日、地中海洋上からシリアへ向けて巡航ミサイルを発射する米駆逐艦ポーター(USS Porter)。駆逐艦ロスとあわせて59発のトマホーク・ミサイルがシリア軍シャイラート飛行基地に向けて発射された。(米海軍公表映像)

f:id:ronahi:20170412180836j:plain

国防総省は、シリア・ホムス県のシリア軍シャイラート飛行基地から4月4日にハーンシェイフンに向けて飛び立ったシリア軍戦闘機が化学兵器攻撃を行なったとする飛行航跡図を公表。ただしアメリカはイラク大量破壊兵器があるとして、イラク軍の通話傍受音声を公表して、イラク攻撃をし、結果的に大量破壊兵器が発見されなかったなどの過去がある。シリア政府軍は化学兵器使用を否定する一方、ハーンシェイフンではスホーイ22(Su-22)戦闘機が飛来し、化学爆弾を投下したとする地元住民の証言がある。真相はいまもって不明なままだが、どの勢力化学兵器を使用したにせよ、子どもを含む多数が死亡したのは事実であり、地元住民が再び化学兵器の犠牲となっている。

f:id:ronahi:20170412183349j:plain

アメリカによるシリア軍シャイラート飛行基地への攻撃の翌日、現場に入り、被害状況を視察するアリ・アブドラ・アユーブ参謀本部司令官。背後の戦闘機格納壕(シェルター)が黒く焼け焦げている。(シリア国防省公表映像)

f:id:ronahi:20170412183625j:plain

米艦船から発射されたトマホーク巡航ミサイルが着弾した現場。アメリカは59発中57発が着弾としているが、ロシア側はシャイラート基地に着弾したのは23発のみとしている。(シリア国防省公表映像)

f:id:ronahi:20170412184030j:plain

アメリカのミサイル攻撃による負傷者を見舞うため病院を訪れたアユーブ司令官。(シリア国防省公表映像)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【動画・日本語訳】トランプ米大統領・シリアへのミサイル攻撃についての声明(全文)

◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織

◆シリア化学兵器~トランプ大統領、アサド政権を非難し単独軍事攻撃
4月4日、シリア・北西部ハーンシェイフンで起きた化学兵器で多数の住民が死傷したことをうけ、アメリカのトランプ大統領は、これをアサド政権によるものとして非難、6日、米艦船からトマホーク巡航ミサイル59発をシリア軍飛行基地に向けて発射した。トランプ大統領のシリア攻撃についての声明全文(動画+テキスト)は以下のとおり。(一部意訳)

【動画】トランプ米大統領・シリアへのミサイル攻撃について(2017/04/06)

4月6日、シリアへの「シリアへのミサイル攻撃に関して、声明を述べるトランプ米大統領。アサドを「独裁者」と表現し、「化学兵器攻撃の出撃に使われた飛行場へのミサイル攻撃は米安全保障上の国益の一部」と説明。国連決議等を経ないまま単独での攻撃となった。(フロリダ州パームビーチ/マー・ア・ラゴ/ホワイトハウス公表映像)

トランプ米大統領
「シリアへのミサイル攻撃に関して」
フロリダ州マー・ア・ラゴ)

アメリカ国民の皆さん、この火曜日、シリアの独裁者、バシャール・アサドは、恐ろしい化学兵器で無辜の市民を攻撃しました。致死性の高い神経ガスを使い、アサドは力ない男女、子どもの命を奪ったのです。たくさんの人びとが、ゆっくりと残虐な形で、死に追いやられました。残酷にも、美しい赤ちゃんたちまでこの非常に野蛮な攻撃で殺されました。神の創りたもうた子は、誰あろうとこのような恐怖に苦しめられることがあってはなりません。

今夜、私は、化学攻撃の出撃に使われたシリアの飛行場に対する軍事攻撃を命令しました。恐ろしい化学兵器の拡散や使用を阻止するのは、アメリカに不可欠な安全保障上の国益の一部です。禁止された化学兵器をシリアが使用し、化学兵器禁止条約の義務に違反し、国連安保理の要請を無視したことに議論の余地はありません。

これまでのアサドの行動を変えようとした長年の試みは失敗しました。それも著しく失敗したのです。その結果、難民危機は深刻さを増し、地域は不安定化し続け、アメリカとその同盟国を脅かすに至っています。

今夜、私はすべての文明国に対し、シリアでの殺戮と流血を終結させるため、またあらゆる種類のテロに終止符を打つことを求めるため、我々に加わるよう呼びかけました。ひどく混乱に陥った世界という困難を前に、私たちは神の賢智を求めています。

負傷された方々が助かるよう、また亡くなった方々の御霊のために私たちは祈りをささげます。アメリカが正義のために立つ限り、平和と調和は最後には勝利するものとなると願っています。では皆さん、アメリカと全世界に神のご加護があらんことを。ありがとう。

(2017/04/06)

f:id:ronahi:20170411205854j:plain

シリア・イドリブ県のハーンシェイフンで4月4日に起きた化学ガス攻撃で病院で治療を受ける子ども。(イドリブ近郊サラキッブ病院にて医師撮影)

【動画】シリアへのミサイル攻撃(米艦ポーター)(2017/04/06)

4月6日、地中海洋上の米ミサイル駆逐艦ポーター(USS Porter)からシリアに向けて発射される巡航ミサイル。(米国防総省公表映像))

【動画】シリアへのミサイル攻撃(米艦ロス)(2017/04/06)

東地中海の洋上の米駆逐艦ロス(USS Ross)からもミサイルが発射された。シリア軍シャイラート飛行基地に撃ちこまれた巡航ミサイルは、両艦あわせて59発にのぼる。(米国防総省公表映像)

f:id:ronahi:20170411204327j:plain

アメリカは化学兵器によって多数の市民が殺害されたことを理由にシリア・アサド政権への単独軍事行動に踏み切った。「化学兵器による爆撃に使用された」とされるシリア政府軍のシャイラート飛行基地へ向けて、地中海洋上の米艦船からトマホーク巡航ミサイルを発射した。

f:id:ronahi:20170411204025j:plain

国防総省は、米艦船(USSロスとUSSポーター)から発射されたトマホーク・ミサイルが、シリア軍シャイラート飛行基地に着弾したとする映像を公開。59発発射され、うち57発が目標に到達としている。(米国防総省公表写真)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【動画+写真28枚】イスラム国(IS)戦術分析(19)◆戦闘員養成6・ジハード戦士の「軍人精神」

◆IS軍事キャンプの信仰武装教育【動画+写真28枚】
イスラム国(IS)が軍事教練で重視してきたのが、「信仰による武装」である。IS軍事キャンプでは、武器の扱いや身体鍛錬に加え、独自に解釈したコーランとその教義、そしてシャリーアイスラム法)の学習が徹底されている。今回はIS軍事キャンプにおける信仰武装に着目する。ジハード戦士にはどのような「軍人精神」が教え込まれるのか。

【IS動画・日本語訳】イラク・ニナワ県軍事キャンプ(2015/12) 一部意訳・転載禁止
2015年12月にISが公開したイラク・ニナワの軍事キャンプ(おそらくモスル)。映像の中盤に音声スピーチが挿入されている。これはかつて「イラクイスラム国」(ISI)のアブ・ハムザ・ムハジール(本名アブ・アユーブ・アル・マスリ)が戦争省大臣の地位にあった2008年4月に出したスピーチと思われる。2010年に死亡したISI時代の指導者のスピーチを盛り込むことで、組織の継承性や一貫性のなかに現在のISを位置づけようとしていることが伺える。コーランの引用が出てくるが、あくまでもIS独自の解釈である。一般住民や異教徒の殺戮を正当化する根拠として信仰や教義が利用されていることにも留意しておきたい。

f:id:ronahi:20170406115606j:plain

動画映像では、軍事学習に加え、教官が「戦争に一切の容赦はない」と説いている。「信仰で強く武装されたジハード戦士」を宣伝する意図があると見られる。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115618j:plain

食事風景も紹介されている。こうした映像は、IS支配地域内では、町ごとに置かれた広報ブース(メディア・ポイント)や村のモスクなどで上映されるため、地元少年たちに戦闘員の生活を魅力的に見せる効果がある。また世界に向けては、ISが軍事キャンプを体系的に統括・運営していることを宣伝している。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115633j:plain

レーズン入りのピラフの中央には鶏肉、そのまわりに煮込んだ羊肉。こういう料理は、イラクでは一般に「ルッズ・ワ・ヤブサ」と呼ぶと思う。これをナンとあわせて食べる。現在は各戦線で戦況が逼迫しているので、これほどの食事が確保できているかは不明。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115653j:plain

テロップには「軍事キャンプ・宿営施設」とある。ISはいくつもの敵と戦っており、「国家財政」に占める軍備費の割合は高い。こうした宿営施設は撮影用セットではなく、一応、実際に存在すると思われるが、宣伝映像は自分たちをいかに強大で装備や兵員が豊富であるかを見せようとする点も押さえておくべきだろう。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115817j:plain

動画の音声で出てきたアブ・ハムザ・ムハジールは、イラク聖戦アルカイダ機構をザルカウィから引継ぎ、その後、ムジャヒディン・シューラ評議会を経てイラク・イスラク国(ISI)を立ち上げた指導者のひとり。エジプト出身で、2010年に死亡。高名な指導者だったこともありファルージャではISの軍事キャンプにその名が冠されている。写真の黒い隊旗にはアブ・ハムザ・ムハジール軍事キャンプとある。このキャンプについては、戦闘員養成3の動画で取り上げている。(2014年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115831j:plain

シリア・ダマスカス県管区の軍事キャンプで携帯コーランを手にするIS訓練兵。かつてのソ連軍はマルクス・レーニン主義を軍事ドクトリンとし、日本軍は天皇の軍隊として軍人勅諭・戦陣訓が精神支柱に据えられた。ISが掲げるのは、独自解釈したコーランの教えに基づく「アッラーの兵士」の精神であり、その目的はジハード戦士としてウンマイスラム共同体)防衛と、一神教の旗の下に地上を征服し、シャリーアイスラム法)統治を成就させること、そしてそれに攻撃を加える敵、つまり不信仰者・背教徒、異教徒の殲滅である。また敵前で背を見せ逃亡することは不名誉であり、アッラーの大道で殉教して義務を果たせ、と教え込まれる。(2015年・シリア・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115900j:plain

IS支配地域内の各地の街頭に掲げられているポスター。「啓典が導き、剣が支える」とある。ISはこの思考のもとに動いている。啓典はアッラーから諸々の預言者に下された啓示の書で、最高位にあるのがムハンマドに下されたコーラン。「啓典が導き~」はISが独自に作った言葉ではなく、13世紀のイスラム学者イブン・タイミーヤによるとし、他のジハード主義組織も用いている。コーランによる信仰領導と、銃による武装で勝利が授けられることを意味する。バグダディが「カリフ就任」を宣言した2014年7月の演説でも使われた言葉だ。ただしジハードや武装についてはイスラム学者のあいだでも解釈は様々で、ジハードとはウンマイスラム共同体)のために尽力奮闘し、敵に攻撃されたときの防衛行動とする見方もあり、「信仰は剣で勝ち取ることがアッラーの命令」などとするISの排他的、攻撃的な解釈には批判が出ている。

f:id:ronahi:20170406115915j:plain

イラクキルクークのアブ・オマル・バグダディ軍事キャンプで、教義について学ぶようす。教練メニューに信仰・教義学習が明確に組み込まれている。指導教官が教義を戦闘員に説くのは、「アッラーのために」と惜しまず命を差し出し、敵前で逃亡せず、斬首や自爆を信仰上の義務として遂行できるジハード戦士を量産する目的がある。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406115957j:plain

映像では、教官が訓練兵に質問を交えてやりとりしながらジハード戦士が学ぶべき教義について教えている。なかでも重要なのがアキーダ(六信)「唯一神アッラー・天使について・啓典・預言者・来世・定め」であり、これらに加えてコーランの戦利品章、悔悟章などから戦いに関連する節(アーヤ)、ハディースの伝承、シャリーアイスラム法)などが教え込まれる。(2015年・シリア・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120035j:plain

訓練兵がそれぞれ携帯コーランを手にしている。様々な地域から参加した戦闘員は信仰の度合いも様々で、イスラムについての知識も開きがある。これをISが独自に解釈した信仰規定や教義で戦闘員を一体化するのも軍事キャンプの役目といえる。やみくもに銃を振り回すだけの集団でないことがわかる。(2015年・シリア・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120139j:plain

これはイラク北部タラファルにあるアブ・イサ軍事キャンプ。タラファルはトルコマン(トルコ系住民)が多く、スンニ派シーア派のトルコマンの武装組織あいだでずっと戦闘が続いてきた。ISが2014年に町を制圧すると、シーア派住民を処刑、追放し、シーア派モスクや墓地を徹底して破壊した。地元ではトルコ語が話されているため、トルコからの戦闘員も多い。ホワイトボードの文字はトルコ語だ。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120156j:plain

タラファルのトルコマンが話すのはトルコの標準トルコ語と比べるとアゼリ語に近く、アラビア語の単語も混ざっている。それでも言語を共通とするため、トルコ人戦闘員が多い軍事キャンプが置かれ、またトルコからの家族移住者の拠点のひとつともなってきた。アブ・イサ軍事キャンプの映像も、トルコ語を話す戦闘員が多数登場している。現在、タラファルではシーア派民兵部隊・人民動員隊(PMU)とイラク軍が合同で奪還戦を展開し、激しい攻防が続いている。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120215j:plain

イラクキルクークのアブ・オマル・バグダディ軍事キャンプ。戦闘員はコーランのほかに、教義や戦闘員心構えが書かれたパンフを携帯する。戦闘時に繰り返し唱える念唱(ズィクル)や、ジハード戦士の「戦陣訓」を繰り返して読む。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120233j:plain

これもキルクークのアブ・オマル・バグダディ軍事キャンプ。30人前後が1回の訓練で養成されたようだ。「体力鍛練・武器戦術習得・信仰教義」の3つの柱が軍事教練の基本になっている。これらを習得してようやく戦闘員となれる。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120741j:plain

前回のイエメン軍事キャンプでも触れたアラブの軍隊式駆け足、ハルワラ。ここも同じくキルクーク。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120802j:plain

アメリカの星条旗を標的にRPG-7ロケット砲を発射。星条旗に上には「十字軍同盟」と書かれている。ISの解釈では、十字軍同盟には日本も一応含まれることになる。アブ・オマル・バグダディ軍事キャンプ。(2015年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406120838j:plain

イラク・ディアラの軍事キャンプ。これまでに紹介した軍事キャンプ映像に共通するのは、教練課程における教義・信仰学習で、コーランハディース(言行録)から同じ箇所が引用されている点。
【かれらに対して、できる限りの武力と 多くの繋いだ馬をもって備えよ。それによってアッラーの敵、あなたがたの敵に恐怖を与えよ】(戦利品章:60節)
「力は弓術によってつけられることを知れ」ハディース)などで、現場で適当にコーランの言葉を持ち出しているのではなく、教練指導マニュアルに基づいて信仰武装教育が行なわれていることがわかる。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406120858j:plain

ISはシリア人、イラク人などの地元戦闘員(アンサール)と、ヨーロッパ、アジアなどからの外国人戦闘員(ムハジール)から構成される。同じムスリムとはいえ、育った文化も言語も思考も信仰への距離感も違う。また外国人の方が給料が多く、部隊内の戦闘員感情も複雑だ。ISと戦うイラクの治安部隊やクルド・人民防衛隊(YPG)に聞いたところ、外国人は決意してIS入りしているため、思想が強固で、拘束する際に自爆する場合が比較的多く、他方、地元戦闘員の一部には、家族を養うために仕方なく入隊した者がおり、投降して内部情報を話すこともあるという。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406120923j:plain

「カリフ国兵士の身体鍛錬」とある。ISが軍事キャンプで教義・信仰の教育を徹底するのは、ジハード戦士としてバグダディに忠誠を誓い、いつでも死ねる覚悟を持たすこと、そして思想的・信仰的弱さからくる逃亡や転向を防ぐこともある。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406120939j:plain

ここもディアラのキャンプ。狙撃の訓練のようだ。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406120954j:plain

RPG-7発射講習。適当な訓練だと、戦闘現場で同士撃ちなど味方に犠牲をもたらす結果を招いたりする。武器の扱いや集団行動はきっちり教えている模様だ。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121008j:plain

ニナワ県モスルを制圧して間もない頃に出されたアブ・アッザム・アンサリ軍事キャンプの映像。訓練兵たちを前に、ジハードの大義についてコーランを引用しながら説いているようす。その内容を要約すると:

ムハンマドの伝承には『アッラーの大道でなら何度、戦って殺されようと本望』とあり、コーランには『アッラーの大道を往く者は渇き、疲れ、空腹に苦しめられ』『そのことが善行として記録される』とあるのだ。アッラーのために戦った者、殉教した者にはアッラーからの大いなる報奨が授けられる」

などと訓練兵にジハード軍人精神を教えている。当時は、モスル制圧で資金も潤沢にあり、さらなる戦線拡大のため戦闘員を大量に養成していた時期である。(2014年9月・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170406121137j:plain

イラク・アンバルのアブ・イブラヒム・ザイディ軍事キャンプ。「名門キャンプ」のひとつで、黄色の隊旗が特徴。ISがよく使う表現に「お前たちが生きることを望む以上に、我々は死を望んでいる」という言葉がある。戦場で命を惜しまず敵に突撃していくISの戦術が、武器装備ではるかに上回るイラク軍と互角に戦えた理由である。一方、神がついているから負けるわけがない、といった旧日本軍にも見られた極端な精神主義がIS戦闘員消耗を招き、大局的には戦闘を維持できずに各戦線で敗北している側面がある。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121148j:plain

アンバルは、スンニ派の強固な地盤であり、フセイン政権崩壊以降、反米武装勢力の活動も活発だった。ISの台頭で武装各派が編入・統合されていった。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121206j:plain

ジハード戦士養成の軍事教練を達成すると、組体操タワーで一体感を高める。各地のISキャンプで共通しており、以前のアフガン・キャンプと同様、ここでも3段である。タワー5段をさせる日本の小学校は、何のための戦士を養成しようとしているのか、気になるところだ。死をもいとわぬ社畜戦士の養成でないことを願いたい。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121424j:plain

軍事キャンプで教練の全課程を修了すると、「卒業のお披露目」というのが各キャンプで行なわれる。街頭に繰り出して、ジハード戦士になったことを住民に披露する。これもアンバルのアブ・イブラヒム・ザイディ軍事キャンプ。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121437j:plain

軍事キャンプ卒業のお披露目は、町の中心部で円陣を組んで、バグダディへの忠誠を表明する言葉(バヤア)を唱和する。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170406121508j:plain

昨年5月、空爆での死亡が報じられたIS軍事部門最高幹部のひとり、アブ・ワヒブ。アブ・イブラヒム軍事キャンプの黄色い隊旗を持っている。笑顔の写真はめずらしい。IS公式写真でなく、戦闘員が個人でSNS上にアップしたものと思われる。アブ・ワヒブについてはこちら>>

IS軍事キャンプ戦闘員養成シリーズまだ続く予定です

<< 前へ  IS戦術分析(17)◆戦闘員養成5(イエメン・リビア編)<<

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

動画【PKK・日本語訳】クルディスタン労働者党(PKK)カラユラン司令官・ 2017 ネウロズ声明(演説)全文

◆クルド関連 ◆各国・各組織声明文 ◆IS以外の武装組織

◆トルコ治安部隊とPKKの衝突激化
クルドの新年ネウロズ(3月21日)を迎えるにあたり、クルディスタン労働者党(PKK)のカラユラン司令官は、ゲリラ・キャンプで演説した。2013年にはトルコ政府との一時停戦に合意したPKKだが、その後、全面戦争路線に転じ、トルコ南東部でトルコ軍や治安部隊と激しく衝突している。その背景には、エルドアン政権の強硬姿勢やシリア情勢、イスラム国(IS)の台頭などいくつもの要因がある。PKKはゲリラ部隊に加え、南東部の町々で準軍事民兵を組織し、治安部隊と衝突している。トルコ政府はPKKを「テロ組織」とし、掃討作戦を進めるが、南東部では双方の衝突で住民が巻き添えとなったり、家屋が破壊されるなど深刻な被害も出ており、国連機関は懸念を表明している。以下はPKKカラユラン司令官の声明(演説)全文。(一部意訳)

【動画・日本語訳】カラユラン司令官ネウロズ声明(2017年3月・クルド語)転載禁止

軍事教練課程を修了したPKKのゲリラ戦闘員を前に演説するムラット・カラユラン人民防衛中央隊総司令(中央)。左の女性はゾザン・チェウリク(YJA-STAR)司令官、右はイルファン・アメッド司令官。場所はイラク北部の山岳地帯カンディルにあるゲリラキャンプ。PKKは昨年、ゲリラ増員の方針を打ち出し、クルド青年に参加を促してきた。演説では今月起きたイラク・シンジャルでのクルディスタン民主党(KDP)との衝突についても言及。KDPはトルコと結んで、勢力拡大を図るPKKに対抗し、緊張が続いている。

PKKカラユラン司令官ネウロズ声明 (演説)2017

同志諸君、ネウロズの日は、わが人民の歴史において重要な位置を占めてきた。ネウロズは自由を導く吉報を伝える日であり、闘争と勝利の日であった。我々、クルディスタン・ゲリラ戦士は、オジャラン指導者と獄中の同志のために、このネウロズの日を祝う。

クルディスタン全人民、この地域の人民、すべての同志たち、戦いに殉じた烈士の家族、烈士の母たちのためのネウロズをここに祝うものである。

現代の英雄カワたる烈士マズルム・ドアンとともに、革命闘争に殉じた烈士たちを追悼し、決意をあらたにする。そして先日、烈士となったフェルゼンデ司令官、マルディン管区のソロ司令官、同志ズナリン、バハザット、ロジハットたちを追悼する。
訳注:英雄カワ=ネウロズ伝説の物語に出てくる鍛冶屋の男。暴君を倒した英雄として知られる)

加えてシンジャルで殉じ、父と兄も烈士であるオルハン・バラン、そしてチェクダル烈士を追悼する。さらに、シンジャルの英雄たち YBŞ(シンジャル抵抗隊)のアメッド・シェンガリ、ショラシ・シェンガリ、チヤ・ゼルデシュト、アリフ・シェンガリ、テコシンらの烈士同志たちを追悼する。

訳注:シンジャル抵抗隊 YBŞ=PKK系のヤズディ教徒の戦闘部隊。住民防衛などの目的で編成された。2014年、ISによるシンジャル襲撃時、クルド地域政府のペシュメルガがヤズディ住民を置き去りにして逃げ、虐殺や女性拉致を招いた。これに対し、PKKはIS地域に突撃して住民の一部を救出したことから、相当数のヤズディ教徒にPKK支持が広がった)

クルド人女性、ナゼ・ナイフ・クァワルにも追悼の意を表する。これら烈士たちは誇りであり、我々の道を照らした光であった。自由クルディスタンのもとに、烈士たちの名誉は我々の心に刻まれるだろう。

同志諸君、わが人民は2017年のネウロズを迎えた。いま、自由クルディスタンへ向けた闘争は重要な局面を突き進んでいる。
現在、わが地域では戦争が進行中である。この戦争ではクルド人民が主要な役割を担っている。この地域は再編され、クルド人民がこの地に確固とした場所を獲得することになるだろう。

自由クルディスタンを建設する時が到来したのだ。もはやこの事実を否定できる者などいない。クルディスタンを占領する植民地主義者は、この現実を十分知っている。イランは秘密裏に動くが、他方、トルコは剣を握って、公然とその姿をさらしている。

AKP(公正発展党)とMHP(民族主義者行動党)の戦略的狙いは、クルド人民が自由と地位を獲得するのを阻止することである。ゆえに、この2年にわたり、彼らは激しい攻撃を加えてきたのだ。
現在、オジャラン指導者に対し、世界にも類例なき隔離拘禁と精神的拷問攻撃が加えられている。同時に、わが町々、ジズレ、スル、シュルナック、ヌサイビン、ヘゼヘ(イディル)、ゲヴェル(ユクセコヴァ)、シロピ、ファルキン(シルヴァン)が破壊攻撃にさらされている。1万におよぶクルドの政治運動家が投獄された。いままさに、わが人民のあらゆる尊厳が攻撃を受けている。
これらの攻撃は、バクール(北=トルコ・クルド地域)に限ったことではない。ロジャヴァ(西=シリア・クルド地域)、そしてバシュール(南=イラク・クルド地域)でも同様である。クルディスタン自由闘争を敗北させるため、クルド人民とその革命に対し攻撃を加えているのだ。

彼らは自身を強いと思っているゆえに、我々を攻撃するのではない。自身が弱いからこそ、我々を攻撃するのだ。自由クルディスタンの到来を恐れているのだ。一方で彼らは、我々に対する戦争に勝てないと知っている。
ゆえにトルコ軍将官は、クルディスタン内のアラブ人部族やいくつかのクルド勢力と会合を重ね、彼らがロジャヴァ(シリア・クルド地域)に対して戦うよう仕向けてきた。村落警備隊の頭目たちとも会合を持ち、金銭まで提供している。

訳注:村落警備隊=トルコ政府がPKKの活動を封じるため、村落地帯でクルド人を編成し、武器を供与して地域防衛任務にあたらせている。親政府系のクルド住民のほか、拒否すればPKK支持とみなされるためしかたなく警備隊に参加する者もいる)

北部(トルコ・クルド地域)において、クルド人どうしを反目させ戦争に仕向けるためだ。AKPとMHPに主導されたトルコ国家は、幾多の工作と南部(イラク・クルド地域)での策謀をもって、クルド内戦化を企てている。

すべてのクルド人の自覚のある者たち、そして民主主義者は、植民地主義者のこの策謀を警戒せねばならない。

いまクルディスタンは自由を勝ち取る局面を迎えている。2017年のネウロズは、自由と勝利のネウロズである。今日、この日、クルディスタンのすべての政治、人民とで団結を構築し、国民民主会議として結ばれることを呼びかける。

この団結は、クルド人民と自由クルディスタンの未来を決定するものとなろう。クルド人の政治は、その手腕と対話によって解決を導くべきである。そうでなければ、MHPが主張するごとく「クルド人など踏みつぶす」が現実のものとなってしまう。

「時代遅れの者たちに、諸問題を解決できるわけなどない」と言う者もいるだろうが、これほどの恥はない。解決策は対話を通じてもたらされるのだ。攻撃や脅迫を通じてではない。

シンジャルで、戦闘行為に従事していない一般住民への発砲事件が起きた。これが許されようか。彼らはクルド人であり、ヤズディ教徒である。クルディスタンの革命を担う者なら、そしてこの国の政治家であるなら、シンジャルのヤズディ女性たちに責任を負っているはずだ。

現在もヤズディ女性はダアシュ(イスラム国)に拉致されたままである。我々がすべきことは、彼女たちを殺すことではなく、救出することである。クルドの娘たるナゼ・ナイフを殺したことをどう正当化するというのか。平和的な行進をしていただけの無防備の市民である。これはいったい何を意味するのか?
訳注:ナゼ・ナイフ=ヤズディ女性団体のメンバーで今月、PKK系団体がシンジャル近郊のハナソルでデモ行進をした際、クルド地域政府の治安部隊やペシュメルガとの衝突で死亡。PKKとクルド地域政府がハネソルの主導権を巡って対立が先鋭化。PKKは「クルド地域政府とクルディスタン民主党(KDP)が発砲して殺害」と非難)

これがペシュメルガの姿か? どうすれば司令官はそんな命令を出せるのか? これを恥でなくて何というのか? 我々は、ひとつの課題に向けて取り組んでいるのであり、これはわが人民の利益となることをすべての者が知らねばならない。

誤った政治はクルド人民とクルディスタンの利益を脅かすものとなる。ゆえに、いかなる過ちも犯すべきではない。現在の局面はクルド人民の闘争の勝利の展望を提起している。まずなすべきは、植民地主義たちの策謀に対してクルド人民が闘争を闘い抜くことである。その先にこそクルド人民の展望が切り開かれるのだ。

今日は重要な日である。わが人民のすべてが、この大いなる日を祝っている。とりわけアメッド(ディヤルバクル)と、バクール(トルコ・クルド地域)全域において、AKP-MHPのファシスト集団に対するネウロズの炎を高く燃やし、結集し、自由と民主主義のメッセージを届けるのだ。

同志諸君! この大いなる祝福の日に、アポロ軍事キャンプ、マハスム・コルクマズ教育隊、ハキ・カレル教育隊での教練が達成された。今年は、ここを含む12の教育隊で軍事教練が達成された。教練を通じ、自由クルディスタン・ゲリラ戦士の強化と高度な専門技能が獲得されることを願っている。21世紀のゲリラは、現代的な技術を戦術に応用し、大いなる創造性のもとに勝利を勝ち取る。

この4年、我々は人民防衛軍(HPG)の再編を進めてきた。この軍事教練修成をもって、再編工程も最終段階を迎えつつある。ゲリラ戦士は、クルディスタンの人民をいかなる場所でも防衛する使命がある。この歴史的局面にあって、戦闘現場で不屈の姿勢を貫かねばならない。

オジャラン思想と自己犠牲精神で武装されたクルディスタン自由ゲリラ戦士は、烈士チヤゲル、アザッド・シセル、デヴリム・アメッド同志らの遺志を受け継ぎ、2017年の戦いを担い、勝利の年へと導くだろう。

「PKKは3月、4月には敗北し、消え失せるだろう」などと敵は主張している。わが人民が知るべきは、AKP国家は心理戦争を仕掛けているのであり、その9割は虚構に満ちたものということだ。
クルディスタンの自由への前進を止めることなどできない。この歴史の流れを変えることは誰にもできない。勝利はわが人民のものである。
敵は我々に戦いを挑みかけている。だが、我々にはこの戦争への準備ができている。ここの同志たちは軍事教練を達成した。司令官たちは、黒海、デルシム(トゥンジェリ)、アメッド(ディヤルバクル)、ボタンの各戦線での戦闘任務を切望している。

我々と敵の間に誰かが割って入ることはありえない。トルコ国家主義やAKP-MHPファシスト集団が我々との戦いを望むなら、彼らと我々の間にクルド人は割って入るべきではない。

クルディスタンに自身を捧げた戦士たる我々は、この戦争で失うものなどない。わが人民の利益を守ることが目的であり、この歴史的局面において、その使命を果たすものである。

マハスム・コルクマズ、ハキ・カレルの各軍事キャンプにおけるオジャラン思想に基づいた軍事教練は、勝利の礎石を築くことになろう。

この信念のもと、今日、軍事教練を達成した同志たちを祝い、勝利を願うものである。2017年のネウロズから始まる新たな闘争は、オジャラン指導者の釈放とクルディスタンの前進を領導するものとなる。ネウロズの炎が、自由へ向けた歩みを切り開くだろう。未来はわがクルディスタン人民のものである。

ネウロズ万歳!
オジャラン指導者万歳!
わが命と血はオジャラン指導者のために!
オジャラン指導者なくして我々はない!

f:id:ronahi:20170326115121j:plain

トルコでは治安部隊とPKKの衝突が続く。今回のカラユラン声明に出てくるトルコ南東部マルディン県ヌサイビンは激しい戦闘が起きた町のひとつ。戦闘で住宅地が広範囲に破壊され、家を失う住民があいついだ。(2016年・クルド・メディア写真)

f:id:ronahi:20170326115159j:plain

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は今年3月、トルコ南東部の人権状況に関する報告書を発表。トルコ治安部隊とPKKとの衝突とその掃討作戦の過程で多数の住民が家を失い、2015年7月~2016年12月までに35万人余りが避難生活を余儀なくされ、深刻な人権侵害が起きているとした。報告書では、マルディン県ヌサイビンで破壊前と破壊後の写真を比較。(OHCHR報告書写真)

f:id:ronahi:20170308173546j:plain

図はクルディスタンにおけるPKK系組織の相関図。PKKはクルディスタンでの戦いを「植民地主義の占領による収奪と民族存在・文化抹殺攻撃」と規定し、これに対する闘争を、クルディスタン自由闘争と呼んでいる。ロジャヴァ(シリア・クルド地域)での戦いも、こうした思想が色濃く反映されている。オジャランが提唱した民主的共同体連合(デモクラティック・コンフェデラリズム)によって各地の政治組織が包括される、とする思想に基づいて関係性が構築されている。アメリカはPKKを「テロ組織」と規定する一方、IS壊滅作戦でPKK系のシリアの人民防衛隊(YPG)が主導するシリア民主軍(SDF)に軍事支援するなど複雑な状況となっている。

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

イスラム国(IS)壊滅作戦~アメリカによるシリア民主軍(SDF)への軍事支援

◆クルド関連 ◆IS以外の武装組織 ◆IS関連

◆アメリカからの装甲車供与~軍事と政治のはざまで
イスラム国(IS)との戦いを進めるシリア民主軍(SDF)とクルド・人民防衛隊(YPG)は、IS拠点都市ラッカへの包囲網を狭めつつある。有志連合軍は、IS拠点に空爆を続け、米軍特殊部隊はシリア領内でSDFと行動をともにしている。軍事支援も進むが、そこには政治バランスもからみあう。

f:id:ronahi:20170307205730j:plain
f:id:ronahi:20170307205741j:plain

アメリカによるシリアのクルド組織への最初の軍事支援が武器弾薬投下作戦だった。2014年10月、シリア・コバニがISに制圧される寸前にまでいたった際、町を死守していたYPGの弾薬はほぼ尽きかけていた。イラククルディスタン地域政府はペシュメルガ部隊の援軍約150名をトルコ国境から派遣。また米軍機は上空からYPG地域に武器弾薬を投下した。このときアメリカはトルコを刺激しないよう、「イラク・クルド政府から頼まれた物資を輸送機で運んできて投下しただけ」と弾薬支援に一応の理由をつけた。YPG地域はわずか2キロ四方しかなく、ISの対空砲撃もあり、一部の投下物資が目標をはずれてIS地域に着地。当時、IS系メディア・アマーク通信はその映像を公開、IS戦闘員が「我々の戦利品だ」などと話している。(写真はIS系アマーク通信・2014年10月)

オバマ政権時代にも、シリア・クルド勢力に小火器などの武器支援、特殊部隊による戦闘訓練は行なわれてきたが、その実態が大きく報じられることはなかった。NATO同盟国トルコへの配慮が理由のひとつだ。トルコはYPGをクルディスタン労働者党(PKK)と一体の組織とみなし、アメリカもPKKについては「テロ組織」と規定している。アメリカにとっても「YPGに武器供与」となれば、「ISというテロ組織を壊滅させるために、別のテロ組織を支援している」と国際社会に受け取られかねない。ゆえにアメリカ側はおおっぴらには公表しなかったし、YPGもアメリカからの具体的な援助内容を伏せてきた。

f:id:ronahi:20170307205915j:plain

米軍は2015年10月にもSDFへの武器弾薬投下作戦を行なっている。このときはシリア東部ハサカのISとの前線に向けて、AK-47、M-16などの自動小銃と弾薬あわせて50トンが、戦闘機の援護を受けたC-17輸送機編隊によって投下された。その際、「シリアのアラブ連合組織への武器支援」とされ、シリア・クルドという表現を意図的に使わなかった。この表現が現在にもつながっている。写真は投下作戦について説明する有志連合報道官、米軍のウォレン大佐(当時)。(2015年・米国防総省映像)

f:id:ronahi:20170307210034j:plain

これが今年1月下旬に映像で確認されたアメリカが供与した装甲車輌、インターナショナル・アーマード・グループ(IAG)社のガーディアン。ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーのサイトではフォード社のF550をベースに装甲化したタイプとしている。(SNSで出た写真)

ISが拡大し、世界各地で襲撃事件を繰り返すようになると、有志連合軍は一致してIS対抗勢力への支援を拡大した。有志連合軍はサイト上で連日、作戦状況を広報しているが、イラク軍やイラク・クルド地域ペシュメルガ部隊への支援や連携映像は詳細に伝える一方、シリアでの作戦は空爆映像を除いてほとんど出さない。やはりトルコへの配慮が大きいからだろう。

f:id:ronahi:20170307210152j:plain

装甲車輌供与はトランプ大統領就任のタイミングが重なったこともあり、「トランプからのプレゼント」とも報じられた。米国防総省報道官は、一連の報道について「以前から予定されていた支援策の実行であり、ISと戦うシリアのアラブ連合組織に装甲車輌を供与した」とした。このときもアラブ連合組織とし、クルドやYPGとの表現を避けた。右のIAG装甲車はSDFの旗だが、後続のトラックはYPGの旗である。

f:id:ronahi:20170307210256j:plain

一方、トルコ・メディアはこの支援を「アメリカがテロ組織に装甲車を供与」とする扱いで報じた。トルコ政府はアメリカに対し、武器支援の懸念を表明し、「YPGがISを追い出した後に獲得した地域がトルコの安全保障上の重大な脅威となる」と伝えている。またトルコ軍はYPG拡大阻止のため、IS掃討を名目にシリアに越境介入している。写真はトルコの新聞紙面。

YPG主導のSDFがISへの攻勢を強め、IS「首都」ラッカ包囲にまで及ぶ状況となったいま、アメリカはYPG・SDFをISと戦える有効な対抗勢力と明確に認めるようになった。当初アメリカが支援していた自由シリア軍系組織が離合集散するなか、クルド側は頑強にISと戦い抜いてきた。またIS対策に強硬姿勢で臨むと表明してきたトランプ政権の誕生も重なっている。

もちろんアメリカはPKKがトルコで自爆攻撃や武装襲撃をする組織であることを十分に知っていて、YPG・SDFに全幅の信頼を置いて軍事作戦を進めているわけではない。とくにアメリカ製の武器をYPGがトルコ軍に対して使うことを懸念している。これまで一連の作戦には、小規模ながらクルディスタン愛国同盟(PUK)のペシュメルガ特殊部隊が一部同行している。イラク・クルド地域の、それも方言がまったく異なるPUK部隊がシリアにいるのは、「監視役」として、YPG・SDFが暴走しないようにしているため、と自分なりには推測しているところだ。

f:id:ronahi:20170307210431j:plain

アメリカからの武器供与報道については、YPGのレドゥル・ハリル司令官兼報道官も直ちに声明を出し、「我々は対IS戦において、有志連合からの装甲車などの武器支援を受けてはいない」とした。このYPG声明は一応は事実である。しかし実際のところを言えば、SDFを主導しているのはYPGで、戦闘現場でその装甲車輌を使っている戦闘員にはYPGも含まれている。あくまでも武器を供与した相手はISと戦うアラブ連合組織としておいたほうがアメリカには「都合がいい」という背景もある。そしてYPG側も犠牲を払ってラッカ攻略戦を戦うには政治方針や思惑がある。(画像はYPG・2017年2月1日付声明)

シリア内戦が始まり、YPGが結成された当時、「実質的にはPKKと見られてるんだから、PKKの名前でいいのに」と思った。のちにYPGがアラブ組織と合同でシリア民主軍(SDF)を編成したときには、「また新組織か。ややこしい」と感じた。ところが、こうした「使い分け」が、ときに組織にとって政治的には有効である現実を知った。
世界的な脅威となったIS。その戦いのなかにも、各国や各派の思惑がからみあい、「共通の敵=IS」を相手にしながら、軍事と同時に、政治が複雑に動いている。

f:id:ronahi:20170307210657j:plain

先月24日、米中央軍(CENTCOM)司令官ヴォーテル大将がシリア・コバニとラッカ近郊の前線地帯に入り、クルド部隊と接触した。ラッカ攻略をめざす「ユーフラテスの憤怒作戦」の最終的な詰めをした模様だ。司令官は昨年5月にも現地入りしている。先月には、米軍地上部隊の増派に言及するなど対IS戦への積極姿勢を見せ、今後さらに支援が拡大するのは間違いない。トルコの反発が予想されるが、このタイミングでの司令官訪問には、ホワイトハウスがISの即時的壊滅の計画策定提出を国防総省に求めたことも影響しているのではと米メディアは伝えている。司令官の訪問直前には、共和党・マケイン上院議員も現地を視察。これらの大物がシリア現地に行くのは、関係国に対するアメリカの意志表示でもある。写真は先月6日、フロリダの基地でのトランプ大統領とヴォーテル大将。(米中央軍公表写真)

f:id:ronahi:20170307210730j:plain

今回、ヴォーテル大将のシリア入りにあわせ、米中央軍はツイッターで「シリア北部」としていくつかの写真を出した。それでも政治的配慮が見られ、YPGを示す旗や部隊章などは出さないようにしている。(米中央軍公表写真)

f:id:ronahi:20170307210951j:plain

これは2014年1月のコバニ。当時、戦闘激化でYPGが戦闘員を増やすなか、戦闘服が足りず、セーターにジーンズ姿も。武器はシリア政府軍やヌスラ戦線から鹵獲するなどしてかき集めた。(2014年1月・撮影・アジアプレス・玉本)

f:id:ronahi:20170307211035j:plain

それから3年経っていまはこんな状況に。場所はシリア・クルド地域のアフリンと思われる。これはHAT(対テロ特殊部隊)の女性隊員。YPGが軍事戦闘組織である一方、HATは治安警備組織(アサイシ=警察)に属するが、基本的には地域防衛を担う両輪として一体の機構といえる。シリアで銃といえばカラシニコフばかりだったなかで、クルド組織がこれだけの装備を持てるまでになったのは、武器供与を伺わせるものでもある。左はCAA RONIキットをつけたハンドガンで、右の自動小銃オーストリア製のステアーAUGではないだろうか(間違ってたらすみません)。(SNS写真より)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

イラク・シリアに飛んでいるオスプレイ~イスラム国(IS)との戦いにも投入

◆IS関連 ◆クルド関連

イラクでは米軍が2007年から運用、IS壊滅作戦にも
日本で何かと取りざたされる米軍の垂直離陸輸送機オスプレイイスラム国(IS)との戦いの現場でも投入され、イラクだけでなく、シリアでも飛んでいる。

f:id:ronahi:20170224054546j:plain

イラクで米軍がオスプレイを運用するようになったのは2007年、海兵隊の任務に使われたのが最初と記録されている。イラクでの運用が始まってもう10年になる。当時から米軍による武装勢力掃討作戦は続いていた。写真は2007年、バグダッド空港での米軍オスプレイ。(米軍公表写真)

シリア北部では、ISとの戦いを進めるクルド・人民防衛隊(YPG)、シリア民主軍(SDF)が展開する地域に派遣された米軍特殊部隊がオスプレイを運用している。イラクでのオスプレイ映像はけっこうあるが、シリアでの飛行についてはほとんど公表されていない。

【動画】シリア北部を飛んでいると思われる米軍オスプレイ(2016)
昨年9月頃、ネット上にアップされた動画。個人がシリア・クルド地域で撮影したものと見られる。クルド語で「あれ、なんだ?」と話す声が聞こえる。シリアのクルマンジ方言なので、イラクではなくシリア領内と推測される。(YouTubeより)

実際にシリアでオスプレイを自分で見たわけではないので、これまでネット情報だけでは確証は持てなかった。そこで先日、シリア北部にいるSDFの戦闘員にメッセージを送り、写真も見てもらったところ、「ヘリコプターみたいな飛行機のことだろ。だいぶ前から飛んでるよ」という返答だったので、米軍がシリアで運用しているのはまず間違いないだろう。

f:id:ronahi:20170224053154j:plain

シリアでオスプレイが飛んでいるという話は昨年夏ごろSNS上でも出ていた。これは2016年6月撮影の衛星写真。ウォッチャーのあいだでは、駐機中の各種機体を図のように推測、そのSNS情報をもとに図を再現してみた。この場所はコバニ郊外にあった元セメント工場で、一時、ISの支配下にあったが、のちにクルド勢力が奪取。セメント運搬トレーラー用の車輌置き場が発着場として米軍に提供されたようだ。ここからISの「首都」ラッカまでは直線で75キロ。現地に派遣されている米軍特殊部隊が運用し、SDFへの武器支援も行なっているものとみられる。どこからシリアまで飛んでくるかというと、基本的にはイラクにある基地といわれる。

オスプレイがシリアで作戦に投入されたと最初に報じられたのは、2015年5月。東部デリゾールで、米軍特殊部隊が初めてシリア領内で遂行した地上でのIS幹部の殺害作戦に、ブラックホーク・ヘリとともにオスプレイV-22が使われた。当時は一時的な作戦任務だったが、現在はシリア北部の発着場で米軍特殊部隊の移送や武器運搬として常時運用されるまでになっている。

f:id:ronahi:20170224053249j:plain

シリアのYPG・SDFとともにIS壊滅作戦を進める米軍部隊。派遣された人数は明らかにされていないが数百人規模といわれる。トランプ政権は、IS掃討をさらに強化すると表明しており、人員はさらに増派される見込みだ。映像は昨年クルド系メディアが報じたもの。派遣されているのは海兵隊特殊部隊と見られる。(クルディスタン24映像より)

オスプレイを始めとしたさまざまな兵器・武器の作戦投入によって、実戦データも蓄積されるだろう。どこの国でも軍隊は、最新兵器を欲しがるものである。軍需産業はたくさんの「顧客」の要望に応えるべく兵器開発を続ける。実戦での実証データがあるほど、兵器は洗練され、売りやすくもなる。ゆえに、戦争はいつの世もなくならないだろうし、それを利用しようとする大国の政治家や企業も消えることはない。第2次世界大戦以降、最大の難民を生んでいるこの21世紀の戦争はまた、実戦データを集める格好の場であり、最新兵器の見本市ともなっている。

f:id:ronahi:20170224053415j:plain

米軍主導の有志連合軍によるIS壊滅を目指す戦い「生来の決意作戦」に投入されているF-22ラプター。実戦での運用を重ねるほど、戦闘での実証データは集まり、改良や新兵器開発にもつながっている。イラク・シリアがその現場となっている。(有志連合軍・CJTF-OIR写真)

f:id:ronahi:20170224053613j:plain

トランプ大統領は1月21日、米中央情報局(CIA)本部でスピーチ。「(アメリカが)イラクに行くことに私は反対だったが、その後、イラクに入ってしまったのなら、そのあとが失敗だった。石油を我々が押さえておくべきだった。だからISが石油を奪ってしまった」と述べた。その石油はイラク政府のものではないかと思うのだが…。アメリカのイラク侵攻の建前は一応、大量破壊兵器の脅威だったのに、「石油は押さえておくべき」との本音トーク。あのときアメリカの建前に従って米軍のイラク攻撃を支持した日本の立場はどうなるのか。(ホワイトハウス公表映像より)

f:id:ronahi:20170224053628j:plain

2月21日、トランプ政権になって初めてイラクを訪問したマティス国防長官。先月のトランプ大統領のCIA本部での「石油発言」について記者に問われ、「石油を押さえるためにイラクに来たのではない」と弁明する羽目に。大統領の暴走トークのフォローをさせられるほうも大変である。写真はIS壊滅作戦を進める有志連合軍作戦司令部を訪れたマティス長官。(国防総省公表写真より)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【動画・シリア民主軍SDF声明・全文】イスラム国(IS)「首都」ラッカ攻略の第3段階・第2ステップへ~東部戦線からの包囲進撃めざす

◆各国・各組織声明文 ◆IS関連 ◆クルド関連 ◆IS以外の武装組織

◆デリゾール軍事評議会も展開~東部戦線ラッカ10キロ圏内へ
イスラム国(IS)の拠点都市、ラッカの攻略へ向けた「ユーフラテスの憤怒作戦」を進めるシリア民主軍(SDF)は、2月17日、作戦の「第3段階・第2ステップ開始」を宣言する声明を発表した。ラッカ東部近郊への進撃にはデリゾール軍事評議会が合同して展開し、ラッカとデリゾールを結ぶ要衝を分断しラッカ包囲を目指す作戦目標を掲げている。将来的なデリゾールからのIS排除も視野に入りはじめた。ラッカ東部戦線の進撃速度は速く、一部の東方の前線ではラッカ中心部まで10キロ圏内に迫ったとも伝えられている。以下、声明全文。(一部意訳)

【動画1】ユーフラテスの憤怒作戦・作戦室声明(2017/02/17) 一部意訳
IS「首都」ラッカ攻略作戦「第3段階・第2ステップ開始」声明を読み上げるジハン・シェイク・エヘメド作戦室広報官(中央)。左はデリゾール軍事評議会ハメド・アブ・ハウラ議長。右はSDF作戦部隊ディジワル・ヘバット・セレカニエ司令官。

シリア民主軍(SDF)声明・ラッカ解放作戦
第3段階・第2ステップ
(2017/02/17)

【ユーフラテスの憤怒作戦・作戦司令室声明】

ユーフラテスの憤怒作戦・作戦室は、ユーフラテスの憤怒作戦の第3段階における第2ステップ開始をここに宣言する。我々はラッカ東部近郊地域を解放する第1ステップの進展をうけ、このたび新たなステップを開始する。

f:id:ronahi:20170221042650j:plain

左はシリア民主軍(SDF)、右はデリゾール軍事評議会の旗。デリゾールの名所、ユーフラテス川にかかる吊り橋(ジスル・アル・ムアラク)が描かれている。

 

 

この第2ステップでは、ラッカ近郊の東部地域に展開し、また(ラッカを)デリゾールから隔離包囲することを目指す。この進撃は、わが軍の地上における勝利的展開と、テロに対抗する国際有志連合軍の上空からの支援のもとになされる。ラッカの隔離と周辺のテロリストの包囲は重要なステップとなろう。

この地域一帯はデリゾールと近接しているため、デリゾール軍事評議会が東部方面から有志連合軍の支援を受けながら効果的に進攻する。我々はラッカだけでなく、デリゾールの民衆に向けても、勝利は間近に到来し、テロ集団が敗北するという吉報を届けることとなろう。

地域の住民からのわが軍への支援に、あらためて感謝を表明する。また、作戦を有効に遂行するために、ダアシュ(IS)・テロリストの集合拠点から離れるよう、住民に呼びかける。

テロ集団とその支持者に恥辱を!
シリア民主軍とシリア全人民に勝利を!

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室

2017年2月17日

【動画2】有志連合軍によるラッカ近郊のIS自動車爆弾工場空爆
(2017/01/30・音声なし・24秒)
ラッカ近郊のISの自動車爆弾製造工場を有志連合軍機が空爆で破壊。上空から標的を選定して爆弾を投下しているということは、IS地域内に情報要員がいることを意味する。密かに通信手段を用いてSDFに標的を教え、有志連合軍の司令部に伝えている。SDF声明で毎回、「ISの集合地点からできるだけ離れよ」と住民に呼びかけがなされるのは、ISの軍事施設や車輌基地、武器庫などへの空爆による近隣住民の被害リスクを下げるためである。とはいえ住民がいても軍事的に破壊すべき標的と判断されれば、住民犠牲が予想されても爆撃が遂行されることもある。(CJTF-OIR公表映像)

f:id:ronahi:20170222094206j:plain

2月中旬頃の状況。現地情報と照合しながら地図を作っているのだが、進撃は速く、前線位置は刻々と移動している。SDFの東部戦線では、一部地域でラッカ近郊まで10キロ圏内に迫ったと報じられている。SDFは今回、ラッカの東部戦域でデリゾールをつなぐ要衝を攻略し、ラッカを包囲することを目標にするとしている。ただ、一気に攻め込むと、ISは住民を巻き添えに「総玉砕戦」に転じる可能性もある。ラッカとデリゾールの中間にあるマアダン近郊にはISに反発してきた地方部族もあり、これらの部族がSDF側につけば戦局はさらに動くだろう。

f:id:ronahi:20170221030132j:plain

SDFを主導するのはクルド組織・人民防衛隊(YPG)。それにアラブ人やトルクメン人らの合同部隊が参加している。写真はラッカ近郊の前線に展開するYPGの装甲車輌。(SDF映像)

f:id:ronahi:20170221030250j:plain

今回、SDF声明の映像に登場したデリゾール軍事評議会ハメド・アブ・ハウラ議長。昨年8月にISを排除したマンビジでは、軍事評議会が暫定統治機関となった。SDFはこの軍事評議会をラッカやデリゾールでも、攻略勢力の一部とし、ISを駆逐したのちには、軍事評議会が暫定統治機構に関与することになるとみられる。ただ、デリゾールはシリア政府軍が町の一部を死守しているため、ラッカ解放後にデリゾールに進撃するなら、なんらかの調整がなされることもと予想される。カミシュリやアレッポではYPG-SDF主体の勢力とアサド政権が分割統治しており、状況次第ではこうした形になるのではないか。(SDF映像)

【動画3】 ISと交戦するSDF部隊(2017/02/10)
前線でISと交戦するSDF部隊。デリゾールもラッカもアラブ人が趨勢の町で、住民の多くはIS支配に苦しみ壊滅を願う一方、IS以後にクルド勢力の意向を受けた評議会が実質統治をすることに不安を抱く者も一部にいる。またトルコは、YPGがラッカ解放の主体となることを懸念し、YPGを支援するアメリカに対して繰り返し懸念を表明している。(SDF映像)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【動画+写真30枚】イスラム国(IS)戦術分析(18)◆戦闘員養成5・各地に広がる軍事キャンプの脅威(イエメン・リビア編)

◆IS戦術分析 ◆IS関連

◆各地に拡散したIS軍事キャンプ【動画+写真30枚】
2014年にはシリア・イラクにまたがって広大な地域を支配下に置いたイスラム国(IS)。その後、イラク政府軍やシリアのクルド組織・人民防衛隊(YPG)の攻勢を受け、現在、ISは後退局面にある。一方で、ISはイエメン、リビアアフガニスタンといった政権基盤が弱いイスラム圏で、権力の真空状況に付け入る形で拠点作りを進めてきた。シリア・イラクでISが壊滅したとしても、別の地域でISが活動を続ける可能性もある。今回はイエメン・リビアに広がる脅威を軍事キャンプから考察。

【IS動画・日本語訳】イエメン軍事キャンプ(2015) 一部意訳・転載禁止
シリアから遠く離れた場所ながら、イエメンでも軍事教練の基本メニューは共通しているようだ。前回のアフガニスタン軍事キャンプ同様、専門の軍事教官が派遣されていることが伺える。この映像は2015年4月公開で、ドローンが空撮に使われている。砂漠の射撃訓練という単調な映像だが、低空飛行による空撮やアングルを変えて撮ったりと工夫が凝らされている。ワイヤレスマイクも使い、V字型に整列した戦闘員がひとりづつメッセージをつないでいく演出まで計算している。

f:id:ronahi:20170329025759j:plain

ISが最も勢いがあった2014年夏頃は、シリア・イラクで掌握していた地域の面積をあわせると、日本の半分近くに及ぶほどだった。さらに、エジプト、イエメン、リビアアフガニスタン、西アフリカ、北コーカサスチェチェン・ダゲスタンなど)に地下拠点を作り、その一部を「県」(ウィラーヤ)として宣伝してきた。ほかにもバングラデシュ、インドネシア、フィリピンなどにも浸透を図ろうとしている。シリア・イラクでISを叩けば壊滅するのではない。政情不安や混乱が続く「権力の真空地帯」にISが入り込めば、あらたな拠点となる可能性がある。(地名の呼び名など細かいところが間違っていたらすみません。だいたいあってると思います)

f:id:ronahi:20170218230730j:plain

【イエメン・サナア】 冒頭で紹介した動画が公表されたのは、2015年4月。イエメンでは政府軍とフーシ派勢力が衝突し、サナアを占拠、大統領の辞任など政権が崩壊するなか、アルカイダ勢力も加わって騒乱が続き、フーシ派が「政権掌握」を宣言した時期である。さらにサウジアラビアも軍事介入している。そうした混乱状況のなかでISも拠点作りを進めていた。アルカイダ勢力に比べると規模は小さいが、プロパガンダ映像のレベルはアルカイダをしのぎ、宣伝効果は高い。(2015年・IS映像)

f:id:ronahi:20170218230755j:plain

【イエメン・アダン】 写真はアデン地域のシェイヒン軍事キャンプ。イエメンはアルカイダ勢力基盤だった。現在もアルカイダはイエメンでの存在感は優位にあるものの、ISはシリア・イラクでの台頭のなかイエメンにも勢力浸透をはかってきた。ISは治安機関に対する襲撃や自爆攻撃も繰り返し、メディア部門を通じて「戦果」を報じている。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218230929j:plain

【イエメン・アダン】 シェイヒン軍事キャンプ。ISがクオリティの高い動画や写真報告で軍事キャンプの映像を数多く公表し、スンニ派に結集を呼びかけた意味は大きい。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231035j:plain

【イエメン・アダン】 ISに使われる車にTOYOTAの文字。悲しい。日本車の間違った使い方である。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231143j:plain

【イエメン・ハドラマウト ISに使われるカメラにSONYの文字。やはり悲しい。日本製ビデオカメラの間違った使い方である。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231235j:plain

【イエメン・ハドラマウト】 2015年10月のイエメンのメディア活動を特集した写真。「メディア班の講習」とあり、ワークショップでチームが撮影を学んでいる。ISがメディア戦略を重視しているのがわかる。イエメンにありながらこうしたことを組織できる能力や、戦略性にも注目すべきだろう。また、捕らえた敵兵をカメラの前で斬首するISの「手法」も、共通して用いられている。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231310j:plain

【イエメン・ハドラマウト イエメン・ハドラマウトにあるシェイク・アナス・アル・ナシュワン軍事キャンプ。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231333j:plain

【イエメン・ハドラマウト サナアの軍事キャンプ同様、ここも共通した教練メニューがあるようだ。指導者バグダディを頂点とするIS組織の軍事部門が、運営・統制していることが伺われる。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231409j:plain

【イエメン・ハドラマウト これはハルワラと呼ばれるアラブ式駆け足のひとつ。上半身は動かさず、膝を交互に高く上げて、ジャンプするように走る。以前、イラク軍の基地を取材したときに兵士に教えてもらったが、かなりキツかった。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231436j:plain

【イエメン・ハドラマウト】 RPG-7ロケット砲を撃つ訓練。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231457j:plain

【イエメン・ハドラマウト ロシア製のPK機銃。ISでは、ベー・カーとかビー・ケー・シーと呼ぶ。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231530j:plain

【イエメン・ハドラマウト 銃を携えるときに、引き金に人差し指をかけず、伸ばして添えている。銃の扱いの基本だが、訓練を受けていない場合はこれができていなかったりする。こうしたところにもISの教練指導が徹底されていることがわかる。(2015年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231700j:plain

【イエメン・ベイダ】 これは別のキャンプ。2016年12月に公開された写真。同年8月にシリアで空爆によって死亡したIS広報官、アブ・ムハンマド・アドナニの名前を冠したベイダの軍事キャンプ。早くもアドナニをキャンプ名にするプロパガンダの戦略性を感じさせる。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231649j:plain

【イエメン・ベイダ】 これもアブ・ムハンマド・アドナニ軍事キャンプ。戦闘服一式が真新しくみえるので、撮影用に支給されたものではないだろうか。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231821j:plain

【イエメン・ベイダ】 アドナニ軍事キャンプ。指導教官が至近距離で実弾を撃ち込んでいく。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231856j:plain

【イエメン・ベイダ】 背面匍匐前進でも、実弾が撃ち込まれる。鬼教官である。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218231936j:plain

【イエメン・ベイダ】 タイヤを引っ張る匍匐前進。目の前に実弾。教官、鬼すぎる。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232100j:plain

【イエメン・ベイダ】 対人格闘訓練。説明の文字には「イングマスィ課程」とある。イングマスィは以前も紹介したが、いわゆる突撃決死隊のことで、写真では突撃決死戦士の訓練をしていることを伝えようとしている。実際に突撃精鋭部隊を養成しているのか、一般戦闘員の教練でもあえてこうした表現にしているのかは不明。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232129j:plain

【イエメン・ベイダ】 ナイフ格闘訓練。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232152j:plain

【イエメン・ベイダ】 最後はバグダディへの忠誠(バヤア)を表明して、連帯感を強める。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232222j:plain

リビア・バルカ】 ここからはリビアリビア東部「バルカ県」(=キレナイカ)のシェイク・アブ・アル・カハターニ軍事キャンプ。カハターニとは、おそらくISのリビアでの幹部だったアブ・ナビル・アンバリのことと思われる。2015年11月、リビア・ダルナの米軍の空爆で死亡している。軍事キャンプの名前は、高名な指導者や指揮官の名前を冠することが多い。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232252j:plain

リビア・バルカ】 有刺鉄線をくぐる訓練。これはIS以外にも武装各派や、イラク軍もやっているので、IS独特というわけではない。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232309j:plain

リビア・バルカ】 リビアの混乱に乗じて支配地域を獲得したISだが、一部地域では、リビアの統一政府勢力がISを駆逐しつつある。また米軍が空爆作戦を進めるなか、拠点を失うなどしているが、いまも攻防戦が続いている。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232335j:plain

リビア・バルカ】 カラシニコフ銃など各種武器の分解整備。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232414j:plain

リビア・バルカ】 「理論学習部門」とある。RPG-7ロケット砲の砲弾の種類を教えている。破片榴弾対戦車榴弾、サーモバリック弾、タンデム榴弾などの違いを学んでいるようだ。こうした映像教材を作って、プロジェクターで上映するといった体系的なメニューが軍事キャンプの教練課程に取り入れられているのがわかる。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232452j:plain

リビア・バルカ】 学習では、軍事講習のほかに、信仰・教義、シャリーアイスラム法)が徹底的に教え込まれる。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232539j:plain

リビア・バルカ】 建物の突入制圧訓練。このような攻略突撃にあたる戦闘員はムカタハミーンと呼ばれる。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232611j:plain

リビア・バルカ】 「救急救命措置の講習」とある。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170218232640j:plain

リビア・バルカ】 これは足の負傷時の措置と思われる。地域を越えて体系立った訓練メニューや教練課程が存在することの意味は大きい。一つの拠点を壊滅させても、いつでも各地に伝播し、すぐに戦闘員が養成される可能性がある。(2016年・IS写真)

f:id:ronahi:20170219003211j:plain

リビア・バルカ】 基本教練の課程を修了すると、右手を差し出して忠誠を誓う儀式がおこなわれる。ISはこれをバヤアと呼ぶ。いわゆる各国の軍隊の宣誓式にあたる。ISは何に忠誠を表明するかというと、バグダディ指導者である。彼のために喜んで命を差し出すことをともに宣言する。作戦前に志気を高める時も円陣を組んで忠誠の言葉を唱和する。イラク・シリアから遠く離れたリビアの地でもバグダディへの忠誠がなされる。(2016年・IS写真)

>> 次へ IS戦術分析(19)◆戦闘員養成6・軍人精神教育

<< 前へ  IS戦術分析(16)◆戦闘員養成4(アフガン編)<<

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする