イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【イラン・IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)戦闘員5名が国会議事堂・ホメイニ廟を襲撃(イラン前編)

◆イラン国内で主要機関を狙ったISの攻撃
6月7日、イラン・テヘランの国会議事堂建物とホメイニ廟を狙った同時多発襲撃事件が起きた。実行犯5名を含む23名が死亡し、負傷者50人以上を出す惨事となった。同日、ISは声明を出し、「攻撃はカリフ国(イスラム国)兵士によるもの」と攻撃を認め、さらなる攻撃を予告した。ISがイランの主要機関への攻撃を実行し、明確な声明を出すのはこれが初めてとなる。

【IS動画・日本語訳】クルド系戦闘員、襲撃前メッセージ (クルド語)一部意訳

IS系アマーク通信が6月8日に公開した映像。イラン・テヘランでの襲撃を実行したとみられる戦闘員5人が映っている。冒頭のアッラーを称える部分とコーラン引用箇所のみアラビア語で、あとはクルド語(ソラニ方言)で話している。イランに向けて戦闘メッセージを発するならペルシャ語でいいはずだが、これは出撃を前にクルド人メンバーどうしで意志一致をしている意味もあると思われる。映像ではイランを「ユダヤの手先」とし、またシーア派だけでなく、サウジアラビアのサウド王家も批判。一方、イラン革命防衛隊は「サウジがこのテロの背後にいる」と非難し、事件後、テヘランでの襲撃糾弾デモでも同様の声があがった。ルダウ・ニュースは、襲撃実行犯のうち4名は、イラン西部ケルマンシャー出身のクルド人と報じている。(※クルド語・ソラニ方言はおもにイラン北西部やイラク・クルド地域などで話されている方言。トルコ、シリアで主要なクルマンジ方言とは異なる)

f:id:ronahi:20170618035000j:plain

事件後にISが出した声明(6月7日)。アラビア語ペルシャ語で出されている。いずれもイランと表記せず、「ペルシャ」としている。以下は声明の要旨(一部意訳)。文末の一文はコーラン・ユースフ章:21節からの引用とみられる。襲撃を敢行したイングマスィ(突撃決死隊)については過去記事参照 >>

イスラム【速報】ペルシャ
イングマスィ(突撃決死戦士)5名がテヘラン
多神偶像崇拝者の国会議事堂とホメイニ墓を急襲  

ヒジュラ暦 1438年ラマダン月12日

アッラーの従者たる唯一神信仰者たちは、ペルシャの地のにおける不信仰とラフィダ(=シーア派)の牙城において、複数の場所で多神偶像崇拝者への攻撃を敢行した。カリフ国兵士の突撃決死戦士たち5名が機関銃と手榴弾、自爆ベストで、偶像多神崇拝者の国会議事堂と邪悪圧制のホメイニの墓を攻撃し、彼らの本拠をその不浄な血で満たし、背教徒60名を死傷せしめたのち、殉教を果たした。カリフ国は、ペルシャの地にアッラーの御法を打ち立てるまで、この地のラフィダどもに立ち向かい続け、流血の中に叩き込み、国家機関を破壊するのだということを思い知らせるだろう。これは最初の雨であり、次なる雨が待ち受けている。【およそアッラーはご自分の思うところに十分な力をお持ちになられる。だが人びとの多くはこれを知らない】 

f:id:ronahi:20170618035323j:plain

国会議事堂内のモニターカメラに映る襲撃犯。6月7日午前11時頃、国会建物に一般訪問ゲートから3名が自動小銃と手榴弾をもって侵入、と地元メディアは報じている。

f:id:ronahi:20170618035355j:plain

襲撃犯は銃を撃ちながら国会建物上階に進んだ。イラン革命防衛隊特殊部隊が投入され、午後2時に襲撃犯を射殺し、制圧。

f:id:ronahi:20170618035414j:plain

IS系アマーク通信が公表したテヘランの国会議事堂襲撃時の映像(6月7日付)。実行犯が携帯電話で撮影し、アップしたものと思われる。映像では「ここから出ていくと思っているのか。我々はここにとどまるんだ」という声が聞こえる。即座にIS系機関がこれを公開するなど、襲撃の際の「流れ」が出来ていたと推測される。写真の一部をぼかしています。(IS系アマーク通信)

f:id:ronahi:20170618035433j:plain

国会議事堂前で銃を構える警官隊。(6月7日・Tasnimニュース写真)

f:id:ronahi:20170618035450j:plain

国会襲撃の直前、直線距離で約15キロ離れたホメイニ廟では自爆攻撃が起きた。写真は現場での爆発映像としてFARS通信が伝えた映像。(6月7日・FARS通信JAMARANニュース映像)

f:id:ronahi:20170618035510j:plain

イラン情報省は、実行犯5人の死亡写真とともに氏名を公表。フェレイドゥン、アブ・ジャハド、スリアス、カユム、ラミンとある。上段中央の男は頭部だけになっているので、自爆死したとみられる。情報省は「襲撃犯にはスンニ派過激組織とつながりがあり、のちにISに加わってイラクとシリアで戦闘に従事し、昨年、イランに戻った者がいる」としている。ルダウ・ニュースは、イランのIS関連グループのリーダーだったアブ・アイシャを治安部隊が殺害したが、その後、潜伏した5人のメンバーが今回の襲撃に至ったと報じている。(写真の一部をぼかしていますが、情報省はそのままの写真を公開)

f:id:ronahi:20170618035530j:plain

事件後、イラン治安当局はIS関係者とされる人物らを一斉摘発。テヘランほか、ケルマンシャー州、クルディスターン州、西アゼルバイジャン州の各州などであわせて40人以上を拘束したとしている。

f:id:ronahi:20170618035547j:plain

治安当局は「IS関係者の一斉摘発で武器や手製爆弾、自爆ベルトなどを押収」とする映像も公開。写真が自爆ベルト。

f:id:ronahi:20170618035606j:plain

IS系アマーク通信は事件後、即座にテヘラン攻撃についてインフォグラフ画像を作成。「イスラム国の突撃決死戦士5名が遂行し、国会議事堂に3名が突入、ホメイニ廟で2名が自爆ジャケットで爆発」などとある。アマーク通信はIS系メディアだが、ヒジュラ暦ではなく、西暦を使っている。(IS系アマーク通信画像)

f:id:ronahi:20170618035626j:plain

IS機関紙アン・ナバアは事件の翌日発行の第84号誌上で「テヘラン猛攻戦」と伝えるとともに、襲撃犯5名の写真を掲載。襲撃実行から非常に速い流れで、独自プロパガンダ機関が情報を拡散させている。戦闘員が右手を差し出して重ねているのは、バグダディ指導者への忠誠と思われる。(IS系アマーク通信画像)


ISは今回、イランを突然に標的としたわけではない。これまでにも宣伝映像などを通じて、繰り返しイランを批判してきた。ISがイランとシーア派をどのように規定しているかは次回につづく >> 「予告されていたイラン襲撃」 >>

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【シリア民主軍SDF声明全文】イスラム国(IS)ラッカ攻略 大攻勢戦を宣言【動画+写真8枚】

◆IS「首都」ラッカに突入へ
シリア民主軍(SDF)は、イスラム国(IS)が事実上の「首都」としてきたラッカへの大攻勢戦を開始する声明を発表した。SDFは昨年11月、ラッカ攻略を目指す「ユーフラテスの憤怒」作戦を開始、米軍を始めとした国際有志連合軍の支援を受けながら、ラッカを西・北・東の3方面から包囲する形で、ISの軍事的要衝を制圧してきた。トランプ政権になってからは、米軍地上部隊の増派やSDFへの支援も拡大している。今回、ラッカ突入への大攻勢が開始されたことで、対IS戦は大きな節目を迎えたことになる。以下は声明全文。(一部意訳)

f:id:ronahi:20170608202407j:plain

ラッカでの総攻撃戦を声明を発表するSDF(シリア民主軍)、クルド組織・人民防衛隊(YPG)ほか、アラブ勢力トルクメンキリスト教徒などの合同部隊。今回の声明では「ラッカ解放の大攻勢戦」という言葉が使われている。「大決戦」というニュアンを含み、総攻撃戦への強い決意を示したものとなっている。(2017年6月6日・SDF写真)

ラッカ解放のための大攻勢戦に関する声明
シリア民主軍(SDF)
(2017/06/06)

長き反撃戦を経て、わが軍部隊ならびに共同でテロリストに対して作戦を遂行する勢力は、その英雄的な伝説の歴史を刻んできた。歴史的なコバニ攻防戦からテルアブヤッド、ハウル、シャダーディに至る戦い、そしてデリゾールやラッカ近郊の村々、これらの地域にある複数のダムの解放戦など、これら地域の住民をテロリストから解放し、住民の生存を確保するための歴史的な数々のステップが踏み出されてきた。

f:id:ronahi:20170608202621j:plain

SDF(シリア民主軍)のタラル・シロ司令官。


きょう、我々は、「ユーフラテスの憤怒」作戦室司令部の名において、ラッカ解放へ向けた「大攻勢戦」を開始したことを宣言する。ラッカは、テロリスト集団がテロの首都としてきた場所である。

この大攻勢戦は、以下の部隊の参加のもと開始される。

ジャイシェ・スワール(革命戦士軍)、アクラド戦線、民主北部旅団、部族連合部隊、マガウィール・ホムス旅団、シクール・ラッカ、リワ・アル・タハリール(解放師団)、セルジュク・トルクメン旅団、サナディード軍団、スリアニ軍事評議会、マンビジ軍事評議会、デリゾール軍事評議会、自主防衛隊、ヌフベ軍団、YPG・YPJ、(人民防衛隊・女性防衛隊)。
訳注:一部の参加組織名称については、声明で読み上げられたものと、のちに文書で公表されたものとで異なるため、ここでは文書版をもとに列記)

また、この大攻勢戦は、ラッカ市民評議会、シリア民主評議会(MSD)、ならびに地域部族の指導的人士たち、この地域のわが人民の協力のもとに進められる。

ラッカ解放を目指すこの大攻勢開始の吉報をここに告げるとともに、わが軍は高い志気と大規模な準備のもと、戦う準備が万端整ったことを宣言するものである。

地上でのパートナーたちである国際有志連合軍と戦闘計画を策定し、その実行の準備はできている。ケレチョホでの攻撃で見たごとく、多くの勢力がこの歴史的作戦を阻むべく徹底した企てを加えてきたが、こうした攻撃や企ては無駄に終わってきた。
訳注:ケレチョホでの攻撃=4月末、トルコ軍がシリアに越境して北東部ケレチョホ山付近のYPG施設を空爆し20人が死亡した事件)

これらの企てや攻撃の目論見に反して、我々は意志を強固なものとし、テロリズムに対する怒りを確認し、その戦いへの決意をさらに高めさせるものとなった。ゆえに、すべてのケレチョホで犠牲となった烈士たちが我々の道を照らしてくれたのである。

ケレチョホで殉死した烈士たちの記憶を胸に刻み、我々はこの大攻勢戦を成功裏に成し遂げ、歴史的勝利を烈士たちの御魂に捧げるであろう。

ここにあらためて、我々はラッカ住民に対し、敵(=IS)の中心施設、標的となる場所、戦闘地域からできるだけ離れるよう呼びかける。わが軍部隊が任務を遂行できるよう、住民が結集し、わが軍を手助けしてくれることを求めるものである。また、ラッカの青年たちに向けては、自身が暮らす地を解放するために、わが軍部隊への参加招請を継続する。

この歴史的な日において、いまこの段階へと到達できた我々のために命を捧げた烈士たちに敬意を表し、また(負傷した)英雄たちの傷が回復することを願うものである。ここにあらためて、「ユーフラテスの憤怒」作戦の名のもと、この大攻勢戦に参加する全軍・勢力の戦士、司令官たちに敬意を表明する。また、国際有志連合軍に感謝を表明する。

これに加えて、テロリストに抗する、すべての宗派・宗教からなるわが人民、そして戦闘現場でわが軍部隊を取材し、進行状況を伝える報道関係者に挨拶を送るものである。

シリア民主軍(SDF) 総司令部
2017年6月6日

YPG動画・日本語訳】ラッカ近郊でISから解放された村落(一部意訳)

3月末にYPGが公開した映像で、ラッカ近郊でISから解放された村のようすを伝えている。SDF・YPG部隊はISとの戦闘にあたり、地元住民の安全路を確保して、仮設キャンプなどに避難させ、戦闘地域での被害を抑えようとしている。ISは住民の移動を阻止し、「人間の盾」にしている。一方で、有志連合の空爆で民間人が巻き込まれている現実もある。村落からISを排除したあとも、住民や地元部族の協力を取りつけたり、潜伏したIS戦闘員を摘発するため村を巡回している。(2017年3月・YPG映像

f:id:ronahi:20170608202927j:plain

ラッカ大攻勢戦開始を受け、ISとの戦闘に出撃するSDF部隊。(2017年6月・SDF映像)

f:id:ronahi:20170608203018j:plain

ラッカ攻略を目指す「ユーフラテスの憤怒」作戦は、昨年11月に開始。作戦は有志連合の航空支援、米軍地上部隊と連携しながら、ラッカを包囲する形で4段階の作戦が進められてきた。今回、いよいよラッカ市内に入る総攻撃戦が開始されることになる。(地図は2017年6月上旬時点の情報をもとに作成)

f:id:ronahi:20170609145830j:plain

今回の声明では「ケレチョホで死亡した烈士」について言及している。これは4月末に起きたトルコ軍によるシリアでの越境空爆事件を指している。SDFの主力部隊であるクルド勢力・人民防衛隊(YPG)の拠点をトルコ軍戦闘機が爆撃し、20人が死亡。写真は死亡したYPG・YPJ戦闘員。トルコ軍はイラク・シンジャルでも爆撃。トルコはクルディスタン労働者党(PKK)をYPGの関連組織とみなし、空爆は「PKKが武器をトルコに運び込もうとしたのを阻止するため」としている。今回、国際社会が注目するラッカ攻略戦の声明で、SDFがあきらかにトルコを批判する形でこの事件にあえて言及したことは、今後のラッカ攻略やシリア北部情勢にも影響するものとなるだろう。(2017年4月・YPG写真) 

f:id:ronahi:20170608203228j:plain

トルコは、PKKとつながりの深いYPGを主導勢力としてラッカ攻略を進めることに強く反発し、アメリカに再考を求めてきた。だがトランプ政権は、IS掃討を優先させる方針。「自分ならISを手早く片付けてみせる」が米大統領選の公約でもあり、ラッカを攻略できれば、「テロの首都を制圧した大統領」として大きなポイントになる。クルド側も、戦闘での犠牲は大きいが、将来的にはシリア・クルド地域の国際社会での承認につなげることができる。写真は先月、ワシントンでトランプ大統領と会談したエルドアン大統領。(2017年5月16日・ホワイトハウス映像)

f:id:ronahi:20170608203245j:plain

アメリカは「PKKはテロ組織」としながらも、YPGについては、IS掃討作戦で唯一的に有効に戦える戦闘組織として武器支援を拡大するなど「政治的立場」を分けている。4月末にはケレチョホがあるマリキーヤ(クルド名デリク)に米軍部隊が一時展開し、トルコを抑制。米軍シリア派遣部隊の指揮官がトルコ軍による空爆の被害現場を視察した。写真はトルコ軍に誤認されないよう星条旗を掲げる米軍のストライカー装甲車。(2017年5月・ロジャヴァ・ニュース映像)

f:id:ronahi:20170614043844j:plain

IS側は、SDFと有志連合軍によるラッカ攻略戦を「十字軍同盟がイスラム教徒とそのウンマ(共同体)に仕掛ける戦争」として総結集を呼びかけ、欧米諸国などでの単独襲撃を含めた「決起」を扇動している。宣伝映像では各国指導者が並ぶ背後に十字軍騎士が描かれ、イスラムキリスト教世界との対立構造に仕向けようとしている。ただし9・11事件の際、ブッシュ大統領は「テロとの戦い」を表現したときに十字軍という言葉を使っている(のちに訂正)。ゆえにISが作り出した用語というわけではない。ISの規定では、十字軍諸国と同盟関係にある日本もこの十字軍同盟に入る。(2017年4月・IS映像)

f:id:ronahi:20170614043900j:plain

4月末、ISのラッカ県メディア部門は巨大な軍事キャンプで100人以上の訓練兵が戦闘訓練をするようすを紹介。また高齢者を含む住民もラッカ死守に立つよう先導し、総力戦で臨むとしている。ラッカに潜入してIS軍事拠点の位置をSDF・有志連合軍に教える情報要員を「背教徒スパイ」として処刑する映像もあいついで公開している。決死戦の構えを見せ、自爆攻撃を含む激戦となるのは間違いないが、ISは部隊の一部や幹部、その家族はラッカ東部のデリゾールに移動させ温存を図る可能性が高い。(2017年4月・IS映像)

f:id:ronahi:20170608203619j:plain

せっかくなので、ずいぶん前の写真ですが、ラッカでクルド人の農家を取材したときのもの。当時はカミシュリでのクルド民衆蜂起が各都市に飛び火した時期で、アサド政権の情報機関(ムハバラット)があちこちで目を光らせていて、観光客のふりをして取材。クルド人の民家に泊めてもらいながら移動した。シリア内戦が始まって数年後には、この地域はIS支配下に。ラッカはアラブ人が趨勢の町だが、いまクルド勢力がISとの戦いで重要な役割を担い、国際社会が注目するような状況になるとは思ってもみなかった。このとき出会ったたくさんの人びとが、いま取材や現地情報などを手助けしてくれている。(2004年・撮影)

「ユーフラテスの憤怒」作戦・これまでの流れ(おもな声明一覧)
第1段階・開始声明 (2016/11/06)    第2段階・開始声明 (2016/12/10)
第2段階・戦果報告 (2017/01/16)    第3段階・開始声明 (2017/02/04)
第4段階・開始声明 (2017/04/13)    タブカ・ダム制圧声明 (2017/05/12)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS動画+写真29枚】イスラム国(IS)戦術分析(20)◆戦闘員養成7・軍事キャンプ運営構造

◆軍事キャンプ統括する兵務庁【動画+写真29枚】
イスラム国(IS)支配地域の各所で運営される軍事キャンプ。ここで新規戦闘員が訓練を受け、各部隊に配置される。ジハード戦士を養成する軍事キャンプを統括するのは兵務庁と呼ばれる機関。キャンプはどのように運営されているのか。

【IS動画・日本語訳】空爆への怒りから戦闘員に(2016/07) 一部意訳・転載禁止

2016年7月公開のISプロパガンダ映像。「実話をもとにした再現ドラマ」仕立てになっていて、米軍主導の有志連合やロシア軍などによる空爆での市民の犠牲を目の当たりにした青年が、戦闘員に志願するというストーリー。空爆への怒りから青年が向かった先は「戦闘員登録事務所」。軍事キャンプで訓練を受け、前線に配置されるまでが描かれている。

f:id:ronahi:20170602011248j:plain

今回の映像で、軍事キャンプ入隊後に青年が手にしているパンフレットは、ISの出版機関ヒンマが発行した「イスラム教徒の義務」に関するもの。映像では空爆への復讐心を煽るだけでなく、モスクや礼拝、イスラム、信仰を想起させるシーンを意図的にいくつも盛り込んでいる。「イスラム教徒全体が攻撃にさらされ、これに対し立ち上がることは信仰上の義務」という構図に仕立て上げようとしている。

f:id:ronahi:20170602011329j:plain

 映像にはラッカにある「戦闘員志願者登録事務所」が出てくる。これは新規戦闘員をリクルートしたり、入隊志願者の受付相談窓口となっている場所。自衛隊で言うところの地方協力本部に相当する。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602011342j:plain

この画像は昨年公開されたイスラム国の「国家」構造について解説した映像のシーン。IS軍事キャンプを統括するのは兵務庁(ディワン・アル・ジュンド)で、その下に軍事キャンプ運営部が置かれている。例えば日本の場合、警察は都道府県単位で、自衛隊は方面隊が単位となっている。ISの部隊運用は基本的に支配地域内の「県」管区単位になっていて、軍事キャンプもその下に運営される。あくまでも構造上のことで、戦況が悪化した現在、実際にどこまで機能しているかは不明だ。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602011413j:plain

シリア・アレッポ県管区のシャダッド・アル・テュニスィ軍事キャンプ。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011434j:plain

この写真が公表された当時はISが最も支配地域を拡大させていた頃。Tシャツにはキャンプ名がプリントされている。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011456j:plain

近接格闘訓練。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011521j:plain

雲梯(うんてい)を使った訓練。こうした基礎体力養成訓練はISではタドリバット・バダニと呼ばれる。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011545j:plain

現在、ISはアレッポ県下でかなりの支配地域を失っており、このキャンプの場所も存在しないと見られる。だが、キャンプ名は別の地域で受け継がれ、同名のキャンプが復活したりする。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011627j:plain

ロープ渡り訓練。いわゆる「モンキー」をしている。(2014年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602011641j:plain

軍事キャンプにおける訓練兵の医療IDカード。軍事キャンプが兵務庁のもとで運営されていることがわかる。組織内部での名前はクンヤと呼ばれ、本名とは違うコードネームをつける。軍事キャンプの段階からクンヤを名乗っているようだ。このIDカードはアブ・シャミル・シシャニという名なので、チェチェンからの戦闘員と思われる。(SNS写真より)

f:id:ronahi:20170602011657j:plain

シリア民主軍(SDF)が今年2月にラッカ県下のISの軍事キャンプがあった場所を制圧した際のもの。キャンプで使われていた軍事教練ノート。「イスラム国・兵務庁・ハムザ・ブン・アブドル・ムルタブ軍事キャンプ」とあり、これもキャンプが兵務庁の統括のもとにあることを示している。左は「預言者の道に従いしカリフ制」とある。これはISが作った言葉ではなくて、預言者ムハンマド亡きあと、継承者としてのカリフのありようについて語られてきたもの。ISはこれを根幹思想のひとつとしていて、「自分たちがカリフ制を再興したことは預言者の方途に則ったものである」と独自に規定している。過去記事の国境解体映像のなかで、昨年死亡したアドナニ広報官がこの言葉を繰り返している。(2017年・SDF映像)

f:id:ronahi:20170602012239j:plain

こちらはシリア・ホムスのアリン・アスワド軍事キャンプ。教練段階でギリースーツ(偽装網)をかぶっているのは珍しい。(2015年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012323j:plain

指導教官が訓練兵の間近に容赦なく実弾を撃ち込んでいく。(2015年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012341j:plain

シリアの土漠地帯での教練。(2015年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012358j:plain

軍事教練や演習は模擬弾など使わずに実弾や実際の爆弾が基本。このため教練過程で負傷する例も相当あると思われる。(2015年・シリア・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012416j:plain

IS軍事キャンプには指導指針がある。左がIS軍事キャンプにおける戦闘員の精神的指導教程書のひとつで、タイトルは「一神教の教則」。独自解釈に基づくシャリーアイスラム法)理解や、一神教ムスリムの義務のほかに、ISが敵とみなす多神偶像崇拝者、不信仰者などについて解説している。軍事部門とは別に、宗教部門が信仰やイデオロギー部分を担当し、宗教的指針や原則を与えている。この文書を執筆したのはISの高級幹部でイスラム学者、トルキ・アル・ビナーリ(写真右端)とされる。バーレーン出身でシリアに潜伏しているとみられていたが、5月末、「ラッカまたはデリゾールで空爆で死亡か」との未確認情報が出た。握手をしている相手は、ドイツ出身の元ラップ歌手で、IS戦闘員となり、死亡説が報じられたアブ・タルハ・アルマニ(デニス・クスペルト Deso・Dogg)。

f:id:ronahi:20170602012441j:plain

これはイラク北部モスルのアブ・ムサブ・ザルカウィ軍事キャンプ。2014年6月、IS(当時はISIS)は大都市モスルを制圧、銀行から多額の現金を奪った。2015年8月の写真だが、このときは財政が豊富で、戦闘員を大量養成していた。訓練兵用のジャージまで揃えている。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012449j:plain

ここでもIS恒例の組体操タワーで志気を高める。RPGロケット砲やPK機銃を構える姿は勇ましいが、3段タワーの下の段は腰がかがんでいる。その点では組体操タワー5段をがっちり直立できるまでやらされる日本の小・中学生のほうが厳しい試練を課されているのかもしれない。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012658j:plain

ジャージの背中にはザルカウィ軍事キャンプの文字がプリントされている。モスルはイラク軍の奪還戦で陥落も近いとみられるので、もうこのキャンプは存在ないだろう。ISのスタイルとしては、キャンプが消えてもまた別の場所で同じ名前のキャンプを引き継いだりするので、支配地域を失って地下闘争に移行してもザルカウィ・キャンプが再び登場することもありうる。(2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012743j:plain

訓練の最後には、忠誠式というのがある。右手を差し出して、「カリフ」であるバグダディ指導者への忠誠(バヤア)を表明する言葉を唱和する。「ムスリムのカリフへの忠誠」とキャプションがつけられている。 忠誠式とは>> (2015年・イラク・IS写真)

f:id:ronahi:20170602012800j:plain

今回の軍事キャンプなどの宣伝映像は、対外的にはISの強さや決意性を見せつけるのに使われると同時に、IS支配地域内でも住民に向けて各所で上映される。これは街角に設置された広報宣伝のためのメディア・ポイントと呼ばれる場所。戦闘報告だけでなく、斬首などの残虐な処刑映像も大型モニターで見せている。街頭の映像に見入る子どもの姿もある。軍事キャンプの映像は、若者や子供を戦闘員に駆り立てる効果もある。写真はイラク・モスルのメディア・ポイント。(2016年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170602012819j:plain

メディアポイントでは映像をDVDで配布したり、USBメモリーにコピーするサービスもおこなっている。小さな町や村ではモスクで上映したり、大型モニターテレビ付き広報宣伝カーで巡回するなどしている。(2016年・イラク・IS映像)

f:id:ronahi:20170602012916j:plain

2016年公開の「ダマスカス県管区」の軍事キャンプ。ダマスカス周辺でも一部地区で登場したり、IS共鳴組織が活動している。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602012947j:plain

都市部の軍事キャンプは、学校の跡地などが使われ、教室やグランドが活用されることが多い。ただ空爆などの標的となるため、常時設置をしているというわけではないようだ。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602012936j:plain

ISが他の武装組織と違ったのは定期的に給料が出たこと。扶養家族によって手当もつくため、入隊した者も結構いた。戦乱で生活の糧を失ったり、学校閉鎖などもあり、家族を養うために戦闘員となった若者もいる。いまは戦局が悪化し、給料が減っているとか出ていないといわれる。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602013012j:plain

「カリフ国・軍事キャンプの課程修了」とあるので、軍事教練の全過程を終えた戦闘員のお披露目訓練と思われる。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602013025j:plain

ロープ降下。学校の建物のように見える。壁にはたくさんの銃弾の痕が見える。 (2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602013042j:plain

建物の突入訓練。一般に突入攻略はカタハミーンと呼ばれたりするが、最近では軍事教練の段階から、こういうのもイングマスィ(突撃決死隊)と総称されることが増えている。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170602013115j:plain

もともとイングマスィは自爆も含めた急襲コマンド突撃なので、最近、軍事キャンプでの教練段階からイングマスィとする表現が増え始めていることは、戦況悪化のなかで戦闘員に決死性を突きつける運用になっているのではないかと推測される。イングマスィ>>

IS軍事キャンプ戦闘員養成シリーズまだ続く予定です

<< 前へ  IS戦術分析(19)◆戦闘員養成6(ジハード戦士の軍人精神)<<

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS声明全文・日本語訳】イスラム国(IS)英マンチェスター爆弾事件「十字軍国民を殺傷」と関与認める

◆さらなる攻撃を予告
イギリス・マンチェスターで5月22日に起きたコンサート会場での爆発事件は、死者22人を出す惨事となった。武装組織イスラム国(IS)は23日、「十字軍国民を爆発物で殺傷」などとする公式声明を出し、事件への関与を認めた。ヨーロッパ各地であいついでいるISシンパによるとみられる市民襲撃事件では、まずIS系アマーク通信が「消息筋情報としてIS戦闘員による攻撃」とする例が多いなか、事件直後の段階でISが英語・アラビア語で公式声明を出して攻撃を認めたことは、準備段階から関与していた可能性も推測される。以下は声明全文。(英語版をもとに翻訳・一部意訳)

イスラム【速報】イギリス
マンチェスターでの爆発物による爆発で
約100名の十字軍国民を殺傷

ヒジュラ暦 1438年シャアバーン月27日

アッラーのご加護とご助力のもと、カリフ国の兵士は、アッラーの宗教のためになす報復として、多神偶像崇拝者を恐怖に陥れるべく、また、ムスリムの地に対する幾多の犯罪への回答として、英国の都市マンチェスターの十字軍国民が集まる只中に爆発物を設置した。
爆発物は恥知らずのコンサート会場で爆発し、十字軍国民30名を殺害し、70名を負傷に至らしめた。アッラーの御意のもと、十字架の崇拝者とその結託者どもに対し、さらなる過酷なことが次に続くこととなろう。万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

f:id:ronahi:20170524180552j:plain

マンチェスター爆弾攻撃事件の犯行を認めるISの英語版の声明。声明では十字軍となっているが、十字軍を構成する国の市民、国民を指している。ISの規定では、ISに敵対する欧米のキリスト教国以外にも、これらと同盟する国々も十字軍同盟とし、日本もこれに含まれる。

f:id:ronahi:20170524180603j:plain

アラビア語の声明。メディアは男が自爆と報じているが、声明では、英語版とも、「爆発物による爆破」とある。ISが自爆攻撃の声明を出す際は、「殉教志願作戦」(アマリヤット・イスティシャハディーヤ)や、計画性をもって襲撃を敢行して、銃撃戦の上、自爆した場合でも「突撃決死作戦」(アマリヤット・イングマスィーヤ)とすることが多い。
メディア報道が錯綜しているのか、ISが準備していた声明と犯行の実態が異なる結果となったのか、男が爆発物を設置した際に誤って爆発させ自身も死亡したかなど、詳細は不明だ。今回の声明では爆発物についてアブワ・ナスィファという用語を使っている。これは即製爆発物や自家製爆弾を指す場合によく使われる。自爆ベルトを用いたときはヒザム・ナスィファと表現される。

f:id:ronahi:20170524180639j:plain

マンチェスターで公演をしていたアリアナ・グランデのコンサート会場が標的となった。英当局は、「コンサート会場出口付近で爆発」と発表。多数の死傷者を出す爆発だったことは、周到な準備のもとに計画された可能性を示唆している。(画像はCNNより)

f:id:ronahi:20170524180700j:plain

5月24日付のイギリスの新聞。事件で犠牲となった8歳の女児について大きく伝えている。右の男が実行犯と報じられたリビア系英国人サルマン・アベディ容疑者(22)とされる写真。

f:id:ronahi:20170524180726j:plain

サルマン・アベディ容疑者の自宅への家宅捜索として英メディアが報じた映像。

f:id:ronahi:20170524181234j:plain

IS機関誌では、欧米をはじめとした「十字軍諸国」での市民殺戮を呼びかける記事が目立つようになっている。市民が多数集まる場所は政府機関や軍事施設よりも狙いやすく、主要な標的となるとしている。トラックの調達手順や、人が集まるイベントを狙え、といった、など具体的な手法を紹介しており、これに呼応した共鳴者が事件を引き起こす危険性が高まっている。(画像の一部をぼかしています)

f:id:ronahi:20170524180748j:plain

昨年、ISはシリア・イラクの外に住むISシンパに見せることを意識した内容の映像を公開。シリア・ラッカ発のIS映像で、「人間をナイフで殺害する際の急所」や「爆弾製造」などについて紹介している。実際の人間を殺害しながら解説したり、製造した爆弾をスパイとされた男に背負わせて走らせ、遠隔操作で爆死させるなど残虐を極めたものとなっている。写真は身近な日用品から小型爆弾を作る方法を解説している。(2016年・IS映像)

f:id:ronahi:20170524181055j:plain

3月にロンドン・ウェストミンスターで起きた暴走車両とナイフによる殺傷事件(死者5名・犯人含む)では、IS系アマーク通信が「イスラム国兵士」によるものと伝えたが、ISから公式声明は出なかった。のちにIS機関誌(左)では「カリフ国兵士・ハリド・マスードが作戦を敢行」とした。フランスやドイツでの単独決起型襲撃をISが事後承認する形と、直接ISが計画段階から作戦に関与するものなど、攻撃実行と声明発表の形態も分かれている。

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【イギリス】メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明全文 (2017/05/23)

◆「卑劣なテロ」と非難
イギリス・マンチェスターで起きた爆弾事件を受けて、メイ首相は声明を発表、事件を「卑劣なテロ攻撃」と非難した。この時点での犠牲者数は、死者22人、負傷者59人とし、実行犯の氏名は公表されなかったものの、のちにリビア系英国人のサル、アン・アベディ容疑者(22)と発表された。以下は、メイ首相の声明全文。(一部意訳)

f:id:ronahi:20170526204233j:plain

マンチェスターでの爆弾事件後、ロンドンの首相官邸前で経過を説明するメイ首相。(2017年5月23日・英首相官邸公表映像)

メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明

ダウニング街10番地(首相官邸)2017/05/23

先ほど、私は、昨夜のマンチェスターでの惨事に関する詳細と対応を議論するため、政府緊急事態委員会(COBR)の会合を招集しました。

私たちの思いと祈りは、犠牲となった方々、そして事件に巻き込まれたすべての方々のご家族、友人の皆さんとともにあります。マンチェスターの住民、そして国民が卑劣なテロ攻撃の犠牲となったことに疑いの余地はなく、またこの攻撃は冷徹な計画のもと私たちの社会の若い世代が標的にされました。

これは英国史上、最悪のテロ事件のひとつとなりました。マンチェスターがこうした事態に直面したのは初めてではありませんが、これはマンチェスターが経験した最悪の攻撃であり、またイングランド北部における過去最悪の攻撃でした。

警察と治安機関は、現在、事件の全容解明に全力をあげていますが、現時点で分かっていることについて説明いたします。

昨夜午後10時33分、マンチェスター市中心部、ヴィクトリア駅近くにあるマンチェスター・アリーナで爆発があったと警察に通報が入りました。 

会場の出口付近で、テロリスト1名が、時刻を選んだうえで大量殺戮を企図し、無差別に殺害、負傷させる目的で即製爆弾を爆発させたことが判明しました。爆発は、多くの若い家族や子供たちのグループが来場していたポップ・コンサートの終了に合わせて起きました。あらゆるテロ行為は、罪のない市民に対する卑劣な攻撃にほかなりません。しかし今回の攻撃は、人生の思い出に残るはずの素晴らしい夜を楽しんでいた何の罪もない無防備な子供や若者を狙った点において、その凄惨さと、おぞましい卑劣さを極めたものであります。

これまでのところ実行犯について判明していることのほかに確認している情報としては、22名が死亡し、59名が負傷したということです。負傷者はグレーター・マンチェスター(州)の8か所の病院で治療を受けています。その多くが命に関わる状態にあります。死者、負傷者のなかには多数の子ども、若者がいたことがわかっています。幼い子供たちでいっぱいの空間をそれぞれの思い出の場と見るのではなく、大量殺戮の機会ととらえるような、歪んで屈折した心に立ち向かわなければなりません。

私たちは、こうした暴力を煽り立てる思想に打ち勝ち、このような攻撃が今後また起きることを阻止する姿勢を取り続けます。まや、今回の攻撃に、他にも関与した者がいると判明したならば、徹底的に捜し出して裁きにかけます。今回の攻撃はひとりの男によってなされたものと、警察ならびに治安機関はみていますが、実行犯が単独で行動していたのか、広範なグループの全容解明には時間を要しますが、捜査は継続されます。

警察と治安機関には任務を遂行するにあたり必要なあらゆる応援が与えられます。警察と治安機関は、実行犯の身元を割り出しつつありますが、現段階では、その氏名を確定するには至ってはいません。

警察と緊急対応機関は、つねにそうであるように、大いなる勇敢さをもって行動しました。国を代表して、彼らに感謝の意を表明します。彼らは適切な所定に手順に則って訓練どおりに対応し、プロ意識を発揮して行動してくれました。400名の警官が夜を徹して任務にあたりました。心理的な負担を負うほどの悲惨な現場にあって、負傷者の救命措置や救護のために救急医療チーム、医師、看護師らが立派に役目を果たしてくれました。警察の捜査活動については特別の応援措置が取られ、武装した警官の増派も含めた、目に見える形のパトロールマンチェスター一帯で継続されます。

マンチェスターで生活、または働く皆さんにおかれましては、マンチェスター・アリーナ、ヴィクトリア駅付近で広範囲の封鎖警戒措置が続くことをお伝えします。ヴィクトリア駅は現在閉鎖されており、綿密な捜索活動が続くあいだ、しばらく閉鎖が続くことになる見通しです。

事件に巻き込まれた方々のご友人、ご親族がご自身の子どもや、きょうだい、両親や愛する人が無事かどうかわからず、把握しようと努めていると思います。

想像を絶するほど心配されている方々に思いを寄せていただき、この攻撃に関係する情報をお持ちの方はマンチェスター警察に連絡してください。

脅威レベルは現在も最高度です。これはさらなテロ攻撃が引き続いて起こりうるということを意味します。

入手した情報に基づいて脅威レベルを判定する、独立した機関である統合テロ分析センターは、今日とこの数日にわたってその状況を精査する活動を続けます。

本日これから私はマンチェスターに向かい、マンチェスター警察イアン・ホプキンス署長、グレーター・マンチェスターのアンディ・バ-ンハム市長ならににマンチェスターの支援に加わった緊急対応機関のメンバーの方々と合う予定です。

昨夜、表明いたしましたとおり、総選挙に関する活動については一時休止することといたしました。本日、のちほど別の政府緊急事態委員会の会合を開きます。

こうした過酷な時にあっては、指導者、政治家、その他の方々にとって、実行犯を非難し、テロリストは敗北すると毅然と表明することが求められます。私たちが以前もここで同様の事態に臨み、再び同様の言葉を発するとしても、その真実の重みは変わりません。

昨夜、マンチェスターで経験した最悪の反人間的行為のなかにあって、私たちは善き人間としての姿が発揮されることも目にしました。実行犯に卑劣さに対して、緊急対応機関、そしてマンチェスターの人びとが立ち向かいました。私たちを分断しようとする目論見に対して、人びとを結束させた、数えきれないほどの善意の行動が立ち向かいました。

これから幾日にわたる間、私たちはこのことを忘れてはなりません。私たちの心に刻むべきものは、非道な殺人犯のそれではなく、危険を顧みず人びとを救うべく駆け付けた一般の男女の方々の姿なのです。

人びとを助け、命を救うために、緊急対応機関の男女職員ともが絶え間なく活動を続けてくれました。被害者のために自宅を提供してくださった方々の連帯と希望のメッセージ。これは彼らのマンチェスター精神であり、また英国精神を示すものであるのです。この精神こそ、紛争とテロのなかにあって決して挫けることのなかったものであり、これからも決して挫けることはないのです。

過酷な日々が続くことになりますが、被害に遭われた方々のご家族や友人に私たちの思いと祈りを捧げます。事態に円滑に取り組めるよう、行政機関、緊急対応機関、治安機関にあらゆるサポートを提供します。この過酷な時にあって、私たちのすべて、そのひとりひとりが、マンチェスターの人びととともにあります。

きょう、私たちは亡くなった方々を心に刻み、一方で助けの手を差し伸べた方々を称えたく思います。テロリストは敗北し、私たちの国、私たちの生き方こそがつねに勝利するのだという思いを心に強く抱くものであります。

f:id:ronahi:20170526204330j:plain

マンチェスター・アリーナで爆発物を爆発させ、死亡した、リビア系英国人、サルマン・アベディ容疑者(22)。イスラム国(IS)との関与は不明だが、コンサート会場を狙い、多数の犠牲者が出たことから計画的に場所を選定し、殺傷力の高い爆弾が使われたことは、個人でなく、組織的な関与をうかがわせる。(英メディアが報じた写真)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【シリア民主軍SDF声明全文】イスラム国(IS)ラッカ西方、タブカ・ダムを制圧【写真14枚】

◆ISはダム決壊の恐怖煽り住民一時パニックに
シリアでイスラム国(IS)との戦いを展開するシリア民主軍(SDF)は、5月12日、ISの実質的な「首都」、ラッカから約40キロ西方のタブカ地域とタブカ・ダム(ユーフラテス・ダム)からISを排除したとする声明を発表した。ラッカ攻略を目指す「ユーフラテスの憤怒」作戦においてタブカ・ダム一帯を制圧したことで、軍事的要衝のひとつを確保したことになる。トランプ政権は、米軍地上部隊の増派を決定したほか、SDFを主導するクルド・人民防衛隊(YPG)への武器支援を表明し、作戦は非常に速い速度で進んでいる。(一部意訳)

f:id:ronahi:20170605171827j:plain

ラッカ西方のタブカでIS掃討作戦の勝利を宣言するシリア民主軍(SDF)合同部隊。(2017年5月12日・SDF写真)

「ユーフラテスの憤怒」作戦・タブカの解放について
シリア民主軍(SDF)
(2017/05/12)

タブカの町を解放する作戦は、わが部隊と国際有志連合軍の連携により3月21日に開始された。

詳細かつ慎重な作戦計画のもと、わが部隊はダムの東部方面に展開した。タブカ軍事空港において、作戦での2つの基軸部隊が合流した。第1段階が開始され、町全体を包囲した。

作戦の第2段階では、わが部隊が3方面から町に進撃し、敵の防衛ラインを突破した。ユーフラテス・ダムの構内と周辺の村々において犯罪集団(=IS)を包囲した。

敵は、繰り返して住民を人間の盾とし、わが軍部隊は慎重かつ警戒をもって臨みながら、作戦を継続した。これによって、作戦の進行が阻まれることとなったが、 数日ののち、わが軍部隊は、住民から敵戦闘員を分断し、敵を戦意喪失に追い込んだ。テロリスト多数がわが部隊に降伏した。

このタブカ解放作戦によって、ダアシュ(=IS)犯罪集団が、シリア民主軍(SDF)の英雄的抵抗戦の前に持ちこたえることができないということがあらためて示された。

敵の多数が失望のうちに降伏し、また、ダム管理棟構内において民間人に偽装して身を隠そうと試みた戦闘員など、わが部隊は多数を拘束した。民間人にまぎれて逃亡しようとした試みはいずれも失敗に終わった。彼らがいかに姑息であるか、自身の身を守るためにあらゆる手を使う集団であるか、が明らかとなった。

5月10日、我々はタブカの町を解放し、ユーフラテス・ダムから犯罪集団を一掃し、地域住民を救出した。町の解放作戦のあいだ、わが方の戦闘員を支えてくれた、タブカの名誉ある住民に感謝を表明する。また、この地域の地元の青年たちがわが部隊に加わり、組織し、自身の地域の防衛に立つことを呼びかけるものである。また、タブカ解放作戦において強力に支援をしてくれた国際有志連合にも感謝を表明する。

住民に対しては、作戦の最終的な完了、町からの地雷などの爆発物の撤去を終えたのちに、タブカの町を、タブカ市民評議会、ならびにその評議会の下に設置される治安部門に引き渡すことを約束する。

ユーフラテス・ダム運営機構は、シリアの国民機関であり、この機関はすべてのシリア全土の領内に奉仕する機関たることを我々はここに表明する。

タブカ作戦において命を落とした英雄的な烈士たちに敬意を表し、タブカとケレチョホの戦闘で殉じた烈士たち、すべての自由のための戦士たちに、この勝利を捧げるものである。

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室
2017年5月12日

f:id:ronahi:20170610131000j:plain

タブカはシリア政府軍の軍事空港があった場所。2014年8月、ISとの戦闘で捕虜となった政府軍兵士がISによって集団処刑される事件があった。少なくとも160人以上が殺害されたと報じられている。一部をぼかしています。(2014年・IS映像

f:id:ronahi:20170605182212j:plain

3月末、SDFはタブカ軍事空港からISを排除し、制圧。写真は、SDF「ユーフラテスの憤怒」作戦室ジハン・シェイク・ヘメド報道官。空港として使われていた場所を確保できたことで、今後、ラッカ攻略戦において米軍ヘリの発着場となる可能性も広がった。(2017年3月末・ANHA通信映像)

f:id:ronahi:20170605172218j:plain

タブカでの戦闘に向かうSDF部隊。後方の装甲車両はアメリカから供与されたもの。トランプ政権になってから武器支援が拡大している。(2017年4月・SDF映像)

f:id:ronahi:20170605172254j:plain

出撃するSDFのYPG部隊。小火器・弾薬も有志連合からの支援に含まれている。(2017年3月・YPG映像)

f:id:ronahi:20170607172743j:plain

タブカでの戦闘でISから鹵獲したT- 55戦車の前に立つSDF戦闘員。戦車には「イスラム国・カリフ軍・314」とISの車体番号が残っている。(2017年4月・SDF写真)

f:id:ronahi:20170605172308j:plain

ラッカ西方のタブカにはアサド湖からユーフラテス川下流域に連なって複数のダムや貯水施設がある。シリア内戦でユーフラテス・ダムは、2013年に反体制派が制圧し、その後、勢力を急拡大したISが2014年頃に制圧。この当時から、下流域に暮らす住民は、ISが戦況悪化に陥った場合、ダムを爆破し、決壊させるのではないか、との懸念を抱いていた。(図は4月下旬頃のもの)

f:id:ronahi:20170605172321j:plain

これはIS側のタブカの写真。3月末にIS系アマーク通信が伝えたもの。左は米軍B-52戦略爆撃機と思われる。「空爆によって多数が犠牲となっている」としている。確かに子供を含む民間人も犠牲となっている。それでもIS軍事拠点と判断すれば、民間人の犠牲も想定したうえで空爆は遂行される。あらゆる戦争がそうであるように、このIS壊滅戦にもこうした現実もある。(2017年3月末・IS系アマーク通信映像)

f:id:ronahi:20170605172418j:plain

SDFのダム攻略戦のなか、3月末、IS側はダムの映像を公開し、「十字軍の空爆でダムや設備が損傷し機能停止」との情報を流し、さらにダム決壊の恐怖を煽った。これにより下流域の住民に一時混乱が広がり、避難しようとする者もでた。(2017年3月末・IS系アマーク通信映像)

f:id:ronahi:20170605201023j:plain

IS系アマーク通信はドローンでダムを空撮した映像を公開。シリア政府とロシア軍も、米軍の空爆でダムが決壊または損壊すれば、地域一帯と住民に被害が及ぶと警告。ユーフラテス・ダムはシリア最大のダムで、旧ソ連の支援で1973年に完成。ユーフラテス川の調整弁として機能しているほか、水力発電も行なっている。(2017年3月末・IS系アマーク通信映像)

f:id:ronahi:20170605201035j:plain

IS側はダム構内に複数の爆弾が着弾したことを伝えている。赤い丸で囲んだ部分にあるのがその一部で、これが米軍のものであるとしたら、貫通爆弾と思われる。ダム本体でなく、管理棟部分に着弾したようだ。このIS戦闘員はガスマスクを携え、腰には自爆ベルトをしている。(2017年3月末・IS系アマーク通信映像)

f:id:ronahi:20170605172530j:plain

この映像は、有志連合軍によるダムの空撮。黒塗りは、撮影した航空機の計器データなどが表示されているため公表時に伏せられたもの。ISの主張を打ち消すかたちで、ダム本体への損傷はなく、決壊の危険性がないとした。(2017年3月末・有志連合軍・CJTF-OIR映像)

f:id:ronahi:20170605172545j:plain

その後、YPG主導のSDFがISを排除し、タブカ・ダム(=ユーフラテス・ダム)を制圧。YPGとその女性部門YPJの旗を広げている。ダムからISを排除したことで、爆破決壊の可能性がなくなった。(2017年5月・DIHA写真)

f:id:ronahi:20170605172604j:plain

タブカでの市街戦を戦うSDF・YPG部隊。(2017年5月・ANHA通信映像)

f:id:ronahi:20170605172625j:plain

タブカでISの巨大な旗を引きずりおろすSDF部隊。タブカはアラブ人が趨勢の町。クルド勢力は「領土獲得」のためにこの地域を掌握したのではなく、またこの地方のアラブ人を排除しようとしているわけでもない。あくまでもラッカ攻略・IS壊滅作戦の一部である。今回の声明のなかで、安全が確保されたのちに、新たに地元で編成されるタブカ市民評議会の手にゆだねるとしているのもこのため。また、ダムはシリア全体の財産としてとどまるという趣旨のメッセージを盛り込んだのも、自派勢力の専有物とする意図がないことを明示するためである。(2017年5月・SDF映像)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【4】全4回 (2017/04/05声明)

◆トランプ大統領は「下劣な愚か者」【声明 4/4】(全4回)
支配地域を次々と失い、すでに壊滅も時間の問題とまでいわれ始めたイスラム国(IS)。だがムハジール声明では、いつの日かバグダッド、ダマスカス、エルサレムアラビア半島テヘラン、インタンブール、ローマを征服する、としている。荒唐無稽な「世界征服の野望」に見えるが、9・11事件のアルカイダは、欧米諸国の圧倒的な軍事力をもってしても壊滅できなかった。たとえいまISを叩けても、再び息を吹き返すかもしれない。過激主義の根を断つのは容易ではない。トランプ大統領の部分はテキスト赤文字の部分。以下全文の第4回。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)
【1】【2】【3】4】

【IS音声声明】トランプ大統領に言及した部分(1分)(一部意訳)
アブル・ハサン・アル・ムハジールの声明でトランプ米大統領に言及した部分。「下劣な愚か者」としている。(翻訳字幕は公式英語版のものを挿入しています)
イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(4/4)

おお、カリフ国の兵士たちよ。イスラムの民よ。犯罪と腐敗の頭目、アメリカはその力を過信し、傲慢さによって盲目となってきた。ゆえに己れの破壊と破滅の泥沼へと向かっていった。そう、アメリカはそこで溺れ死に、抜け出ることなどできぬ。どれほど、あがき、もがこうと無駄。シャムとイラクの地でその足を引きずり込まれ、死のうめきをあげることになる。

いったんイラクでの屈辱と敗北のなか逃げ出し、撤退したのちになって、いま再び侵攻したところで、我々は名誉と堅固さに満ちており、(アッラーから)約束が与えられているのであり、またアッラーのご加護のもと、現在の我らの状況は、アメリカが思い描いているのとは違うのだ。

アメリカの結託同盟も、群衆も、ハイエナどもも、直接対決から逃れることはできぬ。たとえ我らが都市、地域、町をひとつ失おうとも、それはムスリムの参集体を浄化して不浄を取り除くための試煉と純化にすぎぬ。アッラーは、ご自身がお望みになる下僕しもべをお選びになる。

これは、ただ一時いっときの引き潮の局面。そののちには、アッラーの御意のもと、バグダッド、ダマスカス、クドゥス(=エルサレム)、アンマン、ムハンマドの半島(=アラビア半島)への拡大と大いなる征服が成就されるであろう。信仰心に満ちた大隊が必ずやペルシャを襲い、(イランの)コムとテヘランを征服するであろう。 そののち、我らは必ずやローマを襲うだろう。獅子たちは、タクビル(=「アッラーは偉大なり」の唱和)を高々と唱え、コンスタンチノープル(=イスタンブール)を、戦わずして征服して見せるだろう。

これなるは我らが御主のお約束であり、預言者(祝福と平安あれ)からの吉報。まこと、一神教とワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)に拠って立つカリフの地で育った世代にためのもの。御主の御為の大道で殺され、死することこそに魅了されし者たち。さあ、アメリカよ、お前に何ができるというのか? 何ができようものか? 信仰心は彼らの血となって帰結したのだ。

彼らは力と宗教の高みが何かを知った。アメリカよ、イラクで、ホラサン(=アフガニスタン地域)で、あるいは全世界で、お前たちはイスラムの民をその宗教からどれほど転じさせようとしたことか。お前たちは邪悪と堕落に満ちた人間のくずどもを傭い、ジハード戦士に対抗させようと総動員をかけておきながら、何か成果を手にできたか? そう、何ひとつたりと得たものはいない。お前たちが望んだものは、かくもむなしく、無駄この上なき徒労に終わった。

ここに在るは、爆弾を満載した車両に乗り込む者たち、最前線で戦う者たち。顎鬚が白髪まじりになった年長の者たち。その髭を血で赤く染めながら彼らは戦った。

まさしく、アッラーは我らになされたお約束に誠実であられた。そして、お前たち、アメリカよ。嘘を吐き、アッラーが我らのための地を授けた日に敗北したのだ。面目を失い、自身とその軍隊に教訓を学ばせたのだ。あまたの資財を投じ、己れの総力をつぎ込んだものの、それらは、アッラーのご加護によって、それらすべては戦利品となって、我らが敬虔なるジハード戦士の手に渡ったのである。

まこと、アッラーはご自身のなされたお約束に誠実であられ、下僕しもべたちを支え、ご自身の軍勢に名誉を授けた。アメリカよ、お前たちは嘘を吐き、敗北したのだ。徒労と困憊、悲惨の10年を経て、嘲笑のまととなったのだ。

イラクのジハード戦士を一掃し、ラフィダ(=シーア派)に主導権を引き継いだなどとお前たちは思っていたかもしれぬが、我らはラフィダや同族の輩、背教徒サハワ(=ここではイラク政府を支持するスンニ派勢力を指す)どもの喉元に、真実の剣を突き付けたのである。この者どもは、その傲慢不遜の振る舞いに見合う破滅を思い知るこことなった。自分の墓穴を掘り、住み家のベッドで殺される哀れな姿をさらしたのである。いずれお前たちアメリカが、シャムの地でクルド無神論者(=YPG)とサハワ背教徒(=ここではシリアのスンニ派反体制諸派を指す)を捨てた日に、これは繰り返されるだろう。アッラーの御意のもと、イラクでアメリカから主導権を継いだ者と同じ運命が待ち受けているのだ。

まさしく、アッラーは我らになされたお約束に誠実であられた。アメリカよ、お前たちは嘘を吐き、敗北したのだ。そしてついぞお前たちの誤りが証明された。その日こそ、幾世紀にもわたって奪われてきたウンマ(共同体)を我らが取り戻した日。ムスリムが失い、忘れられてきた制度を、アッラーのご加護のもとに我らが再興した日。

まこと、その多くが、この世界に目標を定めて以来、耳にすらしなかったもの。ゆえに、我らはカリフ国を宣言したのだ。そう、我らがカリフ国を宣言し、すべてのムスリムのためのカリフ(=バグダディを指す)に忠誠を表明したのである。それにつき従うことは、あらゆる徳にのっとった義務。御主の啓典と預言者(祝福と平安あれ)のスンナ(慣行)を確固と護持する限り、ムスリムは名誉と栄光へと導かれるのである。

アッラーの恩寵のもと、この道は明確となった。そして我らは、分派や集団や組織で分断されたような状況に戻ることはなかった。アメリカよ、お前たちには救い手などいないと知れ。地上すべての場所で、カリフ国兵士の餌食となるのだ。お前たちは完全に破綻し、末期症状は誰の目にも明らかである。

下劣な愚か者がお前たちの統治者となったことが、それを如実に示している。この男はシャム(シリア)が何か、イラクが何か、イスラムとは何かも知らぬばかりか、敵意むき出しで戦争を宣言している。 
訳注:下劣な愚か者=トランプ大統領を指す)

お前たちアメリカには、今よりさらなる苦しみを味わうかの選択肢しかない。これまでの教訓に学び、ジハード戦士のために(武器弾薬など)戦利品を残して撤退するか、あるいは過去と同じ轍を踏んで、戦場で死の泥沼に引きずり込まれるか。アッラーの御意のもと、唯一神信仰者たちが必ずやお前たちをこうした目にあわせてくれよう。

おお、預言者の半島(=アラビア半島)のスンナの民よ、諸君に慈悲のあらんことを。諸君らは聞こえぬか? 目が見えぬようになっても、心の目で見えるのではないか? 己れの一神教と信仰はどこにある? 諸君らのワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)はどこにある。

諸君は、アラビア半島の圧政者ども(アッラーよ、彼らに害をなし、その治世を終わらせ給え)が見えぬか? あの者どもは、イラクのラフィダ(=シーア派)に助けの手を差し伸べ、スンナの民の地が侵奪されるのを祝福さえしたのである。 いまこそ屈辱を拭い去り、裏切りの背教徒に立ち向かうべき時ではないか? 諸君こそ、不信仰者どもを許さず、ジハード戦士に対する戦争を仕掛ける十字軍の計略をはねのけ、戦士たちを支えてあらゆる援助の手を差し伸べた者ではなかったか?

アッラーの)啓示が下され、最初に広められた地(=アラビア半島を指す)から、イラクとシャムの地のスンナの民が殺され、屈辱にさらされることになるというのか? (ムハンマドの)ご教友たち、最初の征服を成し遂げた者たちの地から、不名誉と専制と侮辱が広まることになるのか? 諸君らの熱情はどこにあるのだ?

アッ・スィディクとオマル・アル・ファルークの末門たちはどこにいる? アブ・バシールとアブ・ジュンダルの末門たちはどこにいる?
訳注:いずれも預言者ムハンマドの教友、初期イスラム入信者たち。とりわけアッ・スィディクはムハンマドに従い最初にイスラムに入信したアブ・バクルを指し初代正統カリフ。オマル・アル・ファルークは、イブン・アル・ハッターブで第2代正統カリフ

おお、2つの聖地(=メッカとメディナを指す)の一神教の兄弟同胞たちよ。フィトナ(=迫害・内争)を引き起こす圧政の兵士どもや邪悪な学者らを排除せよ。指導者どもや閣僚らを排除せよ。この宗教を支え、兄弟同胞を防衛する諸君の憤激を見せつけてやるのだ! スンナの民に降りかかった苦境は、確実に終わりを迎えようとしている。スンナの民の淑女たちは喪亡と災禍の苦難に打ちひしがれてきた。いかなる障害も、頑迷固陋な愚か者も諸君らの前に立ちはだからせてはいけない。 

モスル、タラファル、ラッカ、アレッポ、そしてイスラム国のすべての前哨地にい
るカリフの兵士たちよ。いま我々は、歴史の大いなる段階、ジハードの歴史のなかに置かれていることを知るのだ。これはウンマイスラム共同体)にあって最も重大な局面であり、歴史の転換点でもある。 ゆえに、この信義に応える民となれ。アッラーの御意のもと、諸君らはこの重責を担うことができるまさにその民であるのだ。自身にふさわしき装備をなせ。その最良たるものはワクワである。
訳註:タクワ=アッラーを意識し畏れ、またその下に自己を自覚すること) 

そしてアッラーのご助力を請い、惰弱に陥るな。 慈悲深きアッラーに心をしっかりとつなぎ留め、そのご助力とご支援を請い求めよ。崇高なるアッラーはお近くにおられ、アッラーを呼ぶ者があったとき、必要なる形でお応えになる。アッラーは邪悪を取り除き、その下僕しもべにはふさわしき態度でお接しになる。

イブラヒム・アル・ハリル(=アブラハム)を火からお救いになった御方は他に誰あろうか? ムサ(=モーセ)のために海を割り、慈悲と恩寵をもって、その下僕しもべ、ユヌス(=ヨナ)を改心させ、またムハンマド(祝福と平安あれ)を支えたのは、どなたであったか?
今こそ忍耐、忍耐。不屈、不屈。信頼、信頼である。

【汝ら、信徒の者、忍耐強くあれ。互いに忍耐を競い合え。己が護りを固うせよ。アッラーを畏れかしこめ。さすれば汝らやがて栄達の道に行くであろう】(イムラーン家章:200節)

そして御主のお言葉を振り返り、とくと考えよ。
アッラーおそれまつっておりさえすれば、必ず出口をこしらえて下さろう、思いもよらぬ方から結構なものを授けて下さろう。もともとアッラーに一切を委ね申した人間は、もうアッラーだけではほかに何も要らぬはず。望むことは必ず果たし給う。アッラーはすべてのものに限度というものをつけ給うた】(離縁章:2-3節)

おお、カリフ国の軍勢よ、名誉の守護者、自身の宗教とウンマイスラム共同体)のために復讐を果たす者たちよ!我らは諸君をどう見てきたか。威力の者たち、勇猛の者たち、栄光の導き手たち、守りにあっては威厳に満ち、対峙するにあっては忍耐強くある者たち。これよりほかにどう見ようか。

さあ、御主との約束たる、擁護と勝利、屈強なる決意を成就させよ! 最大限の差響と最も過酷な痛苦に己れを引きあてよ。殺され、死ぬのは一度限り、だがそのあとの名誉は永劫残るのだ。

罪深き不信仰者どもを地獄絵図の中に叩き込むまで、一握りほどの土地からも退いてはならぬ。あの者どもを家で、路地で、路上で待ち伏せにするのだ。橋に爆弾を仕掛け、奇襲ののちにさらに奇襲を。あの者どもを捕らえ、包囲し、それぞれの前哨地で対峙して構えよ。

バグダッドの、そして南北の、キルクークの、サラハディンの、ディアラの、ファルージャの、アンバルのこの国(=イスラム国)の男たちよ。さらなる突撃をもって、薄汚きラフィダ(=シーア派)とスンニから転向した不浄な背教徒たるアッラーの敵に、存分に思い知らすのだ。あの者どもに、苦痛と死の毒杯をたっぷり味合わせてやれ。諸君らこそ戦いに生きる者、敵を叩きのめす者! 御主からの正しきお導きを求め、信念を寄せ、信頼せよ。一切はアッラーの御手のうちにある。

ホラサン(=アフガニスタン地域)、イエメン、シナイ(=エジプト地域)、リビア、西アフリカ、すべての地で、アッラーのご加護のもと、諸君の国家(=イスラム国)の秀でた支えとなるべく、諸君らは戦いを止めることはなかった。

いざ、アッラーの敵、罪深き不信仰者とその手先たる背教徒に抗するその戦いを拡大させよ。 諸君らが照らし出すこの戦争を通じて、しっかり知るのだ。諸君らはイラク、シャムの「イスラムの地」に対する不信仰者諸国の攻撃に抗し、結託同盟や結集した軍勢を打ち負かし、この地を防衛し抜いている。

アメリカ、ロシア、ヨーロッパの地にいる誠実なる唯一神信仰者たちよ。カリフ国の護持者たちよ!敵に抗し、たゆまぬ進撃を心に誓った者たちよ。今日、諸君らは偶像多神崇拝者どものまったき只中にいる。この重大なる局面にあって、決意込めた準備をなし、己れが果たす奮闘に誠実であれ。敵に対するこの戦いは、容易に成就される応報をともなう一大総力戦であることを心に刻め。 あの者どもを諸君のカリフ国、イスラムの地に近づけぬよう奮闘せよ。

預言者(祝福と平安あれ)のお言葉を思い起こすのだ。
「不信仰者と、その不信仰者を殺す者は、地獄の劫火の中でまみえることはない」ハディースムスリムによるアブ・フライラの伝承)

おお、アッラーよ、不信仰者に災厄を下し給え。あの者どもは、皆の者をあなたの大道から外れさせようとする者ども。あなたの使徒たち(=ムハンマドを始めとしたこれまでの預言者を指す)を受け入れず、あなたの盟伴の者たちに抗し、戦う者ども。

アッラーよ、あの者どもの治世に不和をもたらし、内部に反目と憎悪のいさかいを引き起こし、その足元を揺るぎ崩し給え。あなたの威力を、罪なす者の頭上にとめどなく雨あられのごとく打ち降らし給え。

おお、アッラーよ、あなたの宗教と兵士たちを支え、あなたのお言葉を高みに昇らせ、あなたの旗を高く掲げさせ給え。おお、真理の神よ。

アッラーをおいて、その権能と威力に並ぶものなし。
万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

◆声明【1】に戻る <<    【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523162641j:plain

アドナニ広報官のあとを継いだアブル・ハサン・アル・ムハジールとはいったい誰か。今もって謎だが、様々な憶測が飛び交っている。ムハジールとは通常、外国人戦闘員を指すので、少なくともシリア・イラク出身ではないだろう。米アトランティック誌は写真左のテキサス出身でシリア入りしたヤヒヤ・アブ・ハサン(本名ジョン・ジョルジェラス)の可能性を指摘している。一方、中東調査機関MEMRIは、IS関係者のSNSによる情報として写真右アブ・ワヒブ(右から2番目・昨年死亡)と並ぶ3人のいずれかではないかとする未確認情報を紹介。特定を避けるために声明が音声変換処理されていたとしても、張りのある特徴的な声だけに、上記の写真からはどれも合致しそうにはない。正体は不明だ。

f:id:ronahi:20170523155508j:plain

ムハジール声明が掲載されたルミーヤ。米兵の写真が挿入され、キャプションには「やつら(米兵)は負傷するか、死体となるか、精神疾患となって帰還するのみ」とある。(ルミーヤ第9号より)

f:id:ronahi:20170523154857j:plain

シリア・ラッカではクルド組織・人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)が米軍と連携してラッカ攻略の「ユーフラテスの憤怒」作戦を展開している。これに対しISはラッカの軍事キャンプでの訓練のようすを公開し、徹底抗戦で臨む構えを見せている。(IS機関紙アン・ナバア第79号より)

◆声明【1】に戻る << 

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【3】全4回 (2017/04/05声明)

◆自己犠牲の総力戦を呼びかけ【声明 3/4】(全4回)
昨年10月、イラク政府が開始したモスル奪還戦で、イスラム国(IS)は町のほとんどを失った。包囲された西部地域での攻防が続くなか、ISは年配・高齢の戦闘員まで投入し、自爆車両突撃を繰り返す。声明ではこうした自爆攻撃を「殉教作戦」として称賛し、自己犠牲の総力戦を呼びかけている。以下全文の第3回。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523150841j:plain

モスル攻防戦では、若い戦闘員も多数戦死している。写真はISが公開したモスルでの自爆突撃で死亡したイラク人戦闘員。まだ少年の面影が残る顔だ。「モスル西部の殉教作戦で殉教した兄弟同胞アブ・タルハ・イラキ(アッラーよ、彼を受け入れ給え)」とある。(2017年・IS写真)

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(3/4)

おお、リビアイスラムの兵士たち、リビアの旗手たちよ、アッラーは諸君の信仰とウンマ(共同体)にこそ、御心をお寄せになっていることを思い起こせ!

兄弟同胞たちは屈辱を受け入れることなく誓約を果たし抜いた。諸君らのゆえに、イスラムを踏みにじらせることがあってはならぬ。まこと、もし真実のもとに忍耐と不屈の心を諸君らが抱いているなら、そしてもし諸君らが確固としてあり続けるならば、アッラーの御意のもと、純然たる血肉によって満たされた若木に実る善き果実を目にすることとなろう。

これはミフナ(原註※2)の日々にあったアハマド・イブン・ハンバルアッラーの慈悲のあらんことを)についての挿話。
「アブ・アブドラ、嘘が真実をいかに覆い隠してきたか見えませぬか? すると彼はこう言った。 「いや決して!真実を覆い隠す虚偽の蔓延は、心が逸脱へと導かれるときのもの。我らの心はいまもって真実とともにある!」
原註※2:ミフナ=試練・辛苦を意味する言葉だが、カリフ・マアムーン時代にイスラム学者が逸脱学派ムゥタズィラ信仰を受け入れることを強いられたり、過酷な処罰に直面した異端審問を指す)
訳注:カリフ・マアムーンは9世紀初頭に在位したアッバース朝第7代カリフ)

諸君の兄弟同胞たちは、あとに続く者たちの手本となって重ねて実践されるべく、不屈と堅忍をもって耐え抜いてきた。 アッラーのご助力を請い、背教者どもに一時たりも安堵や安眠の余地を与えず、その代わりにあやつらを戦争に叩き込み、日々を奪い去ってやるのだと心せよ。最後は御主への義務を果たす者に帰するのだ。

イラクとシャムのスンナの民よ、おお、スンナの民よ!不信仰者の民と十字軍の国々は、その準備を整えた。アメリカはイラクとシャム(=ここではシリアを指す)の地のカリフ国(=イスラム国)に対する戦争を、そしてその覇権を及ぼしてきたあらゆる地での戦争を主導している。 ムスリムの心に燃ゆるジハードの火を消し去れるとあの者どもは思っている。ムスリムの心に立ち上った尊厳の炎を消せると思っている。イスラムの民のためのカリフ制が再興したのち、民衆は結集し、隊伍は統一され、ひとりの教導者、ひとつの旗、ひとつの目標の下に彼らの言葉が結ばれた。

今日、ここに彼らは確固として在る。イスラム国の影響が及ぶ地域を奪い取らんとあらゆる手立てが尽くされたにもかかわらず、ラフィダ(=シーア派)、ヌサイリ(=アサド政権・シリア政府軍)、無神論者(=クルド組織・人民防衛隊YPG)に抗する諸君の幾百の砦と堅固なよろいはまだ尽きてはいない。

十字軍どもがモスルとタラファルに群れなして集結し、これに抗してカリフ国の最も高貴なる息子たちが、いずれの地も防衛し、守り抜いてきたかを諸君は目にし、聞いたことだろう。 息子たち、すなわちムハジリーン(移住者=外国人戦闘員)とアンサール(擁護者=地元戦闘員)による大いなる献身犠牲を知らぬ者はないはずだ。諸君は彼らの見て勇敢さを目にしてきた。

彼らは、アッラーの恩寵のもと、アッラーの大道に己れの命をいとも安く差し出し、アッラーのご満悦のために死んでいった。これは世界各地の集簇から選ばれたイスラムの息子たちの規範となり、目標となった。 

ムハジール(=外国人戦闘員)の兄弟同胞と競うかのようなアンサール(=地元戦闘員)を目にしたことだろう。アッラーが導く成功と寛大さのもと、殉教突撃作戦には若者だけでなく年配の者も加わった。彼らは皆、互いに競いあうかのごとくでさえあった。
*****************************************
その栄誉を目に刻んで死にゆく若き者たち
あるいは、歴戦の年長の者たち
*****************************************
さあ、アメリカよ、惨めな最期を遂げるがいい! 若きも老いも、競うようにアッラーの大道に己れの命をいとも安く差し出すウンマイスラム共同体)は、決して敗北せぬ。来世と、(アッラーのための)善果にこそ関心を見出す世代は、決して屈服することなどない。 さあ、立て、スンナの民よ。兄弟同胞を支え、隊伍に加るのだ。アッラーにまみえる満悦を得るため、各自が態度を示すのだ。さすれば、アッラーも諸君らにご満悦なさるだろう。

まこと、十字軍と不信仰者の国民どもは、今日いまも悪あがきと手捷い策謀をめぐらし、進撃している。それは諸君らの地、― おお、イラクとシャムのスンナの民よ-を空無化させ、ラフィダ(=シーア派)、ヌサイリ(=アサド政権)、クルド無神論者(=PKK・YPG)どもの支配下に置くことを企図しているのだ。

あの者どもはつねに知っている。自分たちに敵対する最もやっかいな存在は諸君ということを。また同様に、湾岸諸国とその周辺地域の棄教政府と同等のミニ・ユダヤ国家とその手先どもにとって(諸君らが)最も危険な存在であるということも知っている。同様にまた、侵奪したムスリムの地から得られる権益と利潤を、あの者どもは案じている。

あの者どもはウンマに対し、幾世紀にもわたって悪辣な鉄爪を掻き立ててきたのだ。かくて、いまこそ、その鉄爪を撥ね返し、引き剥がさねばならぬ。これはアッラーの御意のもと、信仰心と不屈の心、信頼や忍耐、そしてカリフ国の息子たる決意をもってなされねばならぬ。 これこそ天与の約束。それを受け入れようと拒もうと、企図しようと計略めぐらそうとも、アッラーがお命じになる布告以外の何物でもないのである。そう、アッラーがシャムとその地の民に確約されたごとく。

我ら、御主(アッラー)にしっかりと心を寄せれば、アッラーは我らをお見捨てにはならぬ。 アッラーの使徒(=ムハンマド)は仰せになった。
「汝らは軍勢となる。シャムの軍勢に、イラクの軍勢に、イエメンの軍勢に」。 イブン・ハワラはこう述べた。 「おお、アッラーの使徒よ。(どこへ行くべきか)私にお選びくださいませ」 彼(=ムハンマド)は仰せになった。 「汝が向かうはシャムの地。そうでない者はイエメンでその地の川の水を飲め。まことアッラーはシャムの地とその民を我に保証し給うた」
ハディース:イブン・ヒバンの伝承)

アッラーの御意のもと、シャム、イラク、イエメンであろうと、カリフ国の権威のおよぶムスリムのいかなる拠点であろうと、ムスリムの軍勢は己れの地を決して捨てぬのだ。 そして不信仰者の政治家たちやその十字軍の主人どもが、神がなされた約束を打ち負かし、結果はすでに見えているなどと考えるのなら、そして戦場、地域、都市、町でイスラムの息子たちを殺すことで成功すると考えるなら、それは誤りである。

自身の約束を果たし、誠実であった者たちこそ、そのふさわしき場での死を願い求めながら尽力奮闘したと我らが彼らを受けとめ-そしてアッラーが彼らの審判者-それゆえに彼らは出撃したのだ。

おお、十字架の信仰者ども、もはや手遅れ。まことアッラーはご自身の下僕しもべたちになされたお約束をお果たしになる。

アッラーがお約束なさったぞ、お前たちのうち、信仰に入って正しい行ないに励む者は必ず地上の継承者としてやろうぞ、継承者を立てて来た例にならって、と。そしてまたそういう者どものために、特にその嘉し給うた彼らの宗教をゆるぎない基礎の上に据え、今まで散々怖い目に遇ってきたかわり、今度こそ安心を授けてやろうぞ、と。「あの者どもはわしを崇めておる。わしのほかは何者をも拝んではおらぬ」。それでもなお信仰に背くうような者があれば、それこそまことに罪深い人びと】(光章:55節)

シャムのスンナの民よ。アル・バブの町やその近郊地域で、不信仰者の結託同盟がなした悪行の数々を見ただろう。同様に背教徒に成り下がった「兄弟同胞」のトルコ軍や、不義と低俗と裏切りの輩徒たるサハワ(=スンニ派反体制勢力)の捨て犬どもが、スンナの民に対して遂行した虐殺を目にしてきたことだろう。 町はロシア、アメリカ、そしてその手先となった背教徒どもの爆撃で甚大な被害に苦しむこととなった。町にはムスリムたち、そのなかには女性、子供、老人がいたにもかかわらず、あの者どもは慈悲の心さえ見せなかった。

一方、クルドの無神論者ども(=人民防衛隊YPG)と、同様にヌサイリども(=アサド政権)は、町の周辺の村々に対し、スンナの民に対する猛攻撃を加えながら、激烈なる総攻勢を仕掛けた。邪悪と不徳の「イスラム学者」ども(アッラーよ、彼らを呪い不名誉を与え給え)は、(一連の攻撃について)いかなる非難や批判や怒りも表明しなかったし、なによりあの者たちはそうしたことをするような人間ではなかったのだ。

ジハード戦士を侮辱し、あらん限りの罵詈雑言をもって非難するときばかりは、あの者どもは一致結託する。アッラーにかけて言おう。あの者たちは、十字軍によって研ぎ出された槍先の刃に他ならない。その槍先は誰に向けられているか。ウンマを以前の状態とかつての栄光のうちに取り戻し、全世界的な不信仰者の徒党各派に抗して戦い、痛苦を思い知らせる者に向けられているのだ。あの者どもこそ、ウンマに寄りかかりながら、他方でムスリムに対する戦争を仕掛けている輩徒である。

ゆえに、シャムのスンナの民よ、諸君らに望まれていることは何なのかを理解せよ。まことにしてイスラム国は、誠実さにあるいは悔悟のうちに(この国に)やって来るいかなる者の前でも1日たりとも扉を閉ざしてはいない。諸君らが願うのは、善きこと、名誉となることただそれのみ。

すでに諸君らは、アレッポの町を棄て去った棄教集団サハワどもから苦しめられた。カリフ国と戦うために、ドル紙幣の背後で駆けずり回り、アレッポで戦うことなしにヌサイリども(=アサド政権軍)の前に降伏した者たちである。

今日、あやつらがやっていることは、アル・バブから追われたり殺されたりした住民の家からの略奪。破壊しつくされた町の家々の瓦礫の下にははまだ住民の死体が残されたままというのにである。最も卑しく、下劣、堕落、背信の極みをを尽くし恥辱をさらす者どもであり、これほどの罪は不信仰者に並ぶものだ。

明日、これら停戦をもたらし、それを維持するような者どもが、ヌサイリ体制(=アサド政権)に休息の機会を与え、カリフ国(=イスラム国)に対する戦闘の各前線を統合してヌサイリのパートナーとなり、テロに対抗するなどと行動をともにすることになっても驚くことではないだろう。「戦線」「委員会」「運動」を名乗り、その日ごとで異なった様相や姿勢を見せ、カメレオンの色のごとくに外見を変える者どもなのである。

これらのすべての者どもは十字架の盾であり、ヌサイリの守護者であり、諸君らが直面する苦難や窮状の根源なのだ。 おお、シャムの地のスンナの民よ、諸君らにあるのは、アッラーをおいて、カリフ国のみ。すなわち諸君が名誉をいただく地を守り、窮状からの救済のすべとなり、名誉と尊厳を防衛するどころ

ゆえに、諸君の高潔さを示す場へと来たれ、栄光を示す場へと来たれ、諸君に命を与え、アッラーの罰から救うどころへと来たれ、ジハードに、前線防衛に来たれ。諸君が道に迷い、不名誉と屈辱をまとったゆえに、これまで顧みこるとのなかった信仰のへと来たれ。

わが御主にかけて、諸君らは戯れに創造されたのではない。まこと諸君には御主とまみえる約束があり、アッラーに審問を受けることになっている。さあ、その審問の準備をなすのだ。

◆声明【4】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523145632j:plain

声明では、年配・高齢の戦闘員による自爆突撃を称えている。激戦で戦闘員が消耗するなか、年配の地元戦闘員が自爆車両で突撃する例が増えている。写真は4月に公開されたモスルでの攻防戦で、年配の戦闘員がイラク軍車両に自爆攻撃する映像。ドローンを使って車両を目標に誘導し、同時に撮影録画して、宣伝映像で公開している。写真左の黄色い箱の部分が起爆装置。(2017年・IS映像)

f:id:ronahi:20170523153435j:plain

ISの戦いが総力戦になるなか、支配地域では新たな看板が登場している。年配者を含めた広い世代に戦闘員招集を呼びかけていて、兵員登録事務所の電話番号「133」が記されている。写真の老人は中国からIS入りしたウイグル人ウイグル人戦闘員の過去記事>>(アン・ナバア第79号より)

f:id:ronahi:20170523144640j:plain

今回のムハジール声明で機関誌ルミーヤに掲載された写真。米兵と並ぶイラク兵の写真のキャプションには「背教徒は十字架の従僕となるためその宗教を売った」とある。(IS機関誌ルミーヤ第9号)

◆声明【4】につづく >>

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【2】全4回 (2017/04/05声明)

◆「不撓不屈で戦え」と鼓舞【声明 2/4】(全4回)
今回(4月5日付)のイスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジールの音声声明は約36分。IS幹部の音声声明は25分前後が多いなか、非常に長いスピーチになっている。昨年、空爆で死亡したアドナニ広報官の声明と同様、詩を盛り込むなどして格調をもたせようとしているが、どこまで戦闘員を鼓舞できるのは不明だ。「忍耐・不屈の心で戦え」が繰り返され、シリア・イラクで支配地域を失いつつあるISの現状を物語るものとなっている。以下全文の第2回。(挿入されている詩はうまく訳せません。すみません。おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523131227j:plain

今回のムハジール声明は、ISの月刊誌ルミーヤにも転載された。英語のほかに、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ウイグル語など多言語で刊行され、ネットで流通している。欧米などでの襲撃を呼びかける記事が目立つ。(画像は今年5月発行のルミーヤ第9号)

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(2/4)

おお、カリフ国の兵士たちよ、イスラムの獅子たちよ。アッラーの慈悲と天国はただ願えば成就されるものではなく、またアッラーがお約束になったことを信じ、誠実で、忍耐強くあり、不撓不屈をもって臨む者でなければ、アッラーはお赦しと多大なる慈悲をお授けにはならぬのだと知れ。 御主の御言葉を知らぬことはなかろう。

【まこと、アッラーは(天上の)楽園と引換えで、信徒たちから彼ら自身とその財産とをそっくり買い取り給うた。アッラーの道に奮戦し、殺し、殺されておる彼らじゃ。これは律法トーラー、福音、およびコーランにも(明記されておる通り)アッラーも必ず守らねばならぬ御約束。だいいちアッラーより約束に忠実なお方がどこにあろう。されば汝ら、そういうお方を相手方として結んだこの取引きを有難いと思わねばならぬ。まったくこの上もない身の幸いではないか】(悔悟章:111節)

アッラーが)買い給うた創造物の間の本質とは、アル・クルトゥビ(アッラーの慈悲あれ)がお述べになったごとく。
「彼らにとってより有益であるか、あるいは少なくとも利益において同等のものが彼らのもとに残される対価として与えられる」
訳注:アル・クルトゥビ=アブ・アブドラ・アル・クルトゥビ=13世紀、コルドバ(現スペイン)出身のイスラム学者で、コーラン解釈書などを手掛けた)

ゆえに崇高なるアッラーがご自身の下僕しもべたちから、その遵奉の証しとして彼らの命と富の破壊を、そしてアッラーのご満悦を求めて殺されることを望む彼らの存在を買い給うた。彼らがもしこれらをなすならば、アッラーは天国をそのお引き換えの対価としてお与えになった。 これぞ比類なき、何物にも代えがたい価値に満ちた大いなる報償。ゆえにアッラーは彼らが取引きと買い給うた物について知ること - すなわち下僕しもべはその命と富を帰服させ、それに代えてアッラーは報奨と寵愛をお与えになる、と、ご明示なさった。これが、買い給う、と呼ばれるものである。

おお、カリフ国の兵士たちよ、諸天と地上を司る御主にかけて、この取引きの契りは、有益に満ちたものである!アッラーの御意のもと、我らは決して止まらぬし、退きもせぬ。ゆえに、敵に立ち向かうときは、(アッラーに)誠実であれ。アッラーにまみえることを愛す者は誰あろうと、アッラーもその者にまみえることを好まれる。これは有益この上なき取引き。つまり、アッラーに信を置く下僕しもべが、アッラーの御言葉を至高に掲げ、シャリーア(=イスラム法)を成就させるために、己れの命をいとも安く、アッラーの大道のために差し出すべくアッラーがとくにお取り計らいになったもの。

アッラーの大道を進むジハード戦士が目指す到達点とは、御主のご満悦、お赦し、ご寛容、成功のご受領、御主の祝福を授かること、ただそれのみである。 これはアッラーがお命じになることを成し遂げ、御方に禁じられたことを避け、アッラーの宗教があらゆるいっさいとなるまで、そしてこの地上すべてがアッラーシャリーア(=イスラム法)によって統治されるまで、いかなる場にあってもアッラーの敵どもと戦うことをもってしてなされるのだ。ジハード戦士が生きるならそれは名誉にのうちに生き、もしジハード戦士が死するなら威厳に満ちて死することだろう。

これが幾代のなかで至高を極めた世代であり、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)のご教友たち、そしてこのウンマ(共同体)のサラフたち(=初期イスラムの信奉者)のありようであった。 そしてこれぞ諸君の預言者(祝福と平安あれ)からのもたらされた吉報のうちにあるもの。

彼はこうお述べになった。
アッラーはご自身の大道のために出撃する者には誰あろうと保証なさった。『私への信仰を抱き、わが預言者たちを護持して、わが大道のジハードを成すためにこそ、その者は出撃する。ゆえにその者に授けられし対価とは、その者が得る報奨か戦利品を授けられること、すなわち天国へと迎え入れるか、あるいはその者が元の住み処へと帰還すること』 
ムハンマドの魂がその手中にある御方(=アッラー)にかけて、アッラーの大道では負傷は止むことなく続き、審判の日が来たるとき、その負傷は止むこととなろう。その色は血の色、だが香りは麝香ジャコウのごとし。 この私、ムハンマドの魂がその手中にある御方にかけて、これがムスリムに苦難が強いられたのでなければ、アッラーの大道のために出撃する分隊の背後にはとどまることはないだろう。
だが、私には(自分で引き連れて)運べるだけの装備蓄えを探すことはできぬし、彼らも同様に十分な装備蓄えはない。私と離れることは彼らにとって過酷なことであろう。この私、ムハンマドの魂がその手中にある御方にかけて、私が好んでやまなかったのは、アッラーの大道で戦い、殺され、なおも戦い、殺され、さらに戦い、殺されることである」ハディースムスリム:アブ・フライラの伝承)

おお、民よ、これぞ不屈の心で耐える逸話ではなかったか? 諸君らの耳に報せは入らなかったか? どの報せなのか? まことわが御主にかけて、どの報せであろうか? 試煉が過酷を極め、不信仰の民と人類最悪の者どもが趨勢を握っているとき、ぬかるみに落ち、信仰の民の真理から道を踏みはずした者に言ってやれ。あの者どもの耳が聞こえなくなるまで、そして恐怖、テロと狂乱の戦慄で満たされる時まで。信仰の民とは有徳が何たるかを命じ、悪徳を封じる者、十字軍ヨーロッパに対し警鐘と訓戒をもってその門を叩き警告を下した者たち。

あの者どもは、これらが死の伝令たることを知っていた。アッラーの恩寵のもと、信仰心からなるキャンプが打ち立てられ、それは挫けず聳えている。不信仰者どものキャンプが逸脱に向かい、堕ちて失敗したのとは違うのだ。

どこに行こうとも、(リビアの)シルトの地の人びとについて語られる。ムハジリーン(=移住した外国人戦闘員)について、アンサール(=地元の出身者や戦闘員)について、その最良、かつ純真なる者たちについて語られる。彼らはリビアの大地に一神教の御旗を高々となびかせ打ち立てた者たちであり、アッラーとその使徒に遵従を奉じ、分裂や不和を断ち、隊伍を結集し、自身の言葉のもとに馳せ参じることを選んだ者たちなのだ。

かくして、彼らはムスリムのカリフ国とイマム(=教導師)に忠誠を表明し、アッラーはこの者たちに様々な場を開き、供した。アッラーシャリーア(=イスラム法)の統治のもと、その御教みおしえを成就させ、ハッド刑を施行し、有徳を命じ、悪徳を封じたのであった。
訳注:ハッド刑コーランなどに規定された、身体罰を含む刑)

これに対し、傲慢不遜なるあの者どもは怒りに打ち震えた。十字軍諸国は総結集をなし、準備を整えた。イスラムとその民との戦争をもって、あの者どもに支援を与え、同盟や配下としてとりたててやろうと希望を抱かせることを通じてである。その作戦と動員結集のほとんどを請け負ったのが、悪魔の同胞たる今世の異端の輩徒どもだった。

ゆえにカリフ国(=イスラム国)に抗する戦争のために、十字軍諸国は、総力、力量、ファトワ(宗教令)までも手駒として傭い込んだ。この者どもが棄教行為を認め、十字軍の手先となったのである。まるで尊き聖なる血を売り渡したがごとくに。 アッラーのご加護のもと、カリフ国の兵士たち、そして秀でて(敵を)征服してきた者の末裔たちは、この地域が直面した最も熾烈なる猛攻のなか、確固として立ち向かった。その不屈さは聳える山々のごとくであった。彼らがその宗教ゆえに威厳に満ち、信仰心によって高みに立ち、己れ自身を、家族や富を、そして子供たちを犠牲に捧げたゆえであった。

すべての確信と不屈の念をもってこの御言葉を唱えながら。
【言ってやるがよい、「お前たち、我々が(どうかなればいいと期待しているが、)結局それも2つに1つ、どちらにしても我々には最良の運になるだけのこと(=勝利を獲るか、さもなくければ殉教者として死ぬことになるから)。だが、我々の方でも期待しているぞ。アッラーが、御自ら、或いは我々の手を通じてお前たちを懲らしめてくださることを。ま、待ってみるがいい。我々も一緒に待ってみよう】 (悔悟章:52節)

いっさいを叩きのめし跡形も残さぬほどの戦争において、およそ半年あるいはそれ以上にわたって死闘が戦われるなか、彼らは十字軍の従僕どもを失望の淵へと叩き込んだ。
訳注:ここではイラク・モスルで昨年10月にイラク軍が開始したモスル奪還作戦での攻防を指している)

イスラムの男たち、そしてカリフ国の兵士たちは、没命果たし、自身の誓いを成し遂げたのち、御主のもとへと旅立った。これぞ我らが彼らに見たもの。アッラーこそがその審判者。

【それもただ、彼らが偉い有難いアッラーを信じているというだけで、その腹いせにやったこと。天と地の一切を統べ給う御神なのに。だが、アッラーはどんなことでもすっかり見ていらっしゃる】(星の座章:8-9節)

ジハード戦士のウンマ(共同体)の不屈さは、大いなる差響となった。彼ら戦士たちは、アッラーの大道で、殺され、また死ぬことをこそ望んだのだった。忍耐と堅忍のもと、アッラーの御法に統治されるあらゆる地から退くことなく、そして、万有の御主たるアッラーを信じぬ者どもに屈服することなく。この者たちこそ忍耐、堅忍、不断の警戒、自己犠牲の信仰心を体現して見せた者たちであった。 彼らは己れの血と魂をいとも安く(アッラーに)差し出し、売ったゆえに、イスラムの民が(アッラーに)誠実なる息子たちを認めるべく、その身をもって成就させた者たち。アッラーの御意のもと、ウンマが尊厳と主権、勝利と統合の地々を結ぶ橋梁となることだけを願い、その他の一切を拒んだ者たち。
*****************************************
ここにあるは2つの道: 我らが手にする勝利か、
あるいは、最も清き住み処たる永遠の御園
我らは結集した幾千の戦士たちや
英雄となった千の戦士たちとともに戦ったのでなく
我らがともに戦いしは、この御教みおしえ(=宗教)のため 
これぞ皆が参じたその最初の日々に
導き手から勝利を約束されしもの
彼ら、戦いへの固き決意をよろいとしてまとった者たち
あらゆる術策弄したなかで満たされた真実の力から
戦慄与え、山々を薙ぎ崩す先へと進み征く彼ら
彼らの結束、ゆるぎなく、怯えや劣勢よせつけず
真理を好む者誰あろうと、流れる血は付きもの
最も高み大志抱く者誰あろうと、必ずやそこに至れり *****************************************
おお、カリフ国の兵士たちよ、心せよ、心せよ、諸君の敵に寛容になってはならぬ。我らは、かように諸君を指導してはこなかったはずだ。 これぞまぎれなく不信仰者の国々が思い知ったこと。その頭目こそアメリカ。イスラムムスリムに対する戦争を仕掛け、自らその淵に堕ちながら、-アッラーの恩寵のもと-いかなる勝利も獲得することもできなかった。

一方、今日、我らはアッラーの恩寵のもと、新たな時代に至った。カリフ国の国家機構が立ち現われ、その興隆の時を迎えたのだ。 ゆえに不信仰者どもがあちこちで怒りを燃えたぎらせ、わめき散らそうとも、アッラーの権能と威力によって、映し出されるのはあやつらがさらす恥のみ。アッラーこそ、我らをお満たしになる、最も信ずべき御方。

まこと、アッラーこそ、あの者どもに立ち向かう我らの擁護者。そう、まこと、アッラーこそ、あの者どもに立ち向かう我らの擁護者なのだ。来たる大いなる決戦の端緒にあって勝利を授かる者は、忍耐と誠実の者。性急慌ただしき者にあらず。教訓は最後になってのみようやく知ることができる。 

◆声明【3】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523132816j:plain

声明では「シャリーアイスラム法)を成就させる」と出てくる。ISはコーランを独自解釈し、シャリーアを布告して統治。強盗は死刑、窃盗は手の切断刑など公開の刑執行を行なった。ISにとって「宗教を打ち立てる・成就させる」というのはアッラーが授けたシャリーアに則った統治を完成させ、同時に敵にジハードをもって戦うということである。写真はモスルでの手切断の刑。(2017年・IS映像)

f:id:ronahi:20170523140026j:plain

ISのシャリーア解釈によって、同性愛者とされた者は建物からの突き落としによって処刑された。落下したあと、戦闘員らがこぶし大の石を投げつける。茶色いベストにはイスラム国・ニナワ県・ヒスバとある。ヒスバは宗教警察を指す。(2015年・IS写真)同性愛処刑については過去記事参照>>

f:id:ronahi:20170523131805j:plain

声明にはリビア・シルトが出てくる。写真はシルトでのISの車列。カダフィ政権崩壊後の混乱のなか、ISはリビアでも勢力拡大を図った。一時はリビアに3つの「県」を持つまでになったが、米軍の空爆リビア統一政府軍の攻勢で多くの拠点を失った。昨年、シルトの中心部からISは排除された。(2015年・IS写真)

◆声明【3】につづく >>

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする

【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【1】全4回 (2017/04/05声明)

◆劣勢のIS、「忍耐と不屈」を呼びかけ【声明 1/4】(全4回)
イスラム国(IS)アブル・ハサン・アル・ムハジール広報官は、4月5日、音声声明を公表した。非常に長文であるが、ISの思考や過激主義を読み解く資料として全文を4回に分けて掲載する。この声明は「公式に初めてアメリカのトランプ大統領に言及」とメディアで報じられたもの。ただし声明内ではトランプを名指しておらず「下劣な愚か者」とある。(そこだけ読みたい方は4回目参照)声明内での「シャム」は大シリア(シリア、レバノン、ヨルダンを含む地中海沿岸レヴァント地域)であるが、ここでは実質的にシリアを指している。以下全文の第1回。(IS側の原註釈と、こちら(坂本)でつけた訳註があるので注意してください。おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170524001752j:plain

f:id:ronahi:20170523040546j:plain

IS機関紙アン・ナバア(第75号)に掲載されたムハジール声明。
今回の声明の要旨:
(1) 困難な状況でも忍耐と不屈の心で戦い抜け。殉教すれば天国の報奨が与えられる
(2) 十字軍諸国や不信仰者に加担するイスラム学者、指導者、武装諸派は裏切り者
(3) いまは一時的退潮局面だが、いつかはバグダッドエルサレムアラビア半島テヘランイスタンブール、ローマも征服する
(4) アメリカよ覚悟せよ、かつてイラクで失敗したように再び敗北する
(5) サウジのムスリムよ、奮い立て
(6) アメリカ、ロシア、ヨーロッパの同胞よ、立ち上がれ

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(1/4)

まこと、アッラーにすべての称讃あれ。我らはアッラーを讃え、お力添えとお赦しを請い、心の悪と行ないの因果からの庇護をアッラーに求めるものなり。アッラーがお導きになる者は迷うことなく、アッラーが迷わせる者は導かれることはなし。アッラーのほかに神はなし、並びなき御方、と我は証言するものなり。ムハンマド(祝福と平安あれ)がアッラー下僕しもべであり、使徒たることを我は証言するものなり。以下、かくのごとく。

崇高なるアッラーは、かく仰せになった。
【信徒の者よ、汝ら敵軍に出遭ったら、しっかりと腰を据えて、アッラーの御名を何遍も唱えよ。さすれば、必ず幸福を得よう。そしてアッラーと使徒(ムハンマド)の言いつけをよく守れ。決して喧嘩口論などして志をぐらつかせ、ついには順風に見放されるようなことがあってはならぬぞ。どこまでも頑張りとおせ。まこと、アッラーは辛抱づよい者の側につき給う】(戦利品章:45-46節)

また崇高なるアッラーはこもう仰せになった。
【耐えよ。まことアッラーの約束は真実である。あのような無信仰のやからにたばかられて、汝までぐらつくようなことがあってはならぬ】ギリシア人章:60節)

f:id:ronahi:20170523120642j:plain

4月5日付で出されたアブル・ハサン・ムハジール声明。タイトルの「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」は、コーランギリシア人章(=ビザンチン章)60節から。

 

 

たとえ苦難と困難にあろうとも、たとえ幾多の勢力が悪徳のもとに集結しようとも、たとえあまたのロケット砲撃や空爆の爆撃音が鳴り響こうと、これは忍耐、不屈、そしてアッラーのお約束の確かさであるのだ。

御主に信を置き、確固と抱く者たちは、堅固で揺ぎなく、(アッラーからの)報奨を待ち望み、前へと行軍を続け、決して己れの背を(敵に)見せぬ者たち。彼らは、無力や困惑、あるは日和見や失心のなかに怖れおののいて挫けるようなことのなかった者たち。いやむしろ、彼らは逸脱の道を排して、闇夜になかに真実の光を夾叉きょうさし、己れの血をもって導きの篝火かがりびを灯す者たち。

彼らは御主の啓典(=コーラン)によって自らを滋養し、預言者(祝福と平安あれ)のスンナ(=慣行)に則って歩み、営為をなしてきた。 彼らは、
勝利がまさしくアッラーからもたらされるのであり、人員や装備の数で勝利が決まるのではないということを知っていた。まことアッラーは強大なる御方、そのお力に勝る者はなし。

まことアッラーは、強勢や人員を引き高めんとした者をお捨てになる威力至高なる御方。万事をお命じになるごとくに、あらゆる方途のもとに、その御意志によってすべてを正しく相応なる場所に配置されるがごとくに。アッラーこそ至賢なる御方であらせられる。

まことアッラーは、勝利を司るにおいては、全能至賢なる御方、勝利が授けられるべき者に、勝利をお授けになる。御方がご自身の下僕しもべを見棄てるときは、誰あろうとお見棄てになる。弱々しさや不備あろうとも、御方が司るものから逃れることなどできぬ。
アッラーはその御言葉を確固と仰せになっている。
アッラーが助けてくださるなら、もう誰ひとり汝らを負かす者はいない。だがもし(アッラー)が見棄て給うたなら、一体だれが神なきあとの汝らを助けてくれるものか。されば、信者はみんなアッラーにおすがり申すことが第一】(イムラーン家章:160節)

そう、まことアッラーのお約束は真実。御方が信仰の下僕しもべたちにお命じになるごとく。ゆえに御方のスンナ(=慣行)と創造物におけるその賢知たるは、絶えず永続せしもの。御方がお望みになればいつあろうと苦難をお下しになり、いつあろうとお取り除きになる。諸天や地上においていかなるものも御方の権能を奪うことなどできぬ。 アッラーが物事をお命じになるとき、「かくあれ」と御方がひとたび発すれば、かくあるのだ。御方はこう仰せになり、そのお言葉は真実である。
【一体汝ら、過ぎた昔の人々が経験したような(苦しい試み)に遇わずに(楽々と)天国に入れるとでも思っておるのか。(昔の人たちは)みんな不幸や災禍に見舞われ、地揺れに襲われ、しまいには使徒も信者たちも一緒になって「ああ、いつアッラーのお助けがいただけるのか」と歎いたほどではなかったか。いや、なに、アッラーのお助けは実はすぐそこまで来ておるのだが】(牝牛章:214節)

そしてまことアッラーのスンナ(=慣行)が求めしものは、御方の命令に実直たることなしにして、あるいは御方に立ち返る真摯さなくして勝利は成し遂げられぬということであり、ゆえにアッラー御教みおしえを最もよく護持する者、そしてアッラーの敵に対しジハードを大いなる力をもって立ち向かう者、さらにアッラーとその使徒(祝福と平安あれ)に至誠をもって忠実に尽くす者であり、その者こそが最大の擁護者であり、従順なる者であり、気高き者なのである。

おお、イスラムウンマ(共同体)よ、時は流れ、今日、歴史は繰り返している。いまここに到りしは、ダール・アル・イスラムが置かれた状況のごときありよう。幾世代のなかで、幾多の大きな出来事が去来した。それらはウンマ全体に消すことのできぬ禍根を残し、癒えがたき深い傷を負わせてきた。
訳注:ダール・アル・イスラム=一般に「イスラムの地」「イスラムの居地」「イスラム世界」を指すが、ここではかつてのイスラム世界を防衛する幾多の戦いを経た時代を重ね合わせている。声明では「イスラムの地」と「イスラム国」を同義的に並べようとしている用法が見受けられる)

これは先人から学んだ教訓なのであり、ムスリム参集地を実際的な破壊へと導く危うき坂道と、奈落の深みに至ること-それはイスラム教そのものの根絶やしにされることに他ならぬ - から引き留めるための方途である。 かくして、ここに襲来したのは十字軍アメリカとそれに結託する同盟国。イスラムの地とカリフの地を攻撃せんと再来したのだ。歴史において、不信仰者の国々が、あらゆる宗教や教義の違いを越えて総結集したことなどなかったことである。

スンナの民(=スンニ派)を僭称する者どもと共謀し、背教徒の支配者や邪悪なイスラム学者や礼拝を司る者 - そこにはジハードを宣布し、真理の道に従う方途を説く者さえも含まれる-これらの者どもすべては、カリフ国のイスラムの息子たちに敵対して不信仰者の国々の一群となった輩徒なのである。

だが、かつての時代状況や侵奪と、今日、いま我らが経験していることは異なっている。当時のムスリム国家は自ら最悪の状況に至っており、本来、宗教があるべき姿と御主からかけ離れ、タイファ(原註※1)の諸王が分断していた。ゆえにアッラーは、敵方を導き入れ、諸王国の内裏も、そこにいる子孫も打ち壊し、一掃させたのである。
原註※1タイファまたはタワーイフヒジュラから5世紀後にアンダルース(=イベリア半島)においてカリフ制国家の崩壊ののちに登場した分裂諸国)

しかし今日、イスラムの地に対するその攻撃の熾烈さや、東西くまなき地から仕掛けられる戦いにあっても、カリフの地にあるムスリムの状況はかつての時代とは違うのだ。イスラム国はイスラムの地のために立ち、防衛する存在であり、不信仰者の国々に繋がれた隷従と服従の桎梏から解放するために、イスラム青年たちの熱情を打ち鍛えながら、信仰を確固と抱く者を奮い立たたせた。
彼らこそ、自身のウンマを防衛するため、熾烈で命を懸けた戦争に勇んで挑み参じた者たちであり、あらん限りの力とあらゆる手段を尽くし、戦いの現場で奮闘を惜しまず、敢然と対峙し、反転攻勢に打って出た者たちであった。

カリフ国は、アッラーの恩寵と報奨のもと、ムスリムたちをしっかりとその宗教につなぎとめている。他方、圧政側のイスラム学者や、その悪辣なる宣伝機関は民衆の前に立ちはだかり、邪道へと迷い込み、十字架の民とその従僕となった背教に堕ちた支配者どもに導かれながら、イスラムの民を低みに落とし込めて屈辱にまみれることを求めている。

だが、アッラー勝利をお認めなり、カリフ国は、病いが何であるかを知り、その治療の方途は何かを認識した。アッラーの御意によるアッラーの御為の大道においても非難する者からの雑言を恐れずして
、この病いはイサ・ブン・マルヤム(平安あれ)にその旗が渡されるまで続く。(=イサ・ブン・マルヤムは、イエス・キリストを指す)
訳注:ここはコーラン・食卓章の「ユダヤ人やキリスト教徒を仲間にしてはならない」「心に病いを持つ者はユダヤ人やキリスト教徒のもとに走るが、いずれ敗者となる」という節を意識させる箇所になっている。十字軍に協力する支配者やイスラム学者は敗北することを示唆しようとしている。イサ(イエス)に「平安あれ」とついているのは、イスラムではイエスも預言者の一人としてみなしているため)

おお、イスラムウンマ(共同体)よ。まこと我らこそアッラーからイスラムの名誉を授けられた者たち。ゆえに、その他のいかなる名誉も望んではならぬ。ウンマの原初に形作られた姿をおいて、それ以降のいっさいの形にも、我らはウンマの姿を変えることはない。

一神教を自覚した者のみが、そしてワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)に生きた者こそが、己れの宗教を通して名誉を授かることができた。順境にあっても、逆境にあっても、苦難にあっても、盛隆にあっても、あまたの敵が立ちはだかり辛苦が増そうとも、これこそがその者の人生のすべての事象のありようとその方途を決定づけてきたのである。その者はアスタナに顔を向けてなどいないし、圧政者どもとかかずらうことなどしないのだ。決してないのだ!
訳注:アスタナ=シリア情勢と停戦をめぐってカザフスタン・アスタナで、シリア反体制組織諸派の一部とシリア、ロシア、イラン、トルコ、国連などが続けている会合)

いやむしろ、この者こそは不信仰者の国民どもに対し、次のように言って、宗教の結びつきのもとに留まり、預言者たちの父の例えを護持している。
【「わしらはもうあなたがたと縁切りです。それからアッラーをよそにしてあなたがたが崇めていらっしゃる(邪神ども)とも。わしらはもうあなたがたなぞ信じられません、わしらとあなたがたの間にはもはや敵意と憎悪あるのみ、あなたがたがアッラーだけを信仰するようになるその日まで」と】(調べられる女章:4節)

これぞ導かれし信仰者(=ムスリム)のあるべき姿であり、それ以外のものはすべて罪なしたる不信仰者の姿。万有の御主のシャリーア(=イスラム法)の道から逸脱し、これを書き換えた輩徒であった。

◆声明【2】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

f:id:ronahi:20170523121144j:plain

イラク北部モスルをISが制圧したのは2014年6月。近郊も含めて200万の人口を誇ったイラク第2の都市で、イラク軍・警察を撃破したことは、ISにとって「アッラーを信じれば必ず勝利できる」という自信につながり、イラクとシリアで一気に領土を拡大していった。旧日本軍が「神風が吹くから負けるわけがない」と中国大陸から東南アジアへと戦線を広げ、欧米列強を駆逐していったメンタリティーに似ているともいえる。いま劣勢のISは、「殉教して天国へ」と戦闘員に総玉砕戦を迫る。これも戦争末期の日本軍と共通する部分があるかもしれない。写真はモスルでイラク軍から奪った大量のハンヴィーを連ねて走行するIS。(2015年・IS映像)

f:id:ronahi:20170523112141j:plain

昨年10月に始まったイラク軍によるモスル奪還戦で、ISは町の大部分を失った。いまISが残る西部地区で激しい攻防戦が続く。写真は戦闘の前に礼拝するIS戦闘員。(2017年・IS映像)

f:id:ronahi:20170523112153j:plain

モスル市内で戦うIS戦闘員。戦闘や空爆によって犠牲となる市民もあいついだ。(2017年・IS映像)

◆声明【2】につづく >>  

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
新着記事はツイッターで案内しています>>

広告を非表示にする