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イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

イスラム国(IS)・イラク・シリア・クルド情勢

【IS声明全文・日本語訳】イスラム国(IS)英マンチェスター爆弾事件「十字軍国民を殺傷」と関与認める

◆さらなる攻撃を予告
イギリス・マンチェスターで5月22日に起きたコンサート会場での爆発事件は、死者22人を出す惨事となった。武装組織イスラム国(IS)は23日、「十字軍国民を爆発物で殺傷」などとする公式声明を出し、事件への関与を認めた。ヨーロッパ各地であいついでいるISシンパによるとみられる市民襲撃事件では、まずIS系アマーク通信が「消息筋情報としてIS戦闘員による攻撃」とする例が多いなか、事件直後の段階でISが英語・アラビア語で公式声明を出して攻撃を認めたことは、準備段階から関与していた可能性も推測される。以下は声明全文。(英語版をもとに翻訳・一部意訳)

イスラム【速報】イギリス
マンチェスターでの爆発物による爆発で
約100名の十字軍国民を殺傷

ヒジュラ暦 1438年シャアバーン月27日

アッラーのご加護とご助力のもと、カリフ国の兵士は、アッラーの宗教のためになす報復として、多神偶像崇拝者を恐怖に陥れるべく、また、ムスリムの地に対する幾多の犯罪への回答として、英国の都市マンチェスターの十字軍国民が集まる只中に爆発物を設置した。
爆発物は恥知らずのコンサート会場で爆発し、十字軍国民30名を殺害し、70名を負傷に至らしめた。アッラーの御意のもと、十字架の崇拝者とその結託者どもに対し、さらなる過酷なことが次に続くこととなろう。万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

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マンチェスター爆弾攻撃事件の犯行を認めるISの英語版の声明。声明では十字軍となっているが、十字軍を構成する国の市民、国民を指している。ISの規定では、ISに敵対する欧米のキリスト教国以外にも、これらと同盟する国々も十字軍同盟とし、日本もこれに含まれる。

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アラビア語の声明。メディアは男が自爆と報じているが、声明では、英語版とも、「爆発物による爆破」とある。ISが自爆攻撃の声明を出す際は、「殉教志願作戦」(アマリヤット・イスティシャハディーヤ)や、計画性をもって襲撃を敢行して、銃撃戦の上、自爆した場合でも「突撃決死作戦」(アマリヤット・イングマスィーヤ)とすることが多い。
メディア報道が錯綜しているのか、ISが準備していた声明と犯行の実態が異なる結果となったのか、男が爆発物を設置した際に誤って爆発させ自身も死亡したかなど、詳細は不明だ。今回の声明では爆発物についてアブワ・ナスィファという用語を使っている。これは即製爆発物や自家製爆弾を指す場合によく使われる。自爆ベルトを用いたときはヒザム・ナスィファと表現される。

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マンチェスターで公演をしていたアリアナ・グランデのコンサート会場が標的となった。英当局は、「コンサート会場出口付近で爆発」と発表。多数の死傷者を出す爆発だったことは、周到な準備のもとに計画された可能性を示唆している。(画像はCNNより)

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5月24日付のイギリスの新聞。事件で犠牲となった8歳の女児について大きく伝えている。右の男が実行犯と報じられたリビア系英国人サルマン・アベディ容疑者(22)とされる写真。

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サルマン・アベディ容疑者の自宅への家宅捜索として英メディアが報じた映像。

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IS機関誌では、欧米をはじめとした「十字軍諸国」での市民殺戮を呼びかける記事が目立つようになっている。市民が多数集まる場所は政府機関や軍事施設よりも狙いやすく、主要な標的となるとしている。トラックの調達手順や、人が集まるイベントを狙え、といった、など具体的な手法を紹介しており、これに呼応した共鳴者が事件を引き起こす危険性が高まっている。(画像の一部をぼかしています)

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昨年、ISはシリア・イラクの外に住むISシンパに見せることを意識した内容の映像を公開。シリア・ラッカ発のIS映像で、「人間をナイフで殺害する際の急所」や「爆弾製造」などについて紹介している。実際の人間を殺害しながら解説したり、製造した爆弾をスパイとされた男に背負わせて走らせ、遠隔操作で爆死させるなど残虐を極めたものとなっている。写真は身近な日用品から小型爆弾を作る方法を解説している。(2016年・IS映像)

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3月にロンドン・ウェストミンスターで起きた暴走車両とナイフによる殺傷事件(死者5名・犯人含む)では、IS系アマーク通信が「イスラム国兵士」によるものと伝えたが、ISから公式声明は出なかった。のちにIS機関誌では「カリフ国兵士・ハリド・マスードが作戦を敢行」とした。フランスやドイツでの単独決起型襲撃をISが事後承認する形と、直接ISが計画段階から作戦に関与するものなど、攻撃実行と声明発表の形態も分かれている。

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
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【イギリス】メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明全文 (2017/05/23)

◆「卑劣なテロ」と非難
イギリス・マンチェスターで起きた爆弾事件を受けて、メイ首相は声明を発表、事件を「卑劣なテロ攻撃」と非難した。この時点での犠牲者数は、死者22人、負傷者59人とし、実行犯の氏名は公表されなかったものの、のちにリビア系英国人のサル、アン・アベディ容疑者(22)と発表された。以下は、メイ首相の声明全文。(一部意訳)

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マンチェスターでの爆弾事件後、ロンドンの首相官邸前で経過を説明するメイ首相。(2017年5月23日・英首相官邸公表映像)

メイ首相・マンチェスターでのテロ攻撃に関する声明

ダウニング街10番地(首相官邸)2017/05/23

先ほど、私は、昨夜のマンチェスターでの惨事に関する詳細と対応を議論するため、政府緊急事態委員会(COBR)の会合を招集しました。

私たちの思いと祈りは、犠牲となった方々、そして事件に巻き込まれたすべての方々のご家族、友人の皆さんとともにあります。マンチェスターの住民、そして国民が卑劣なテロ攻撃の犠牲となったことに疑いの余地はなく、またこの攻撃は冷徹な計画のもと私たちの社会の若い世代が標的にされました。

これは英国史上、最悪のテロ事件のひとつとなりました。マンチェスターがこうした事態に直面したのは初めてではありませんが、これはマンチェスターが経験した最悪の攻撃であり、またイングランド北部における過去最悪の攻撃でした。

警察と治安機関は、現在、事件の全容解明に全力をあげていますが、現時点で分かっていることについて説明いたします。

昨夜午後10時33分、マンチェスター市中心部、ヴィクトリア駅近くにあるマンチェスター・アリーナで爆発があったと警察に通報が入りました。 

会場の出口付近で、テロリスト1名が、時刻を選んだうえで大量殺戮を企図し、無差別に殺害、負傷させる目的で即製爆弾を爆発させたことが判明しました。爆発は、多くの若い家族や子供たちのグループが来場していたポップ・コンサートの終了に合わせて起きました。あらゆるテロ行為は、罪のない市民に対する卑劣な攻撃にほかなりません。しかし今回の攻撃は、人生の思い出に残るはずの素晴らしい夜を楽しんでいた何の罪もない無防備な子供や若者を狙った点において、その凄惨さと、おぞましい卑劣さを極めたものであります。

これまでのところ実行犯について判明していることのほかに確認している情報としては、22名が死亡し、59名が負傷したということです。負傷者はグレーター・マンチェスター(州)の8か所の病院で治療を受けています。その多くが命に関わる状態にあります。死者、負傷者のなかには多数の子ども、若者がいたことがわかっています。幼い子供たちでいっぱいの空間をそれぞれの思い出の場と見るのではなく、大量殺戮の機会ととらえるような、歪んで屈折した心に立ち向かわなければなければなりません。

私たちは、こうした暴力を煽り立てる思想に打ち勝ち、このような攻撃が今後また起きることを阻止する姿勢を取り続けます。まや、今回の攻撃に、他にも関与した者がいると判明したならば、徹底的に捜し出して裁きにかけます。今回の攻撃はひとりの男によってなされたものと、警察ならびに治安機関はみていますが、実行犯が単独で行動していたのか、広範なグループの全容解明には時間を要しますが、捜査は継続されます。

警察と治安機関には任務を遂行するにあたり必要なあらゆる応援が与えられます。警察と治安機関は、実行犯の身元を割り出しつつありますが、現段階では、その氏名を確定するには至ってはいません。

警察と緊急対応機関は、つねにそうであるように、大いなる勇敢さをもって行動しました。国を代表して、彼らに感謝の意を表明します。彼らは適切な所定に手順に則って訓練どおりに対応し、プロ意識を発揮して行動してくれました。400名の警官が夜を徹して任務にあたりました。心理的な負担を負うほどの悲惨な現場にあって、負傷者の救命措置や救護のために救急医療チーム、医師、看護師らが立派に役目を果たしてくれました。警察の捜査活動については特別の応援措置が取られ、武装した警官の増派も含めた、目に見える形のパトロールマンチェスター一帯で継続されます。

マンチェスターで生活、または働く皆さんにおかれましては、マンチェスター・アリーナ、ヴィクトリア駅付近で広範囲の封鎖警戒措置が続くことをお伝えします。ヴィクトリア駅は現在閉鎖されており、綿密な捜索活動が続くあいだ、しばらく閉鎖が続くことになる見通しです。

事件に巻き込まれた方々のご友人、ご親族がご自身の子どもや、きょうだい、両親や愛する人が無事かどうかわからず、把握しようと努めていると思います。

想像を絶するほど心配されている方々に思いを寄せていただき、この攻撃に関係する情報をお持ちの方はマンチェスター警察に連絡してください。

脅威レベルは現在も最高度です。これはさらなテロ攻撃が引き続いて起こりうるということを意味します。

入手した情報に基づいて脅威レベルを判定する、独立した機関である統合テロ分析センターは、今日とこの数日にわたってその状況を精査する活動を続けます。

本日これから私はマンチェスターに向かい、マンチェスター警察イアン・ホプキンス署長、グレーター・マンチェスターのアンディ・バ-ンハム市長ならににマンチェスターの支援に加わった緊急対応機関のメンバーの方々と合う予定です。

昨夜、表明いたしましたとおり、総選挙に関する活動については一時休止することといたしました。本日、のちほど別の政府緊急事態委員会の会合を開きます。

こうした過酷な時にあっては、指導者、政治家、その他の方々にとって、実行犯を非難し、テロリストは敗北すると毅然と表明することが求められます。私たちが以前もここで同様の事態に臨み、再び同様の言葉を発するとしても、その真実の重みは変わりません。昨夜、マンチェスターで経験した最悪の反人間的行為のなかにあって、私たちは善き人間としての姿が発揮されることも目にしました。実行犯に卑劣さに対して、緊急対応機関、そしてマンチェスターの人びとが立ち向かいました。私たちを分断しようとする目論見に対して、人びとを結束させた、数えきれないほどの善意の行動が立ち向かいました。

これから幾日にわたる間、私たちはこのことを忘れてはなりません。私たちの心に刻むべきものは、非道な殺人犯のそれではなく、危険を顧みず人びとを救うべく駆け付けた一般の男女の方々の姿なのです。

人びとを助け、命を救うために、緊急対応機関の男女職員ともが絶え間なく活動を続けてくれました。被害者のために自宅を提供してくださった方々の連帯と希望のメッセージ。これは彼らのマンチェスター精神であり、また英国精神を示すものであるのです。この精神こそ、紛争とテロのなかにあって決して挫けることのなかったものであり、これからも決して挫けることはないのです。

過酷な日々が続くことになりますが、被害に遭われた方々のご家族や友人に私たちの思いと祈りを捧げます。事態に円滑に取り組めるよう、行政機関、緊急対応機関、治安機関にあらゆるサポートを提供します。この過酷な時にあって、私たちのすべて、そのひとりひとりが、マンチェスターの人びととともにあります。

きょう、私たちは亡くなった方々を心に刻み、一方で助けの手を差し伸べた方々を称えたく思います。テロリストは敗北し、私たちの国、私たちの生き方こそがつねに勝利するのだという思いを心に強く抱くものであります。

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マンチェスター・アリーナで爆発物を爆発させ、死亡した、リビア系英国人、サルマン・アベディ容疑者(22)。イスラム国(IS)との関与は不明だが、コンサート会場を狙い、多数の犠牲者が出たことから計画的に場所を選定し、殺傷力の高い爆弾が使われたことは、個人でなく、組織的な関与をうかがわせる。(英メディアが報じた写真)

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【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【4】全4回 (2017/04/05声明)

◆トランプ大統領は「下劣な愚か者」【声明 4】(全4回)
支配地域を次々と失い、すでに壊滅も時間の問題とまでいわれ始めたイスラム国(IS)。だがムハジール声明では、いつの日かバグダッド、ダマスカス、エルサレムアラビア半島テヘラン、インタンブール、ローマを征服する、としている。荒唐無稽な「世界征服の野望」に見えるが、9・11事件のアルカイダは、欧米諸国の圧倒的な軍事力をもってしても壊滅できなかった。たとえいまISを叩けても、再び息を吹き返すかもしれない。過激主義の根を断つのは容易ではない。トランプ大統領の部分はテキスト赤文字の部分。以下全文。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)
【1】【2】【3】4】

【IS音声声明】トランプ大統領に言及した部分(1分)(一部意訳)
アブル・ハサン・アル・ムハジールの声明でトランプ米大統領に言及した部分。「下劣な愚か者」としている。(翻訳字幕は公式英語版のものを挿入しています)
イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(4/4)

おお、カリフ国の兵士たちよ。イスラムの民よ。犯罪と腐敗の頭目、アメリカはその力を過信し、傲慢さによって盲目となってきた。ゆえに己れの破壊と破滅の泥沼へと向かっていった。そう、アメリカはそこで溺れ死に、抜け出ることなどできぬ。どれほど、あがき、もがこうと無駄。シャムとイラクの地でその足を引きずり込まれ、死のうめきをあげることになる。

いったんイラクでの屈辱と敗北のなか逃げ出し、撤退したのちになって、いま再び侵攻したところで、我々は名誉と堅固さに満ちており、(アッラーから)約束が与えられているのであり、またアッラーのご加護のもと、現在の我らの状況は、アメリカが思い描いているのとは違うのだ。

アメリカの結託同盟も、群衆も、ハイエナどもも、直接対決から逃れることはできぬ。たとえ我らが都市、地域、町をひとつ失おうとも、それはムスリムの参集体を浄化して不浄を取り除くための試煉と純化にすぎぬ。アッラーは、ご自身がお望みになる下僕しもべをお選びになる。

これは、ただ一時いっときの引き潮の局面。そののちには、アッラーの御意のもと、バグダッド、ダマスカス、クドゥス(=エルサレム)、アンマン、ムハンマドの半島(=アラビア半島)への拡大と大いなる征服が成就されるであろう。信仰心に満ちた大隊が必ずやペルシャを襲い、(イランの)コムとテヘランを征服するであろう。 そののち、我らは必ずやローマを襲うだろう。獅子たちは、タクビル(=「アッラーは偉大なり」の唱和)を高々と唱え、コンスタンチノープル(=イスタンブール)を、戦わずして征服して見せるだろう。

これなるは我らが御主のお約束であり、預言者(祝福と平安あれ)からの吉報。まこと、一神教とワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)に拠って立つカリフの地で育った世代にためのもの。御主の御為の大道で殺され、死することこそに魅了されし者たち。さあ、アメリカよ、お前に何ができるというのか? 何ができようものか? 信仰心は彼らの血となって帰結したのだ。

彼らは力と宗教の高みが何かを知った。アメリカよ、イラクで、ホラサン(=アフガニスタン地域)で、あるいは全世界で、お前たちはイスラムの民をその宗教からどれほど転じさせようとしたことか。お前たちは邪悪と堕落に満ちた人間のくずどもを傭い、ジハード戦士に対抗させようと総動員をかけておきながら、何か成果を手にできたか? そう、何ひとつたりと得たものはいない。お前たちが望んだものは、かくもむなしく、無駄この上なき徒労に終わった。

ここに在るは、爆弾を満載した車両に乗り込む者たち、最前線で戦う者たち。顎鬚が白髪まじりになった年長の者たち。その髭を血で赤く染めながら彼らは戦った。

まさしく、アッラーは我らになされたお約束に誠実であられた。そして、お前たち、アメリカよ。嘘を吐き、アッラーが我らのための地を授けた日に敗北したのだ。面目を失い、自身とその軍隊に教訓を学ばせたのだ。あまたの資財を投じ、己れの総力をつぎ込んだものの、それらは、アッラーのご加護によって、それらすべては戦利品となって、我らが敬虔なるジハード戦士の手に渡ったのである。

まこと、アッラーはご自身のなされたお約束に誠実であられ、下僕しもべたちを支え、ご自身の軍勢に名誉を授けた。アメリカよ、お前たちは嘘を吐き、敗北したのだ。徒労と困憊、悲惨の10年を経て、嘲笑のまととなったのだ。

イラクのジハード戦士を一掃し、ラフィダ(=シーア派)に主導権を引き継いだなどとお前たちは思っていたかもしれぬが、我らはラフィダや同族の輩、背教徒サハワ(=ここではイラク政府を支持するスンニ派勢力を指す)どもの喉元に、真実の剣を突き付けたのである。この者どもは、その傲慢不遜の振る舞いに見合う破滅を思い知るこことなった。自分の墓穴を掘り、住み家のベッドで殺される哀れな姿をさらしたのである。いずれお前たちアメリカが、シャムの地でクルド無神論者(=YPG)とサハワ背教徒(=ここではシリアのスンニ派反体制諸派を指す)を捨てた日に、これは繰り返されるだろう。アッラーの御意のもと、イラクでアメリカから主導権を継いだ者と同じ運命が待ち受けているのだ。

まさしく、アッラーは我らになされたお約束に誠実であられた。アメリカよ、お前たちは嘘を吐き、敗北したのだ。そしてついぞお前たちの誤りが証明された。その日こそ、幾世紀にもわたって奪われてきたウンマ(共同体)を我らが取り戻した日。ムスリムが失い、忘れられてきた制度を、アッラーのご加護のもとに我らが再興した日。

まこと、その多くが、この世界に目標を定めて以来、耳にすらしなかったもの。ゆえに、我らはカリフ国を宣言したのだ。そう、我らがカリフ国を宣言し、すべてのムスリムのためのカリフ(=バグダディを指す)に忠誠を表明したのである。それにつき従うことは、あらゆる徳にのっとった義務。御主の啓典と預言者(祝福と平安あれ)のスンナ(慣行)を確固と護持する限り、ムスリムは名誉と栄光へと導かれるのである。

アッラーの恩寵のもと、この道は明確となった。そして我らは、分派や集団や組織で分断されたような状況に戻ることはなかった。アメリカよ、お前たちには救い手などいないと知れ。地上すべての場所で、カリフ国兵士の餌食となるのだ。お前たちは完全に破綻し、末期症状は誰の目にも明らかである。

下劣な愚か者がお前たちの統治者となったことが、それを如実に示している。この男はシャム(シリア)が何か、イラクが何か、イスラムとは何かも知らぬばかりか、敵意むき出しで戦争を宣言している。 
訳注:下劣な愚か者=トランプ大統領を指す)

お前たちアメリカには、今よりさらなる苦しみを味わうかの選択肢しかない。これまでの教訓に学び、ジハード戦士のために(武器弾薬など)戦利品を残して撤退するか、あるいは過去と同じ轍を踏んで、戦場で死の泥沼に引きずり込まれるか。アッラーの御意のもと、唯一神信仰者たちが必ずやお前たちをこうした目にあわせてくれよう。

おお、預言者の半島(=アラビア半島)のスンナの民よ、諸君に慈悲のあらんことを。諸君らは聞こえぬか? 目が見えぬようになっても、心の目で見えるのではないか? 己れの一神教と信仰はどこにある? 諸君らのワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)はどこにある。

諸君は、アラビア半島の圧政者ども(アッラーよ、彼らに害をなし、その治世を終わらせ給え)が見えぬか? あの者どもは、イラクのラフィダ(=シーア派)に助けの手を差し伸べ、スンナの民の地が侵奪されるのを祝福さえしたのである。 いまこそ屈辱を拭い去り、裏切りの背教徒に立ち向かうべき時ではないか? 諸君こそ、不信仰者どもを許さず、ジハード戦士に対する戦争を仕掛ける十字軍の計略をはねのけ、戦士たちを支えてあらゆる援助の手を差し伸べた者ではなかったか?

アッラーの)啓示が下され、最初に広められた地(=アラビア半島を指す)から、イラクとシャムの地のスンナの民が殺され、屈辱にさらされることになるというのか? (ムハンマドの)ご教友たち、最初の征服を成し遂げた者たちの地から、不名誉と専制と侮辱が広まることになるのか? 諸君らの熱情はどこにあるのだ?

アッ・スィディクとオマル・アル・ファルークの末門たちはどこにいる? アブ・バシールとアブ・ジュンダルの末門たちはどこにいる?
訳注:いずれも預言者ムハンマドの教友、初期イスラム入信者たち。とりわけアッ・スィディクはムハンマドに従い最初にイスラムに入信したアブ・バクルを指し初代正統カリフ。オマル・アル・ファルークは、イブン・アル・ハッターブで第2代正統カリフ

おお、2つの聖地(=メッカとメディナを指す)の一神教の兄弟同胞たちよ。フィトナ(=迫害・内争)を引き起こす圧政の兵士どもや邪悪な学者らを排除せよ。指導者どもや閣僚らを排除せよ。この宗教を支え、兄弟同胞を防衛する諸君の憤激を見せつけてやるのだ! スンナの民に降りかかった苦境は、確実に終わりを迎えようとしている。スンナの民の淑女たちは喪亡と災禍の苦難に打ちひしがれてきた。いかなる障害も、頑迷固陋な愚か者も諸君らの前に立ちはだからせてはいけない。 

モスル、タラファル、ラッカ、アレッポ、そしてイスラム国のすべての前哨地にい
るカリフの兵士たちよ。いま我々は、歴史の大いなる段階、ジハードの歴史のなかに置かれていることを知るのだ。これはウンマイスラム共同体)にあって最も重大な局面であり、歴史の転換点でもある。 ゆえに、この信義に応える民となれ。アッラーの御意のもと、諸君らはこの重責を担うことができるまさにその民であるのだ。自身にふさわしき装備をなせ。その最良たるものはワクワである。
訳註:タクワ=アッラーを意識し畏れ、またその下に自己を自覚すること) 

そしてアッラーのご助力を請い、惰弱に陥るな。 慈悲深きアッラーに心をしっかりとつなぎ留め、そのご助力とご支援を請い求めよ。崇高なるアッラーはお近くにおられ、アッラーを呼ぶ者があったとき、必要なる形でお応えになる。アッラーは邪悪を取り除き、その下僕しもべにはふさわしき態度でお接しになる。

イブラヒム・アル・ハリル(=アブラハム)を火からお救いになった御方は他に誰あろうか? ムサ(=モーセ)のために海を割り、慈悲と恩寵をもって、その下僕しもべ、ユヌス(=ヨナ)を改心させ、またムハンマド(祝福と平安あれ)を支えたのは、どなたであったか?
今こそ忍耐、忍耐。不屈、不屈。信頼、信頼である。

【汝ら、信徒の者、忍耐強くあれ。互いに忍耐を競い合え。己が護りを固うせよ。アッラーを畏れかしこめ。さすれば汝らやがて栄達の道に行くであろう】(イムラーン家章:200節)

そして御主のお言葉を振り返り、とくと考えよ。
アッラーおそれまつっておりさえすれば、必ず出口をこしらえて下さろう、思いもよらぬ方から結構なものを授けて下さろう。もともとアッラーに一切を委ね申した人間は、もうアッラーだけではほかに何も要らぬはず。望むことは必ず果たし給う。アッラーはすべてのものに限度というものをつけ給うた】(離縁章:2-3節)

おお、カリフ国の軍勢よ、名誉の守護者、自身の宗教とウンマイスラム共同体)のために復讐を果たす者たちよ!我らは諸君をどう見てきたか。威力の者たち、勇猛の者たち、栄光の導き手たち、守りにあっては威厳に満ち、対峙するにあっては忍耐強くある者たち。これよりほかにどう見ようか。

さあ、御主との約束たる、擁護と勝利、屈強なる決意を成就させよ! 最大限の差響と最も過酷な痛苦に己れを引きあてよ。殺され、死ぬのは一度限り、だがそのあとの名誉は永劫残るのだ。

罪深き不信仰者どもを地獄絵図の中に叩き込むまで、一握りほどの土地からも退いてはならぬ。あの者どもを家で、路地で、路上で待ち伏せにするのだ。橋に爆弾を仕掛け、奇襲ののちにさらに奇襲を。あの者どもを捕らえ、包囲し、それぞれの前哨地で対峙して構えよ。

バグダッドの、そして南北の、キルクークの、サラハディンの、ディアラの、ファルージャの、アンバルのこの国(=イスラム国)の男たちよ。さらなる突撃をもって、薄汚きラフィダ(=シーア派)とスンニから転向した不浄な背教徒たるアッラーの敵に、存分に思い知らすのだ。あの者どもに、苦痛と死の毒杯をたっぷり味合わせてやれ。諸君らこそ戦いに生きる者、敵を叩きのめす者! 御主からの正しきお導きを求め、信念を寄せ、信頼せよ。一切はアッラーの御手のうちにある。

ホラサン(=アフガニスタン地域)、イエメン、シナイ(エジプト地域)、リビア、西アフリカ、すべての地で、アッラーのご加護のもと、諸君の国家(=イスラム国)の秀でた支えとなるべく、諸君らは戦いを止めることはなかった。

いざ、アッラーの敵、罪深き不信仰者とその手先たる背教徒に抗するその戦いを拡大させよ。 諸君らが照らし出すこの戦争を通じて、しっかり知るのだ。諸君らはイラク、シャムの「イスラムの地」に対する不信仰者諸国の攻撃に抗し、結託同盟や結集した軍勢を打ち負かし、この地を防衛し抜いている。

アメリカ、ロシア、ヨーロッパの地にいる誠実なる唯一神信仰者たちよ。カリフ国の護持者たちよ!敵に抗し、たゆまぬ進撃を心に誓った者たちよ。今日、諸君らは偶像多神崇拝者どものまったき只中にいる。この重大なる局面にあって、決意込めた準備をなし、己れが果たす奮闘に誠実であれ。敵に対するこの戦いは、容易に成就される応報をともなう一大総力戦であることを心に刻め。 あの者どもを諸君のカリフ国、イスラムの地に近づけぬよう奮闘せよ。

預言者(祝福と平安あれ)のお言葉を思い起こすのだ。
「不信仰者と、その不信仰者を殺す者は、地獄の劫火の中でまみえることはない」ハディースムスリムによるアブ・フライラの伝承)

おお、アッラーよ、不信仰者に災厄を下し給え。あの者どもは、皆の者をあなたの大道から外れさせようとする者ども。あなたの使徒たち(=ムハンマドを始めとしたこれまでの預言者を指す)を受け入れず、あなたの盟伴の者たちに抗し、戦う者ども。

アッラーよ、あの者どもの治世に不和をもたらし、内部に反目と憎悪のいさかいを引き起こし、その足元を揺るぎ崩し給え。あなたの威力を、罪なす者の頭上にとめどなく雨あられのごとく打ち降らし給え。

おお、アッラーよ、あなたの宗教と兵士たちを支え、あなたのお言葉を高みに昇らせ、あなたの旗を高く掲げさせ給え。おお、真理の神よ。

アッラーをおいて、その権能と威力に並ぶものなし。
万有の御主、アッラーにすべての称讃あれ。

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アドナニ広報官のあとを継いだアブル・ハサン・アル・ムハジールとはいったい誰か。今もって謎だが、様々な憶測が飛び交っている。ムハジールとは通常、外国人戦闘員を指すので、少なくともシリア・イラク出身ではないだろう。米アトランティック誌は写真左のテキサス出身でシリア入りしたヤヒヤ・アブ・ハサン(本名ジョン・ジョルジェラス)の可能性を指摘している。一方、中東調査機関MEMRIは、IS関係者のSNSによる情報として写真右のアブ・ワヒブ(右から2番目・昨年死亡)と並ぶ3人のいずれかではないかとする未確認情報を紹介。特定を避けるために声明が音声変換処理されていたとしても、張りのある特徴的な声だけに、上記の写真からは合致しそうにはない。正体は不明だ。

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ムハジール声明が掲載されたルミーヤ。米兵の写真が挿入され、キャプションには「やつら(米兵)は負傷するか、死体となるか、精神疾患となって帰還するのみ」とある。(ルミーヤ第9号より)

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シリア・ラッカではクルド組織・人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)が米軍と連携してラッカ攻略の「ユーフラテスの憤怒」作戦を展開している。これに対しISはラッカの軍事キャンプでの訓練のようすを公開し、徹底抗戦で臨む構えを見せている。(IS機関紙アン・ナバア第79号より)

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【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【3】全4回 (2017/04/05声明)

◆自己犠牲の総力戦を呼びかけ【声明 3】(全4回)
昨年10月、イラク政府が開始したモスル奪還戦で、イスラム国(IS)は町のほとんどを失った。包囲された西部地域での攻防が続くなか、ISは年配・高齢の戦闘員まで投入し、自爆車両突撃を繰り返す。声明では、こうした殉教作戦を称讃し、自己犠牲の総力戦を呼びかけている。。以下全文。(おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

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今回のムハジール声明で機関誌ルミーヤに掲載された写真。米兵と並ぶイラク兵の写真のキャプションには「背教徒は十字架の従僕となるためその宗教を売った」とある。(IS機関誌ルミーヤ第9号)

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(3/4)

おお、リビアイスラムの兵士たち、リビアの旗手たちよ、アッラーは諸君の信仰とウンマ(共同体)にこそ、御心をお寄せになっていることを思い起こせ!

兄弟同胞たちは屈辱を受け入れることなく誓約を果たし抜いた。諸君らのゆえに、イスラムを踏みにじらせることがあってはならぬ。まこと、もし真実のもとに忍耐と不屈の心を諸君らが抱いているなら、そしてもし諸君らが確固としてあり続けるならば、アッラーの御意のもと、純然たる血肉によって満たされた若木に実る善き果実を目にすることとなろう。

これはミフナ(原註※2)の日々にあったアハマド・イブン・ハンバルアッラーの慈悲のあらんことを)についての挿話。
「アブ・アブドラ、嘘が真実をいかに覆い隠してきたか見えませぬか? すると彼はこう言った。 「いや決して!真実を覆い隠す虚偽の蔓延は、心が逸脱へと導かれるときのもの。我らの心はいまもって真実とともにある!」
原註※2:ミフナ=試練・辛苦を意味する言葉だが、イスラム学者が逸脱学派ムゥタズィラ信仰を受け入れることを強いられたり、過酷な処罰に直面したカリフ・マアムーン時代の異端審問を指す)
訳注:カリフ・マアムーンは9世紀初頭に在位したアッバース朝第7代カリフ)

諸君の兄弟同胞たちは、あとに続く者たちの手本となって重ねて実践されるべく、不屈と堅忍をもって耐え抜いてきた。 アッラーのご助力を請い、背教者どもに一時たりも安堵や安眠の余地を与えず、その代わりにあやつらを戦争に叩き込み、日々を奪い去ってやるのだと心せよ。最後は御主への義務を果たす者に帰するのだ。

イラクとシャムのスンナの民よ、おお、スンナの民よ!不信仰者の民と十字軍の国々は、その準備を整えた。アメリカはイラク・シャムの地のカリフ国(=イスラム国)に対する戦争を、そしてその覇権を及ぼしてきたあらゆる地での戦争を主導している。 ムスリムの心に燃ゆるジハードの火を消し去れるとあの者どもは思っている。ムスリムの心に立ち上った尊厳の炎を消せると思っている。イスラムの民のためのカリフ制が再興したのち、民衆は結集し、隊伍は統一され、ひとりの教導者、ひとつの旗、ひとつの目標の下に彼らの言葉が結ばれた。

今日、ここに彼らは確固として在る。イスラム国の影響が及ぶ地域を奪い取らんとあらゆる手立てが尽くされたにもかかわらず、ラフィダ(=シーア派)、ヌサイリ(=アサド政権・シリア政府軍)、無神論者(=クルド組織・人民防衛隊YPG)に抗する諸君の幾百の砦と堅固なよろいはまだ尽きてはいない。

十字軍どもがモスルとタラファルに対して結集し、これに対し、カリフ国の最も高貴なる息子たちが、いずれの地も防衛し、守り抜いてきたかを諸君は目にし、聞いたことだろう。 息子たち、すなわちムハジリーン(移住者=外国人戦闘員)とアンサール(擁護者=地元戦闘員)による大いなる献身犠牲を知らぬ者はないはずだ。諸君は彼らの見て勇敢さを目にしてきた。

彼らは、アッラーの恩寵のもと、アッラーの大道に己れの命をいとも安く差し出し、アッラーのご満悦のために死んでいった。これは世界各地の集簇から選ばれたイスラムの息子たちの規範となり、目標となった。 

ムハジール(=外国人戦闘員)の兄弟同胞と競うかのようなアンサール(=地元戦闘員)を目にしたことだろう。アッラーが導く成功と寛大さのもと、殉教突撃作戦には若者だけでなく年配の者も加わった。彼らは皆、互いに競いあうかのごとくでさえあった。
*****************************************
その栄誉を目に刻んで死にゆく若き者たち
あるいは、歴戦の年長の者たち
*****************************************
さあ、アメリカよ、惨めな最期を遂げるがいい! 若きも老いも、競うようにアッラーの大道に己れの命をいとも安く差し出すウンマイスラム共同体)は、決して敗北せぬ。来世と、(アッラーのための)善果にこそ関心を見出す世代は、決して屈服することなどない。 さあ、立て、スンナの民よ。兄弟同胞を支え、隊伍に加るのだ。アッラーにまみえる満悦を得るため、各自が態度を示すのだ。さすれば、アッラーも諸君らにご満悦なさるだろう。

まこと、十字軍と不信仰者の国民どもは、今日いまも悪あがきと手捷い策謀をめぐらし、進撃している。それは諸君らの地、― おお、イラクとシャムのスンナの民よ-を空無化させ、ラフィダ(=シーア派)、ヌサイリ(=アサド政権)、クルド無神論者(=PKK・YPG)どもの支配下に置くことを企図しているのだ。

あの者どもはつねに知っている。自分たちに敵対する最もやっかいな存在は諸君ということを。また同様に、湾岸諸国とその周辺地域の棄教政府と同等のミニ・ユダヤ国家とその手先どもにとって(諸君らが)最も危険な存在であるということも知っている。同様にまた、侵奪したムスリムの地から得られる権益と利潤を、あの者どもは案じている。

あの者どもはウンマに対し、幾世紀にもわたって悪辣な鉄爪を掻き立ててきたのだ。かくて、いまこそ、その鉄爪を撥ね返し、引き剥がさねばならぬ。これはアッラーの御意のもと、信仰心と不屈の心、信頼や忍耐、そしてカリフ国の息子たる決意をもってなされねばならぬ。 これこそ天与の約束。それを受け入れようと拒もうと、企図しようと計略めぐらそうとも、アッラーがお命じになる布告以外の何物でもないのである。そう、アッラーがシャムとその地の民に確約されたごとく。

我ら、御主(アッラー)にしっかりと心を寄せれば、アッラーは我らをお見捨てにはならぬ。 アッラーの使徒(=ムハンマド)は仰せになった。
「汝らは軍勢となる。シャムの軍勢に、イラクの軍勢に、イエメンの軍勢に」。 イブン・ハワラはこう述べた。 「おお、アッラーの使徒よ。(どこへ行くべきか)私にお選びくださいませ」 彼(=ムハンマド)は仰せになった。 「汝が向かうはシャムの地。そうでない者はイエメンでその地の川の水を飲め。まことアッラーはシャムの地とその民を我に保証し給うた」
ハディース:イブン・ヒバンの伝承)

アッラーの御意のもと、シャム、イラク、イエメンであろうと、カリフ国の権威のおよぶムスリムのいかなる拠点であろうと、ムスリムの軍勢は己れの地を決して捨てぬのだ。 そして不信仰者の政治家たちやその十字軍の主人どもが、神がなされた約束を打ち負かし、結果はすでに見えているなどと考えるのなら、そして戦場、地域、都市、町でイスラムの息子たちを殺すことで成功すると考えるなら、それは誤りである。

自身の約束を果たし、誠実であった者たちこそ、そのふさわしき場での死を願い求めながら尽力奮闘したと我らが彼らを受けとめ-そしてアッラーが彼らの審判者-それゆえに彼らは出撃したのだ。

おお、十字架の信仰者ども、もはや手遅れ。まことアッラーはご自身の下僕しもべたちになされたお約束をお果たしになる。

アッラーがお約束なさったぞ、お前たちのうち、信仰に入って正しい行ないに励む者は必ず地上の継承者としてやろうぞ、継承者を立てて来た例にならって、と。そしてまたそういう者どものために、特にその嘉し給うた彼らの宗教をゆるぎない基礎の上に据え、今まで散々怖い目に遇ってきたかわり、今度こそ安心を授けてやろうぞ、と。「あの者どもはわしを崇めておる。わしのほかは何者をも拝んではおらぬ」。それでもなお信仰に背くうような者があれば、それこそまことに罪深い人びと】(光章:55節)

シャムのスンナの民よ。アル・バブの町やその近郊地域で、不信仰者の結託同盟がなした悪行の数々を見ただろう。同様に背教徒に成り下がった「兄弟同胞」のトルコ軍や、不義と低俗と裏切りの輩徒たるサハワ(=スンニ派反体制勢力)の捨て犬どもが、スンナの民に対して遂行した虐殺を目にしてきたことだろう。 町はロシア、アメリカ、そしてその手先となった背教徒どもの爆撃で甚大な被害に苦しむこととなった。町にはムスリムたち、そのなかには女性、子供、老人がいたにもかかわらず、あの者どもは慈悲の心さえ見せなかった。

一方、クルドの無神論者ども(=人民防衛隊YPG)と、同様にヌサイリども(=アサド政権)は、町の周辺の村々に対し、スンナの民に対する猛攻撃を加えながら、激烈なる総攻勢を仕掛けた。邪悪と不徳の「イスラム学者」ども(アッラーよ、彼らを呪い不名誉を与え給え)は、(一連の攻撃について)いかなる非難や批判や怒りも表明しなかったし、なによりあの者たちはそうしたことをするような人間ではなかったのだ。

ジハード戦士を侮辱し、最大限の罵詈雑言をもって非難するときばかりは、あの者どもは一致結託する。アッラーにかけて言おう。あの者たちは、十字軍によって研ぎ出された槍先の刃に他ならない。その槍先は誰に向けられているか。ウンマを以前の状態とかつての栄光のうちに取り戻し、全世界的な不信仰者の徒党各派に抗して戦い、痛苦を思い知らせる者に向けられているのだ。あの者どもこそ、ウンマに寄りかかりながら、他方でムスリムに対する戦争を仕掛けている輩徒である。

ゆえに、シャムのスンナの民よ、諸君らに望まれていることは何なのかを理解せよ。まことにしてイスラム国は、誠実さにあるいは悔悟のうちに(この国に)やって来るいかなる者の前でも1日たりとも扉を閉ざしてはいない。諸君らが願うのは、善きこと、名誉となることただそれのみ。

すでに諸君らは、アレッポの町を棄て去った棄教集団サハワどもから苦しめられた。カリフ国と戦うために、ドル紙幣の背後で駆けずり回り、アレッポで戦うことなしにヌサイリども(=アサド政権軍)の前に降伏した者たちである。

今日、あやつらがやっていることは、アル・バブから追われたり殺されたりした住民の家からの略奪。破壊しつくされた町の家々の瓦礫の下にははまだ住民の死体が残されたままというのにである。最も卑しく、下劣、堕落、背信の極みをを尽くし恥辱をさらす者どもであり、これほどの罪は不信仰者に並ぶものだ。

明日、これら停戦をもたらし、それを維持するような者どもが、ヌサイリ体制(=アサド政権)に休息の機会を与え、カリフ国(=イスラム国)に対する戦闘の各前線を統合してヌサイリのパートナーとなり、テロに対抗するなどと行動をともにすることになっても驚くことではないだろう。「戦線」「委員会」「運動」を名乗り、その日ごとで異なった様相や姿勢を見せ、カメレオンの色のごとくに外見を変える者どもなのである。

これらのすべての者どもは十字架の盾であり、ヌサイリの守護者であり、諸君らが直面する苦難や窮状の根源なのだ。 おお、シャムの地のスンナの民よ、諸君らにあるのは、アッラーをおいて、カリフ国のみ。すなわち諸君が名誉をいただく地を守り、窮状からの救済のすべとなり、名誉と尊厳を防衛する拠り所(よりどころ)。

ゆえに、諸君の高潔さを示す場へと来たれ、栄光を示す場へと来たれ、諸君に命を与え、アッラーの罰から救うどころへと来たれ、ジハードに、前線防衛に来たれ。諸君が道に迷い、不名誉と屈辱をまとったゆえに、これまで顧みこるとのなかった信仰のへと来たれ。

わが御主にかけて、諸君らは戯れに創造されたのではない。まこと諸君には御主とまみえる約束があり、アッラーに審問を受けることになっている。さあ、その審問の準備をなすのだ。

◆声明【4】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

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声明では、年配・高齢の戦闘員による自爆突撃を称えている。激戦で戦闘員が消耗するなか、年配の地元戦闘員が自爆車両で突撃する例が増えている。写真は4月に公開されたモスルでの攻防戦で、年配の戦闘員がイラク軍車両に自爆攻撃する映像。ドローンを使って車両を目標に誘導し、同時に撮影録画して、宣伝映像で公開している。写真左の黄色い箱の部分が起爆装置。(2017年・IS映像)

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モスル攻防戦では、若い戦闘員も多数戦死している。写真はISが公開したモスルでの自爆突撃で死亡したイラク人戦闘員。まだ少年の面影が残る顔だ。「モスル西部の殉教作戦で殉教した兄弟同胞アブ・タルハ・イラキ(アッラーよ、彼を受け入れ給え)」とある。(2017年・IS写真)

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ISの戦いが総力戦になるなか、支配地域では新たな看板が登場している。戦闘員の招集を呼びかけていて、兵員登録事務所の電話番号「133」が記されている。写真の老人は中国からIS入りしたウイグル人ウイグル人戦闘員の過去記事>>(アン・ナバア第79号より)

◆声明【4】につづく >>

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【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【2】全4回 (2017/04/05声明)

◆「不撓不屈で戦え」と鼓舞【声明 2】(全4回)
今回(4月5日付)のイスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジールの音声声明は約36分。IS幹部の音声声明は25分前後が多いなか、非常に長いスピーチになっている。昨年、空爆で死亡したアドナニ広報官の声明と同様、詩を盛り込むなどして格調をもたせようとしているが、どこまで戦闘員を鼓舞できるのは不明だ。「忍耐・不屈の心で戦え」が繰り返され、シリア・イラクで支配地域を失いつつあるISの現状を物語るものとなっている。以下全文。(挿入されている詩はうまく訳せません。すみません。おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

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今回のムハジール声明は、ISの月刊誌ルミーヤにも転載された。英語のほかに、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ウイグル語など多言語で刊行され、ネットで流通している。欧米などでの襲撃を呼びかける記事が目立つ。(画像は今年5月発行のルミーヤ第9号)

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(2/4)

おお、カリフ国の兵士たちよ、イスラムの獅子たちよ。アッラーの慈悲と天国はただ願えば成就されるものではなく、またアッラーがお約束になったことを信じ、誠実で、忍耐強くあり、不撓不屈をもって臨む者でなければ、アッラーはお赦しと多大なる慈悲をお授けにはならぬのだと知れ。 御主の御言葉を知らぬことはなかろう。

【まこと、アッラーは(天上の)楽園と引換えで、信徒たちから彼ら自身とその財産とをそっくり買い取り給うた。アッラーの道に奮戦し、殺し、殺されておる彼らじゃ。これは律法トーラー、福音、およびコーランにも(明記されておる通り)アッラーも必ず守らねばならぬ御約束。だいいちアッラーより約束に忠実なお方がどこにあろう。されば汝ら、そういうお方を相手方として結んだこの取引きを有難いと思わねばならぬ。まったくこの上もない身の幸いではないか】(悔悟章:111節)

アッラーが)買い給うた創造物の間の本質とは、アル・クルトゥビ(アッラーの慈悲あれ)がお述べになったごとく。
「彼らにとってより有益であるか、あるいは少なくとも利益において同等のものが彼らのもとに残される対価として与えられる」
訳注:アル・クルトゥビ=アブ・アブドラ・アル・クルトゥビ=13世紀、コルドバ(現スペイン)出身のイスラム学者で、コーラン解釈書などを手掛けた)

ゆえに崇高なるアッラーがご自身の下僕しもべたちから、その遵奉の証しとして彼らの命と富の破壊を、そしてアッラーのご満悦を求めて殺されることを望む彼らの存在を買い給うた。彼らがもしこれらをなすならば、アッラーは天国をそのお引き換えの対価としてお与えになった。 これぞ比類なき、何物にも代えがたい価値に満ちた大いなる報償。ゆえにアッラーは彼らが取引きと買い給うた物について知ること - すなわち下僕しもべはその命と富を帰服させ、それに代えてアッラーは報奨と寵愛をお与えになる、と、ご明示なさった。これが、買い給う、と呼ばれるものである。

おお、カリフ国の兵士たちよ、諸天と地上を司る御主にかけて、この取引きの契りは、有益に満ちたものである!アッラーの御意のもと、我らは決して止まらぬし、退きもせぬ。ゆえに、敵に立ち向かうときは、(アッラーに)誠実であれ。アッラーにまみえることを愛す者は誰あろうと、アッラーもその者にまみえることを好まれる。これは有益この上なき取引き。つまり、アッラーに信を置く下僕しもべが、アッラーの御言葉を至高に掲げ、シャリーア(=イスラム法)を成就させるために、己れの命をいとも安く、アッラーの大道のために差し出すべくアッラーがとくにお取り計らいになったもの。

アッラーの大道を進むジハード戦士が目指す到達点とは、御主のご満悦、お赦し、ご寛容、成功のご受領、御主の祝福を授かること、ただそれのみである。 これはアッラーがお命じになることを成し遂げ、御方に禁じられたことを避け、アッラーの宗教があらゆるいっさいとなるまで、そしてこの地上すべてがアッラーシャリーア(=イスラム法)によって統治されるまで、いかなる場にあってもアッラーの敵どもと戦うことをもってしてなされるのだ。ジハード戦士が生きるならそれは名誉にのうちに生き、もしジハード戦士が死するなら威厳に満ちて死することだろう。

これが幾代のなかで至高を極めたる世代であり、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)のご教友たち、そしてこのウンマ(共同体)のサラフたち(=初期イスラムの信奉者)のありようであった。 そしてこれぞ諸君の預言者(祝福と平安あれ)からのもたらされた吉報のうちにあるもの。

彼はこうお述べになった。
アッラーはご自身の大道のために出撃する者には誰あろうと保証なさった。『私への信仰を抱き、わが預言者たちを護持して、わが大道のジハードを成すためにこそ、その者は出撃する。ゆえにその者に授けられし対価とは、その者が得る報奨か戦利品を授けられること、すなわち天国へと迎え入れるか、あるいはその者が元の住み処へと帰還すること』 
ムハンマドの魂がその手中にある御方(=アッラー)にかけて、アッラーの大道では負傷は止むことなく続き、審判の日が来たるとき、その負傷は止むこととなろう。その色は血の色、だが香りは麝香ジャコウのごとし。 この私、ムハンマドの魂がその手中にある御方にかけて、これがムスリムに苦難が強いられたのでなければ、アッラーの大道のために出撃する分隊の背後にはとどまることはないだろう。
だが、私には(自分で引き連れて)運べるだけの装備蓄えを探すことはできぬし、彼らも同様に十分な装備蓄えはない。私と離れることは彼らにとって過酷なことであろう。この私、ムハンマドの魂がその手中にある御方にかけて、私が好んでやまなかったのは、アッラーの大道で戦い、殺され、なおも戦い、殺され、さらに戦い、殺されることである」ハディースムスリム:アブ・フライラの伝承)

おお、民よ、これぞ不屈の心で耐える逸話ではなかったか? 諸君らの耳に報せは入らなかったか? どの報せなのか? まことわが御主にかけて、どの報せであろうか? 試煉が過酷を極め、不信仰の民と人類最悪の者どもが趨勢を握っているとき、ぬかるみに落ち、信仰の民の真理から道を踏みはずした者に言ってやれ。あの者どもの耳が聞こえなくなるまで、そして恐怖、テロと狂乱の戦慄で満たされる時まで。信仰の民とは有徳が何たるかを命じ、悪徳を封じる者、十字軍ヨーロッパに対し警鐘と訓戒をもってその門を叩き警告を下した者たち。

あの者どもは、これらが死の伝令たることを知っていた。アッラーの恩寵のもと、信仰心からなるキャンプが打ち立てられ、それは挫けず聳えている。不信仰者どものキャンプが逸脱に向かい、堕ちて失敗したのとは違うのだ。

どこに行こうとも、(リビアの)シルトの地の人びとについて語られる。ムハジリーン(=移住した外国人戦闘員)について、アンサール(=地元の出身者や戦闘員)について、その最良、かつ純真なる者たちについて語られる。彼らはリビアの大地に一神教の御旗を高々となびかせ打ち立てた者たちであり、アッラーとその使徒に遵従を奉じ、分裂や不和を断ち、隊伍を結集し、自身の言葉のもとに馳せ参じることを選んだ者たちなのだ。

かくして、彼らはムスリムのカリフ国とイマム(=教導師)に忠誠を表明し、アッラーはこの者たちに様々な場を開き、供した。アッラーシャリーア(=イスラム法)の統治のもと、その御教みおしえを成就させ、ハッド刑を施行し、有徳を命じ、悪徳を封じたのであった。
訳注:ハッド刑コーランなどに規定された、身体罰を含む刑)

これに対し、傲慢不遜なるあの者どもは怒りに打ち震えた。十字軍諸国は総結集をなし、準備を整えた。イスラムとその民との戦争をもって、あの者どもに支援を与え、同盟や配下としてとりたててやろうと希望を抱かせることを通じてである。その作戦と動員結集のほとんどを請け負ったのが、悪魔の同胞たる今世の異端の輩徒どもだった。

ゆえにカリフ国(=イスラム国)に抗する戦争のために、十字軍諸国は、総力、力量、ファトワ(宗教令)までも手駒として傭い込んだ。この者どもが棄教行為を認め、十字軍の手先となったのである。まるで尊き聖なる血を売り渡したがごとくに。 アッラーのご加護のもと、カリフ国の兵士たち、そして秀でて(敵を)征服してきた者の末裔たちは、この地域が直面した最も熾烈なる猛攻のなか、確固として立ち向かった。その不屈さは聳える山々のごとくであった。彼らがその宗教ゆえに威厳に満ち、信仰心によって高みに立ち、己れ自身を、家族や富を、そして子供たちを犠牲に捧げたゆえであった。

すべての確信と不屈の念をもってこの御言葉を唱えながら。
【言ってやるがよい、「お前たち、我々が(どうかなればいいと期待しているが、)結局それも2つに1つ、どちらにしても我々には最良の運になるだけのこと(=勝利を獲るか、さもなくければ殉教者として死ぬことになるから)。だが、我々の方でも期待しているぞ。アッラーが、御自ら、或いは我々の手を通じてお前たちを懲らしめてくださることを。ま、待ってみるがいい。我々も一緒に待ってみよう】 (悔悟章:52節)

いっさいを叩きのめし跡形も残さぬほどの戦争において、およそ半年あるいはそれ以上にわたって死闘が戦われるなか、彼らは十字軍の従僕どもを失望の淵へと叩き込んだ。
訳注:ここではイラク・モスルで昨年10月にイラク軍が開始したモスル奪還作戦での攻防を指している)

イスラムの男たち、そしてカリフ国の兵士たちは、没命果たし、自身の誓いを成し遂げたのち、御主のもとへと旅立った。これぞ我らが彼らに見たもの。アッラーこそがその審判者。

【それもただ、彼らが偉い有難いアッラーを信じているというだけで、その腹いせにやったこと。天と地の一切を統べ給う御神なのに。だが、アッラーはどんなことでもすっかり見ていらっしゃる】(星の座章:8-9節)

ジハード戦士のウンマ(共同体)の不屈さは、大いなる差響となった。彼ら戦士たちは、アッラーの大道で、殺され、また死ぬことをこそ望んだのだった。忍耐と堅忍のもと、アッラーの御法に統治されるあらゆる地から退くことなく、そして、万有の御主たるアッラーを信じぬ者どもに屈服することなく。この者たちこそ忍耐、堅忍、不断の警戒、自己犠牲の信仰心を体現して見せた者たちであった。 彼らは己れの血と魂をいとも安く(アッラーに)差し出し、売ったゆえに、イスラムの民が(アッラーに)誠実なる息子たちを認めるべく、その身をもって成就させた者たち。アッラーの御意のもと、ウンマが尊厳と主権、勝利と統合の地々を結ぶ橋梁となることだけを願い、その他の一切を拒んだ者たち。
*****************************************
ここにあるは2つの道: 我らが手にする勝利か、
あるいは、最も清き住み処たる永遠の御園
我らは結集した幾千の戦士たちや
英雄となった千の戦士たちとともに戦ったのでなく
我らがともに戦いしは、この御教みおしえ(=宗教)
これぞ皆が参じたその最初の日々に
導き手から勝利を約束されしもの
彼ら、戦いへの固き決意をよろいとしてまとった者たち
あらゆる術策弄したなかで満たされた真実の力から
戦慄与え、山々を薙ぎ崩す先へと進み征く彼ら
彼らの結束、ゆるぎなく、怯えや劣勢よせつけず
真理を好む者誰あろうと、流れる血は付きもの
最も高み大志抱く者誰あろうと、必ずやそこに至れり *****************************************
おお、カリフ国の兵士たちよ、心せよ、心せよ、諸君の敵に寛容になってはならぬ。我らは、かように諸君を指導してはこなかったはずだ。 これぞまぎれなく不信仰者の国々が思い知ったこと。その頭目こそアメリカ。イスラムムスリムに対する戦争を仕掛け、自らその淵に堕ちながら、-アッラーの恩寵のもと-いかなる勝利も獲得することもできなかった。

一方、今日、我らはアッラーの恩寵のもと、新たな時代に至った。カリフ国の国家機構が立ち現われ、その興隆の時を迎えたのだ。 ゆえに不信仰者どもがあちこちで怒りを燃えたぎらせ、わめき散らそうとも、アッラーの権能と威力によって、映し出されるのはあやつらがさらす恥のみ。アッラーこそ、我らをお満たしになる、最も信ずべき御方。

まこと、アッラーこそ、あの者どもに立ち向かう我らの擁護者。そう、まこと、アッラーこそ、あの者どもに立ち向かう我らの擁護者なのだ。来たる大いなる決戦の端緒にあって勝利を授かる者は、忍耐と誠実の者。性急慌ただしき者にあらず。教訓は最後になってのみようやく知ることができる。 

◆声明【3】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

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声明では「シャリーアイスラム法)を成就させる」と出てくる。ISはコーランを独自解釈し、シャリーアを布告して統治。強盗は死刑、窃盗は手の切断刑など公開の刑執行を行なった。ISにとって「宗教を打ち立てる・成就させる」というのはアッラーが授けたシャリーアに則った統治を完成させ、同時に敵にジハードをもって戦うということである。写真はモスルでの手切断の刑。(2017年・IS映像)

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同性愛者とされた者は、建物からの突き落としによる死刑が執行された。落下したあと、戦闘員らがこぶし大の石を投げつける。茶色いベストにはイスラム国・ニナワ県・ヒスバとあある。ヒスバは宗教警察を指す。(2015年・IS写真)同性愛処刑については過去記事参照>>

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声明にはリビア・シルトが出てくる。写真はシルトでのISの車列。カダフィ政権崩壊後の混乱のなか、ISはリビアでも勢力拡大を図った。一時はリビアに3つの「県」を持つまでになったが、米軍の空爆リビア統一政府軍の攻勢で多くの拠点を失った。昨年、シルトの中心部からISは排除された。(2015年・IS写真)

◆声明【3】につづく >>

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
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【IS声明・日本語訳】イスラム国(IS)広報官アブル・ハサン・ムハジール「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(全文)【1】全4回 (2017/04/05声明)

◆劣勢のIS、「忍耐と不屈」を呼びかけ【声明 1】(全4回)
イスラム国(IS)アブル・ハサン・アル・ムハジール広報官は、4月5日、音声声明を公表した。非常に長文であるが、ISの思考や過激主義を読み解く資料として全文を4回に分けて掲載する。公式声明として初めてアメリカのトランプ大統領に言及した、とメディアで報じられたものの、声明内ではトランプを名指しておらず「下劣な愚か者」とある。(そこだけ読みたい方は4回目参照)声明内での「シャム」は大シリア(シリア、レバノン、ヨルダンを含む地中海沿岸レヴァント地域)であるが、ここでは実質的にシリアを指している。以下全文。(IS側の原註釈と、こちら(坂本)でつけた訳註があるので注意してください。おもに英語版をもとに訳出・一部意訳・コーランの引用は岩波版から)【1】【2】【3】【4】

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IS機関紙アン・ナバア(第75号)に掲載されたムハジール声明。
今回の声明の要旨:
(1) 困難な状況でも忍耐と不屈の心で戦い抜け。殉教すれば天国の報奨が与えられる
(2) 十字軍諸国や不信仰者に加担するイスラム学者、指導者、武装諸派は裏切り者
(3) いまは一時的退潮局面だが、いつかはバグダッドエルサレムアラビア半島テヘランイスタンブール、ローマも征服する
(4) アメリカよ覚悟せよ、かつてイラクで失敗したように再び敗北する
(5) サウジのムスリムよ、奮い立て
(6) アメリカ、ロシア、ヨーロッパの同胞よ、立ち上がれ

イスラムアブル・ハサン・アル・ムハジール 広報官声明
「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」(1/4)

まこと、アッラーにすべての称讃あれ。我らはアッラーを讃え、お力添えとお赦しを請い、自身の悪と行ないの因果からの庇護をアッラーに求めるものなり。アッラーがお導きになる者は迷うことなく、アッラーが迷わせる者は導かれることはなし。アッラーのほかに神はなし、並びなき御方、と我は証言するものなり。ムハンマド(祝福と平安あれ)がアッラー下僕しもべであり、使徒たることを我は証言するものなり。以下、かくのごとく。

崇高なるアッラーは、かく仰せになった。
【信徒の者よ、汝ら敵軍に出遭ったら、しっかりと腰を据えて、アッラーの御名を何遍も唱えよ。さすれば、必ず幸福を得よう。そしてアッラーと使徒(ムハンマド)の言いつけをよく守れ。決して喧嘩口論などして志をぐらつかせ、ついには順風に見放されるようなことがあってはならぬぞ。どこまでも頑張りとおせ。まこと、アッラーは辛抱づよい者の側につき給う】(戦利品章:45-46節)

また崇高なるアッラーはこもう仰せになった。
【耐えよ。まことアッラーの約束は真実である。あのような無信仰のやからにたばかられて、汝までぐらつくようなことがあってはならぬ】ギリシア人章:60節)

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4月5日付で出されたアブル・ハサン・ムハジール声明。タイトルの「耐えよ。まことアッラーの約束は真実」は、コーランギリシア人章(=ビザンチン章)60節から。

 

 

たとえ苦難と困難にあろうとも、たとえ幾多の勢力が悪徳のもとに集結しようとも、たとえあまたのロケット砲撃や空爆の爆撃音が鳴り響こうと、これは忍耐、不屈、そしてアッラーのお約束の確かさであるのだ。

御主に信を置き、確固と抱く者たちは、堅固で揺ぎなく、(アッラーからの)報奨を待ち望み、前へと行軍を続け、決して己れの背を(敵に)見せぬ者たち。彼らは、無力や困惑、あるは日和見や失心のなかに怖れおののいて挫けるようなことのなかった者たち。いやむしろ、彼らは逸脱の道を排して、闇夜になかに真実の光を夾叉きょうささせ、己れの血をもって導きの篝火かがりびを灯す者たち。

彼らは御主の啓典(=コーラン)によって自らを滋養し、預言者(祝福と平安あれ)のスンナ(=慣行)に則って歩み、営為をなしてきた。 彼らは、
勝利がまさしくアッラーからもたらされるのであり、人員や装備の数で勝利が決まるのではないということを知っていた。まことアッラーは強大なる御方、そのお力に勝る者はなし。

まことアッラーは、強勢や人員を引き高めんとした者をお捨てになる威力至高なる御方。万事をお命じになるごとくに、あらゆる方途のもとに、その御意志によってすべてを正しく相応なる場所に配置されるがごとくに。アッラーこそ至賢なる御方であらせられる。

まことアッラーは、勝利を司るにおいては、全能至賢なる御方、勝利が授けられるべき者に、勝利をお授けになる。御方がご自身の下僕しもべを見棄てるときは、誰あろうとお見棄てになる。弱々しさや不備あろうとも、御方が司るものから逃れることなどできぬ。
アッラーはその御言葉を確固と仰せになっている。
アッラーが助けてくださるなら、もう誰ひとり汝らを負かす者はいない。だがもし(アッラー)が見棄て給うたなら、一体だれが神なきあとの汝らを助けてくれるものか。されば、信者はみんなアッラーにおすがり申すことが第一】(イムラーン家章:160節)

そう、まことアッラーのお約束は真実。御方が信仰の下僕しもべたちにお命じになるごとく。ゆえに御方のスンナ(=慣行)と創造物におけるその賢知たるは、絶えず永続せしもの。御方がお望みになればいつあろうと苦難をお下しになり、いつあろうとお取り除きになる。諸天や地上においていかなるものも御方の権能を奪うことなどできぬ。 アッラーが物事をお命じになるとき、「かくあれ」と御方がひとたび発すれば、かくあるのだ。御方はこう仰せになり、そのお言葉は真実である。
【一体汝ら、過ぎた昔の人々が経験したような(苦しい試み)に遇わずに(楽々と)天国に入れるとでも思っておるのか。(昔の人たちは)みんな不幸や災禍に見舞われ、地揺れに襲われ、しまいには使徒も信者たちも一緒になって「ああ、いつアッラーのお助けがいただけるのか」と歎いたほどではなかったか。いや、なに、アッラーのお助けは実はすぐそこまで来ておるのだが】(牝牛章:214節)

そしてまことアッラーのスンナ(=慣行)が求めしものは、御方の命令に実直たることなしにして、あるいは御方に立ち返る真摯さなくして勝利は成し遂げられぬということであり、ゆえにアッラー御教みおしえを最もよく護持する者、そしてアッラーの敵に対しジハードを大いなる力をもって立ち向かう者、さらにアッラーとその使徒(祝福と平安あれ)に至誠をもって忠実に尽くす者であり、その者こそが最大の擁護者であり、従順なる者であり、気高き者なのである。

おお、イスラムウンマ(共同体)よ、時は流れ、今日、歴史は繰り返している。いまここに到りしは、ダール・アル・イスラムが置かれた状況のごときありよう。幾世代のなかで、幾多の大きな出来事が去来した。それらはウンマ全体に消すことのできぬ禍根を残し、癒えがたき深い傷を負わせてきた。
訳注:ダール・アル・イスラム=一般に「イスラムの地」「イスラムの居地」「イスラム世界」を指すが、ここではかつてのイスラム世界を防衛する幾多の戦いを経た時代を重ね合わせている。声明では「イスラムの地」と「イスラム国」を同義的に並べようとしている用法が見受けられる)

これは先人から学んだ教訓なのであり、ムスリム参集地を実際的な破壊へと導く危うき坂道と、奈落の深みに至ること-それはイスラム教そのものの根絶やしにされることに他ならぬ - から引き留めるための方途である。 かくして、ここに襲来したのは十字軍アメリカとそれに結託する同盟国。イスラムの地とカリフの地を攻撃せんと再来したのだ。歴史において、不信仰者の国々が、あらゆる宗教や教義の違いを越えて総結集したことなどなかったことである。

スンナの民(=スンニ派)を僭称する者どもと共謀し、背教徒の支配者や邪悪なイスラム学者や礼拝を司る者 - そこにはジハードを宣布し、真理の道に従う方途を説く者- さえも含まれ、これらの者どもすべては、カリフ国のイスラムの息子たちに敵対して不信仰者の国々の一群となった輩徒なのである。

だが、かつての時代状況や侵奪と、今日、いま我らが経験していることは異なっている。当時のムスリム国家は自ら最悪の状況に至っており、本来、宗教があるべき姿と御主からかけ離れ、タイファ(原註※1)の諸王が分断していた。ゆえにアッラーは、敵方を導き入れ、諸王国の内裏も、そこにいる子孫も打ち壊し、一掃させたのである。
原註※1タイファまたはタワーイフヒジュラから5世紀後にアンダルース(=イベリア半島)においてカリフ制国家の崩壊ののちに登場した分裂諸国)

しかし今日、イスラムの地に対するその攻撃の熾烈さや、東西くまなき地から仕掛けられる戦いにあっても、カリフの地にあるムスリムの状況はかつての時代とは違うのだ。イスラム国はイスラムの地のために立ち、防衛する存在であり、不信仰者の国々に繋がれた隷従と服従の桎梏から解放するために、イスラム青年たちの熱情を打ち鍛えながら、信仰を確固と抱く者を奮い立たたせた。
彼らこそ、自身のウンマを防衛するため、熾烈で命を懸けた戦争に勇んで挑み参じた者たちであり、あらん限りの力とあらゆる手段を尽くし、戦いの現場で奮闘を惜しまず、敢然と対峙し、反転攻勢に打って出た者たちであった。

カリフ国は、アッラーの恩寵と報奨のもと、ムスリムたちをしっかりとその宗教につなぎとめている。他方、圧政側のイスラム学者や、その悪辣なる宣伝機関は民衆の前に立ちはだかり、邪道へと迷い込み、十字架の民とその従僕となった背教に堕ちた支配者どもに導かれながら、イスラムの民を低みに落とし込めて屈辱にまみれることを求めている。

だが、アッラーが勝利をお認めなり、カリフ国は、病いが何であるかを知り、その治療の方途は何かを認識した。非難する者からの雑言を恐れぬ、アッラーの御意によるアッラーの御為の大道においても、この病いはイサ・ブン・マルヤム(平安あれ)にその旗が渡されるまで続く。(=イサ・ブン・マルヤムは、イエス・キリストを指す)
訳注:ここはコーラン・食卓章の「ユダヤ人やキリスト教徒を仲間にしてはならない」「心に病いを持つ者はユダヤ人やキリスト教徒のもとに走るが、いずれ敗者となる」という節を意識させる箇所になっている。十字軍に協力する支配者やイスラム学者は敗北することを示唆しようとしている。なお、イサ(イエス)に「平安あれ」とついているのは、イスラムではイエスも預言者の一人としてみなしているため)

おお、イスラムウンマ(共同体)よ。まこと我らこそアッラーからイスラムの名誉を授けられた者たち。ゆえに、その他のいかなる名誉も望んではならぬ。ウンマの原初に形作られた姿をおいて、それ以降のいっさいの形にも、我らはウンマの姿を変えることはない。

一神教を自覚した者のみが、そしてワラーゥ・バラァ(=信仰への忠誠と、信仰に敵対する者への姿勢)に生きた者こそが、己れの宗教を通して名誉を授かることができた。順境にあっても、逆境にあっても、苦難にあっても、盛隆にあっても、あまたの敵が立ちはだかり辛苦が増そうとも、これこそがその者の人生のすべての事象のありようとその方途を決定づけてきたのである。その者はアスタナに顔を向けてなどいないし、圧政者どもとかかずらうことなどしないのだ。決してないのだ!
訳注:アスタナ=シリア情勢と停戦をめぐってカザフスタン・アスタナで、シリア反体制組織諸派の一部とシリア、ロシア、イラン、トルコ、国連などが続けている会合)

いやむしろ、この者こそは不信仰者の国民どもに対し、次のように言って、宗教の結びつきのもとに留まり、預言者たちの父の例えを護持している。
【わしらはもうあなたがたと縁切りです。それからアッラーをよそにしてあなたがたが崇めていらっしゃる(邪神ども)とも。わしらはもうあなたがたなぞ信じられません、わしらとあなたがたの間にはもはや敵意と憎悪あるのみ、あなたがたがアッラーだけを信仰するようになるその日まで」と】(調べられる女章:4節)

これぞ導かれし信仰者(=ムスリム)のあるべき姿であり、それ以外のものはすべて罪なしたる不信仰者の姿。万有の御主のシャリーア(=イスラム法)の道から逸脱し、これを書き換えた輩徒であった。

◆声明【2】につづく >>   【1】【2】【3】【4】

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イラク北部モスルをISが制圧したのは2014年6月。近郊も含めて200万の人口を誇ったイラク第2の都市で、イラク軍・警察を撃破したことは、ISにとって「アッラーを信じれば必ず勝利できる」という自信につながり、イラクとシリアで一気に領土を拡大していった。旧日本軍が「神風が吹くから負けるわけがない」と中国大陸から東南アジアへと戦線を広げ、欧米列強を駆逐していったメンタリティーに似ているともいえる。いま劣勢のISは、「殉教して天国へ」と戦闘員に総玉砕戦を迫る。これも戦争末期の日本軍と共通する部分があるかもしれない。写真はモスルでイラク軍から奪った大量のハンヴィーを連ねて走行するIS。(2015年・IS映像)

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昨年10月に始まったイラク軍によるモスル奪還戦で、ISは町の大部分を失った。いまISが残る西部地区で激しい攻防戦が続く。写真は戦闘の前に礼拝するIS戦闘員。(2017年・IS映像)

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モスル市内で戦うIS戦闘員。戦闘や空爆によって犠牲となる市民もあいついだ。(2017年・IS映像)

◆声明【2】につづく >>  

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
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【クルド・YPG声明全文】米国がYPGへの武器支援を承認~イスラム国(IS)掃討戦

◆トランプ政権、ラッカ攻略戦を加速
5月9日、米トランプ政権は、イスラム国(IS)と戦う主要勢力のひとつ、クルド組織・人民防衛隊(YPG)への武器供与を承認した。今回の決定で、ラッカ攻略作戦がさらに加速することになる。この報道についてYPGのレドゥル・ハリル報道官は10日、声明を発表し、「(アメリカによる支援承認の)決定を歓迎する」とした。以下は全文。(一部意訳)

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5月10日に発表されたYPG報道部声明。アメリカは、これまでYPGが事実上主導するシリア民主軍(SDF)を構成するシリア・アラブ連合部隊への武器支援についてのみ公表してきた。今回のアメリカの決定で、YPGをテロ組織とみなすトルコの反発が必至だ。一方、米軍がYPGと連携して進めるISの「首都」ラッカ攻略戦はさらに加速することになり、また将来的にはロジャヴァ(シリア・クルド地域)のクルド暫定地域が、アメリカによって「承認」されることにもつながってくる。

米国のYPG武器支援決定についての声明(2017/05/10)

今回、米ホワイトハウスがYPGに公式に武器を提供するとした決定は、遅くなりはしたものの、ダアシュ(=イスラム国)やあらゆるテロ集団と戦うわが部隊が、信頼を寄せられた存在であることを示すものとなった。

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人民防衛隊(YPG)レドゥル・ヘリル報道官

この5年半にわたるテロに対する我々の戦いにおいて、わが部隊自身の戦いと、国際有志連合軍の支援によるもの、その両面でいくつもの勝利が獲得されてきた。

YPGが全世界、とりわけ国際有志連合軍に示したものは、我々がテロリズムに抗して戦っている主要勢力であるということである。アメリカの今回の決定以前は、わが部隊は長きにわたり装備不足に直面してきた。

アメリカのこの決定をもって、わが部隊に対する、事実と異なる批判はまったくの意味を失った。
我々はこの歴史的な決定がわが部隊のさらなる戦いを強化させるものとなると確信している。この決定がテロリズムに対する民主勢力にとって迅速かつ重要な成果をもたらすものとなるからである。

わが部隊はこの歴史的な決定を歓迎し、すべての人民がともに自由に暮らし、国際有志連合軍の支援のもと、暗き諸勢力を打ち負かすものとなることを宣言するものである。

人民防衛隊(YPG)報道部
レドゥル・ハリル
2017年5月10日

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アメリカがSDFに供与した装甲車。YPG戦闘員が使っている。アメリカはNATO同盟国でもあるトルコに配慮し、YPGへの武器支援については明確にはしてこなかった。トルコはYPGを、「トルコで非合法武装闘争を続けるクルディスタン労働者党(PKK)傘下のテロ組織」とみなし、YPG地域への砲撃を続け、アメリカにはIS掃討戦でYPGを主要勢力とすべきではないとアメリカに強く求めてきた。(YPG映像)

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これまでにアメリカが供与した装甲車を含む武器・弾薬は「SDFを構成するシリア・アラブ連合部隊への支援」という建前だったが、戦闘現場ではYPGも使用してきた。写真はYPG女性部門YPJが使うアメリカの装甲車。YPJの緑の旗が付けられている。最近は公式映像でも、YPG・YPJが使っているようすを公表するようになってきた。(YPJ映像)

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ラッカ西部のタブカ攻略作戦でユーフラテス川を渡る装甲車。(YPG映像)

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アメリカのYPGへの武器支援は、装甲車、ブルドーザー、小火器、弾薬などがおもなものとなる。アメリカの懸念のひとつは、供与した武器をYPGがトルコに対して使うことである。アメリカもYPG側には対IS戦にのみ使用すること約束をさせ、モニターするとしている。写真は対IS戦と、YPGへの武器支援について説明する有志連合軍ドリアン報道官。(CJTF映像)

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エルドアン大統領の訪米直前の発表となったこともあり、トルコ・メディアはトランプ政権のYPG支援決定を大きく伝えた。YPGの今回の声明では「アメリカのこの決定をもって、わが部隊に対する、事実と異なる批判はまったくの意味を失った」とある。これはYPGと対峙するトルコを念頭に置いている。

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トルコは、YPGがシリア北部で支配地域を固定化することはトルコの安全保障を脅かすとして、YPG地域に繰り返し砲撃を加えてきた。また、IS掃討の名目で「ユーフラテスの盾作戦」を展開し、スンニ派武装組織を支援する形でシリアに越境して軍事介入。実質的にはYPGの地域拡大を狙っていた。写真はシリア、アル・バブでの戦闘でISに奪われたトルコ軍戦車と装備。(2016年12月・IS系アマーク通信映像)

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写真はシリア北部に派遣されている米軍戦闘装甲車。トルコ軍はYPG勢力地域に空爆や砲撃を断続的に加えている。一方、YPG側もトルコ軍に砲撃。米軍はYPGに抑制を求めつつ、同時にトルコ軍も牽制する形で、一部部隊がトルコと接する国境線地域に展開した。トルコ軍が識別できるよう米軍戦闘車両は大きな星条旗を掲げている。(ロジャヴァ・ニュース映像)

◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
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【動画・日本語訳】歌から読み解くシリア・イラクでの戦争(23) 番外編トルコ・労働者メーデーの歌・ビル・マユス行進曲

◆「労働者の日」に思う
さて5月1日はメーデー。日本でもかつて血のメーデー事件というのがあったが、近年、日本ではこの「労働者の日」が組合動員のイベントや運動会みたいになって久しく、デモは「パレード」と名を変えている。いつもはシリアやイラクの歌シリーズなのですが、メーデーということで、今回はトルコのメーデーの歌です。

メーデー(5月1日)ビル・マユス行進曲(1 Mayıs Marşı) グループ・ヨルム(一部意訳)
映像はYouTubeにあったものから。たぶん誰かが写真をつないだものと思います。3番まであるのですが1番だけにしました。

トルコでは、かつてのような極端な貧富の格差はかなりなくなったものの、いまでも労働運動は健在で、メーデーの日は各地で集会やデモが開かれる。イスタンブールも地区によっては火炎瓶や投石で機動隊と衝突になることもある。メーデーで必ず歌われるのが、このビル・マユス行進曲(1 Mayıs Marşı)。

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もともとは、トルコの音楽家サルペル・エズサンが1970年代にアンカラブレヒトの劇作を上演するときに作られた曲と言われている。

1980年の軍事クーデターで弾圧の嵐が吹き荒れるなか、左派の労働者・学生に歌い継がれてきた。リベラル系のミュージシャンにも歌われ、ジェム・カラジャによるロック版とかもあるのだが、今回字幕つけてみたのは、左派の代表格、グループ・ヨルム(Grup Yorum)が歌うバージョン。

当局はグループ・ヨルムを左翼過激派組織、革命的人民解放党-戦線(DHKP-C)と関係するとしているが、グループ・ヨルム自体はその高い音楽性から他の左翼党派からも支持されている。

この歌は、トルコ人労働者の多いドイツでのメーデーデモや集会でもトルコ左派組織が歌ったりするので、ヨーロッパでも聞く機会があるかもしれない。

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考えてみれば、日本のデモで人びとが必ず声をそろえて歌うような歌はあるだろうか。誰もが知る曲をといっても左翼の「インターナショナル」なんて知らない人のほうが多い。

右翼の街宣車が流す軍歌も、左派のサウンドDJデモも一方的に大スピーカーから街頭の人びとに叩きつけんばかりに流れてくる。

日本ではみんなカラオケとか好きなのに、デモや集会で自然に歌声が上がるという光景はあんまり思い起こせない。

参加者が悲壮感を持って革命歌や愛国歌を歌う時代じゃないのは、まあ平和の裏返しなんだろうなと感じたりする。

「ビル・マユス」行進曲(1 Mayıs Marşı)グループ・ヨルム+サルペル・エズサン
グループ・ヨルム25周年の記念コンサートで、サルペル・エズサン(中央)が同じステージに立って合唱。フルオーケストラよりもやはり街頭で労働歌が機動隊の放水のなかで歌うほうが労働者の革命ソングというイメージにあっているように思う。YouTubeより

1970年代に比べ、確かに経済は発展したトルコだが、政治は過去に逆戻りしている感がある。エルドアン政権は独裁色をどんどん強め、クーデター派と決めつけられて逮捕される軍人や警官、解雇される公務員、投獄されるジャーナリストはあとを絶たない。

クーデター派一掃の粛清の嵐が吹き荒れ、エルドアンの独裁が強まるなか、ビル・マユス行進曲がトルコのいまの時代に再び重い意味を持つことになるのは悲しいことだ。

「ビル・マユス」行進曲(1 Mayıs Marşı)ジェム・カラジャ
ロック歌手、ジェム・カラジャがかつて歌ったビル・マユス行進曲。70年代、トルコ当局からは左翼歌手とみなされていた。西ドイツ渡航中にトルコで軍事クーデター(1980年)が発生、政治家だけでなく、知識人から芸術家まで逮捕・拘束されるなか、トルコへの帰国を断念したが、のちにオザル首相(当時)の特別措置で帰国を認められた。(2004年没)YouTubeより

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◆IS・イラク・シリア・クルド情勢の
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【YPG動画・日本語訳】シリア・クルド組織YPGに日本人(または日系)戦闘員が参加か? 

◆YPG動画に登場~イスラム国(IS)との前線地域
4月22日、シリアのクルド組織・人民防衛隊(YPG)は日本人(または日系)戦闘員と思われる青年が登場する動画を公開した。映像で青年はラシードを名乗り、タイトルにはラシード・ジャポンヤとある。(動画字幕では別表記レシット・ジャパンヤ)。名前は組織名と思われる。ジャポンヤとは日本を指し、青年が日本人かまたは日系であることを伺わせる。YPGが「日本人」として戦闘員を紹介したのはこれが初めて。

【動画・日本語訳】YPG「日本人」とされる戦闘員(2017/04/22)一部意訳

YPGの広報動画に登場したラシードを名乗る青年。映像ではアメリカ英語に近い発音で話しており、日本国籍なのか、日系で欧米など外国籍保持者なのかは不明。(YPG広報部映像)

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腕にYPG章がついているのがわかる。「YPGに加わって3カ月」と話しており、シリアでの軍事訓練期間を含めると最近、YPGに参加し、前線に配置されたのではないかと推測される。

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今年3月下旬に出た別の映像。おそらく同じ戦闘員と思われる。外国人戦闘員が複数登場する映像で、このときは名前は出なかった。(Kurdistan Qestion映像より)

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今回YPG公表の映像では、「現在、タブカ作戦に参加」としているため、ISとの前線地域であるラッカ西部のタブカ・ダム近郊のエリアにいることが推測される。

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YPGはシリア民主軍(SDF)とともに、IS「首都」ラッカ攻略へ向けた「ユーフラテスの憤怒作戦」と進めている。米軍主導の有志連合の空爆支援も受けながら、東西北の3方向からラッカ近郊に迫っている。日本人とされる戦闘員がいると思われる前線が、ラッカ西方タブカ。

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映像冒頭で左に映っているのは、中国系英国籍の戦闘員で、2年前からYPGで戦っていることが確認されている。日本人とされるラシード戦闘員(右)も並んでいることから、同じ部隊で戦っているようだ。国際義勇兵部隊には多数の外国人が参加しているが、スパイチェックや適格検査もあり、だれもが受け入れられるわけではない。また、もし日本人とすれば、外国の武装組織による戦闘行為に日本人が参加したことになり、日本を含む関係国の身元調査なども行われるだろう。

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この中国系英国籍の戦闘員は本名ホァン・レイ(黄磊)でYPG組織内部のクルド名はシパン。英マンチェスター大学出身で、国際義勇兵としてYPGに参加したとメディアは報じている。先日、SNS動画ではカタコトのクルド語で話していた。

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中国系英国籍のホァン・レイ戦闘員は、東洋系顔立ちゆえに、一部のトルコ・メディアで「YPGに日本人戦闘員」と誤って報じられたことがある。写真はトルコ・メディアの見出し。のちに中国系英国人と報道されるようになった。トルコ政府はYPGを「クルディスタン労働者党(PKK)傘下のテロ組織」とみなしている。このため、トルコを経由してYPG地域入りする外国人義勇兵志願者に対しては、トルコ国境警備隊や情報機関が目を光らせている。今後、ISを壊滅させたとしても、のちに本国に帰国する際、出身国によっては治安当局から取り調べや監視を受ける可能性がある。

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左端が中国系戦闘員ホァン・レイ(シパン)。右も外国人戦闘員でアメリカ、オランダ、ニュージーランド、スペインなどからの義勇兵だ。経歴も左翼活動家や元兵士などさまざま。入隊にあたっては政治思想や適性のスクリーニングがある。その後、過酷な軍事訓練、指導部への忠誠式を経て現場に配置される。YPG独特の強力な組織内部の規律や統制、オジャラン指導者に血と命を捧げる忠誠といった思想的決意などもあり、ISと戦いたいというだけで義勇兵を希望しても容易には受け入れてもらえない。今回公表された、日本人とされる戦闘員がどのような経緯、経路でシリア入りし、YPGに参加したかは不明。(ロナヒTVより)

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YPGに参加したドイツからの戦闘員。ほとんどの外国人戦闘員が英語で話すなか、この1993年生まれのドイツ人戦闘員ケヴィン・ヨアヒム(組織名ディルソズ・バハル)は流暢なクルド語(クルマンジ)を話している。「マルクス・レーニン主義を信奉し左翼活動していたが、オジャラン指導者の思想に共鳴し、YPG入隊を決意」とPKK特有の高度な政治用語も交えながら話していた。2015年7月戦死。

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外国義勇兵参加はYPGにとっては国際連帯をアピールする政治的意図もあり、広報映像に何度か登場しているが、外国人だからと特別扱いされているわけではなく、前線に配置されている。このため戦死者もあとをたたない。写真はこれまでに戦死した外国人戦闘員の一部。ドイツ、カナダ、イギリス、アメリカなど各国から義勇戦闘員が参加している。中央上の赤い四角はトルコ・マルクス・レーニン主義共産党(MLKP)からのドイツ人女性で戦死。右下の青い四角2名はYPGからマンビジ軍事評議会に配属されたドイツ人とアメリカ人でトルコ軍の空爆で死亡。YPGは社会主義的性格が強いこともあり、外国人戦闘員にも元左翼活動家などが多い。

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昨年12月末に死亡した英国人戦闘員ライアン・ロックは、ラッカ西方の前線でISとの戦闘で死亡。

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ISは「十字軍を踏みしだく」としてライアン戦闘員の遺体をIS戦闘員が踏みつける写真を12月末に公開。ライアン戦闘員の頭部の銃創が顎から上に向けて撃ち抜いたものであったことから、ISに包囲されて捕虜となるのを避けるため自決したのではないかとイギリス・メデイアは報じている。ISとの戦いに大義を抱き、多数の外国人義勇兵が加わっているが、外国人も地元戦闘員と同様に前線で戦うため戦死者があいついでおり、戦争の現実は重い。(IS映像) 一部をぼかしています

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写真はイギリスでのライアン戦闘員の葬送に集まったクルド人支援者たち。

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【シリア民主軍SDF声明全文】イスラム国(IS)「首都」ラッカ攻略の第4段階へ

◆西・東・北部の3方面から包囲進める
シリアでイスラム国(IS)との戦いを続けるシリア民主軍(SDF)は、4月13日、ラッカ攻略へ向けた「ユーフラテスの憤怒」作戦の第4段階を開始する声明を発表した。昨年11月に始まった作戦は、クルド組織・人民防衛隊(YPG)主導のSDFが有志連合軍の航空支援と米軍特殊部隊の地上支援と連携しながら、ラッカの北・東・西の3方向から包囲する形で進められてきた。以下は声明全文。(一部意訳)

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声明を発表するSDF「ユーフラテスの憤怒」作戦作戦室のジハン・シェイク・エヘメド報道官。その右はSDF作戦部隊ディジワル・ヘバット・セレカニエ司令官。ラッカ攻略作戦は、有志連合の支援も受けながら速い速度で進み、ラッカの東・西・北の各方面の軍事要衝を攻略しながら、町を包囲するという作戦がとられている。(SDF写真)

「ユーフラテスの憤怒」作戦・第4段階開始声明
シリア民主軍(SDF)
(2017/04/13)

「ユーフラテスの憤怒」作戦室司令部の名において、我々は作戦の第4段階の開始を宣言する。これは、テロ集団から、(ラッカ)北部の残存地域とジャラーブ谷を解放し、我々の前にある最後の障害を除去し、また、ラッカ市の解放に備え、テロ集団を包囲状態に置くことを目的としている。 

この作戦は、シリア民主軍に連携する各勢力、各部隊の参加によって遂行される。作戦にはテロに抗する有志連合軍による包括的援護と地上でのアドバイスなどの支援を通じた全面的支援のもとに遂行される。進撃はラッカの東部戦線・西部戦線、ジラーブ谷と北部近郊地帯の各戦線でなされる。

この地域の住民がシリア民主軍に協力し、(戦闘地域での住民の)安全を確保するために移動することを求めるものである。敵がいる拠点から離れ、彼らが「人間の盾」として住民を使おうとしていることに警戒してほしい。

我々はわが人民の不屈さと、わが軍への協力に敬意を表明し、またラッカの町全体が解放される勝利に光明が差し込み、嫌悪すべきテロ集団を一掃することへの決意をあらたにするものである。

自由と民主主義のシリアを!
人民の兄弟たち同胞 万歳!
テロリズムとそれに加担するすべての勢力に恥を!

シリア民主軍(SDF) 総司令部
「ユーフラテスの憤怒」作戦室
2017年4月13日

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SDF・YPG部隊は、3月上旬、ラッカ東方にあるデリゾールと結ぶルートの要衝を制圧。デリゾールへの幹線道のひとつを分断し、ユーフラテス川に到達した。写真で戦闘員の背後にあるのがユーフラテス川。ISにとって戦略上、重要な物資輸送網のひとつが断たれることになる。右端は、ディジワル・セレカニエSDF作戦部隊司令官。(2017年3月上旬・SDF映像)

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ラッカ西方タブカでの戦闘拡大に備え、住民を退避させるSDF・YPG部隊。戦闘での住民被害を抑えるために、まず住民の安全道を確保し、地域から退避させながら展開している。(2017年4月上旬・YPG映像)

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戦闘開始前の住民退避では、避難先の場所・施設や食料の確保のほか、住民と地元部族の協力を取り付けねばならない。(2017年4月上旬・YPG映像)

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タブカ近郊の退避する住民。ISは一部地域で住民移動を阻み「人間の盾」にしようとしている。(2017年4月上旬・YPG映像)

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